バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

第3章の第91話 どうしようもない問題18



守護霊の彼女は、その心の内で、心の声を投げかける。
(――さあ、どう出る? お兄ちゃん?)
(……)
それに対して、ヨーシキワーカの答えは――
(……書こう、ありのままの事実を、できるだけそのままに……。
それに気づかせるために……。
きっと、呼子に呼び出された、かけ子みたいなものなんだ……問題で済ませるために……。
身内のそうした犯罪話は、いつしかそうして、自分たちの喉元にも跳ね返ってくるものなんだ!?
あの(娘)はそれに気づいていない。
いや、勘づいていたとしても、恐らく恐くて言い出せないんだ……。お金も受け取ってしまっていて……)
(……口止め料か……)
(うん……で、いいように利用されてるんだ。
……で、話の流れで、用がなくなったら、あの子も俺を裏切るようになる……。
いや、そう仕向けられてるようにできてる。
……あれを失ってしまったら、俺の手元には何も残らない……。証拠が何も残らない……。
あの子も、何だかそうしたわだかまりができる。
これは、向こうが勝つようにできてるシナリオだからだ。……これはそうした犯罪なんだ)

『――やっぱかぁ……? だと思ったんだよこっちも……?』
『……で?』
俺はそう言われて、視線をあんたなんかに戻したんだぜ。
『――ああ、その後、その着てくれた娘(こ)は何も知らされず、
いそいそと脱げ始めて行ったんだよ』
『え……』
『自分のそうした『容姿』と『肢体(からだ)』には、そうした美の美しさをつぎ込んでる娘(こ)だからな……。
そこだけは、絶対に1番の自信を持っていて、譲らない娘(こ)みたいだからよぉ……。
あっちの親父さんも前にこう言っていてよ。うちは恥ずかしい娘を持ったもんだと、愚痴を零していたみたいなんだ。
前にも一度、そーゆう事があって、
あれ以降から、よく、裸に近い下着姿のまま、よくお家の中を渡り歩いたもんだなぁってな!?』
『恥ずかしいって……それ自分の家だからじゃないの? どこもそうよ。あたしにだってね……』
『そうは思わないのが、気難しい、父親も性(さが)もいたって話さ』
『……で』
『あぁ、その話に戻るとな。
そのまま、ベッドに寝込んだまま、上から下に、次々と脱ぎ始めて行って……。
あれよあれよという間に、
あーした現場に固まっていた、俺たちの視線を、釘付けにして、ねめつけるように締め付けちまいやがってよぉ!?
あーなんかもったいねぇ事したなぁ……って、その声を上げるような奴も、あの中には、少なくとも2、3人はいて。
あの子を置いたまま、出払って、歩いていた仲で、知らないが……廊下にいたもんだぜー?
あの中には、あの娘(こ)の身体を、あの子に紹介した後でいいから――』
『……』
ここから、電気工事会社と思しき人(彼等)の私情に、もつれ込んだんだものだわ。
『――俺達にもそうしたチャンスの話があってもいいように、あの小説の中にあっただろ?
あのクリスティの姉ちゃんが、ホテルの話を持ち出す話があっただろ!? 少年によぉ。
で、何かのそうした怪しい連中繋がりがいて、テレビ出演やらアイドル歌手デビューしたいってんなら、
こっちのそうした意見を聞いて、生まれたままのその気肌を脱いで、晒して、
なんかいい感じの話で持っていて、そーゆう許しの話を向こうに入れて。
その後で、1回でもいいから、
あの娘の肢体をしこたまやって、犯して、その下の口に舌なめずりしたいほどの思いで、あれを植えつけて。
その衝動を抑えている奴も、あの中にはいたぐらいなもんだぜぇ!?
で、よぉ、その手にかけた最後の1枚の下着も、脱ぎ始めていって……』
『……まさか……!?』
と驚くヨシュディアエさんの、その声が聴こえたんだ。向こうから。
『まぁ……!?』
『……』
ヨーシキワーカ(俺)の対面の相手、ファウンフォレストさんも、驚愕の思いで、その横で驚いていたんだ。
ホテルでやる気かよ、お前等……。
その淑女は、1回限りの処女膜を失って、喚き散らすんだぞ。
そうなったらもう、ホントに取り返しがつかない……ッッ。
誰とも知れない奴等と、多人数乱交プレイ、酒池肉林することになるんだから、生まれてくる子が、いったい誰の子なのかわからないんだぞ。
そうした責任話、お前等、持てないだろうが……ッッ。
妻子だって、いるんだろうからな……ッ。
その淑女に、女性用避妊薬(あれ)を飲ましてもらって、降ろしてもらう訳にもいかないんだぞ。
金で済む話じゃない……ッ。×一(ばついち)が付くんだぞッ。
そのまま、AVやセクシービデオデビューって訳にもいかない。
その娘(こ)の親が、絶対に許さないんだからな。
こんな事が、世間一般にバレてしまえば、お前等、終わりだからな。
『……』
『……』
だろ? ファウンフォレストさん?

『――あぁ、ようやくそこで、静止のストップがかかったんだよ……!』
『……』
ホッ
とする、ファウンフォレストさんが、そこにいたんだった。
隣の男の説明は、こうも続いていた。
『チィッってあそこで舌打ちの声が聴こえたぐらいなんだぞ!?
現場は、もう、それは騒然だったんだぞ!?
顔真っ赤になったあの娘(こ)は叫び散らしまわって、こっちに恐いぐらいな顔をして、食って掛かってきたぐらいなんだからな!?
どうして『あそこから(?)』出てこないのよ――ってね!?
あんなの産まれて初めてだったんだからな……。
親意外に、自分のそうした産まれながらの肢体(からだ)を晒しちまったのは……!?
お金の方も1万円ほどみんなもらってちまって、妙に納得しちまってるし……。
まぁ、ギリギリのところで、なんとかなったんだけども……!?
あのまま、こっちからそうした声を何もかけないでいたら……、……いったいどうなっていた事やら……?』
『あっちでそんな、とんでもないぐらいな事になっておったと……!? こっちの方でもそんなどうにもないらないぐらいの被害が……!?』
『あぁ、その後、さすがに着てくれたあの子も、そうした陰りのある裏手に逃げ込んでいって。
こっちでも、もうどうしていいのやら……!?』

(あっこれ少女……もらったお金、数えてるわ……。いい、アルバイトなのよね……。
それに、下着姿で、きっと終わってるだろうし……。未遂もいいところかな……?)

これには、ファウンフォレストさんも。
『まぁ!?』
『……』
(アホだよねぇ……お兄ちゃん……。そんなのは好きなもん同士、くっ付いた方が、一番なのにさ。ねっ!?)
(まぁ、その通りだな)
(フフフ、わかってるじゃないの、じゃあ、ちょっと今日も……)
ピー―ッ
と雑音が入るのだった……

『まぁ、その後で、こっちの方でも、いろいろと話し合って、今日の夕方ぐらいか夜にまた、
あっちで、またそうやって繋げてやろうと考えているんだ
あの子も、このままじゃ、オメオメと何もできずに引き下がれないだろうし……。
自分から、『また(?)』、負けた事を認めてしまうような感じだからな!?』
『ちょっと待って!?』
『んっ!?』
『あの子今、こっちの方にそうした聞き耳を立ててる?』
『……』
それはファウンフォレストさんだった。
その顔を、小さく動かすのだった。それは、顎のそうした動きの変化でわかるぐらいだった。
『ホッ……どうやら大丈夫みたいね?
あっちでそうした動きがある事を知っていて、何か準備をあっちの方で進めていたら……。……どんな事になるのかわからないものね?』
『そんなもんかなぁ……?』

