第3章の第44話 3人の王
【アンドロメダ王女の宇宙船】
アンドロメダ王女の宇宙船は、雲海上空を飛んでいた。
その船内では。
デネボラさんとヒースさんの2人が、機械操作を行うモニター画面前に立ち、会話を行っていた。
後ろには、保証人としてアンドロメダ王女様がついておられる。
話の内容は、星王アンドロメダ様の謁見から始まり、地球から掬い上げた難民達を、この星のファミリア星立総合運動公園陸上競技場に移動せよ、というものだった。
そして、アユミちゃん達は、シャルロットさんから話を聞いていた。
「テラ・フォーミング計画……!?」
「ええ。その様式に近いわね……。ただし! テラ・フォーミング計画は、あなた達でいうところの火星緑化計画を指すのよ!」
「何が違うの!?」
「火星と地球の大きな違いは、砂漠化か氷河化の違い……が挙げられるわね!」
「全然違うわけか……!」
「いいえ、そうではないわ!」
「!?」
「テラ・フォーミングの計画の理念は、引用できる……!」
「どーゆう事?」
「それはあなた達の星でいうところの、今まで培ってきた知識や経験を活かし、砂漠化と氷河期のベースパターンがあるからよ!」
「!?」
「主に、あなた達地球人類は、火星や月などの砂漠化と岩石地域を、テラ・フォーミングして人類の居住地域に造り変えようとしていた。……違うかしら?」
「……確かに」
「そうよね」
「うん」
「そうした地球からの研究と、実地調査を行っていた宇宙飛行士たちの努力もあって、リポートデータが作成されていたの。
もちろん、その方向性は違うけどね」
「……つまり、そのベースパターンだけはできていると……?」
「そーゆう事!」
わぁ
と喜ぶアユミちゃん、クコンちゃん、クリスティ3人。
「……でも、あくまで地球から観測した月と火星までのベースパターンでしかないから……そこだけは注点ね!」
「じゃあ、後は! 宇宙航空研究開発機構(JAXA)からいろいろと聞き出して、スバル君たちが凍った星を調査していけば……!」
「ええ、かなり望みは高まるわね!」
プロのプロトニア、シャルロットさんの言葉は希望の光だった。
あたしとクコンちゃんは「「よーし……」」と意気込み、「「やったぁ!!」」とハイタッチし合い、その横でクリスティさんが「うんうん」頷き合っていた。
「あの時、アユミちゃんが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)を選んでいたの偉ーい!!」
「いや~そんなぁ、えへへ」
アユミちゃんを褒めるクコンちゃん。
あたしは褒められて、照れるのだった。
「……」
そんな様子を、腕組しながら考えていたのはスバルだった。――その少年の口から、ある呟きが零れる。
「――そもそも、テラ・フォーミング計画って、……何だろう?」
「「「!」」」
「!」
反応し合う少女達に。
シャルロットさん。
そんな少年の問いかけに答えるのは、クリスティさんだ。
「――あら何? 哲学してるの!?」
「?」
「テラ・フォーミングは、Terraforming terraformation(テラフォーミング テラフォーメーション)の略で、文字通り、『地球を形成するの意味』よ。
惑星や月などの天体の大気・温度・湿度・気温、表面の地形や生態系などを、地球の環境に意図的に変更し、なおかつ、地球の生命体が居住できるようにする、仮想的なプロセスの事よ!
文字通り、地球を形成するという事ね!」
「「へぇ~……」」
「……」
そのクリスティさんの説明に。
感心の声を上げる少女達に対して、
少年は思うところがあり、無言だった。
そして、シャルロットさんが。
「お詳しいんですね……?」
「ええ……。この肢体だから、言い寄ってくる男達がいて、
そのナンパの言葉を、覚えてただけよ!
いろいろなところを案内してもらったし、一緒にディナーをして、奇麗な夜景を見て、心配りのプレゼントをもらったりもしたわ! フフッ」
勝ち誇ったような笑みを浮かべるクリスティさん。
それに対してシャルロットさんは。
「そ、そうですか……モテるんですね……」
「まぁね。天体観測やプラネタリウムに連れて行ってもらった事もあるわ!」
ほほほほ、と口元に手を当ててお上品に笑うクリスティさん。
「……」
とこれにはシャルロットさんも、見てていい顔はしていなかった……。むしろそんな自慢話、聞きたくもない。
とここでスバル君が口をはさむ。
その隣には、Lが耳打ちしていた。
「それぐらいならなら、TVで知ってるよ! そもそもモテようが、今はクリスティさんも難民だから、役に立たないんじゃないの!?」
――グサッ
「!!」
「色気なんて、難民生活を送っていれば、見ずぼらしくなってくるよ……。それとも、そんな人達を笑う気? ねえ?」
――グサッ
「!!」
「なんなら実地体験させようか? 王女様に頼んで! まともな食事にありつけないようにする事だってできるんだよ!? 働く気がないなら少し黙っててくれない!?」
――グサッ
「グスッ……」
意外に、スバル君の横よりはキツかった……。
言葉のナイフは、鋭利で鋭く、あたしの心を傷つけるのだった……。
「やるわねあの子……」
「うん……」
感心の言葉を零すクコンちゃんに。
納得のアユミちゃん。
そのスバル君の話が続き。
「……僕だって、星王様のお言葉を聞いて考えているところがあるんだよ……! ちょっとね……。
それに、これから先、難民達の生活の事も考えないといけないし……クリスティさんの古い自慢話はいいからさ!! ……テラって何!?
