第2章の話数抜け19-20間 エアポートとコスモポート! あたしの未来
2020年(令和4年)12月10日(土曜日)
初めにPIXIVにも投稿したところ、ツギクルとの間で、話数がおかしい事に気づきました。
こちらで調整しようと試みましたが、19と20の間に入らないため、
このような不始末になりました。
ひとえに私個人のいたらないところです。
ツギクル様、読者の皆様にはご不便をおかけして、申し訳ありませんでした。
PIXIV様、フォローしてくださった方、ご指摘ありがとうございました。
謝辞
原作者:夢泉
☆彡
【プレアデス エアポート】
そこは、プレアデス星の国際空港だった。
僕たちはその後、宇宙の法定機関、浮遊島を経て、ここエアポートまで足を運んでいた。
これから目指す先は、『プレアデス コスモポート』。
そこまで僕達は、音速小型ジェット機に乗って移動していた。
手配してくれたのは、デネボラさんだ。
多少、アンドロメダ王女様のわがままも入るけど……。
――大気圧の壁を、爆音とともに突き破っていく音速小型ジェット機。
音速の単位はマッハ。
摂氏20度の時のマッハ1は、秒速340m前後、時速1225㎞前後である。
音速の空気の壁を突き破り、空気の輪の中を駆け抜けて、白い尾を引いていく様は、まさしく音速のそれだ。
しかも、この音速小型ジェット機は、マッハ2.5を叩き出していた。
秒速でいえば850m、時速でいえば3063㎞である。
最高速はマッハ5。
まだまだ余力は残していた。
参考までに、秒速でいえば1500mくらい、時速でいえば6120㎞だ。
どちらにしても一般人の常識外、宇宙人たちの考え方は、一般庶民感覚にはわからないものだ。
「やっぱりこっちの方が速いわ!」
「なんとか今日中に、アンドロメダ星に帰還できそうだね!」
「フゥ……」
アンドロメダ王女、L、嘆息するデネボラ。
アンドロメダ王女の我慢ならない要望だった。
浮遊島も速いは速いが、それよりも音速小型ジェット機の方が、ずっと飛行速度が圧倒的に速いと論じた。
民間の音速旅客機も考えられたが、また機内で人騒ぎが起こり得るため、見送られた。
空飛ぶリムジンという気品さも考えられたが、アンドロメダ王女がダメ出しをして、見送られたのだ。
「やっぱり空飛ぶリムジンより、音速小型ジェット機の方が速くて良いな!」
これが決定的だった。
(とても王女様だなんて思えない……ッ)
僕はそう思うのであった……。
(気品の欠片もない……ハァ……)
心の中でも、嘆息してしまう苦労人のデネボラさん。
「まぁ急いだほうがいい、案件が立て込んでるから、速いに越した事はないよね?」
「おっよくわかっておるなL! 左様、全球凍結する前に、やるべき事をやらないといけない案件があるのじゃ!」
「そう言われれば、その通りですね。私が間違ってました」
私は非を改めた。
(そうだ……! 地球人の難民たちを移動しなければならない大事な案件が控えてる。私にもやるべき仕事が……)
自分に言い聞かせる苦労人のデネボラさん。
(のんびり浮遊島での観光を、楽しんでおる場合ではないしな……)
と心の中で語るアンドロメダ王女様。
キチンと考えられておられたのだ。
だが、ここで当人の地球のお子ちゃまは。
(う~ん……やっぱり、浮遊島のお土産をかってもらうんだったな……。でも、お姫様もなんか我慢してるようだったし……、また来た時、立ち寄ろうかな……?)