(これは無視ね)
(あぁ……)
結果的に、そうした不慮の事故は、未然に防がられたのだった……。

――ヨシュディアエさんはこう語る。
『――万に1つもあるから、そうした警戒の注意を怠ってはいけないものよ?
特に、あの子はまだそうした動きに鈍感で、まぁ大丈夫でも、
あっちにはあのお父さんがいて、何の動きを横から囲い込んでくるのかわからないけんね?』
『……わかった。なら、状況はまだやりようがある』
『それって?』
いったい、どんな手が……ッ。
電気工事会社と思しき人(あなた)は、こう言うの。
『あぁ、さすがにあの親父さんでも、夜遅くまで起きていられないだろ?
あーして歳だけ遅めに取ったと良く見られる年代の人だし……周りの奴が言ってた。
だいたいどんな家庭でも、そうなんだが、どんなに遅くても、深夜1時には寝静まっているもんだろ? 大概がそうだ。
それを横のあいつが、深夜夜遅くの2時まで起きているんだとか……。
たまに小言を言われるんだよ、こっちはそうしたもの何も聞きたいものでもないってーのによ。
で、電気の無駄遣いだって……。あそこから、そうしてきた事があるぐらいだからな?』
『へぇ~……そこをえねぇ……』
『あぁ、そこを、『警察官』を『装って』、『合法的にまかりとおる』ように『押しかける』んだ。
あっちが、こっちのほうに、そうした名目のハッキングを仕掛けてきたってもんで、じゃあ、逆にこっちはそうしたやられた被害者ってもんで、
こっちからあっちの方に、届け出をして、
その時を状況を、モニターなどに納めて、その証拠の品を取って、
逆にこっちが、あっちの方から、盗聴傍受のハッキングを受けてましたっていう、名目上の、取り締まり法を装ってな……ッ』
『さすがだわ』
ニッ
と不敵な笑みを浮かべる頷き得る電気工事会社と思しき人。
『……これならさすがのあの恐い親父さんでも、いきなりの事だろうからなぁ……?
もう何がなんだか訳がわかんなくて、何もできないだろうなぁ~……』
『クスッ』
『可哀想なもんだ、自分の子供の事なのに……とんでもない事をしでかしちまってなぁ……?』
『そこを見計らって? あなたが?』
『ああ、そこを上手くタイミングを見計らって、
落ち込んでいたあの子のそうした場に、上手い事警察官に扮装した俺達が職務質問をして攻め込むんだ。こう、雪崩れ込んでいってよぉ。
キツイだろうなぁ散々責め込られてて……。
その近くで見ていた、信じようとしていた我が子のそうした現場を見ていて、もの悲しそうに浮かべるその親の顔ときちまったらぁ……』
(わくわく)
『自分はまたそうして、悪い事はまだ何もやっていないってーのに、いきなり犯罪者なんだからなぁ……。
その心配そうに見つめてくる、ご両親の視線をまともに浴びる訳だ。
どんな気持ちなんだろうなぁ? そうなったらよぉ?
当然、見てもいられなくもなるよなぁ?
(はらはら)
『で、『寄る辺を頼るように、俺たちにそうしてお願いしてくるわけよ』もぉ、この子をこれ以上責め立てるのは、もう見ていられないから、
どうにかして助けてくださいよぉ、ねえ、やめてくださいってよぉ? ってな。
で、こっちにもそうした問題で、引けないところがあるからぁ
さあ、困ったもんだ!?
(はらはら)
責め立てらるは、自分のそうした子供の責任だわ。
押しかけていった俺達の仲間には、そうした『被害届と家宅捜査礼状』を必要だからと持ち込んできている。
完全に分は、流れはこっちの方にあるわなぁ?』
『完璧だわ』
『あぁ、俺もそう思う!
その横で、耐え切れなくなって、我慢の限界ができなくなったところを見掛からって……ッ。
後ろで控えていた仲間の内の誰か1人が、その後ろで待機していた俺等の仲間の誰かに合図を送り合うわけだなぁ。
おいっ、出番だぞってな?
そこへようやく、真打の彼女様のご登場という訳だ』
『女神様の降臨って訳ね』

その要点がわからない電気工事会社と思しき人(俺)は――
『――女神様……!?』
『あの子が前に、そう言っていた事があったのよ。で、どうなったの?』
『……あ、あぁ……で、
彼女がそうした現場に詰め寄って行って、
なんかいい感じの雰囲気になるように、話を取りまとめるように言って、聞かして、奇跡が起こるわけだ』
『……』
女神様の奇跡って訳ね。
これは、ポイントが高いわね。
『彼女がそうした場をなだめて、なんかいい感じの雰囲気を作り出す。
親もそうした現場を、直接あの場で見ていたんだから、その子のモチベーションが上がる。……上り加減だ』
『うんうん』
『そして、自分は、その事を予め知っていて、
夜の10時台まで、またそうしてあのサイトを見ていて、偶然にも、あの携帯画面を通して、あの娘(こ)の体を直接見ていたんだからな。
……あの娘の生の裸を――な。
さすがにあそこにいるあいつでも、こう身体(からだ)が熱く、ムラムラときて、
1度はやってみたいとばりに、そう、尋常に抑えきれるものでもないはずだ……。
そこを上手い事彼女の方が気づいやって、
その子の近くへ近づいっていって、そのお尻を向ける。
……あぁ、そうしたチャンスだと思うだろうな?』
『ええ』
お尻を触らせるわけね。
『で、彼女の方もそれを知ってるから、俺達の話を通して、そうしたお芝居を『取っちまう』訳だ。
自分からそのお尻を下げていって、ワザとそいつにお尻を触らせるような状況を作ってしまえばいい。
ちょうどそのスカートの中にある、お尻をさわるようにしてやれば……。
キャ――ッって、その可愛(きゃわ)いい悲鳴を上げてしまうだろうな?』
『ええ……』
『どんな親でも、そうした2人の状況に、つい目をやってしまうもんだろう。
何事だぁと思うだろうな、さすがによぉ。
まだこっちはそうして、無理もなからぬことなのによぉ、勝手に。
彼女がそうやって親身になって、お前を助けようとして、宥めてくれててたってのによ?
これにはアイツも何だか悪い気がして、困った状況になってしまうわけだ……』
『なるわね』
『あぁ、そこを彼女が上手く気を利かせて、
チラッと、スカートをまくり上げてしまえば、どうなる?
どうぞと言わんばかりに、近寄って行って、お尻ぐらい、いくらでも触ってもいいよ、とする甘~イ雰囲気を作り出す。
後は警察官に扮した俺たちも、これは野暮な事だと言わんばかりに、その親に説得を促すように、言い聞かせ。
2人で、なんかいい感じの状況を作り出して、
あの玄関口から、そうやって出ていくように、仕向ける。
その場には、2人の親がいて、そのタイミングを見計らっては、その(ホログラム映像出力装置付き)マウスを持ち出すか。
こっちで勝手にそれを開いて、完全に潰す。
それか、万が一のための保険として、あっちからそうしてきたように見せかけるためにも、こっちの方で用意したハッキングツールを予め仕掛ければ……』
『あっ!?』
『あの小説のアカウントごと、さすがにいらないとばかりに、こっちの方で消せちまうわけだ。合法的によぉ。
で、あの2人はそれを知らぬまま、後は夜の街を出歩き、『散策』することになる。
……どうだ!? このナイスなシチュエーション作り!?
どんな脚本家も、現実に起こり得た話だから、ビックリもんだろ!?』
ンファハハハハハ!!』
『!?』
『!』
『!』
その変な笑い声に、反応を示すヨシュディアエさんに。
横眼だけ向ける、ファウンフォレストさんに。
気づいていない体を装うヨーシキワーカがいたのだった……。
何だあれ?
どこかで、そんな声が聴こえた気がした。
その人が、周りから晒し者になる……これは気恥ずかしいィ……ッ。
さすがに、これにはヨシュディアエさんも。
『なに……その変な笑い声……? あなた今まで、そんな笑い方してなかったじゃないの?』
『うっ……いややっぱ……さすがにこれには俺も、ちょっとこっぱ恥ずかしいものだったんだがな……?』
『誰の入れ知恵よ? それ? あんた今まで、そんな笑い方してなかったじゃないのよぉ!? 何様……つもり?』
『いや……あーした場にいていてさ、どこかの誰かに聞いた話なんだけども……。
昔そういったゲームのキャラクターがいて、確かそいつがそんな笑い声をしてたらしーんだけども……。
いったい誰なんだか? なぁ知ってるか? あんた?』
『そんなのあたしが知るわけないでしょ!?』
そう、断として知らないを告げるヨシュディアエさん。
これには、電気工事会社と思しき人も。
『おかしいなぁ……イヤさ、あっちの方にそうした知り合い関係がいて、今ここでそんな騒ぎを起こせば、
あの人もさすがに、興味の関心の心が開いてくれて、
そこから顔を覗かせて、出してくれるんじゃねぇかと思って、ちょっとはこっちも期待していたんだが……』
『まるでバカを見ているようね……』
とここで、心が通じ合うヨシュディアエさんにファウンフォレストさん。
((バカじゃない……? いい歳こいてさ……)
『おかしいぃな……キャスティングは何も、ミスってはいないのに……?』

(あれそれってお兄ちゃん……あれじゃない……!? スバルちゃんが言ってた?)
(あぁ、確か……『幽魔の紳士』ゴースト・ジェントルマン(ファタスマ・キリエ)……だっけ!?)
『幽魔の紳士』ゴースト・ジェントルマン(ファタスマ・キリエ)。
どこかの星の異星人らしいが……。
いったい、どーゆうやつなんだろうか? だが……。
(……あれ? でもなーんか、頭の片隅に引っかかってるような……うう~ん!?)
一応、そーゆうゲームのキャラキターも、ここ200年間の間に、確かにいる。
その名を、ファントム・ブラックといい、
神出鬼没の怪人である。
それは、某製造企画会社カプコンと日本の代表的なグローバル企業の一社である任天堂が、協力制作販売し、この世に出した事があるゲームの話だ。
製造販売年は2007年11月22日。ニンテンドーDS専用ソフトだ。そのタイトル名は、流星のロックマン。
その続編の話で、2、3に登場している、個性的なキャラクターである。
ハイドという人物は、人間の姿で、地球由来の電波生命体ファントムと電波変換すると、ファントム・ブラックになるらしい。
人の時の出で立ちは、黒のシルクハットを被り、黒の紳士服スーツに身を包み、手にはステッキを携えている。
その笑い声は、特に特徴的で、ンフフフフと不気味に笑い。
何よりも、脚本を愛し、自分の思い描いたシナリオ道理に事が進まないと、ブチ切れて襲い掛かってくる。
神出鬼没の怪人と評されている。
そのンファハハハハハという独特な笑い声は、何か感極まった時に発せられる言葉だ。
……だが、この声の声優(キャスト)は全然似ていない……。

