vs, ブロブ Round.5
ボクの自宅ではない。
例のモデルハウスだ。
当然、ジュンとクルロリも同席している。
ラムスの横にボクが座り、正面にはジュンとクルロリが相席。卓上に置かれているパモカは、ボイスレコーダー代わりだ。
「それでは質問を開始する」
相変わらずの無感情でクルロリが法廷開幕を宣言する。
「その前に
「特に心傷も外傷も無い。単に気を失っただけ」
「……そうですか」
呟き漏らした
「そもそも、あなたのせいじゃない! 無関係なヒメカちゃんを巻き込んでおきながら、何をいまさら!」
感情任せに
ラムスは
その
「もう、少しは落ち着きなよ? ジュン?」
──ふにん!
「ひにゃあ!」
珍妙な悲鳴を上げて固まった。
ボクが
で、ビビビビンタ!
「おぶぶぶぶッ!」
「流す! 荒川に流す!」
「うう……
「余計に
矛先がボクへと推移した。
唐突な展開に、ラムスが面食らっている。
ボクにしてみれば、いつも通りのやりとりなんだけどね。
ともあれ、場の雰囲気は一変。
未経験の
「ま、ヒメカなら心配いらないっしょ」
「マドカ?」
ジュンが目を丸くしていた。
予想外の
「あれでもボクの妹だからね。わがままで
ラムスは
うん、それでいい。
とりあえず笑っておけば元気が
きっかけは何だって構やしない。
もっとも、クルロリだけは平静なまま。
「まず、最初の質問は──」
「何故〝メイド〟なのか……だよね?」
「──違う」
割り込んで主導権を
「初めて地球に来た際、捨ててあった雑誌を見て
素直に回答するラムス。
と、ジュンが驚愕ながらに問答を
「って、ちょっと待って!」
「何さ? ジュン? 急に血相変えて?」
「地球に……来た?」
「はい」と、温顔ニッコリ。
……うん?
言われてみれば、ちょっとした違和感。
「ラムスってば、元々〈
「ええ」と、涼しく返してくる。「
衝撃的な真実に、ボクとジュンは追求せずにいられなかった!
「どういう事さ! クルロリ!」
「そうよ! 〈ベガ〉は『
「そうだよ! 何で宇宙怪物が〝Eカップ〟なのに、ボクは〝Aカップ〟のままなのさ!」
「
スパーーンと顔面ハリセンで
「イテテテ……ってか、何さ? そのハリセン? どっから出した?」
「コレも自作アプリよ。周辺空気を超圧縮形成して、その領域に立体映像を投影。質量も音量も任意に変更自在な
秀才通り越して天才か。
「何の役に立つのさ! そんな酔狂アプリ!」
「いま! 此処で! 役に立った!」
「……ああ、そっか。ツッコミ役の必需品か」
「
「漫才、もういい?」
クルロリが無関心に流れを戻した。
「定義として〈
「何さ? その〈ヒトデノム〉って?」
「ヒトデを飲んで、どうするのよ。そうじゃなくって〈ヒトゲノム〉よ。要するに〝人間の全染色体配列情報を解析した膨大なDNA構築式〟とでも言うか」と、ジュン先生。
「日本語で言って?」
「……日本語だ」苦虫顔で
「つまり『この商品にパイロットは付いていません』みたいな?」
「……それは知らない」
知っとけよぅ。
昭和世代が感涙するフレーズだぞ?
「じゃあ〈ベムゲノム〉って?」
「つまりは〈ベム〉の
ジュンの解釈を肯定するかのように、クルロリが続ける。
「基本的に〈ヒトゲノム〉は〈ベムゲノム〉より
と、ここまで淡々と羅列していたクルロリは、ボクの
「
「うん、
「よかった。説明を続ける」
ボケが通じない。
「けれど、根本的な疑問は残る。そもそも〈ベム〉に
クルロリの
「〈ブロブベガ〉のラムス──アナタが、どういう経緯で〈ベガ〉へと再誕したのか詳細を知りたい」
「正直、
「ある日、突然?」
ジュンの
「もう半年ぐらい前に
「つまり、
「ええ。それに
「じゃあ、キミも
ボクは重大な見落としに気付く!
「何ですの?」
「
「どうでもいいわーーッ!」
「おぶぅ!」
顔面ハリセン、二度目の炸裂!
「あなたって
「うう……せめて『
「
柔らかに
「で?」と、ジュンが仕切り直す。「あなた逹〈ベガ〉の……というか〝ジャイーヴァ〟の目的は?」
「さて?」と、
あ、これってばジュンが嫌いな茶化し方だ。
「ふざけないで!」
ほら、キレた。
けれども、ラムスは
「別にふざけてなどおりませんわ。
「ふぇ? 契約?」
「ええ。
「それってば、やっぱクルロリの宣戦布告のせいじゃないだろうな!」
「……にしては妙ね」ジュンが噛み締めるように
あ、言われてみればそうか。
「まさか宇宙動物園で飼うつもりじゃないだろうな? 『ウル ● ラマン80』に登場したバ ● タン星人みたいに?」
「知らない知らない」
全員連帯で手をブンブン振っていた。
知っとけよぅ?
国民的スーパーヒーローの