とスバルは惜しい思いをしていたのだった。
「ヒース、あの酒は郵便で送ったの?」
「ああ、そうだよ。後で事情を話して、僕たちの飲む分も残してもらわないとね!」
こちらは長年の経験からか、ちゃっかりしていたのだった。
今、この音速小型ジェット機に乗っているのは、スバル、L、アンドロメダ王女、デネボラ、シャルロット、ヒースの6人である。
残りのシンギン達以下は後続車両の同じ品目の音速小型ジェット機に搭乗していたのだった。
もちろんこれは割高である。
「とこれから色々と準備が入り用になりますね!」
「そうだね、シャロット」
とシャルロットさんとヒースさんが軽々に話す。
と次に口を開いたのは、スバルだった。
「まずは何からしようか……。いや、何からすべき何だろうか……?」
「「「「「………………」」」」」
これは一同真剣に考える。
やらなければならない事が山積みだ。
――そして、口を開いたのは、アンドロメダ王女様だった
「――まず、スバルは一度地球に帰ることじゃ!」
「!」
「残り僅かな時間、地球の地で過ごすと良かろう。
そうすれば、今よりも強い決意が固まる……やり遂げねばならないという強い覚悟が……!!」
これには一同強く頷いた。
これは決定事項だ、異論はない。
「問題はわらわとLが今後、どう動くかじゃ!
もちろん、後押しはするが……オーパーツLはソーテリアー星との強い結びつきがある!
反対意見が続出しよう!
……アンドロメダ星のゴタゴタが早急に済み次第、一度ソーテリアー星に向かう気じゃ!」
「……そうですか」
(Lとはそれほどの……)
貴重な存在、オーパーツのL。僕はその存在を軽視していたのかもしれない。
「……」
と僕の横にいるLは、なんか震えているようだった。
僕はLに話しかけてみる
「……L、大丈夫?」
「……今から緊張してきた……!」
L(僕)は、今から震えていた。上手くいくだろうか、勝手なことをして……。
と次に口を開いたのはデネボラさんだった。
「でも何より大事なのは、開拓者(プロトニア)の登録ですよ!
その開拓者の試験を受けて、合格しなければ、晴れて開拓者になれないのですから……!」
と次に口を開いたのはヒースさんだった。
「試験か……。いや、もっと大事なものがある! それは……」
一同の時が止まる。
「勉学だ!!! スバル君は『宇宙共通語』が話せない!! その意味を要約して理解できない!! これは大きな死活問題だ!!」
「「「「「確かに……!!」」」」」
「マジ……」
僕たちは、一番大事な事に気がつかされたのだ。他ならないヒースさんの忠告に。
これからは、それがメインになるだろう。
と次に口を開いたのはシャルロットさんだ。
「他にも色々と問題点が山積みですね……これからは1つずつその問題点を解決していきましょう」
「頭が痛くなってきた……ッッ」
「フフッ」
とヒースさんは笑い。
「クスクス」
とシャルロットさんが笑っていた。
「でも! 1番大事なのは仲間だと思うよ! 今のところメンバーは僕とスバルの2人だけ! 今のうちにメンバーを拡充しないと時間を無駄にしちゃうよ!」
「……」
僕はLに言われて考えた。その仲間枠について。
続けてLが話を続ける。
「やっぱり仲間に加えるなら、アユミちゃんが1番だと思うんだけど……どうかな?」
「……いや、それは僕も考えたんだけど……アユミちゃんは開拓者(プロトニア)には向いていないと思う。気になることもあるしね……」
そうだ、僕の脳裏をかすめたのは、あの占い師志望の少女が言った言葉だ。
★彡
『う~ん……このアクセサリーがええんじゃなかろうか』
と彼女が手に取ったのは2つで1つのアクセサリーだ。
それは俗にいうロケットペンダント、中には写真を忍ばせることができるものだ。さらに鈴つきだ。
カラーは2種類、赤と青。
ボディタイプは地球のように球体だった。
『青は待つ人用、赤は旅立つ人が持つとよかよ!』
それは端に僕等を指しているようで。不思議な少女だった。
――僕は自分の手相を見ていた。そしてそれが口をついて出た。