☆彡
過去から現在に返り、ミノルさんがこう質問を投げかけてきたわ。
それについて答えるのは、エメラルティさん。
「――その後、10代後半か、20代前半と思しき人は、どうなったんですか!?」
「あぁ、人の親としては、心配なんですね?」
「ええ……。私にも、娘がいた身なので……」
「……」
恵ご夫妻には、恵ケイという愛娘がいた。
だが、その少女は、災誕したてのレグドの炎上爪にあい、この世を他界することになる――
そして、その少女の遺灰は、ここにあり。
「……」
何も言わず、静かに頷き返すエメラルティ(あたし)。
「大丈夫ですよ」
「……」
まず、それだけを告げる。不安を与えないように。
そして、こう語り継ぐ。
「――ヨーシキワーカさんが残した小説の中に、気になる一文があってね。今、それを話すわ」
「……」
それは、ヨーシキワーカが、彼女に充てたものだった。
【――その名前も知らぬ年若い淑女へ、これを見ているなら、どうかその曇りなき眼によって、『事の真偽を証明』してほしい。
私からの頼まれ事は、大きく分けて3つ。
――1つは、その日からのノート(手記)またはホログラム映像出力装置付きマウスでメモ帳を取る事。
必ず、外付け記憶メモリー媒体は、2つ以上有している事。
また、これは、私にも言える事なのだが……。
人に上手くものを説明するのは、案外と難しく、その時の情景を上手く伝わり難いものなんだ……。
だから、私は以前から、複数回にわたり、職業安定所の女性職員の方へ、直接そのノートを見せた事がある。
もちろん、その抵抗もあったが……。
私を推しても、それだけの物事の整理がつかず、道理を、人に上手く説明できないというわけだ。
誠に恥ずかしい話だが……。
……。
……少し話が逸れたね……?
人にそのノート(手記)などを見せるまではいいが……。どこで何の動きがあり、その眼が光っているかはわからない……。
君の身が危うい……。
そのノート(手記)を、横から掠め取られる危険性だって多分にある、燃やさられる危険も……。
それは、犯人達側に取って、マズいものだからだ……。
だから、必ず、人様に預ける時は、リフィルを用い、コンビニなどでコピーを何枚も取っておく事。
これなら、相手の人も、相当嫌がるからね?
――2つ目は、その日からの内容を書き記す事。
これは、私の勝手な見立てで、自分の親を通じての『引き受け合いの話』『親からの頼まれ事』だったのだろう?
『父さんの親しい友人が何だか困った事になって、娘の君に手伝って欲しいとか?』
『学校か会社内でも、そうした話が上がっていた事だとは思う』
誠に信じられない話だが、心して聞いてほしい。
……。
その人の仕事仲間・親戚・知り合い関係などが通じて、特殊集団詐欺事件のそうした犯罪予備軍と密接に関わっている。
親や知人、そうした人達の怪しい言動を、目にした覚えがある事だと思う。
……何かが『おかしい』と感じたはずだ。
君は、そうした『怪しい現場』で『直接見ぃ』、その『犯行の手口』を『目撃』している。
数少ない証人だ。
それは、『ハッキング』という『高度な技術』で、『警察』やそうした『犯罪者組織』が、主に使っている手口なんだ。
多くは言わない。
私の見立て道理ならば、それは『電気通信系の資格保有者』だ。
……。
恐いだろうなぁ……。その気持ちわかるよ?
ただ、何も恐れる事はない。
どうか、恐がらずに聞いてほしい……。きっと、君の親もそれをわかってくれていて、君を守ってくれていると信じている。
実は口惜しい話、私もそう言った現場を目撃している。まぁ、どこかで似通った境遇という訳。
……心が楽になってきたかな?
……。
……よろしい。では次に進もう。
――3つ目は、些細な話で、誰でもできるごくごく簡単な話だ。
必ず君1人で動いてはいけないよ? どこで何があるのか? 待ち受けているのかわからないからね?
必ず君の親か、親しい友人を少なくとも2人以上は付けなさい。
それか学校の先生か、職場の親しき同僚たちに、『事の経緯』を話しなさい。
それで君の身を、最低限守れる。
次のステップに行こうか?
……。
……聡明だね。子供の君にできる事は、そう多くない……。
かく言う私も、親しき友人が得に少ないから、事の便りは何もできないだろう。
私からの返信が着た折には、それは『偽者』なんだと思って頂いても、構わない。
そんな怪しい連中の繋がりなんだから……。
君に取っては、一方通行な道になるだろう。
……恐い話だとは思う。
どこで何があり、眼を付けられているかはわからない。
……だが、君がその眼で直接見た現場は、そうした特殊集団詐欺事件の犯罪者予備軍のたまり場なんだ。
……。
それを、警察に届け出するかは、すべては君次第だ。
私に、それを咎める資格も何もない。
……。
このまま、先に進むのが、恐いと思ったら、思い切って、すぐにその道を引き返しなさい。
後は、大人の人がやってくれる。
もしくは、『何もしなくてもいい』……。『それでも充分助かる』。
人は必ず、道で繋がっているのだから……。
君じゃなくても、他の誰かが、警察官や、どうしようもない問題の引き金になっている職業安定所に顔を出し、話の便宜をしてくれる。
だから、親しき人を通して、複数人話した後は、君は、もう何もしなくてもいい。
第一は、君の身の安全だからね。
この話を信じるかどうかは、その現場にいた君次第。
……そのショートカットヘアは、君にとっても似合っていたよ――】


★彡
『――クソゥ……何だって、さすがに俺が、こんなににゃあ恥ずかしい想いをしないとならねぇんだ、あいつ等……?
まさかあいつ等? 予め、こうなる事がわかってて、ハメて……あぁもうッ。
何だってこんなにこっちが、あんなにバカみたいにやってんのに……ちっともそこ出てこねぇんだ? あり得ねぇぞもうッ』
『なんかこっちが、いいようにバカを見てるようねェ……?
……確か、前にあの子もこうやって、あたしの前に着てゲームの話をしてきた事があるけども……』
『!』
『その時は、まだあなたと違って、可愛いがあったものよ? その当時はね?
まだ、あそこであーやって、あんな書きものを残してなかったもの……意外よね?』
『あぁ、あんたのあの時の昔の話のやつか……? まぁ、そうだな……。
それは、ヨーシキワーカ(あいつ)が、ミシマの奴に関わってからの、そうなるように仕向けようとしていた、1年間近くだったんだろ?
その後、今隣にいる女性職員の女が、入れ替わりで入ってきた事になってる。
その1年間余りは、どこにも情報がほとんど残ってなくて、誰でも上手く説明できないものなんで、記す事すらも甚だ難しい。
俺たちもそうして、事の経緯(けいい)・経緯(いきさつ)のような感じの話になると、予めわかった上で踏んでて、
そうなるように仕向けてて、飛び回っていていたんだよなー? あっちこっち付近でよぉ……』
『!? ちょっとねェあなた、その件(くだり)って、あのこの小説の常套文句じゃないの?』
『……』
コクリ
と頷き得る電気工事会社と思しき人(俺)。
ものすげぇ長いと思う。よく言えたものだな。
『やっぱり……』
『で、その後、こっちでも色々とどうなってんのか? こっちでもまるでわかってねーみたいに……、無理な状況でよぉ……。
おかしな事態になるよう、変な話が、持ち上がってはできあがっていて……。
また、それを周りの奴等が面白がって、変にまた取り次いで周ってて、無理にこじつけやがって、
いったい何がどうなってのか……まるで把握できてねーような魔訶不可思議な状況でよぉ。
あいつの周りにそうした囲いを仕込んでいたんだが……。
どんな奴でも、そんな檻に閉じ込められたら、何とかして抜け出そうとして、もがき苦しんで、あがくもんだろー?』
『そうね……』
『なんで、あいつ……あんなにも平然としてられるんだぁ? ちっともあそこから動こうとする気配すらしねーし……。
おかしいぞ……まったく?
前の奴等は、どんな状況にも耐えきれなくなって、『勝手』に『発狂』しまくっていたって言うのによぉー……?
無様なもんにぃ……。
で、そうなればもう、案外『こっち側』の『勝ち』で、そこへ『話をブチィ持ち込んで』いって、あーした感じの内容になって、
何でどうしてそんな感じの内容に沿って行ったのか……。
俺たちの間でも、なーんにもわかんなくなっていっちまったってのによぉ……!?
どこの誰に尋ねてまわっても、それが上手く説明できないってやつの方が、多いぐらいだし……。
そうじゃなかったら、ちっともこっちもなーんも落ち着かねーし……あっちもこっちもなーんかあったみたいな感じでなかなか納得できねぇしで……。
そうした動向と経緯と経緯の内容を、どうにかして知ろうと思っても、やっぱり全然ダメダメで。
事の経緯の経緯の内容をあれを通して見たんだが……やっぱりあってやがったのか……それが?』
『みたいねどうも……話がやたらと長いわね……? 全然わかってないような感じじゃないのよ?』
『実際どこも、そうしたものなんだろ?』
『……』
肩をすくめる思いのヨシュディアエ(あたし)がいたの。
ええ、まぁ、実際そうしたもんねぇ……。