「古い……グスッ……ッ」
「……」
スバル君のキツイお言葉に涙ぐむクリスティさん。手術したあの子がまさかこんな……。
これにはシャルロットさんも対応に苦慮した。まさか、この少年がここまでキツイ言葉を放てるとは……。
「す、スバル君……なんかイライラしてない……?」
「……」
「いつものスバル君じゃない~」
「……」
アユミちゃんがスバル君の事を心配していて。
そのスバル君の隣には。
「……」
Lがいた。
シャルロットさんはその様子に気づいて。
(ははぁん、なるほど、そーゆう事ね……)
あたしは察した。
「……Lちゃん、何をスバル君に吹き込んだの?」
「「「! L!?」」」
そう、今までの耳打ちは、Lによるものだった。
「ちょっとね……」
Lはツ――ンと怒っていた。何をそんなに怒っているのだろうか。
「何怒ってるのよ!!」
「酷くない!?」
「やっぱりなんかおかしいと思ったら、見えない奴だったのね!!」
怒るクコンちゃんに、アユミちゃんに、クリスティさん。
これには、Lもイライラしていた。
「だいたい君達3人が原因なんだよッ!!! アメリカのイエローストーン国立公園の時から働かないし~!! あの人を怒らせるし~!!」
僕は、キィ~~と怒っていた。
「スバル君、Lはどこにいるの?」
「そうねえ」
「全然見えないし、聞こえないものねぇ」
「キ――ッ!!」
これには見えないし、聞こえもしないLは、憤怒と化す。
「こっこの子達~~ィ!!」
メチャ怒ってる。
「スバル!! 何とかしてッ!!」
「スバル君!!」
「スバル君!!」
「スバル君!!」
「~~!!」
これにはスバル君、L、アユミ、クコン、クリスティさんと挟み撃ちに会うのだった。
(なんで僕が……ッッ!!)
「あーもう!! 見えないし聞こえないし、デネボラさん!!」
「はっはい!!」
「早く機械を取り寄せてください!!」
「はい……」
この時、デネボラさんは、機械操作を行うモニター画面前で仕事をしていて、さらに後ろから少年の注文を受けるのだった。
これを見ていたヒースさんは、心の中で。
(苦労してるな~ぁ……)
と同情を買うのだった……。
「で、L!」
「んっ?」
「話の続きは!?」
「あぁ、実はね。あの後……」
「うんうん……うん」
Lは、スバル君に耳打ちするのだった。
で、それを聞いた少年は。
「なるほどなるほど。聞いたところによると君達3人」
「!」
「星王様の御前で失礼を働いて、なおかつ、そこのドアの後ろで話のネタにしてたそうだねー」
「「「ギクッ」」」
「他所の星の頂点に立たれる御方に対して、それはちょっと、不敬罪じゃないの? んー?」
「「「……」」」
少年に注意されて、汗々の3人。
「兵士さん!」
「はっはい!」
「後で動画を見せてください」
「わかりました」
「……他に何か意見がある人は、僕を通してください!」
「「「「「OK!」」」」」」
「あぁ、なんかあたしたち……」
「ちょっと味方が……」
「あの子1人、なんか特別過ぎない……?」
スバル君を味方につけた方が勝つのだ。
むしろ、全体を通して見れば、地球人組はこの船に乗り込んでから、スバル君しか働いていない。
その間、アユミちゃん達は、シャワーに入って、更衣室で着替えて、食談をして、アメリカのイエローストーン国立公園では勝手に見学して、寝てるだけ。
苦渋の選択のときは確かに働きはしたが……。
あれはあくまで、意見的なものであって、副次的な活動も取っていたが、大した実績として評価されない。
むしろ評価されるのは、派遣された宇宙船に乗っていた数多くの兵士の皆さんと開拓者(プロトニア)の皆様であって。
その働きを促した、少年と王女様とヒースさん達の影の活動があったからだ。
なので、その評価は低い……。
よって、Lの意見が際立ち、スバルはこちら側に回ったのだ。
「――さて、スバルや」
「はい、王女様!」
「この3人には少し、灸をすえてやりたいのじゃが……」
「灸ですか……」
「「「!?」」」
「う~ん……なら、こうしましょう」
「乗った!」
「……まだ何も言ってませんよ……」
「お主なら、別に大丈夫じゃろ?」
「ハァ……」
溜息をつくスバル君。
アンドロメダ王女様が、スバル(僕)に向ける期待は、大きかった。
3人の視線は、心配そうに見つめるように、件(くだん)の少年に注がられていた。
「……3人には、仕事を命じます!」
「「「えっ!?」」」
「期限は、4500人越え預かっているので、4500日間、僕の命令に何でも服従してもらいます!」
「絶対君主~~!?」
「君達には、拒否権はありません!」
「ははははは」
「これからは、僕の指令に従ってもらいます!」
「誰が従うかッッ!!!」
思わず反論するクコンさん。
これに対し僕は。
「あっそ! じゃあこちらにも考えがあるよ」
「?」
「地球の寒空の下に、放置するから」
ヒュ~~~~
その時、少年の真後ろに氷漬けになった地球の大地が垣間見えたという、もちろんイメージだが――
「「「ッ!!!」」」
「――!」
――この時L(僕)は、このスバルの一言に、使えるかもしれないと思った。
「今日、置き去りにして、明日、引き取りに行こうか?」
「グッ……」
「まぁその頃には、凍え死んでるだろうけど……ね」
「……」
「……」
「……」
これには3人とも、あの時の寒さを思い出し、打ち震えていた。
あれは寒かった。それが今では、あれ以上なのだ。身震いするほど恐い。寒い、痛い、凍え死ぬ。
「……まぁ、でも……」
ピッ、と僕は、人差し指を、1本だけ立てた。
「君達の苦渋の選択での働きは聞いてる」
「「「……」」」
「星王様のお言葉も聞いて、僕自身、考えさせられるところもあった……!」
「ホォウ」
感心の笑みを零すアンドロメダ王女様。
「この1つは、君達全員の連帯責任として扱う」
「連帯責任……」
「君達に命じる!! 僕がいない間は、その人達全員の命を君達に預ける!」
「「「!」」」
「人の命を預けるんだ……命はたった1つしかない!! 掛け替えがないもの!! それは、その人達の人生を大きく左右するに等しい――」
「……」
「人の命を預かるんだ。責任は重大だ……!! だが、いずれは、僕も、Lも、プロトニアとして活動する以上、難民達の様子をいちいち気にしちゃいられない!!」
「……」
「君達に命じる!! 人の命を、人生を預かってもらう!!」
「……」
「……それが最初の命令だ……!! ……いかがかな!?」
「……」
「……」
「……」
アユミちゃん、クコンちゃん、クリスティさんと首を動かして、互いの顔を見合って。
「「「はい……」」」
と答えたのだった。
この勝負、あたし達は負けていた。是非もない……。
とその様子を見ていたわらわは。
(――最初の命令か……。フムゥ……人の命を預ける、スバルらしいやり方じゃ!)
