雨上がりにかかる 虹のような妻との約束

瑞貴

 妊活のため仕事を辞め、自宅でイラストレーターの仕事を始めた美里は、ある検査に『要精密検査』の判定がでた。それを結婚7年目の夫の武尊に相談するも取り入ってくれず――。

「ほらっ、不妊症の検査をするからって、病院に行ったでしょう。それで、次は武尊も一緒に来てだって」
「ええぇ~、俺、絶対に嫌だって。面倒だし」
「なによそれ。絶対に子どもが欲しいって言ってたのは、武尊でしょう」

「絶対にやだね。不妊の検査をするって言い出したときに、俺の検査はしないって言っただろう」
「それは分かってるって。違うの……なんか、検査の結果を武尊にも伝えたいんだって」
「別に聞かなくてもいいよ。俺は休み取れないし」

「ねぇ、お願いだから一緒に来てよ。検査の結果だよ!」

「とか何とか言ってさ、俺を騙して病院に連れていく魂胆なんじゃないの? 夫へ妻の検査結果をわざわざ聞かせるって変だし」
「ち、違うわよ。本当なの!」

「どうかなぁ~。でも、何回頼まれても無理なものは、無理だって。今の契約が取れるかで、昇進もかかっているんだから。どうせ急がない話なんだし、来年に入ってからでもいいんだろう」
「ええぇ~。そうなると、1か月半も先になるじゃない」
「いいって、いいって。まあ、来年じゃなきゃ無理だから、早く聞きたいなら一人で行きなよ」

 どうしてあのとき、すぐに受診しなかったのか――。
 11月22日が来るたびに思い出す、最愛の妻の笑顔を――。

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