――心の内で、心の声を投げ交うは、守護霊の彼女とヨーシキワーカだった。
(――そう、それが現状なんだよね……。
輪をかけて、訳わかんなくなってるもんね……。
えーと例えるなら……。
イリヤマ、ライセン、ミシマ、ヨシュディアエ、お兄ちゃんに、弟君と輪のようになっていたんだけど……。
おかしな取次ぎになる以上、疎外感を与えて、のけ者にして、檻に閉じ込める。
ちょうど、お兄ちゃんだけが外された形で、
その後の輪が、イリヤマ、ライセン、ミシマ、ヨシュディアエ、弟君にお父さんにお母さん、他に会社繋がりや親しき友人繋がり、親族関係となっていくわけ。
だから、そうした状況の中、外れた輪の外で、お兄ちゃんの周りで、おかしな事が相次いでいたからね……?
だから助けを求めるように、ヨシュディアエの方に顔を出していって、
その際、おかしな感じを受け取る……。
不信感を覚えたんだよね?
後は、まぁエスカレートーしていったんだけども……結構、疲れるのよねあれ……?)
(まぁな。あいつ等も、自分たちのそうした連絡網繋がりでも、ほんの一部分しか把握していないだけ。
全体を、克明にわかる手段はないからな……)
(だよねぇ……。お兄ちゃんも、そうした当時の内容を、あのメモ帳になーんも記してないから、克明な事実を明かせないところもあるもんね。
無駄に時間だけがかかるし……)
(まぁな……)
(後はまぁ、ヨシュディアエさん、弟君、お父さん、お母さん、向こうの施設の先生や、ルプーラさん、ファウンフォレストさん辺りを頼って、
情報を渡していったもんね)
(ああ、後は、変に勘違いしたヨシュディアエさん辺りから、変な具合に話が飛び回り、事態の収拾が追いつかなくなっていく……。
実は、ミシマさん。
そして、職業訓練校時代の話を思い出して、そこに話を繋げていったんだ。
それが人の噂話の恐さ。
後は、完全にヒートアップし過ぎて、話がエスカレートしてしまい、今、話の筋がどうなってんのか!?
まるでそうした状況が掴めていない……)
(もの悲しいぐらいにね……)
(あぁ、人の取り次ぎの恐さってのは、相中に共犯者連中の類がいた場合、どうしても、時間を追うごとにエスカレートしがちになる。
それがお金の魔力だ)
(……うん……。最後は、もう自分達の手に負えなくなってしまうから、ドンドンと話が次々と進んでいってしまい、
最後には、自滅の道を辿ってしまう……。
相中に立たされた人は、たまったものじゃないよね……?)
(金を包んで、もらってしまった以上、それは契約の話だから、約束の不履行となってしまうな……)
それが、事の経緯の全体像だった。

『――それで、その相中の話で、
うちの方でもそうしたご近所付き合いの子供さんたちがいて、あの当時遊んだゲームのTV番組をこぞって見ていてんだけどよぉ。
その時に、そこにいる1人のガキに問い質して聞き込んでみたら、
確かにあいつの言うように、性別を決める画面で、女の子の名前を設定画面ができてたみたいだな?』
『ええ、そうだと聞いているわ……』

ナレーションの語り手は、ヨーシキワーカ。
【それはゲームの話だった】
【私は、小学生の時から色々なゲームを遊んでいて、やり込んでいる派だ。完全クリアとかコレクションとか突き詰めててそうだな】
【また、それに並行して、専門学生時代から、小説を書き始めていた事がある】
【その時に、色々な名前を作ったものだ】
【まぁ、おおよそ20ぐらいあって、その偽名を名乗っていたりもする】
【で、そのTVゲームで、性別を決める画面があり、私が、一番最初にしたのは、ハルカ、続いてヒカリ、ユキサクラとなっている】
【このユキサクラが特に重要キーワードで、初期型プロット小説の主人公の愛娘の名前だったりもする】
【私は、一時期TVゲームで、その主人公とその愛娘の偽名を名乗っていた事があるぐらいだ】
【そこを、当時、傷心の思いのアヤに接触し、偶然にも、目についたわけだ】
【そう、その名前の一部を抜粋したものが――】

『――確かぁあの子の名前は、『ユキ』ちゃん。
そして、今も連絡が途絶えた状態で、こっちもそうした足取りを追えてそうにない音信不通の相手さんのお名前は、『アヤ』さん。
どうやら、あっちの親父さんが言うには、『2人の人』がいて、『その子』を『匿って』いるみたいね?』
『今まで見つからないのは、そいつ等が原因なのか?』
『ええ』
『……どっちも男なのか?』
『さあそんな事は知らないわ……。こっちの方には、そうした連絡の話は、何も入ってこない状況なんだし……』
『そうか……妙な偶然か続くもんだな?』

ナレーションの語り手は、ヨーシキワーカ。
【――何も偶然という訳でもない】
【人の取り次ぎ回しの話である以上、そこに人が関わったり、その横で立ち聞きしていた人がいても、何らおかしくはないわけだ】
【アヤの詳細な情報は、私すら知らない……】
ナレーションの語り手は、エメラルティさん。
【――怒りと嘆きの仮面の人物の名前はアヤさんといって、その正体と素性は、まるで伺い知れないからね……】
【謎多き人物で、あのヨーシキワーカさんですら、その顔立ちしか知らず、名前までは知らないのよ……】
【しかも、すべての連絡手段を絶っている状況下だったらしくて、音信不通の相手ときているの】
とここでアヤネさんが。
【何だってそんな事に……!?】
【そうねぇ……フフフ】
【?】
【とある諸事情により、こんな面白い逸話話があるわぁ……】
【当時、警察に扮した人が、ヨーシキワーカさんに捜査の依頼を打診し、任意同行という形で連れて行った事があるの】
【そこでヨーシキワーカは、捜査の一環として、偽警察の人から、そのアヤという人物の顔生成のモデリングを頼まれたそうよ】
【だけど……気に入らないとばかりに、その後、顔生成モデリングで、アヤさんの顔立ちを】
【面白い顔にして、メチャクチャにしたッッッ、プッ……逸話があるぐらいだからね】
【……】
これにはアヤネさんも、言葉を失う思いだ。
続けて、サファイアリーさんが。
【偽警察の捜査が難航するわけよ!!】
【その顔立ち、声質、姿形、連絡の手段、そのすべてが謎に包まれている……アヤ】
【報奨金は、当時の1000万円(75757米ドル)からさらに上乗せして、その懸賞金額は2000万円(151515米ドル)とも3000万円(227273米ドル)とも言われてるわ】
【さらに、協力者2人もいて、それぞれの名前は、レプティリアンを分けたもので】
【男の方をレプティ、女の方をリアンとしているの】
【ヨーシキワーカさんとは、その後、何のやり取りをやっているのかわからない状態だから】
【完全に、偽警察としても、お手上げだったというわけよ――】


ヨシュディアエさんは、こう言葉を告げる。
『――……少なくとも、この片方の人は、あたし達が睨んでいる限り、
そうしたあたし達の情報伝いの相中にいる人で、ここにある女の人の情報網と書かれてるんだから、1人はそうした女の人と見ていいわね?
いったいどこで、そうした情報の受け渡しをしていたんだかまでは、わかんないんだけどね……?』
『……やっぱりいたのか……そいつ等が……?
道理で今まであんなになって、こうまでしてみんなで血眼になって探していたとに、
そうした見当も何も掴ませてくれてない訳だ……頭いーなそいつ等……?
そうした足取りや、その尻尾を掴ませてくれない当りな?』
『ええ、不干渉ものよね……そうした謎の手口は……?』
その時だった。ヨシュディアエさんが、あれを思い出したのは。
あっ
『どした?』
『そう言えば、あなたのように、前に、あたしに話しかけてくれてた人がいて、その云った込み入った話なんだけども……』
『……』
『あっちの人からの話によれば、あの子ん家に、また行って、別の誰かさんが、あの子達がいないときに押し入った事があって。
丁度、あのお父さんにこっちからのそうした信頼の証を立てるために電話をした事があって。
その『車の隣』に『ヨーシキワーカ』君を載せて『出て行った』事があってね。
その時にその住宅に例のあの2人が、押し入った事があるのよ?』
『それはあのミシマか?』
『いいえ、ミシマさんじゃないわね……。例のあの2人って連絡がこっちに入ってきた事があるだけだから。1人は若いみたいよ』
『誰だ……あいつ等か……その例の2人ってのは?』
『その時に偶然、あの子のホログラム映像出力装置付きマウスの横に、怪しいタブの、こう幾つもの付いたものを、拾い取ったそうよ?
手に取って見たところ、何かの怪しい機械のようにも見えたらしくて……。
そうしたいくつかの差込口があって、カードを差せられる妙な黒いものを持ってたそうよ?』
『は? 初耳だぞそれ!? ってか盗みに入ったのか?』
『ミシマさん達はね……。
でも、その2人は違うわ。押し入ってはした事があるけど……それは捜査で必要だから、何か盗っていた様子はなさそうみたいよ?』
『同じ事だろ? 本物の警察じゃないんだから……。そうした捜査令状も何も発行してないんだし……』
『……それもそうね。まぁ、黙っておきましょ。あの2人には……。……どうせ、今の会話は聞き取りにくて、特に聞こえないんだしね』