「『初めに火の相』が強く出ているか……」
「でも変わってるよね? 『女難の相』でも『水難の相』でもないんでしょ」
「うん……不思議ちゃんだった……」
「不思議……?」
☆彡
――僕は彼女とのやり取りを思い出していた。
「……」
彼女には何かあると思ったんだ。
でも今は、アユミちゃんを護るためにも、開拓者(プロトニア)には薦めてはいけなかった。
「アユミちゃんはどうも先走り過ぎる……その行動力がかえって、仇になる!」
「……そう、それはちょっと残念だね……」
シュン……、と落ち込むL。
パートナーとしては、これ以上ない人選だったのだに……。
スバルの考えて、アユミちゃんの推薦は無効となった。
「じゃあ他には……」
「クコンさんを仲間に入れよう! それにみんな! 誰かを忘れていないかい?」
「「「「「?」」」」」
「シシド君とレグルスだよ!」
「えええええ!!!」
これには僕も驚き、音速小型ジェット機から僕の悲鳴が響いたのだった。
今日のプレアデス星の空は、青かった。
☆彡
【プレアデス コスモポート】
ここ、コスモポートは、宇宙の港と呼ぶ。
エアポートのように、空港と呼んでいるんだ。
「――予定通り、宇宙船の整備は終了しているようです。問題なくワープができますよ!」
「さすがに整備士たちも優秀よな! あの短時間で整備を終わらせるとは! 後で女王陛下に親書を認めよう」
アンドロメダ星とプレアデス星の友好は良さそうだった。
(僕も何かあった時、プレアデス星の人と仲良くしておかないとな!)
僕は、そう心に留めたのだった。
そんな僕たちは、プレアデスコスモポートを歩いていた。
シンギンさん以下アンドロメダの兵士たちに周りをがっちりに固められ、要人として移動していた。
まるで僕たちが重役の人たちで、シンギンさんたちがボディガードのようだ。
「おいっ! あれって! TVに出てた王女たちだ!」
「嘘――っ有名人!」
「元ソーテリアー星のオーパーツだ! 初めて見た!」
「融合して融合!」
「キャーッキャーッ」
と僕たちは周りから写真やら動画をバシバシと取られた。
これには僕も恥ずかしい……。
シシド君や、それ以上の著名人たちは、みんなこんな気持ちを味わうんだろうか。
僕は素直に感服した。
そして、僕たちを乗せたアンドロメダ王女の宇宙船は、大空の向こうに飛び立っていた――シュイーン
☆彡
【アンドロメダの宇宙船】
宇宙空間を行く、アンドロメダ王女の宇宙船。
その中では――
「――しかし、レグルスか。ううむ……」
「あのやっぱり難しいのですか?」
「いや、いい線はいっておるのだが……。あ奴、そもそも試験を受けることができないのじゃよ……!」
これには周りも驚き、ザワッとした。
疑問に思った、シャルロットが問いかける。
「……それはなぜ?」
「ううむ……あ奴は前職で、汚れ仕事を請け負っていてな……。
アンドロメダ星でも、地球でも、その手を汚し過ぎたのじゃ! だから、わらわたちが上手いこと匿っていたのじゃが……」
「あちゃ~……」
とシャルロットさんは、顔に手を当てて、天を仰いだ姿勢を取った。じゃあ、ダメじゃん……ッ。
「――問題はそれだけじゃないよ」
「!」
振り向く僕達。
その声の主はヒースさんだった。
「スバル君、そしてL! それは君たちもだ!」
「……僕たち?」
「?」
「スバル君。君は、『エナジーア変換携帯端末』を安易に用いようと考えてるよね?」
「はい。……ダメでしょうか?」
「……確かファミリアの条約には、こう記載されていたはずだ……!
第367条! エナジーア変換携帯端末について。
特別措置法を除き、それを禁ずる。
特別措置法とは、3つの条件をクリアした時とする。
1つ自分の生命が危うい時!
2つ民間人の命が危うい時であり!
3つ緊急事態や巨悪と相対した時のみ、その使用を認可する……と記載書きがあったはずだ!」
「自分の生命……」
「緊急事態や巨悪と相対した時か……!」
と次に口を開いたのはデネボラさんだった。
「そうね、例えばレグルス隊長を挙げましょうか!