とその様子を見ていたLは、何か思うところがあった。
(………………)
とこの様子を、背中で感じていたデネボラさんは。
(フフッ、なんかいい子を見つけたって感じね!
……
まだまだ子供だけど、先行きが楽しみだわ)
とこの様子を見ていたレグルスは、壁に背もたれをつきながら。
(ほぅ……こいつとシシド(あいつ)をけしかけたら、どんな変化があるんだろうな……ククッ)
等々。アンドロメダ星人組は、心の中で感心の声を零していた。
「……」
「……」
それは、アクアリウス星人組のシャルロットさんも、ヒースさんも思うところがあったのだった。
――とここでシャルロットさんが。
「――……テラだったわよね?」
「!」
その声に気づき、振り返るスバル(僕)。
それは、先ほど少年が投げかけた素朴な疑問だった。
それに対し答えるのは、やはり、シャルロットさんだ。
「テラ・フォーミング計画のテラは、テルースのテラよ!」
「テルース……?」
「……」
コクリと頷くシャルロットさん。
「いい機会だから教えてあげるわ。
テラ・フォーミング計画とは、人類が居住できるよう、例えば、地球かアンドロメダ惑星以外の天体の環境の星を、人為的に改変する事よ。
つまり、それにより、地球人類か、アンドロメダ星人が、暮らしやすい、環境の整った惑星改造を指す事を言うの。
……。
当然、人種が違えば、種族が違えば、微妙に大気成分が違ってくるわね……!」
「へぇ~……」
「また、テラはテルース神を指し、大地の女神ガイアを指すの!」
「! ガイア……!」
これには驚き得るスバル君。
あたしの説明は続く。
「そうよスバル君! そしてフォーミングは成型、形成能、作り変えるという意味よ! つまり、惑星改造をさす、『造語』なのよ!」
「造語……」
「君がこれから先、全球凍結した地球を、再び、緑あふれる人類の居住区域とするなら、その名称が変わってくる……!」
「……」
「……今から、考えておきなさい」
「……」
「……」
コクリと僕は頷き得た。
それはLも同じだった。
シャルロットさんは、さらに話を続ける。
「いい? 魔導の理念じゃ、大地の女神テルース神は、女神ガイア様と同一視されている事から、テラが第1世代。
同じように、オプスが第2世代。
同じく、ケレースが第3世代。
そして、名称不明の第4世代……と系譜が続くのよ!」
「オプス?」
「ケレース?」
「……」
アユミちゃん、クコンちゃん、クリスティさんと述べる。
「オプスは、大地の女神レア、これが第2世代!
ケレースも、大地の女神デメテル、なので第3世代!
そして、名称不明の空白の席があるの……!」
「? ……なぜ?」
「なぜかというと……。まだ神々の間でも、次の世代を担う女神様が座っていないからよ……! つまり、次の時代を担う、女神ガイアの系譜を担う、神々の王ね」
「……」
【――僕達はそれを胸に刻むのだった】
【第1世代、女神ガイア=テルース】
【第2世代、女神レア=オプス】
【第3世代、女神デメテル=ケレース】
【第4世代、空白の大地の女神。……その玉座に座るのは、いったい誰なのであろうか――……】
アンドロメダ王女様の宇宙船は、大海原の上空を進み続ける。
☆彡
【ファミリア星立総合運動公園陸上競技場】
そこの特徴は、何と言っても広大な敷地面積の広さだ。
ビッグスタジアムみたいな会場があり、周りには公園が広がっていた。
ここの利用目的は、さしずめ、マラソンを初め、地球で言えば野球とかサッカーとかのスポーツの催しものを行っていることだろう。
敷地面積も申し分なく、あっさり4500越えの地球人の難民達が納まっていた。
そこでは、涙々の熱い家族の再会があり、喜びを分かち合っていた。
そう、修学旅行生たちとご家族との心温まる再会劇である。
「トオルー! トオルー!」
「いたら返事をするんだーっ!」
口に手を当てて、息子の名前を呼び続けるママさん。
さらに周りに声を上げて呼びかけるパパさん。
「父さん! 母さん!」
「「トオル!」」
駆け出す二本の足と四本の足。
そして、その家族の再会劇は抱き合う事になった。
「トオルー! よく無事で!」
「うん! 恵さんのところのお陰だよ! 俺達修学旅行生達は、そこで身を寄せ合っていたんだ!」
「恵さん……!?」
「そうか……その人のところに身を寄せ合っていたのか……後でお礼を言わないとな。……どちらにしても偉いぞ」
「うん」
そのパパさんは、息子トオル君の頭をナデナデしたのだった。
だが、残念ながらまたあるところでは……。
「タケシーッ! タケシ―ッ!」
何度も声を上げて呼ぶお婆ちゃんがいた。
だが、いくら声上げて呼びかけても、その返事が返ってくることはなかった……。
そして、その事情を知る学生さん達は……。
「可哀そうに……確かあいつ、第1班だったんだろ……!? 恵さん達と同じ……」
「ああ……」
「ええ……。恵さんも大概だけど……! あたし達はホントに運が良かったんだわ……第2班だったし……。第3班の人達が言うには、濁流で流された人達にもいて、頭が下がるけど……」