とここで守護霊の彼女とヨーシキワーカが、その心の内で、心の声を交わし合う。
(やっぱり、住居不法侵入をしたわけね……。道理で、微妙にものが動いていた訳だ……。狙いは、記憶媒体メモリーかな?)
(もしくは、これはミシマさん達のやり口だが……)
(!?)
(一度、ホログラム映像出力装置付きマウスをバラして、そこに何らかの仕掛けを施して、
ハッキング行為をあちらから仕掛けやすいように、そっちで『設定の同期』を仕込んでいたりもするのかな?)
(ああ、弟君のマウスか。プレゼントされたマウスって訳ね。
内臓のフォームウェアを搭載したシリーズであれば、そうしたやり取りは、至極簡単だからね)

――その記憶媒体という単語を思い出した電気工事会社と思しき人(俺)は。
『――……あっそうか……!?』
『!』
『その小型のメモリーチップってのがあるぐらいなら、ちょっとやそっとじゃそうした場の目の奴等に留まり難い……ッ』
『小型のメモリーチップ?』
『考えてたなあいつ等……?』
『それって?』
『あぁ、この業界には、それを扱っている奴等も、たまにだが……いるッ。
そういったものがないと、読み込めない機材かなんかも、中あるぐらいだからな……?
……その中には、まだ現場で『開発途中段階のもの』があって、まだそうして『世の中に出されていないもの』を、
『隠れ忍んで』、『俺たち仲間のものに回して』くれたりもする奴等も、中にはいて』
『……』
『安易にバレないようにして、まだ『製作段階のもの』を、『隠れて使っていたりもする連中』なんかもいるぐらいだしな……『いい金連れ』だ。
あの中には、『極秘中の極秘のもの』も、『中にはある』ぐらいだからよぉ?
そうした『電子部品』や『産業』を支えてるから、『優しくて』。
取り扱っているような会社も中にはあって、そうした会社の現場の中に入って行っては、
中で働いている連中に、『逆に』しごかられているぐらいだ。
俺等もしょっちゅう前に、叩き込まれていたぐらいだ』
『……だから、そこでそんなに覚えていた訳ね?』
『まぁな……』
俺は当時の話を振り返るのだった。
その心の内では――
(――こんなのバレたら、完全に『盗品』ものだッ。
しかもまだ製作段階で、まだ世の中には出ていない『闇の物品のもの』も中にはあるぐらいだ。
そうした『機能を外した』ものが、実は『表の世界』に出回っている訳だ……)

『……』
『あっそうそう、そのカードなんだが、こう『カードの中に小さな差込口』があるものなんだよな?』
『ええ……』
『やっぱか……多分そのチップみたいなものは、『マイクロSDカード』規格みたいなものだ』
『マイクロSDカード? SDカードなら、少し前に流行ったわね……そんな小さなものが……必要なの?』
『あぁ、多分、あいつ等、それで、場所の受け渡し場所を指定していて、やり取りをしてたんだろうな?
パッと目じゃ虫みたいに小さなもので、ほとんどの奴等に気づかれ難い……。
……だが、そんな特殊な機械、日常家庭で必要なもんか? 俺等だって、そうそう、お目にかかれるものでもないんだが……?』
『そう言えば、後になって、あの2人の連絡伝いの人達も気になって、調べてみたら、この周辺一辺じゃ何1つ販売されてなさそうね……』
『……』
その黒くて、怪しい機材がか……。

守護霊の彼女と、ヨーシキワーカが、その心の内で、心の声を交わし合う。
(フゥ……もういい加減して、諦めちゃえばいいのにね?)
(まったくだ……どこの国、どこの会社にしてもそうだが……社外部品を持ち出すのは、とんでもない事なんだぞ!?
先に、向こうがそれを発見して、その内部構造を見て、
自社製品と比較して、何かそうした取り入れるものがあれば、取り入れて、
先に特許申請をしてしまえば、目も当てられないような惨状になるのを、知らんのか!?)
(だから、お兄ちゃんはそれを壊して、燃やしちゃったもんね)
(あぁ、そんな証拠は、もう何も残っていない。……取り調べても、何も出てこないぞ!)


☆彡
【ヨーシキワーカの小学生時代から、問題に見せかけた詐欺事件が起こっていた】
【その名を、犯人当てゲームという】
過去から現在に返り、エメラルティさんは、こう話す。
「――そのヨーシキワーカさんの話に付随して、こんな昔話があってね。
小学生時代の何気ない授業風景の時なんだけども……、
その学校の先生が、クラスのみんなに、こう言った事があったそうよ――」
『――誰だ? うちのクラスの中で、こんなに裏で騒ぎの問題を持ち込んでいた奴は……!?』
『?』
『……まぁ、言っても何もわからないか……。子でも、親のそうした怪しい動きまでは、なーんもわかんない時はあるからな!?
先生が聞いた話じゃ、『電気分野に詳しい人』や、『軍事分野に長けた人』が、『電気無線情報』を持っていて、
そうした『機材』を、バレないように、『家の中に持ち込んでいる人もいる』って……!」
『……』
『誰なんだーいったい!? このクラスの中にそうした人がいるかもしれない奴って……!?
今もそいつは、会社の方から休みをもらって、今もこうして家にいながら、『網を張ってる』奴って!?
どこかでそうやって、家から、また隣の家へ電話を飛ばして、今もまた、横で飛ばしていた電話回線を、『無線傍受』してて、
ニヤリとほくそ笑んでいる奴は!? それをキャッチして、誰かそうした知り合いの人に回してたそうだな!? ……誰なんだそいつは!?」
『……?』
『まぁ、さすがに言っても出てこないか……こりゃ、うちの方で、そうした探りを入れてみる必要がありそうだな……』
『……?』
――で、また、何気ない従業風景が溶け込み、その先生が、窓に立った時だった。
『ハァ……さっき言った事だが……』
『?』
『親切にも、『先生達の方』に、『他所のクラス』やら『隣の校舎』の『誰かさん』から、教えてもらった事なんだ。
そうした特殊な機材の『入手経路』は、予めこっちの方でも掴めているんだぞ!? もう!』
『……』
『あの『山の上の方の工場』から、『持ち出されたもの』らしいな!? それも『特別製に取り降ろされたもの』……!
どういったものかは、こっちの方でもわからないが……どうせロクでもないものだ……。
そんな奴等の気は知れん……。
先生のクラスからは、そんな恥ずかしい奴は、この世の中には、出したくても出したくはない……!
そんな奴が見つかったら、先生の方から、取り次いで周って、警察に報せてやるからな!?
もうホントに、泣きついてきたって、先生達の方でも、どうにもならないからな……!?』
『……』
――そして、その従業風景の終わり際の出来事。
その先生に話しかけてきたのは、女子小学生の1人だった。
『――あの先生! あの話はどういった事なんですか!? ……ちょっとこっちの方でも気になってて、勉強に身が入らなくて……』
『……』
『……』
その女子小学生は、先生にそう問いかけはしたものの、しどろもどろで、良く隣の女の子と目配りしていた。
何なんだろうと思うヨーシキワーカ(俺)。
『……』
先生はこう語る。
『――ただの共食いだ』
『共食い……ですか?』
『あぁ、これは、先生達の方でも良くわからない話だが、試験的にそう言った事を、今試している『機関』があってな……』
『機関……?』
期間ではなく機関。だが、それは謎に包まられてる……。
『……』
コクリ
と頷き得る先生。
『うん……それが何なのかはわからない……。だが、ロクでもないものだ。いつ、誰の身でも、そうした事が起こる。それも突然、『前触れもなく』な……』
『……』
『恐い話だが……そうした『事件性を伺わせる』もののなかに、『真犯人』は、『居ない』か『見当たらない』ってゆーのにな』
『いない!?』
『あぁ……。それが何かはわからん……。そーゆう『仕掛け』か何か……? 『時限式』のものを『予め仕掛け』らていて……?
そこを上手く、話しを持ってきてたりするんだ!』
『……』
『それも、『話の合間』にな……。……さっき、先生が共食いの話をしただろ?』
『……』
コクリ
と頷き得る女子小学生。
『その2人は、何もこっちの方で悪い事はやっていない……。こっち方でそうして取り調べた限りではな』
『え、い……いない!?』
『あぁ……簡単な話だ。先生も横から聞いた話だが……。
その会社の上司か先輩から仕掛けたもので、そう言った悪ふざけを、こっちの奴等はクリアできずにいて、
こっちがやりましたとしてるんだ。それも周りからな……!? ……そしたらどうなる!?』
『あっ……よく、あってますね……。それもお昼休み中によく……』
チラッ
とその視線が、ヨーシキワーカ(俺)の方を見るのだった。
俺に注目を集めるなよ、お前等ッッ。
『ハァ……どこもそうしたもんだ。会社も、この小学校もな……』
『……』
『だから、何も関わらないようにして、放っとけ』
『放っとくんですか!?』
『あぁ、そうしたほとぼりが冷めるまで待てば……、あっちのそうした無理がたたってくる』
『……そうしたものなんですか?』
『……』
これには、言葉に詰まる先生がいたのだった……。
何かそうした視線を浴び、痛(いた)まれなさを感じる。
たまらず先生は、その立っていた姿勢から段々と落ち込みようになっていて。
『……?』
この勝負、少女の勝ちである。
だが、この世の中、そうそう上手くはいかないものだ。
それが権力であり、上からの圧力だ、横からの無理解の声だったりする。
弱いものは、例え知っていても、上の意見に中々逆らえないものだからだ。
それでも、先生は何とかして、このクラスにいたみんなに、こう諭すしかなかった
『……いやぁな、無理があるんだそもそも……それは先生だってな……!? 1人の人間だからな!?』
『……』
『あぁ、向こうの望んでる条件が、その共食い中の2人が上手く協力し合って、周りの仲間達と一致団結して、
こっちの方にそうした反旗を翻すことなんだ。
だが……そんな事、もうここまでやってしまった以上は、できやしない……んだ……ッ!』
『……』
『そんなんできる訳がないからな……! そも2人か、上司か先輩か、必ずどっちかが、この世界からのはみ出し者に陥るからな……!?』
『……』
『金だってもらってる大人の人達だって、中にはいる……! 汚い大人たちだ……それはお前達から見て……な』
『……』
『そーゆう人達は決まって、そのお金を包んでくれた人の意見に沿うものなんだ! 多数決だからな……この世の中……』
『……』
『そして……その責任や負い目を感じられずにはおれず、失ったものが多く、長年住み慣れたその土地や家を手放した人もいたり、
この学校から転向していった子も、向こうの方で何かがあっていたらしいんだ……。
あっちでも、そうした問題事が度々続いていて、もう何がなんなのか……!?
こっちの方でも、何があっていたのかいまいち把握しきれていない事が多々(まま)ある……。
みんなが知ってる人の中で、1人、その所在はもう知れない……』
『……』