今回はレグルス隊長が巨悪として捉えましょう!
あの山火事の事件の時みたいに、多くの人たちの命を奪ったでしょう」
「はい」
「うん」
「あの事件で多くの民間人たちの命が奪われた。あなたたちも生命の境をさまよったはず。
3つの条件をクリアしたことで、初めて、エナジーア変換ができた!」
「……つまり、かなり難しい場面でないと……」
「これが使えないんだね……」
「そうなるな……!」
とヒースさんが締めくくった。
と次に口を開いたのは、シャルロットさんだ。
「まぁ良かったじゃない。安易にあんな古代兵器は使うモノじゃないわ!
なんてたってあれは、使用者がその使用限界を超えて使ったことで、黒い炭化物に変わり果てたとことがあるんですもの!」
「こら、シャルロット!」
「あわわわ」
言ってしまった、つい。
「えっ……今なんて……」
僕の聞き間違いかと思った。
「……」
「……」
「……」
L、アンドロメダ、そしてデネボラの3名はこれを黙秘した。
「なんかすごい事を聞いたような……ねえ、L」
「……」
Lはそっぽを向いた。
「アンドロメダさん」
「んっわらわは話の途中から聞いておらんぞ」
「デネボラさん!」
「左に同じく!」
「……シャルロットさん!」
「聞き間違いではないのですか? スバル君の!」
と責任逃れした。
「ヒースさん」
「うっ……用心して使うことに越したことはない。今後は使用を控えるように……」
「……」
それは命がけを意味していたのだった。
「……」
僕は俯いて自分の足を見た。
折れて、粉砕骨折していた足は完全回復していた。この数日間で。
それは端に、エナジーア変換携帯端末の異常回復を示唆していた。
「……毒と薬は使いようか……わかりましたよ」
と渋々、僕はその話を飲み込むことしかできなかった。
スバルはまた1つ、大人として成長したのだった。
毒を飲むという。
そして、その中でシャルロットさんはある事に思い出した。
(そう言えば……シシド君って誰だっけ?)
と可哀そうに忘れられていた。
(あれ? そう言えば、ずいぶん前に法改正があったような……? まぁ僕には関係ないか……!)
とヒースさんも法的な事には疎かった……。
そんな何でも知っている、凄い人ではないのだった。
だが、スバルに対する脅しとしては、充分効果があり、大変良かったのだった。
☆彡
【アンドロメダ王女の別荘】
その後、僕たちは岐路につき、アンドロメダ王女の別荘にいた。
アユミちゃんとクコンさんとそして兵士たち皆さんが、僕たちを温かく出迎えてくれた。
「「お帰りスバル君!」」
「ただいまアユミちゃん! クコンさん!」
「王女、お帰りなさいませ!」
「うむ!」
「シャルロット様! ヒース様! L様! デネボラ様! そしてシンギン様以下兵士の皆様方! お帰りなさいませ!」
「うん!」
「はい!」
「うん!」
「ええ」
「おう!」
☆彡
――僕たちはその後、食談を囲んだ。
「――という事は、明日あたしたちは一度、地球に帰るんだね?」
「うん……アユミちゃんには悪いんだけどさ……」
「うん?」
「アユミちゃんには、僕の父ちゃんと母ちゃんの安否を探ってほしい」
あたしはドンッと立ち上がり、こう言った。その言葉には怒りが含んでいた。
「自分の両親でしょッ!? 確かめに行かないのッ!? そこまで薄情な息子だったのッ!?」
「確かめにいきたいさッ!! でもね……!」
そうだ。僕だってアユミちゃんと一緒に確かめに行きたいよッッ。
けど、それ以上にやるべきことがあったんだ。
「恵ケイちゃんの遺体を返しに行かないといけないんだッ!!」
「……ッッ」
これにはあたしも言い返すことができない。