「そんな……タケシィ~……」
そのお婆ちゃんは、その受け止め難い現実を知り、その場で泣き崩れるのだった――アアアアア
またあるところでは……。
クリスティさんのところの親父さんと美人3姉妹が集まり、そのクリスティさんの名前を呼んでいた。
「クリスティー!!!」
「恥知らずーっ!」
「親不孝者ー!」
「どこにいるのー!?」
と何があったのかわからないが……。この場には似つかわしくない声を張り上げていた。
これには周りの人達も。
「なんだなんだ!?」
「どうしたんだ!?」
疑問を覚えるばかりだ。
この感動の再開劇が起っている場所で、不似合いなイベントが起っていたのだった……。
それを隠れた場所で立ち聞きしていたのは、当人のクリスティさんだ。
「あちゃ~~! まだ覚えていたか……」
クリスティ~
恥知らず~
親不孝者~
エロ魔~
「……あの事件が、まだ尾を引いてたか……。ハァ……」
悔やみきれない現実を味わうクリスティさん。
いったい過去に何があったんだろうか……。
とその場にいたのはクリスティさんだけじゃなく、アユミちゃんとクコンちゃんの姿があった。
「何があったんですか!?」
「せっかくご家族の方が生きていて、感動の再会ができると思ったのに……!?」
「う~ん……」
困り顔のクリスティさん。
「いやね……あたし、昔、勘当された身なのよ……」
「「えっ……!?」」
「医師免許だけは剝奪されずに済んだけど……。……その後も色々やらかしちゃったからね……親に合わせる顔がないのよ」
「あちゃ~」
「そんな人もいるんだ……」
「人生色々よ! 多分だけど……生家が売地……差し押さえを受けてたって小耳に挟んだこともあったわ。まさかそれほどだったなんて……」
「な……!? 何をどうやったらそんな事になるのよッッ!!?」
「うわ~っ……信じられない……。
「う~ん……一番印象深いのは学生時代かな? あたし中学の頃から特に大きくてね、これが……!」
あたしはムンッとその超乳を持ち上げた。
そのおっぱいがプルルンと揺れて、おはようをする。
「「……」」
何も言う気がない……。
「確か、中学の頃、好きだった男子生徒に振られたのよ……! それが悲劇の始まりね……。えーと……確か、『君と僕とでは釣り合わない』って、軽くショックだったわ……!」
「あっわかるかも……」
「ねえ……」
何となく察するアユミちゃんにクコンちゃんの両名。
あたし達も仮に男の子なら、クリスティさんとだけはお付き合いたくない。
その体がとても、魅力的でも……。
本能がそれを求めるが、理性の力でそれを遠ざけたいのだ。
「こっちはそんな事気にしないって! 何でよ!?」
「……」
「……」
顔を向き合わせるアユミちゃんにクコンちゃん、「ハハッ……」と苦笑いだ。
「それからドンドン非行に走ちゃって……。夜な夜な自分の体を売って、お金を荒稼ぎしていた。……悪いグループと一緒にね」
「悪いグループ?」
「ええ、お金がいるもの」
「「結局金か――……」」
「「ええ、男はみーんなこれに言い寄ってきてたからね」
ムフン
とあたしはご自慢の超乳を持ち上げて、2人に見せびらかせるようにプルプルとワザと震わせる。なんとも柔らかそうだ。
「男は騙されるわね……」
「うん……なんとも柔らかそうで、すぐ揉みたがるもんね」
「まるで撒き餌じゃない!! あなた! 彼氏には注意した方がいいわよ! 今のうちからね!!」
「うっ……まだ正式に付き合っているわけじゃないんだけど……」
あたしがそう呟くと。
「「そうなの!?」」
クコンちゃんとクリスティさんの声がハモるのだった。
「うん……まだ付き合いはしてなくて……。長馴染みでも特別仲がいい友達って感じかな……?」
「「……」」
あたし達がそう聞いている中で、彼女は「う~ん……」と考え込んでいた。
で。
「ハァ……。スバル君も大概、あたしのを見てるから、好きだと思うなぁ……」
「「……」」
それは紛れもない事実で、自分の事を棚に上げるお姉さん。
これにはあたしも、お恥ずかしながら……。
「あたしが頑張らないと!」
意気込むアユミちゃん。
鼻息をフンッと鳴らす様を見て、それは心に固く誓う。
「……」
それを見ていたクリスティさんは、「ハァ……」と溜息をつき、さっきの話の続きをすることにした。
「……で、妊娠したってわけ……!」
「「えっ……!?」」
信じ難い事実が判明していく。妊娠ともなれば、それは女にとって一大事だ。
「確か当時高1だったわ」
「高1……」
「歳は、15、16ぐらいの時ね」
「あたし達より、4か、5歳か上の時ね」
「ええ……」
頷いて答えるクリスティさん。
「……」
深く考え込んで。
「……あの後、さんざん家族から叱責を受けて、家から出入り禁止をくらうの。いわゆる軟禁状態ね……」
「「……」」
「その若い時に、段々おなかが大きくなってきて、……妊娠が発覚したの。
で、ママに連れられて、病院に通い、ある薬を処方される……!
