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桃姫様 MOMOHIME-SAMA ~桃太郎の娘は神仏融合体となり、関ヶ原の戦場にて花ひらく~
鬼ヶ島にて──犬、猿、雉の犠牲もありながら、死闘の末に鬼退治を果たした桃太郎。
故郷の村に帰還した英雄は、やがて一人の娘を授かった──その名は桃姫。
桃姫が10歳を迎えた祭りの夜──突如として鬼の軍勢が村を襲撃した。
軍勢を率いるのは、かつて討伐された鬼ヶ島首領の息子──温羅巌鬼(うらがんき)。
村は瞬く間に蹂躙された──家々に火が放たれ、人々は血の海に沈み、桃太郎も巌鬼との戦いでその命を落とした。
「──桃太郎の娘よ、生きて地獄を味わうがよい──」
両親を殺され、燃える村にただ一人残された桃姫に対して巌鬼はそう言い放つと、軍勢と共に鬼ヶ島に引き上げた。
「──地獄では……生きていけない──」
絶望した桃姫は、涙を流しながら己の喉元に刃を突き立てた──その時、一人の麗人が桃姫の前に姿を現した。
美しい銀髪を月の光に輝かせた彼女は、震える桃姫の手を優しく握って、静かにほほ笑んだ。
「──私の名は、雉猿狗(ちえこ)。御館様との約束を果たすため、ただいま天界より現世に顕現いたしました──」
呆然とする桃姫に向けて、雉猿狗は天照大御神を思わせる慈悲深くも力強い眼差しで告げた。
「──桃姫様。あなた様が強い女性に育つその日まで、私があなた様を必ずや護り抜きます──」
かくして、桃太郎の血を受け継ぐ少女〈桃姫〉と三獣の化身〈雉猿狗〉の日ノ本を巡る鬼退治の旅路が幕を開けるのであった──。1クル
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