そうだ、この役目は、あたしか、スバル君か、クコンちゃんの誰かが請け負わないといけない事だった。
アンドロメダ王女やLには大役がある。
その他の兵士さんたちは、エナジーア生命体の為、そもそもあたしたち地球人には見えない。
もちろん、目に見える宇宙人さんたちもいるけれども……。
ダメだ、そんな事できないッッ。
どうあっても、あたし達の誰かが請け負わなればいけないッッ。
シャルロットやヒースさんの両名は、アンドロメダ王女たちと一緒に付いていき、その橋渡しとして重大な役割がある。
つまり、あたしたちの誰かが貧乏クジを引かないといけなかったんだ。
「……ッッ……ッッ」
「男だねースバル君」
「いや……貧乏クジなら、もう慣れてるから……頼んだよアユミちゃん」
そうだ、貧乏クジなら引き慣れしていた。さんざん虐めにあっていたのだから……。
あたしはダンッと机を叩いた。そして怒りをぶちまけて、こう言ったの。
「わかったわよ! ……ッッ」
あたしも、スバル君の両親からなんて言われるかわからないけど、
この場を乗り切るにはそれしかなかった。
そんな中、わらわはこの子たちを見て、申し訳なく思うた。
「……」
(済まない、スバル、アユミ、クコン)
わらわは目を細め、心の中で謝罪した。
それは王女として、この場で謝るべきではないと判断したためだ。
☆彡
【大浴場】
カポーン
と大浴場にて、あたしとクコンちゃん、あと目には見えないけど兵士さんたちが入浴していた。
「ホント頭くるっ!!」
あたしはバンと水面を叩いた。
これには兵士さんたちの注目を集める。
「普通連れていくよね! 普通は!」
「まぁスバル君やシャルロットさん、ヒースさんたちの話を聞いた限りでは、かなり危ないらしいよ冒険……。実際に死んだ人がいるんだって!」
「でも何で、クコンちゃんはOKであたしはダメなのかなー!? 頭くるー!!」
とあたしはまた水面をバンバンと叩いた。
これには兵士さんたちの注目を再び集めた。
「やっぱり地球人の女子は狂暴だ……」
と呟きが落とされた。
だが、そんな呟きが地球人たちに聞こえるはずもなく。
あたしクコンは、今のアユミちゃんを見て、心の中でこう思った。
(この性格が災いしてるんだろうな~きっと!)
「まぁあたしも大概だけど、ギリギリ際どいらしいよ。その試験内容次第では……!」
「ムゥ……なんとかして潜り込めないんだろうか……」
「いやそもそも、誰も試験合格してないから! その試験の内容もわかんないからね!」
「ムゥ……」
「まぁどんな試験だったのか、その日帰ってきたら教えてあげるよ! あたしたち友達だものね!」
とあたしは笑顔で締めくくった。
けど、あたしアユミは不承不承していた。
☆彡
【安置室】
誰もいない安置室にて。
僕はデネボラさんの許しを得て、ケイちゃんの亡骸を見にきていた。
「……ケイちゃん。明日、君の両親に会いに行くよ」
ケイちゃんの亡骸は、何も答えてくれない……。
でも、その亡骸は美しく、生前の姿に補修されていた。
それがアンドロメダ星人なりの気遣い、気配りだった。
月明かりが僕たちを優しく包み込んでくれた。
アンドロメダ星の月明かりは、ソーテリアー星からのもので、地球のお月様よりも大きく、この星に近い距離にあった。
そんな様子を陰から聞く耳を立てていたのは、デネボラさんとLだった。
☆彡
【王の御前】
王の御前にて。
「何じゃと!? レグルスとその適合者が行方不明!?」
「ハッ!」
「……ッッ。何てことじゃ、何事もなければよいのじゃが……。この事はスバルたちには……」
「いえ、まだ……」
「そうか……そうじゃな……」
(スバルたちには、明日地球で過ごせる時間が少ない……。その大切な時間を奪わせるわけにはいかぬ……!!)