それが『妊娠中絶薬』で、その薬を服用したの!」
「……」
「……」
「思い切り吐いたわ! 便所の中にね……」
「……マジ?」
「信じられない……」
「大真面目な話よ……。その時、あたしは第一子を殺したの。……でも、その時のあたしには、いったい誰の子かわからなかったもの……。今でも思うわ、ずっと後悔してる……!!」
「そ、それはまた……」
「いったい、何人の男とやったのよ……」
「8人よ。その悪いグループの中には、兄弟さんや年上の不良もいて。
あたしは無理やり犯されたの……。
あたしの魅力に、理性のタガが外れて、これが原因でやりまくられたわ」
これとはおっぱいの事で、あたしは手で触れて、あまり元気がないように、振るわせて見せた……プリ……と。
「……」
「……」
「女の子の力じゃ、男の人の力には抗えない……。
頭を無理やり抑えられて、手足の自由も奪われて、なーんにもできない……。
そう、あれは……男性の生物的欲求からくるもので、本能が今までないくらい刺激されて、今しかやれるチャンスがないと思ったのね……。
可哀そうなあたし……。
あたしは泣き悔やみ、初めてを奪われたわ。処女喪失(バージン)を……。
……その後、学校に行って、先生からも、周りのみんなからも、叱責やヒソヒソ話を受けて、精神的に追いやられて、へこんだわ……。
もう、鬱病ね鬱!!」
「そんなに大きいからよ!」
「うん、アユミも、それはいらないくらいデカ過ぎると思う。……いったいいつから?」
「そうねぇ……。え~と……あれは確か……!
小学校3年生の頃からどんどん大きくなってきて、
3でA。
4でB。
5でCとD。
6でEだったかな?」
「E……さすがにデカ過ぎない? さすがにヒューマンエラーを起こしてるんじゃ?」
「アユミも遺伝だけど、さすがにそれは……」
「これは民族遺伝子的な違いね。日本人とアメリカ人じゃそもそも乳腺の発達量や脂肪分が大きく違うもの。……当然、質感も違ってくるもの……」
「「……」」
「で、中学の頃からは、なりを潜め……。生殖機能の発育期間に当たるから、それほど大きくは発育はしなかった……。
そうねだいたい。
中1でFカップ。
中2でGカップ
中3でHカップ、Iカップと大きくなっていって……。
さっき話したように、前の彼氏に振られたわけね……ハァ……」
「聞いてて、モンスターだわ……おっぱいモンスター……」
「気味が悪い……」
「ヒドイ言い分ね……」
それがあたし達の思うところだ。
それだけバカみたいに大きいんじゃ、子供の目から見ても異常に思えてくる。
病気の疑いもあり、それで正常ならモンスターとくくられてしまう。
それが現実だ。
だが、有名な脳腫瘍による病気、『思春期乳腺肥大症(VBH)』、通称、巨乳症でもないため、あくまで正常範囲である。
「一番きつかったのはブラね……お気に入りがすぐに、廃棄だもの……。
お洋服もすぐに買い替えて、金銭管理がきつい時期だったわ……。
あたしに会う服が無くなっていく……。それがどれだけ怖いか……、……あなたたちにわかる――?」
「……」
「……」
これにはあたし達も何も言えなくなる。
おっぱいが大きい事は、素晴らしい事だと勘違いしている人も、多いかもしれないが……。
実地体験者によれば、それはデメリットの方が大きく勝っているからだ……。
誠に遺憾ながら……。
「さらに高校生になってからは、爆発的にこれが大きくなっていったわね……。おっぱいがド――ンと大きくなる黄金期だもの……!」
あたしはおっぱいに指を当てて、圧を加えていくと簡単に減り込んでいくのがわかる。
もちろん、圧し戻そうとする張り具合、復元力もあるけれど……。
それよりも、指圧の方が強い。
それは指の根元まで入るほどで、いかに柔らかいか、周りの2人にもわかる。
あたしはそこで、指を動かして、プルプル、と震わせる。
これを見た2人は。
「「……ッ」」
(デカい……)
(え、エロい……)
((男なら、すぐに騙さられる(わ)……))
心の中でもハモる2人。
「で、さっき話した通り、高校1年生に入りたてのとき、まだIカップでね。その時目ぇつけられて、Jカップ、Kカップとドンドン膨らんでいって――妊娠が発覚してしまうの」
「高校でKって……もう、なんて言っていいのか……」
「普通大きい人でも、珍しいんじゃ……いや、いないんじゃ……」
「ええ、よくても高3でようやくKね。……あたしが珍しいのよ、その人達よりもね」
「……」
何も言えなくなるアユミちゃん達。
高校生でKカップ。
それがどんなに発育が良くても一般常識の範疇なのだ。限界なのだ。だから、あり得ないのだ、そんなモンスターは……ッ。
「……一番辛かったのはママの方ね……。周りからはお化けおっぱいといつも陰口を叩かられていたわ……。……それは持たない人たちの妬みや嫉み、蔑みだから……」
「お、お化け……」
「そのママもだったのね……」
「ええ、そうよ……」
それはママも、巨乳の遺伝体質の持ち主だったの。
何であたし達、母子にそんな目を向けるのか……!? その人達の当たり前という普通の理解に、疑いと怒りと憤り、憎悪と嫌悪感を抱いてきた……」
「……」
「……」
それは当然の心理。
条理という。
人は追い詰められた立場に回った時、そのような感情を覚えるのだ。
それは、憎しみともいう。
「あたしはまず、着ている服から見直しわ。
前に悪いやつとつるんでいた時期もあって、隠して生きる事に、嫌気がさしてきた時期……だったから……!