ナレーションの語り手は、サファイアリーさん。
【――こうした話しわね。授業終了後、ドアを開けた先で、隣のクラスの人と女子生徒同士が、話していた現場を、
ヨーシキワーカさんが目撃しているわ。
どこのクラスでも、同様にあっていて、先生方も、しらみつぶしに探っていたようね……。
次いで、エメラルティさん。
【……そしてね……】
【……】
【ヨーシキワーカさんが小学生の上級生時代の時に、実に1年間に3人もの方が、亡くなってたそうよ……】
【それが自然か事故死か追い詰められてのものかどうかは、わからないけどね……】
【そして、別の日に、こうも言っていたの……】
【兄弟・姉妹の幼い子が、その周りからのいじめにあって、死んだってね……】
【それは、小学校帰りの、弟君から持ち込まれた話にも、同様のケースが、あっていたらしいわ……】
【……】
【これはね、実際にあっていた、現実(リアルティ)のある話らしいわよォ~~――】


★彡
ヨシュディアエさんは、こう語る。
『――あぁ、そう言えば、あなたが来る前にこっちの方にそうして、着てくれた人達がいて、
その人が話をこっちの方に持ち込んでくれたんだけど……。
その話に付随して後、その2人があいつ家に押し入った時に、
チラッとあのカラーボックスの下に置いてあったものに偶然にも、目に留まったみたいなんだけど……。
どうにも、前にあの子が、あれに警察の話のFDAってのを書いていた事があってたらしくて、
その時にマンガが置かれていたらしくて、
後になってそれを調べてみたら、何かその先が面白い展開らしくて、、先行き楽しめそうな内容みたいだったそうよ?』
『へぇ~FDA……。後でその2人に聞いて、こっちでも調べてみるかしてみるか?
そこにあのアヤも絡んでくる話もあるのか?
そいつはなんかなぁー……ちょっとうん……』
ちょっと悔しい。あいつだけ、目立ってる……。
こっちにも、ちょっとさあ……ねぇ……。
『……その後、アヤの足取りは?』
『こっちはなーんも掴めてないわよ。
あの子の腕時計型携帯端末(フューチャーウォッチ)に、何か着てるかなーー? と思って『調べて』もらってはたんだけども、何も変化はなし。
……どうやら、あの子が持ってそうな2台目の腕時計型携帯端末(フューチャーウォッチ)に着てたそうね?』
『あぁ、周りの奴等がそう言って、そうした現場を目撃していた人がいるって話してたな?』
『やっぱり……それがあっていたのね……』
『あぁ……だが、それを話半ばに強引に取り上げるわけにもいかない話だがな?
あっちのそうした親父さん達も目撃していて、限りなくそうした線は、低いらしい……』
『にっちもさっちもいかないし、何もこっちからは進展しないわねぇ……』
『なーんも音沙汰なしか……いったいどこで、どんなやり取りをやってたってーんだあいつ等?』
う~ん……

守護霊の彼女と、ヨーシキワーカは、心の中で心の声を交わし合う。
(あぁ、それは無茶無茶、無理無理……だもんね?)
(まったくだ、いい加減に諦めろ。何のために、あれで見せびらかしていたと思ってる? フェイクだ)
(別の方法もありそうだもんね? クスクス)


★彡
【Hな会話を職業安定所に持ち込んではいけない】
【できるだけ、男性のものはバナナ、女性のものはアワビと呼称しよう】
『……』
『……』
ナレーションの語り手は、サファイアリーさん。
【――その後、2人の会話が何かあっていたらしいけど……、とても、こちら側からは、聴こえる類のものでもなく……】
【(11月2日)その当時は、ヨーシキワーカさんすら、これを書こうとは思ってもいなかったみたいなの……】
【だから、記憶の片隅にあったものを掘り起こしては、重要ワードだけを書き出して、ようやく補完したものらしいわ……】

『……』
『……』
ナレーションの語り手は、ヨーシキワーカ。
【私は、求人情報紙に目を落としていた】
『面接場所は、ここから遠いみたいですね……』
『そうね……。……でも、転勤とかの可能性は、ないみたいよ? どうするの?』
『……』
『~~』
『~~』
【その横からの喋る声はとても小さいもので、か細くそも無理があった……】
【この職業相談面談ボックスには、隣の人と隔てるために壁が設けられており、より一層、聴こえ難いものだった……】
【その中でも、特筆すべきものだけを上げよう】
【その中でも特に、マズいものを……】
『……』
『……』
【その2人は、その視線を目の前に落とす】
【それは、電気工事会社と思しき人が持ち込んだ、1台の腕時計型携帯端末(フューチャーウォッチ)】
【そのエアディスプレイ画面に映る、一際美しい、まだ20代前半と思しき淑女、そう、あの若い別嬪さんの話を持ち出すのだった――】
『――にしても随分とこの娘(こ)は、黒光りするものを持っているみたいね?』
【それは、唐突に、ヨシュディアエさんのその発言から、始まるものだった】
【今にして思い返せば、ヨシュディアエさんは、私に助け舟を出していたのかもしれない】
【それは同様に、電気工事会社と思しき人にも言える事であって、善と悪との間で、良心との呵責で鬩ぎ合っている類のものであった――】
『――いやいや、そこまで黒くはないだろ?』
『黒いわよぉだって――、あそこの下のものなんか舌なめずりしたいんでしょ~? あんた達は? その娘もたまんないって、それは』
『何もあんたにする訳じゃないだろ? 俺のこの見事な『竿(バナナ)』も、さすがにあんたのものを見たら、気が萎えて立たないだろうな……』
『ムカァ……何ですって?』
『あんたの物のほうが、よっぽど黒くて、ドロドロに汚い……その『オマピ――ッ(黒アワビ)』がな?
しかも、余程クサいものをお持ちなのか、こっちまで臭ってきそうだな?』
『そこまで臭くも、汚くもないわよぉー失礼ねぇ……。毎日奇麗に洗ってるんだからぁ、爽やかなものよ?
それか、あの子の小説の中にあったように、この髪の毛がピンク色なんだからぁ、あそこもいい具合のピンク色の桃源郷に決まってるじゃないのよぉ?』
『いいや、下の毛は濃くなる性質があるからな……? あんたの心の色みたいに、赤色か茶のそうした濃ゆいやつなんじゃねえのか?』
『……ッ』
『って、やっぱり、あれを見てんじゃぇか……? あれを見ていないってのが、あながちウソに聴こえてくるぞ?』
『あのミシマさんの話が、どうにもあっていたからねぇ……。その話がこっちの方にも来てたのよ……それで?』
『あぁ……なるほど……なぁ……』
『……』
『……』
その話を、横で聞くのはヨーシキワーカ。
【なるほどなるほど、お互いに私のことを思いやって、そうやって助け舟を出してくれていた訳だ】
【誠に感謝しよう】
【……が、これきりにして頂きたいものだ。そう、いつまでも、いがみ合っていてはいけないよ? 君達ぃ?】
【売り言葉に買い言葉になってるからね?】
【さーて、この話題の中に出てきた淑女さん、仮にもしもこれをどこかで聞いていたら見ていたら、ご両親に相談して、即刻その現場を離れなさい】
【私は君に、何の感傷もないので……】