「せめて明日までは話すな! 帰ってきたとき、あの者たちに話そう! 余計な不安を抱かせてはならぬぞ」
「御意」
それがわらわにできる、優しさであり、気遣いであり、そしてせめてもの罪滅ぼしじゃった。
じゃが、わらわは額に手を置いて考えた。あやつの行き先を……。
「それにしても……いったいどこへ……」
☆彡
【貴賓室】
貴賓室にて。
ヒースとシャルロット両名は、ホログラム映像に映る高貴な方と会話していた。
「――以上が今日までのあらましです。フォーマルハウト様!」
『なるほどよくわかった。引き続き頼んだぞ、ヒースにシャルロット!」
ヒースは目を瞑り俯いて、両腕の二の腕を組んだ状態で「はい」と答え。
シャルロットは胸に手を当てて「任せてください」と元気よく答えた。
フォーマルハウト様は、向こうから会話を切ろうとなされたのだが――
「――そうだ! お前たちから見て、Lとそのスバル君の印象はどうだい!?」
「……仲がいいですね!」
とシャリロットがいい。
「スバル君は自分から自信を持つような子ではないのですが……。周りが上手く機能すれば、自発的によく動きます! 将来性が楽しみな子です!
ただ、逆に何もしなければ何も起こらなさそうな残念な子の印象も見受けました……!
次に、Lと対話した回数こそ少ないのですが……。まるで子供。悠久の時をいきたオーパーツとは思えません。これからの活躍に期待でしょう!」
「なるほど……よくわかったヒース。次回の報告を楽しみにして待つ」
「ハッ!」
とブツンとそのホログラム映像が切れた。
(ううっ……いいところ、ヒースに取られたぁ~……!)
「フフッ」
ホントに将来性が楽しみな子たちだった。
☆彡
各個人には部屋を割り当てられていたが……。
さすがにここはアンドロメダの別荘だ。その部屋数に限りがある。主に多く使用されていたのは兵士たち皆さんの部屋だった。
それぞれの部屋割りは。
Lの個室にスバルが寝泊まりしていて。
アユミちゃんとクコンさんで一部屋。
ヒースさんとシャルロットさんで一部屋でかつ貴賓室という扱いだった。
そのLの個室にて。
「――よ、我と契約を結びたまへ。」
ボゥとスバルの体が光った。
「よし! 契約完了!」
「また、契約したの!? 君も大概だね……! ハァ……その君の精神世界にいる師匠様と先生様は何者なんだい!?」
僕は精神世界にいる師匠と先生のことを、Lにだけ打ち明けていた。
戦友なのだから、それぐらいはいいだろうと師匠たちの許可もおりているのだ。
「それは僕にもわからないけど……。2人とも高位の戦士と魔法使いであることは確かだよ!」
「このチート(アパチィ)!」
「んっ何て?」
「チート(アパチィ)……宇宙共通語だよ。自分で調べたら? これも大概勉強だよ。フフフ」
「僕、あまり頭はよくないんだけど……」
「それじゃあ開拓者(プロトニア)試験、落ちるけどいいの? クスクス」
「グッ……どこにありますか……!? その『宇宙共通語辞典』!」
ドンッと僕の目の前に『宇宙共通語辞典』が置かれたのだった。
「……」
それを見て、僕は脂汗を流す。なんてぶ厚いんだクソッ。
☆彡
――その日から僕は、勉学に励むのだった。
僕は、『宇宙共通語辞典』と向き合う。
(この辞典、まるで辞書だよ……! まるで字が読めない……ッ!!)
「読めない字があったら、何でも答えるよぉ~クスクス」
Lはなんか上機嫌だった。まるで僕の上に立つ人のようで。
(クソッ、完全に舐められてる……ッ!!)