だから、本来の自分を晒したい! ホントの自分を見て欲しい! 人に自慢したい!
………………。
そして、誰もが羨ましがる生活を送ってやる……そう思ってたんだけど………………」
「……その後、転落人生を送る訳ね?」
「……うん」
「……」
「……」
「……その後、憂さ晴らしで何人かの男達と絡んで、やりたい放題したわ……!
自分の体だもの、好きなように暴れてやったわ!
でもその間に、医学の勉強も積んでてね……!
で、親から勘当されて、家から出て行って……。まぁ色々あって、今があるわけ。……まあそんなところね!」
「すごっ……!」
「黒い人生をお持ちなのね……」
「………………」
これには2人とも、お姉さんを認める。
こんな人の人生を歩みたくないものだ。
「……」
アユミ(あたし)は同情し、その横からクコンちゃんが、呟きを落とす。
「まるで黒歴史だわ……。……んっちょっと待って! ……いったい何人の男の人達と関係を持ったの!?」
「!」
そのクコンちゃんの発言に、
アユミちゃんも反応を示し、振り返る。
それに対して、当人のクリスティさんが答える。
「……それは肉体関係かな? ……お嬢ちゃん達?」
「……」
「……」
そのクリスティさんの発言に。
クコンちゃん。
出遅れてアユミちゃんと小さく頷き合う。
「ロクなものじゃないわよ……! 正しい生き方をするなら、ホントに好きになった、たった1人だけの人を、本気で愛しなさい! ……あたしが言えたものじゃないんだけどね……」
「……」
「……」
とここで、アユミちゃんが迷ったように、クコンちゃんの顔を見て、あたしの顔を見やるのだった。
これを見たあたしは。
「ハァ……仕方ない。ロクなものじゃないけど、……言ってあげる」
「「……」」
前を見据える2人。
「……」
クリスティさんのその唇がアップされて、告げられる。
「だいたい200人ぐらいかな?」
「……」
「……」
「「「………………」」」
3人の間で、沈黙の間が流れて――
「「――美痴(びっち)じゃん!!!」」
と乗りツッコミす。
「道理でおばけおっぱいな訳じゃないのよ!!!」
「いったい何カップあるんですか!!!」
「Ultra(アルトラ~~)! Ultimate(アルティマ~~)!」
クリスティさんは「アハ~ン♪」と腰をくねくねさせて、魅惑のおっぱいダンスを決める。
その際、手を頭の後ろに組んでいた。
これは男の人から見れば、その一瞬だけ無防備であり、そのおっぱいを晒す性行為への、蠱惑的な甘い蜜の罠(ハニートラップ)だ。
そして、日本語読みではウルトラであるが。アメリカなどの英語圏ではアルトラと発音している。
これは文化的な差異である。
――とここでクリスティさんは、過去の栄光を振り返り、悲しい社会人生活を送ってきた事を零す。
「――昔は良かったんだけどね……。これも……」
ツン……ツン……ポニョン
とよく跳ねて、おっぱいに乳波が起る。
「Wカップ……ワールドカップが全盛期で、悲しい事に……社会人生活を送るうちに、周りからの妬み、嫉み、蔑みを受けて……。
さらに、手術中自身のコンプレックスも相まって、あげく度重なる心理的外傷ストレスが………………。
ううっ、何であたしだけ~~……。だから……、ズ~ン……としぼんだのよ……。
シクシク……シクシク……
………………。
ここまで育って、育乳生活して、WからUカップに大幅サイズダウン……お姉さん悲しくなっちゃう……OHUUU(オゥ――)」
「いや・それでもバカでかいからッッ!!!」
「何がストレスよ!!! 自業自得じゃないッッ!!!」
非難罵倒するアユミちゃんにクコンちゃん。
この人を護るなんて、あり得ないからッッ。
((ここまでバカでかい人に同情なんていらない(わ)!!!)
心の中でもハモる2人。
「でも……! この星にきて、重たい重力に負けて、お姉さんTまで縮んだかも……!
地球と比べて、ここ、圧し込まれている圧迫感もあるし……。
そのせいでおっぱいを支えるクーパー靱帯まで痛いし、これは炎症してるわね……。
……何が悲しぅて、こんな事に……。
シクシク……シクシク……。
……。
だからこの子達を護るためにも、包帯でぐるぐる巻きにして! 窮屈で……ギュウギュウで……お姉さん悲し――ッッ!!!」
「「………………」」
おっぱい問題で悲しむ超乳の大人のお姉さん。
この発言を聞いていた少女達2人は。
「マズイわ!!! スバル君好きだからッ!!!」
「いーい!!? あの子は私達の望みだから!!! スバル君に言い寄っちゃダメよ!!!」
ここぞとばかりに、少女達2人は、クリスティさんに注意して、前もって釘をさしておくのだった。
だが、この時クリスティさんは。
「いいけど……。あの子、チラチラ見てたわよあの時……。――あの手もニギニギしていたし……やってみたいんじゃないのかしら? う~ん……」
あの時の情景を振り返ってみるクリスティ(お姉さん)。
スバルは、それが好きであり、いつかはなってしまうやもしれない。
乙女的に、細い指を顎に当てて考えちゃうクリスティさん。
それはとても、魅力な的な仕草に見えて。
これを見て聞いていたアユミちゃんは。
「あうっ……」
とまいちゃう……。
ど、どうしよう……。あたしだってわかる。普段から付き合っているからだ。あの子の事は誰よりもわかるし、あたしは知っている。あの子が落ちるのも、時間の問題だった……。
(マズイ! なんとかしなきゃ!)