――ヨシュディアエさんは、その瞳をエアディスプレイ画面に落とし、
その文字列が、その瞳に映り込むのだった。
『――……それにしても、何でこんな奇跡が、平然と次々と起こるとぉ~?』
『……やっぱりこれは、あのミシマの奴と隣のあいつが2人でいた時のものなんだな?』
『ええ……多分、そうだと記憶してるわ。……だってこれ、あたしがあの子に言った言葉もこんなに詳細に書いてくれてるんだしね?
……でも、ケーキ屋の話とか、ミシマさんのお父さんの占いの話とか……あって、
ここに書かれているように、クリスティ(あの子)のまだ研修医時代の話が書かれてるんでしょ。
いい話になるようにまとめられてるじゃないのよ?』
『……』
『これなら安心して、ミシマさん達3人をあそこに送り出すことができそうだわ。……あたしだけを除いてね』
『オイッ、あんたがそう言ったって事は、俺が覚えてるんだからな? 忘れるなよ?』
『……』
今一つ、電気工事会社と思しき人(この人)が、敵になるか味方になるかは、わからない思いだったわ……。
これは下手に出て、ハニートラップに誘う必要がありそうね。
『……』
問題は、その切り口なんだけど……。
如何にして、この話を長引かせるか……して――
『――おい、どうにかしてこの話を、続けるぞ?』
『うん、わかったわ。えーと……さすがだわ。それならなんか、こうした事があって、
後でミシマさんの方も、なんかいい感じの話に見立てられて、なんか報われそうね?』
『いやぁ……でもさすがに、あそこからは出てこれないだろうと思うぜ、マジィ……?』
『いえね、後10年20年ぐらい、あそこでミシマさんが、ジッとしてさえいれば、
その彼女さんからの要望の声もあって、
2人の間で、なんかそうしたイイ感じの話に見立てられるかもしれないんでしょ!?
その娘(こ)はね、あんた達の味方なんでしょ? ねっ? なんか素敵な話じゃないのよぉ~?』

【なるほど……不安がっているなヨシュディアエさん】
【その子が、途中で裏切るんじゃないかと……!?】
【人とは欲の塊だ……】
【途中までは、その少女も協力的だろう】
【だが、一度皮が向けば、それは転じて、裏切りになる、話もある】
【それは、途中で途中で、あなた側が、意に沿わない事を仕出かす危険があるからだ】
【この場合、どっちが悪いとは言えず、双方悪い事になる】
【従ってその話は、受け入れがたく、見送っていただきたいものだ】
【さて、婚期を手放しそうになっているヨシュディアエさんはというと――】

『――……でも、後はあたしの話かぁ……?』
『……独身人生まっしぐらなんだってな……?』
『ええ、さすがにあなたの方でも、そうした話を聞き込んでいたかぁ……?』
さてはあの人達連中繋がりね。まぁ、仕方がないんだけども……。
『ハァ……なんか誰だっていいから、結婚ぐらいあってもいいんじゃないのかなぁ?』
『……』
電気工事会社と思しき人(俺)は、このお姉ちゃんのことを、幾ばくか思いあって、その求人情報誌に目を落とす。
『……』
――そして、ここでワザとらしく。
『――ここにそうした求人を置いたままって事は!』
『!』『!』
この声には、さすがにファウンフォレストさんも、私も、気づいたものだった。
電気工事会社と思しき人(彼)は、こう続ける。
『今回俺にくれるって事なんだよなぁ!? なぁ、そうなんだよなぁ!?』
『……』『……』
『いやぁワリィなホントに……!? ……ほら、あんたも合わせろ!』
【それは、ヨシュディアエさんに、『春の風』が吹こうとしていたのかもしれない――】
『――あっ! 悪いわねぇ2人とも!! こんなにいい人といい求人の話をもらっちゃって!!
このまま、この人の所へ嫁いじゃおうかなぁ!? もぅ勢いで!?』
『なぁ! 何も言ってこないという事は、そうなんだと、こっちは受け取ってもいいんだよなぁ!? いやぁ、ワリィななんか……!』
『ホントそのとおりね!』
【さーて、私としての総合見解としては――】
『………………いいの?』
『………………』
『どうやら、ホントに何も聞こえていないみたいね……。
あれから、あんなにあっちでこんなにも言っているのに……。……聴こえてないの? なにも……?』
『……』
【フッ……何も多くは語るは必要はない……】
【ホントにヨシュディアエさんが、それで、婚期の話を掴み、幸せになってくれるのであれば……】
【私としては、その身を退くばかりだ】
【ヨシュディアエさんに、幸多からんことを、祝福する――】


☆彡
過去から現在に返り、サファイアリーさんは、こう話す。
「ヨーシキワーカはね、ここが引くべきタイミングだと察していたのよ……ヨシュディアエさんの幸せを願ってね……」
「……」
静かに頷き得る一同がいたのだった。
そして、あの小説の愛読者のエメラルティさんは、その心の内で。
(あの人は、ミシマさんと会ってから、
ある悪夢を見てたからね……それはヨシュディアエさんと一緒になった場合の話で、ある並行世界線上での出来事――)
――それは離婚届から始まるものだった。
とても、払い切れる額じゃない。
彼女は、職業安定所だった人で、その女連中の繋がりがとても強く、私を苦しめるものだった。
もちろん、とんでもない悪い連中との繋がりも。
私は無力に等しい……。
払いきれないなら、ヨーシキワーカ君の遺産分野を、ここに記してもらうからね。
不可能だ。
……だが、それがまかり通る場合がある。複雑怪奇な事情に持ち込んでは、私からそれを奪い取る類のものだ。
私は、守護霊(彼女)の夢見を通じて、それを前もって知り、
よく、ヨシュディアエさんと応対していた折には、無視を決め込んでいたものだ。それだけ、彼女の言動が怪しく思えたからだ。
エメラルティ(あたし)は、こう思う。
(ドロドロの愛憎劇とは良く言ったものだわ…)
フッ……
とエメラルティ(あたし)は、とある閑休話を思い出す――
(どうするのお兄ちゃん!?)
(……もう、好きにするといい……。あのヨシュディアエさんが、ホントにそれで、幸せな結婚生活を送れるなら……)
(金とそうしたドロドロの愛憎劇になりそうだけども……。果たして、それがホントに起こり得るの……!?)
(……それが見た、並行世界線上の有り得るかもしれない未来だ……こんな話、誰も信じないだろうがな……!?)
(黙ったままの方が、お兄ちゃんに取ってはいいんじゃ……)
(その判断は……、……委ねる……)
(フッ……)


★彡
――今でも、類稀な肢体をお持ちのヨシュディアエさんは、その長い髪をバッサリ切り、とても魅力的な女性だった。
だが、その相手方の電気工事会社と思しき人(彼)は、その魅力に物怖じする気配で――
『――……あっいや、ちょっと待ってよ……?』
『?』
『あんた、その口が臭いんだってな……?』
『うん、あたしも今自覚してる……。周りの職員さん達の間でも、そのマスクの上から臭っていたって……漂って……』
『それほどか……ァ!?』
『……ッッ』
その顔は、とても辛辣もので、気色が悪くなっていた……。気分的には、その気持ちがブルーだ。
そんな彼女を見ぃ、その彼氏さん候補は、こう問いかけてきて。
『ハァ……どうしたもんかな、2人きりの夜の時、その初夜じゃ……!?』
『え、まさか……!?』
『あぁ、嫁の貰い手が……、他に、もしも、いないってんなら……、……俺がもらってやらんでもないぞ?』
ウルッ
とその瞳が潤んで、その望もうとしていた婚期の話が、今、目の前に訪れようとしていた。
『うっ……うぅ……うん』
『……フッ』
こんな形もいいかもしれないな……。電気工事会社と思しき人(俺)も、結構歳だし……。
こんな、姉ちゃんと一緒の形も、またいいかも……しれないな。
『……あっでも……?』
『んっ!?』
『その1回ぐらいで、そっち側も我慢してやって、できねえかなぁ?』
『………………ハァ!?』
(何言ってんのあんたァ!? さっきまでのあたしのピュアなハートを返しなさいよ!! とは言えないか……グヌヌヌ……ッ)
『それぐらいなら……まぁ、なんとか……できなくも、ない……。
その口だけを外してもらって、その大きなおっぱいを、こうやって、心地よく気持ちよくなって、落ちていくまで……』
『……』
『……』
『フゥ……わかったわよ……。じゃあ、こっちも1回だけよ?』
『ホントかァ!!?』
これには思わず、電気工事会社と思しき人(俺)も嬉しがる。
『ええ……。ホントわかってんのかなぁ……?』
(1回だけだからね……初Hは……。キスも、このおっぱいも揉むのは……。、この女性器(黒アワビ)も……ね)
そう、心に堅く誓うヨシュディアエ(あたし)がいたわ。
『あっじゃあ、あんたとんでもないぐらい、そのおっぱいが大きかったんだってな!? 今でもIカップぐらいあるんだって!?』
『ええ、それぐらいは確かにあるわねぇ……』
『おっ! あの話にある通りマジか!? 棚からボタ餅的か何かだな!?』
(フフフ、何か嬉しそうね……あなた……。なら、1回とは言わず、2回ぐらいは許してあげようかなぁ?)
気分を良くした電気工事会社と思しき人は、こう続けるのだった。
『あっちのあいつ等には、そうした美人な子を充てて、
まさか、こっちにもそうした話の巡り会わせが!? これはなにか『運命的』なもんだな!?』
『そんな大層なものじゃないわよ?』
『いやいやそんなまさかって事も、展開的には有り得るんだしぃ!?』
『~~』
ヨシュディアエ(あたし)は、今、頭ん中がグチャグチャだったわ。