クスクス
とLが含み笑いするのだった。
☆彡
女子たち2人は、自分の身長と胸囲をメジャーで測っていた。
それは女の子のヒ・ミ・ツ。
「やっぱり身長、昨日より縮んでる……!」
そう、漏らしたのはクコンちゃんだ。
アンドロメダ星では、身長が縮む。それは重力の影響が大きいから。
「あぁ……ワンカップサイズダウン……Cカップに落ちてるよぉ~!」
そう、漏らしたのはアユミちゃんだった。その豊胸が普通乳に成り下がっていた……ッッ
アンドロメダ星では、おっぱいが縮む。それは重力の影響が作用してる。
残念、無念、DカップからCカップにサイズダウンである……痛恨の思いである。
だがそれでも、胸板同然のクコンちゃんは恨めしそうに見ていた。
「……」
あたしはおっぱいを触り。
「あっ! おっぱいが若干硬い!? なんかギュウギュウに圧されてる感じ!?」
「……」
「これってやっぱり、重力の影響かなクコンちゃん!?」
「……そうね」
とそんな冷ややかしが返ってきた。
これが持っている者と持っていない者の大きな違いである。
「もう! まったく許せないわ! 重力め! うん……?!」
「どうしたのアユミちゃん?」
「待てよもしかしたら……うんうん。考えられるかも……!ねえ、例えば無重力なら縮んだ身長や乳房(バスト)が戻ったりしないかな?」
「……」
これにはあたしもあり得ると思った。
「有かも……!」
「あっやっぱり! 昔聞いたことがあるんだぁ! 宇宙空間では身長が3㎝も伸びたんだって! バストアップもできるんじゃないのかなー!? ねえ、クコンちゃん!」
「ねえ、それって単にあたしへの僻(ひが)み?」
「ち、違うよ!」
(いけない、爆弾ワードだった……!)
あたしは自分の言葉に後悔した。
クコンちゃんは、ぺったんこ族だから……。
「いいよね。あなたもケイちゃんも出るところは出てて。あたしも欲し――! 可愛い下着着た~~い!! ううっ」
それは恨めしそうな面持ちだった。
「クコンちゃん……。……せっかくだから、以前にスバル君に教えてもらったバストアップ法試してみる?」
「……何で男の子がそんなこと知って……あなたたち、もうそこまでの関係まで進んでたの!?」
「違うよッ!!」
これにはあたしも驚嘆ものだった。いささか誤解と偏見が生まれていた。
「違う違う! スバル君は知的障害者で、その施設の先生方がこっそり話していたのを聞いたんだって!」
「……そゆ事。なるほどへ~……知的障害者か……。!? 嘘ーっ!!」
驚きだった。
(まさかあのスバル君が……ッッ!?)
「……! ……!」
「……! ……!」
あたしは、クコンちゃんに事情を説明してあげた。
スバル君に関わる個人情報なので、それが侮辱罪に繋がるため、伏せさせていただく。この場に本人がいないため、またしても誤解と偏見が生じやすいからだ。
☆彡
――で、その後、あたしたちは、その方法を試してみることにした。
今、あたし達はベッドの上にいて、クコンちゃんの後ろにアユミちゃんが周っている状態だ。
「ここを、こうして……」
「んっ……なんか効きそう」
それは乳房(ほとんどないけど)の横肉を刺激するというものだった。
おっぱいの側面には、乳腺が集まり、刺激を受けやすく、性感帯を刺激し、脳から女性ホルモンが分泌されやすいからだ。
一応のバストアップ効果があるのは、事実だ。
「でしょう! あたしも試したけど、最初はくすぐったいんだよね。でも段々と……」
「んっくくく……アハッ……ッッ……ん……んんっ……んっ……ハァハァ」
「効いてくるんだよね~これが!」
「ちょっと待って!」
「ん?」
クコンちゃんが、あたしの方に、顔を向けて。
「あんた。いつもこんなことをッ!?」
「普段の入浴中にね。スバル君がどうしてもー! ここばっかり見てくるからね。ドキドキしちゃう」
「そっそうなんだ……へ~……んっ」
「ここにはたくさん乳腺が走ってるんだよぉ」
「にゅ……乳腺……そう通りで……んんっ」
とあたしはその時、耐えられなくてモゾモゾ体を動かしたの。ダメッ、効くっ。
あたしはその時、たまらなくなり、ボソッと呟いたの。
「ハァ……おっぱいが大きい子が好きなんだあの子……」
あたしは頬を赤らめた。
☆彡
【――その夜】
寝床に付いたクコン(あたし)は、真剣に考えていた。これからについて。
「……」
★彡
――思い出すのは食事風景の場面だ。
アユミちゃんがスバル君に、こう質問したのが始まりだった。
「ねえ、スバル君。開拓者って何をするの?」
(そらきた!)