「どうしようクコンちゃん~~!?」
「大丈夫よ、あたしも好きだから!」
あたしは友人に助けを求めたら、
クコンちゃんはグーサインを出してきたのだった。
これにはあたし心の中で。
(あれ~~何で~~ッ!?)
(スバル君はあなたとやりたいのよ! むしろやっちゃいなさい! ……でも、あたしは友人だから、助言を出すだけで、影から見守るから!)
「どっちの~!?」
悲鳴を上げるアユミちゃん。もう訳がわかんないよ~ォ。
「フフ、ライバルね!」
「あら~いい度胸ね。おばさん! ……おっぱいだけで若さに勝てるのかしら!?」
「フフ」
「フフ」
謎のライバル宣言を交わし合う2人。
その隣で被害を受けるのは、スバル君の長馴染みであるあたしだ。
(……まさかのライバルが増えちゃったよぉ~~ォ!?)
もう訳がわかんない~。
アユミちゃんの葛藤は増えるばかりであった。
「おっぱいね」
「若さよ」
「どっち~!?」
謎の口論は続く――
☆彡
【ファミリア星立総合運動公園陸上競技場 会議室】
会議室にて、俺達、僕達、私達、わらわ達は円卓を囲んでいた。
今、この場にいるのは、
スバルを初め、
アンドロメダ王女、デネボラ、L、レグルス
星王アンドロメダ様、
護衛の3英傑の3柱である、水のネロ、その適合者アイ、雷のヴロンティ、その適合者ガノス、炎のフローガ、その適合者ティフ。
ブリリアントダイヤモンド女王様、
その護衛の2人
星王ガニュメデス様、
その護衛の2人、
ここに加わり、ヒースさんとシャルロットさん、合わせて20人。
さらに、この場所を納める、最高責任者とその部下の2人がいて、合計23人である。
――今、一同は、大事な会議をしていた。
シャルロットさんが、いよいよ大詰めの内定話を行う。
「――では、アンドロメダ星には2000人、アクアリウス星は1500人、ソーテリア星は1000人、合わせて地球人の難民4500人を受け入れる事に同意しますね!?」
「「「異議なし」」」
【――星王クラス3名により、議決された】
【これにより、地球人類難民4500人越えの移住先が、仮決定されたのだ】
【それを見届けたのが、ここにいる人達全員であり、生き証人であった】
「結構割れたね……」
「ええ……。当初は2500人の半分だから、1200、1300で別れると思ったけど、ここまで収容するなんて、思わなかったわ」
「それだけ、ソーテリア星の重力は重く、食糧関係などの面で厳しいということだ……!」
「「……」」
L、シャルロット、ヒースの順に述べた。
この時、Lとシャルロットの2人は、ヒースさんの発言に頷き得る。
次の語り部はレグルス隊長。
「問題は、重力の低いスポットにどう当てるかだ!! こことソーテリア星の軌道上は、重力が引き合って幾分かマシだろう。そこさえ抑えることができればあるいは……」
「ですが! レグルス隊長! そこは既に人が住んでる地域ですからね! なにかと難癖つけられますよ!!」
「う~ん……」
「そこはほら。うちの王様が激を飛ばしてくれるよ!」
レグルス隊長、デネボラ、レグルス隊長、Lと述べた。
どちらにしろ上手くいくかどうかは、今後次第だ。
次に口を開いたのは、ヒースさんだ。
「後は、どう民衆を振り分けるかか……」
「世界保健機関(WHO)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、3等分にすることは決定事項として。他には……?」
「医療も3等分すべきじゃろう」
「やっぱり、難民に寄り添えるお医者様も必要だよね……」
「地球人の事は、地球人が一番よく知ってるし、精神的にもいいからね」
ヒース、シャルロット、アンドロメダ王女様、スバル、Lと述べあう。
次に口を開いたのは、物騒な意見を問題児のレグルス隊長だ。
「……問題は武力と正義感だ! 軍人どもと国際警察をどう振り分けるか……だ!!」
「「「「「う~ん……」」」」」
レグルス隊長の発言に、一同これには考えさせられる。
争いの種となるか、抑止力となるか……。
次に口を開いたのは、Lだった。
「実際、結構考えものだよね……? 新たな争いの種にもなるし……。強大な抑止力にもなるもん! 相当力の強い人が、取り締まっていかないと……!」
「となると、1人じゃ無理だと思う!」
「……なんで?」
「僕が国家権力を例え有していても、下の者達を抑えつけるほどの力はないから……!」
「そうねよねぇ……三すくみの関係で、3人は最低でも必要よね……!」
「3人か……フムゥ……」
Lの発言を皮切りに、スバル、L、スバル、デネボラ、アンドロメダ王女様とお答えする。
重大な話の内容だ。
今後のこの先を見据えて――
「――やっぱり、リンシェンさんしかいないと思うわ」
「!」
「リンシェンさんって?」
「ええ、リンシェンさん。その人は国際警察の人で、世界中を飛び回った経歴を持つ、確かな実績があるのよ!