――そして、ヨーシキワーカはというと……。
(――んっ!? ヨーシキワーカ(俺)だけじゃなく、弟(あいつ)も騙そうというのか!? そのハニートラップで!?
オイオイ、あんな事があってからは、こっちのそうした警戒度は高いんだぞ!?
それに、その用意した2人の彼女さん達にも、失礼だろ!?
ホントは言い出せないだけで、ちゃんとした『想い人』がいるはずだ!?
その彼(人)と添い遂げた方が、その娘(人)にとっても、幸せな家庭を築けるはずだ! 俺は、そう思う――)

――で。
『言っておくけど、こんなおばちゃんを捕まえても、なーんも旨味もないわよ!?』
『いやいや大層なものを持っているそうじゃないか? 今でも、熟して熟れていて、美味しそうなもんだなぁ!?』
『なぁに!? そうやって上手い事からかっているの!?』
(いいわよ、それぐらいなら……! こっちの方で試してやるんだから……! 女の意地とプライドを賭けちゃてね! フフフ)
楽しい夜になりそうね。
『なら、一度ぐらい、服を脱いで見せて上げてもいいぐらいよ!?』
『おっ! マジか!? やった!』
『でも、あなたが思って見ているよりも……、
実際はこの服の中で、縮んでシワが至るところに入り込んでいるものよ!? そんなんでも、ホントにいいもんかしら!?』
『昔はとんでもないぐらい、大きかったんだってなぁ!?』
『ええ、それぐらいはあったはねぇ……』
『じゃあ、あんたなんかと結婚しちゃって、産まれてくる女の子も、それぐらいは……!?』
それは、禁句よあなた……。下心がもう見え見えなんだから。
さっきまでのそうしたドキドキを返して……ッ。
ってこれは、あたしにじゃなく、その産まれてくる女の子に向けられてるものね。
これには否応なくあたしも、イヤな顔をして……。
『……あったのかもしれないわね……』
『何だ、えらく否定的だなぁ!? そんなに自分の容姿に自信がないのか!?』
『……』
容姿には自信があるわよ、このおっぱいと相まってね……。
まぁ、顔だけなら、その娘たちに、見劣りしちゃうんだけどね……。
『言ってみれば、前のあんたなんかと違って、その長い髪の毛をバッサリ切った分、いくらか魅力的なもんに見えるぐらいなんだぜ!?』
『もうホントにからかわないでよぉ!? ……馬鹿ぁ』
ホントに、わかってないんだから~~もうっ。
『フッ、じゃあ2人きりの夜の時にはなんかいい感じに……』
『……』
ドキドキ。
『……その『口だけ』は『避けて』もらって……その大きなやつを好きなようにやらせてくれないものだろうか!?』
『……それぐらいなら……、まぁなんとか……』
(って、おっぱいかい――ッ。どいつもこいつも、男は下品なんだからッ。もうっもうっもうっ、グスン……ッ)


――だが、その隣では。
『ンクッ……』
ププッ……
『……』
思わず、そう思わず、ファウンフォレストさんが、笑いを必死にこらえる思いだった……。
よく耐えたな、ファウンフォレスト(あなた)も……。


――で、電気工事会社と思しき人は。
『いやぁ、なんかホント、揉み応えありそうだなぁ!?』
まぁ、仕方ないかな……。こうして会いにきてくれるだけ、素直に嬉しいしね。そんなあなたなら、特別にあたしもぉ……。
『……うふっ、何度だって、気持ちいいぐらい、よく逝かせてあげるんだからぁ~! 後悔はさせなくてよ!?』
お互いに、気持ち良くなりましょ。
『その言質は取ったんだからな!? 忘れるなよ、姉ちゃん! しこたま、その胸をやって、ヒィヒィ逝かせてやるんだからな!?』
『あら!? じゃあ、そうした落ち合いの話をこっち方でも進ませておこうかしら!?
同時並行で、あっちの娘(こ)との二組でね!』
『これは、式典の話も勧めないとな……』
『その言葉、楽しみにしてるわよぉ~こっちは!? そうした覚悟でいるんだからね!?』
『覚悟ときたかぁ……』
『何よその顔……!?』
『いやなぁ……ちょっと……』
『バカぁ……』
頬を淡い桃色に染めるヨシュディアエ(あたし)がいたの……。

(……うわぁ……この人達、職業安定所で恋愛話、持ち込んでるよぉ……大丈夫かな? これ?)
(大丈夫じゃないだろ……ッ)
ヨーシキワーカ(私)は、ここが切り上げ時だと判断した。
『どうもありがとうございました』
私は、ファウンフォレストさんに会釈をして、早々に、ここを切り上げるべきだと判断したんだ。
(おっ……お前等……職業安定所で、何の話をしてるんだよ……!? もうダメだ。ここを出よう)
(お兄ちゃんに、恋愛系向いてなさそう……)
ズキッ
と心のナイフが突き刺さり。
(グッ……放っとけ)
私が、その席を立ちあがったところで。

ヨシュディアエさんは、こう話すのだった。
『――どうにかして、あたしだけでも見逃してくれるよう、周りに働きかけてくれる?』
ハニートラップにあなたを誘いたい。
上手く、あたしだけでも見逃してもらえるよう。
でも、時に現実は無情でーー
『――オイッ、その言質は取ったんだからな? 俺が生き証人だからな、あの人があれに書かないまでも……な?』
『……』
『ここまでやっていて、それはさすがに虫唾が良過ぎるだろうが? それに、お前はあのミシマと2人で、散々周りから、こうまでして盗り立てていたんだろうが』
『……』
『そうでなくとも、横のあの人が、あの小説の中の4人の中に、あんたの名前も入れてるんだぞ既に?
あの4人の中に数えて。もうそれも公開してるから、さすがに無理があるだろ?』
『やっぱそうよねぇ……』
『まぁそれでも……』
『え……?』
『あんたと一緒に添い遂げられるんってんなら、何も悪い話じゃ――ない。何もな』
『……頼める?』
『あぁ、どうにかして、こっち側でも頑張ってみるわぁ……どこまでやれるかだな……そうやって……』
『ハッキング仕掛けて、消すか、上手く編集して』
『……』

――俺は席を立ちあがり、この場を離れていく。
その途中、その電気工事会社と思しき人の後姿を持て。
(頭髪が……)
(栄養が足りてないなこれは……!?)
それは、ミシマさんやヨシュディアエさんというよりも、ドクターイリヤマやドクターライセンに近く、
珍しい金髪ブロンドヘア―の赤毛(ストロベリーブロンド)よりも、珍しい珍しい赤毛の髪(レディシュ)に近いものだ。
そして、誠に申し訳ない事に、頭髪がなんだか悲しいぐらいな事になっていて、毛量が少ない……。
その顔と瞳の色は、こちらからは見えないので、知る由もない……。


☆彡
過去から現在に返り、クリスティさんは、こう言の葉を呟く。
「――その後姿を見て、ドクターライセンの『毛量の少なさ』を重ねたそうよ……」
それは、当時のご本人様に、失礼な物言いだったそうな……。
だけども、アユミちゃんは、その後の事を知っていて。
「あれっでも!? その後、フサフサだったんだよね!?」
「ええ、ヨーシキワーカさんからのヒント『だけじゃなく』、
ご自身で、そういった事を惜しまない努力を続けたことで、たゆまぬ成果が実って得た、得難いものだからね!
もう今じゃ、フサフサよぉ~!」
「凄い人達もいたんだぁ!?」
「フフフ、そうよー!」
努力したんだからね、あの人達も。
とここで、同じ男性陣の1人であるミノルさんが。
「で、クリスティさん。そのフサフサの毛量の秘訣とは!?」
「食事とサプリメントよ! 大きく分けてね!
まず食事から!
亜鉛、ヨウ素、タンパク質、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、イソフラボン、ポリフェノール、サポニン、カプサイシン、
そして、フコイダンなどの栄養素を経口摂取すると良くて!
お手軽なものは、
亜鉛であれば、牛肉の赤みとレバー、卵とアサリ。
ヨウ素であれば、昆布とひじき。
タンパク質であれば、枝豆と魚肉ソーセージ、かまぼことツナ缶。
ビタミンB群であれば、豚肉と鶏肉、ごま、アボカド。
ビタミンCであれば、ミカンとバナナ、トマトとキウイ。
ビタミンEであれば、イワシの缶詰とたらこ。エビとアーモンドチョコレート。
イソフラボンであれば、お味噌汁とヨーグルト。
ポリフェノールであれば、赤ワインと紅茶、玉ねぎとショウガの豚焼肉。
サポニンであれば、アメリカ人でもスキキライせずに納豆と豆腐、野菜にオリーブオイル。
カプサイシンであれば、七味唐辛子。
フコイダンであれば、海藻やワケメ、ノリなどね!
で、あなたのように大人の人であれば、一番お手軽なのはサプリメントで、シオノギ製薬のフコイダンね!
……これには、世の中の、他の男の人達が大いに喜ばれたわ!
まぁ、その2人は、カンカンだったけどね……!?」
「……そりゃあそうだ……」
と頷き得る思いのミノル(私)がいたのだった。
そして、心の内で、エメラルティさんはこう思う。
(もしも、お住まいの地域に、地場産業に海苔工場があったら、基本、そこで海苔を買うと安いものだったわ……。
ヨーシキワーカさん、直伝だけどね……)


TO BE CONTINUD……

しおり