ビクッと僕は反応した。
「う~ん……」
と少しは選ぶ言葉を考えて。
「……僕が聞いたのは、商業別組合ギルド(シネツニーア)から委託を受けた調査をもとに、様々なことを行うんだよ!
代表的なのは、在来種を護る為に外来種の討伐!
次に貴重な薬草や鉱石等の採取!
そして、一般人が立ち入ることができない危険区域に入る等して、色々な奉仕活動を行うらしい。
後、未発見の生物や鉱石等を発見する等して、多岐の仕事に渡るみたいだよ」
「色々するんだね!」
「すごいなあ!」
とアユミちゃんもクコン(あたし)も感心する思いだった。
次に口を開いたのは、ヒースさんだ。
「そこでスバル君は、仲間を募集しているんだ! ただし! 緊急の場合を除いて、基本メンバーは6人までと定まっているけどね」
これにはあたしも驚いて、呟きを落とした。
「たったの6人……」
さらにヒースさんが話を続ける。
「そんなに少なくないさ。
1人で活動している開拓者(プロトニア)もいるくらいだからね!
そうだな――例えば報酬を受け取るだろう?
その取り分を分け合うときに、問題になるのが配給率だ!
だからそれが嫌な人は、1人なし2人で活動してるんだよ。
今ではバランスが取れた人数が、3人だとわかってきてるからね!」
「3人……」
随分落ち着いた人数だった。
ここでスバル君が、その代表となるメンバーを告げる。
「まず僕! 次にL! そしてシシド」
次に口を開いたのはヒースさんだ。
「レグルスさんも候補に挙がったんだけど……なにより一般人を殺し過ぎてて、そもそも開拓者(プロトニア)試験を受けられない状態なんだよ。誠に遺憾だけどね……」
「うん……」
落ち込むスバル君。そこだけは残念だった……期待の戦力なのに……。
「……2人はどうするの?」
とシャルロットさんが付け加える。
「……」
「……」
あたしたち2人は考えた。
「……できれば、アユミちゃんには残ってほしい。ここに」
「……それは、なんで?」
「君が、大切だからだ。君を失えば、僕は戦えなくなる……気がする」
「……」
それは遠回しに、愛情表現の1つだった。
「帰る場所は、失いたくないんだよ……」
「……」
あたしはスバル君にそう言われ、俯いて考えた。
「……」
頬を赤らめるアユミちゃん。
(ズルいよスバル君……。そんなこと言われたら……)
「……」
あたしは頬を赤らめていた。
これにはLもニヤニヤしていた。
「なに?」
「別にー!」
と僕は愉快げだった。いいないいな。
「……で、クコンちゃん。あなたはどうするの?」
そう言ってきたのはシャルロットさんだった。
「……」
あたしは俯いて考えた。開拓者(プロトニア)になるかどうか。
「ここにアユミちゃんと残って、彼等の帰りを待つのも1つの仕事だよ」
「決めるのは、あなたよ」
「……あたしは……」
ヒースさん、シャルロットさんが、クコン(あたし)に話しかけてきた。
けれど答えられず……そこでその話は打ち切られた。ダメ、答えられるわけがない。少なくとも今はまだ。
☆彡
――そして、現在。
あたしは寝返りを打った。
「あたしの……未来……」
そして、あたしは目を瞑って、就寝に入ったのだった……。
TO BE CONTIUND……