あたし達、プロトニアから見た評価も高い……!」
「へぇ~……」
シャルロットさんがリンシェンさんの話を持ち出して、これにはスバル(僕)も納得の理解を得られるのだった。
「となると後2人か……」
それはアンドロメダ王女様の呟きだった。
そこでレグルス隊長が。
「なら、ある紛争地域で略奪戦争をしていた軍人たちの代表を立てるのはどうでしょう? ……王女」
「……」
「実力も申し分なし! 言う事を聞かないやつには上からの圧力です!」
「………………」
(((((じゃあお前を抑えつけるのは、誰の役割だよ……)))))
レグルス隊長、アンドロメダ王女様と述べあい、そこで一同が心の声を零すのだった……。
「………………」
これにはアンドロメダ王女様も、白々しい視線を向けていたのであった。
とここでスバルが、何事かを考えている途中で、何かを思い出したように。
「………………。! あっ! そう言えば……!」
「?」
「何かね? スバル君」
スバル、周りにいた人達、星王ガニュメデス様と反応して、スバル君のご意見を促す。
「はい! 前にみんなからですけど……WSL(ワールドシステムロード)社の久保星斗さんを始め、名のある有力な人達をアンドロメダ星に残してはどうでしょうか!?」
「?」
「スバル君、その意図は?」
スバル、ガニュメデス、ヒースさんと述べあう。
それに答えのは、もちろん僕だ。
「はい! 僕とアユミが見て回って、話し合いたいと思いました! 地球復興後には必ず役立つはずです!」
「なるほど! つまり! その人達を主力メンバーにつけたいんだね!?」
「はい!」
「いいんじゃないかしら? うん……スバル君は、将来的に各宇宙を開拓者(プロトニア)で活動して回るし、その間を、アユミちゃん達に任せてもいいわね!」
「そうじゃな! ならその間は、地球人共の管理は、アユミに一任しよう!」
「管理……!?」
「それが女王の器というものじゃ!」
「……なるほど」
スバル、ヒース、スバル、シャルロット、アンドロメダ王女、スバル、アンドロメダ王女、スバルと言いあうのだった。
スバルが開拓者(プロトニア)になって活動しだしたら、その間は、アユミちゃんに全権を預からせる。
委ねるのではなく、預かせるだ。
あくまでスバルが絶大な権力を有している事には変わりない。
それが役割だ。
「という事は、クリスティさんの生家の人達を始め」
「リンシェンさんも」
「そして、ワールドシステムロード総帥も、アユミちゃんの元に下るという事で」
「「「異議なし」」」
L、シャルロット、ヒース、星王3名が述べた。
これには星王も女王様も頷きあい、アンドロメダ王女様も小さく頷き得る。
「――決定じゃな!」
「アユミちゃんをここに呼んで」
「はい!」
アンドロメダ王女、デネボラさん、シャルロットさんと述べあい。
アユミちゃん達相手に見える聞こえる、シャルロットさんが迎えに行くのだった――
☆彡
――だが……。
あたしことアユミは、シャルロットさんに連れられて、その会議室に入る前から、膨大な発汗現象と心臓の鼓動やらを起こして、気分がメチャ悪かったの……。
そして、シャルロットさんが、その会議室の自動ドアの前に立ち、自動扉が開いた瞬間――
――ドドドドド
バタリ……
訳がわからずに、もう速攻で、繋ぎ止めていた意識を手放して、あたしはその場で倒れ伏したの……。
なに、何があったの……ガクッ……。
「あ……」
覚えるがあるスバル(僕)は、その状況と原因を察する。
「……」
「……何だガキ?」
「……」
僕はなんとなしに、星王アンドロメダ様に振り向いたが、もう何も言えない……。ホントにこの人は……ッ。
「……アンドロメダ王、その圧を押さえてください」
「これは呼吸と一緒だ、その娘子が弱過ぎるのじゃ」
「地球人の女子はほんに面白いのぅ。ホホホ」
星王ガニュメデス、星王アンドロメダ、ブリリアントダイヤ女王様と口々に言いあった。
その横で、一番近くにいて、この子を連れてきたシャルロットさんが「しっかり~!」とアユミちゃんを介抱するのだった。
グッタリ……
とアユミちゃんは意識を失っていた……。
その間、あたしは「しっかり~!」と声をかけ続けたの。
そもそも、この状況が悪い……。
「どれ? そろそろこの儂が、地球人の難民達の前に出てやろう」
これには一同「えっ……!?」と。
ホントに、この人に人選を任せてもいいのだろうか……いささか不安だ……不安しかない……ッッ。
☆彡
………………。
――ドドドドド
「!?」
当然、訳がわからずに、その場でバタバタと崩れるように倒れ出していく人々。
その怪奇現象は、停める事も出来ず、続発していく。
これは、もうどうする事もできないッッ。
それは、原因を知らなければ、謎の怪奇現象だったからだ……ッ。
「………………」
スバル達は、その有様の現状を認める。
それはまさしく死屍累々。
この時、王は自覚していた。間違った意味で……。
「儂の演説を聞けるものは、この場におらんのか……」
シ~~ン……
難民組全滅……。
ヒュ~~
と乾いた空気が流れた後……。
その横からアイちゃんが出てきて、王様の服を引っ張った。
「んっ?」
王は身を屈め。
アイちゃんの話に耳を傾ける。
「……」
「……」
その声はとても小さく、私達には聞こえない。そもそも話しているのかすら……私達には疑問すら覚えるほどだ。
「――なるほど、代理人を立てるか。……これからはそうしよう」
アイちゃんは、うんうんと頷いた。
その間、僕達は何も言えなくなっていた……。
☆彡
他所。
クコンちゃんとクリスティさんの両名も倒れ伏していた……。
その原因は、最早語るまでもない……。
そして、この場に足を運んだのは――
「――燃やすぞ……」
レグルス隊長であり、その2人を偶然にも発見したのだった
TO BE CONTINUD……