第五十四話 「とっておき」
山のように巨大な姿に変化した
「・・・あの巨体を、・・・殴り飛ばした・・・?」
刀を交えていた
「・・・いや! あの巨体がと言う前に、あの白尚坊様だぞ!?」
千尾狐達が顔を青くしている。
「な、何だ!!?」
見るとそこには、
「・・・しゃらくの言う通り、俺達は負けてねぇ」
竹次が八百八狸達に
「うおぉぉぉぉぉ!!!」
すると八百八狸達は見事に息を吹き返し、竹次を先頭に千尾狐達に突っ込んで行く。千尾狐達の方は、狸達の迫力に圧倒され怯んでいる。
「おらぁぁぁ!!」
ガンッ!! 竹伐り兄弟の
「ちくしょお!」
八尾がもう片方の拳を竹蔵に振るが、竹蔵は後方へ跳び、距離を取る。その傍では、ウンケイが
「一体何なんだあいつの硬さは!」
竹蔵が、だらりと
「あいつの硬すぎる筋肉を打ち破る術を、考えねぇとな」
ウンケイが八尾を
「やはり数が足りねぇんじゃねぇか? 俺を相手をするには、お前らだけじゃ不足のようだが」
八尾がニヤニヤと笑いながら、ウンケイと竹蔵に近づいて来る。
「・・・なぁウンケイ。少しの間、一人であいつの相手をしてくれねぇか?」
竹蔵が八尾を睨みながら、ウンケイに呟く。
「・・・何か策でもあるのか?」
「ああ。とっておきがな」
竹蔵がニッと笑う。
「・・・そうか」
ウンケイが薙刀を構える。するとその傍で、竹蔵が二対の刀を振りかぶり、そのまま動きを止めて目を
「あぁ? 何してやがる?」
八尾が竹蔵を見て首を
「
ガァァン!!! ウンケイの薙刀を八尾が腕で防ぐ。
「てめぇら何の
八尾がウンケイをギロリと睨む。
「何だか知らねぇが、俺はあいつに
ウンケイがニッと笑う。
ズゥゥゥン! 地に
「・・・ほう」
しゃらくの姿を見た白尚坊が目を
「
すると、しゃらくが白尚坊の足元へ、
「”
ドォォォン!!! しゃらくが目にも止まらぬ速さで、白尚坊の足へ頭から突進する。白尚坊は重心を
「”
ドォォォン!!! しゃらくは、すかさず白尚坊の足に蹴りを入れる。白尚坊は更に重心が崩れる。
「倒れろォォ!!」
「・・・フフフ」
すると白尚坊は、巨大な九つの尾で体を支え、重心を立て直す。
「何ィ!?」
しゃらくが目を見開く。
「ギャオォォォォォォ!!!!」
再び白尚坊の
「・・・くっ! 骨まで
しゃらくが顔を
「いい反応だ」
すると白尚坊が、巨大な体をくるりと
「・・・フフフ」
白尚坊がニヤリと笑う。
「しゃらく君!!」
「!?」
白尚坊が振り下ろした己が拳を見つめる。ググググッ!! すると、白尚坊の拳が徐々に持ち上がっていく。
「ふぬゥゥゥ!!」
持ち上がった拳の下にいたのは、顔を真っ赤にして白尚坊の拳を両手で持ち上げているしゃらくの姿。
「おらァァァ!!!」
しゃらくが白尚坊の拳を上へ放り、その隙その場から逃げる。ズシィィィン!! 再び白尚坊の拳が地面を貫くが、そこにしゃらくはもういない。
「ハァハァハァ・・・」
しゃらくが肩で息をしている。
「・・・」
しゃらくを睨む白尚坊が、目を
ガキィン! ガン! ガキィィン!! 一方で、ウンケイと八尾が激しい攻防を繰り広げている。ガァァン!! ウンケイが薙刀を振り上げると、その勢いで防ごうとした八尾の腕が上がり、八尾の腹がガラ空きになる。そしてウンケイが薙刀を振りかぶる。
「“
ガァァァァン!!! 水平に振られた薙刀が、八尾の腹を
「“
ズドォォォォン!!! 地面が
「ギャハハハ! いいぞ! もっと楽しませろぉ!」
ガガガァ!! ガン! ガン! ガァン!! 起き上がった八尾が再び猛攻を仕掛け、ウンケイが薙刀でそれを防ぐ。しかしウンケイの方も退がらず、猛然と薙刀を振っている。
「ウンケイ!! そいつをこっちへ飛ばせぇ!!」
すると、力を溜めていた竹蔵が唾を飛ばす。八尾が
「だから余所見してんじゃねぇよ」
ウンケイが、薙刀の切っ先を八尾に向けて後ろへ引く。
「“
ズドォォォォン!!! ウンケイが薙刀で八尾を突き、八尾が勢いよく後方へ吹き飛ばされる。八尾が飛んでいく先では、竹蔵が静かに二対の刀を構えている。
「ギャハハハ! 何度やっても同じだぁ!」
八尾が宙を飛びながら、竹蔵に向かって拳を振りかぶる。刹那、カコォン! 竹蔵が刀を振り下ろすと、まるで竹を叩く様な音が辺りに響く。すると、八尾の上半身と下半身が真っ二つに分かれる。八尾は訳も分からず目を見開く。
「“
完