vs, ブロブ Round.4
「さっきはオバケ扱いしてゴメン! メタルオバケ!」
いや、いまも言ってるけど?
「見てて判った……ヒメカを守ろうとしてくれているんだよね?」
ようやく判ったか、
それが心身を
「大丈夫! メタルオバケなら立てるよ!」
「ク……ッ!」
ダメージを
「だって、胸ペッタンだもん! 重くないよ!」
「ぅだらぁぁぁああッ!」
どんな声援を向けてくれてんだ! この
ともあれ、アホらしくも復活できた。
吹き抜けを
「貰いましたわ!」
結果、頭だけ出した
「懐かしの〝風船おじさん〟かーーッ!」
必死コいて
だけど、鉄拳も蹴りも内壁に沈むだけ!
ノーダメージに吸収されちゃう!
「クソッ! まったく効いてる様子がないじゃんか! まるっきり『
『マドカ、それを言うなら〝
パモカからのツッコミ。
と、ボクは違和感を覚えた。
じわじわと
ふと視線を落とすと、
「しまった! そういえば〈ブロブ〉って、溶解捕食するんだっけ!」
「クスッ、その通りですわ」ボクの
冷酷さを
「SFの鉄板設定まで
『何を
「ふぎゃぺれぽーーッ!」「きゃあああーーッ?」
怒気を具現化したかのような電撃が、ボクとラムスを直撃した!
ってか、何だ! このプチ天罰は?
「ジュン! いつの間に放電能力なんかを?」
『んなワケないでしょ。これはパモカのリンクリモートコントロール機能──つまり私のパモカで、あなたのパモカを遠隔操作してバッテリー放電させたのよ』
「ふぇ? んな機能あったの?」
『私のは……ね。アプリを自作したから』
宇宙科学アイテムのアプリを自作って……さらりと言うけど、どんだけ秀才?
「ってか、何故そんな機能を?」
『あなたの脱線暴走を
「それって、おしおきをチラつかせた
『仕方ないでしょ。本当は私が直接目を光らせていたいけれど、一緒に前線へ立てないんですもの』
「ジュンの言う事なら、ボクは素直に聞くっての! 軽めのご
『軽いご
「ううん、
『
「ふぎゃぺれぽーーッ!」「ひあぁぁうん!」
『あ、なるほど。彼女は〝液状生命体〟だから、電導率が高いんだわ。これって有効策かも』
「ちょっと待って?
『うん、知ってる』
いや、屈託なく明るい抑揚で「知ってる」って……そこはかとなく日頃の恨みを感じて、怖いんですけど?
『
「充分、絶対、頑として、イヤだよ!」
『星河ジュン、追加攻撃を要望する』
「ちょっと待て、クルロリリャレルラララレレリロパアーーーーッ!」「いやぁぁぁあああああッ!」
そして、充分な間合いにメイド姿を再形成。
まあ、それはボクも同じだけど……。
「ゼェハァ……ねえ、大丈夫? 顔色悪いよ?」
「フ……フフ……どうやら
「やりたくてやったわけじゃないよ!」
「正直、
「うん、そだね。ボクも限界だし」
双方思った以上に電撃ダメージは大きい。
だから、ボクも身構えた。
彼女の根性に応えるべく。
半身を
ラムスの
「知っています? 高水圧の切断力は、ダイヤモンドすら切れますのよ」
「ああ……それ、そーいうのか」
よく見りゃ細かい刃が無音に高速回転している。
ウォーターカッターを応用したチェーンソー構造だ。
張り詰める緊迫!
そして、互いに間合いへと駆け出した!
「うりゃあぁぁーーッ!」「たぁぁぁーーッ!」
この一撃で
そう確信した
声の主は、ヒメカだった。
「んしょんしょ……ラムスちゃんもメタルオバケも、もうヤメてよ! んしょんしょ……」
二階から降りて来ようと、天井からの大穴にへばりついている。その不格好な
「ヒメカ? あ……危ないですわよ!」
「そうだよ!
「やだ!」
聞き分けなく「やだ!」じゃないだろ。この万年反抗期。
もともと激戦被害で無造作に破壊された
それでも何とか安定した
ってか、そもそも二階の高さから飛び降りれるのか?
「んしょんしょ……ヒメカは、どっちが倒されてもイヤなの! メタルオバケはヒメカを救けようとしてくれたし、ラムスちゃんは〝ヒメカのお友達〟だもん! だったら仲直りして! んしょんしょ……」
ヲイ、仲直りって何だ。
ボクとコイツは〝ティートモ〟じゃないぞ。
「甘ちゃんですわね」乾いた
「そんなの知らないもん! 友達だもん!」
「先程、
「襲わないもん!」
「……え?」
「さっきは確かに怖かったけど、ラムスちゃんはヒメカを襲ったりしないもん! 絶対絶対絶ッッッ対に!」
ヒメカの主張に根拠なんか無い。
それは重々承知。
この子の性格は、よく分か……っていないかもだけど、性根はよく分かっているつもりだ。姉だし。
だから──「……ヒメカ」──ラムスからは戦闘意欲が完全に
「んしょんしょ……二人共、ヒメカはね……んしょ……ヒャア?」
崩れた!
言わんこっちゃない!
あのバカ、頭から落ちているじゃないか!
「ヒメカッ!」
条件反射で駆け出した!
その瞬間、ボクの顔脇を
視界の隅から追い越したのは、緑色の
全身
そして、見事にヒメカをキャッチ!
「ナイス! ラムス!」
早急に駆け寄って
メロンゼリーの表面に浅く沈んだヒメカは、目を回して気絶していた。
「ふみぃぃぃ~~?」
「ったく、この
「…………」
「ラムス?」
「……あ」
ボクの呼び掛けに、ようやく気が付いたようだ。
「まったく、つくづくお人好しですのね……
しかし、これは〝
うん、
だから、ボク達が戦う理由も無くなっていた。