vs, ブロブ Round.3
「
「そだよ?」
「では、
「うん」
「……そう、妹さんでしたか。運命の
「どしたの?」
「残念ですわ、ヒメカ……こんな巡り合わせでなければ、素敵な友達になれたでしょうに」
眼前で
変質部位の体色が
「心の底から嬉しかったですわ。
「ひっ?」
異形の正体を
「おとなしくして下さいませ。誓って、手荒な真似は致しませんから」
「いや……いやあ!」
だから、知らない人を家へ上げるなって!
幼稚園で習ったろ!
えぇい、もう!
世話が焼ける!
「毎度ーーッ!
ボクは天井を突き破り、ミサイルキックを喰らわせた!
上半身にクリーンヒット!
まだ人間形態を維持していたせいか
「あうッ!」
『ちょ……っ? マドカ、何やってるの!』
「アハハ、ゴメン。ボク的に限界だった」
空々しく謝っておく。
「さてと、言いたい事は
顔面に叩きつけてきたよ。教科書が詰まった通学
「いきなり何すんだーーッ!」
「ふぇ……ふぇぇん! お姉ちゃ~~ん! うわ~ん!」
今度は
「情緒不安定か! オマエは!」
「うるさいオバケ! 変な事したら、お姉ちゃんに言いつけるんだから! ヒメカのお姉ちゃん、胸ペッタンだけど強いんだからね!」
お姉ちゃん、目の前にいるからな?
後で覚えとけよ?
場違いな姉妹喧嘩が展開する
「コイツ、やっぱり〈ブロブベガ〉か?」
「ようやく
「ああ、そういうのは別にいいよ。悪いけど〈ベガ〉の自己紹介とか興味ないもん」
無関心ながらに
とりあえず、ボクは
そこを
「どういうつもりですの?」
「この子は関係ないからね」
そう告げて、ボクはヒメカを
「……なるほど」
淡い苦笑を含むと、怪物少女は素直に
「ごめんなさいね、ヒメカ」
怯える瞳と
静かに優しく──そして、
臨戦体勢で警戒するボクに反して、対峙するラムスは貞淑な物腰に
「正直、厄介な相手だなぁ」
ボクの懸念を拾い、ジュンが訊ねる。
『その〈ブロブ〉って、どんなヤツなの?』
「古典的なベムで、平たく言えば〝宇宙アメーバ〟だよ」
『要するに〈スライム〉みたいな?』
「それ、逆。ファンタジーの定番モンスター〈スライム〉は、実はSFモンスターの〈ブロブ〉をモデルにしているんだ。つまり、コッチの方が元祖」
『ふぅん? さすがに、その手の雑学は詳しいわね』
「趣味だもん。怪獣とかロボットは」
『……あなたって、つくづく
「どゆ意味さ! 全国のAカップに謝れ!」
『ああ、ゴメンゴメン! そういう意味じゃない。胸じゃなくて、趣味の事』
「そなの? じゃあ、いいや ♪ 」
『……男の子呼ばわりは拒否しないんだ』
「だって、好きなモンは好きだし♪ 」
『うん……まあ……あなたが良ければ、それでもいいけど……』
「ちなみに〝マックィーンさん
『その蛇足情報、
ごもっとも。
「それはさて
『そう考えると、確かに厄介ね』
ジュンとの思念会話を、不意にラムスが邪魔立てた。
「先程から仕掛けてきませんわね? ならば、こちらから行かせて頂きますわ!」
次の瞬間、彼女の右腕がスケルトングリーンの
凶暴な大蛇と化して突き迫った!
「うわっと?」
真正面から両腕で掴むと、根性任せに
「ぐっ……まるで軽トラみたいな衝突力だな! んにゃろ!」
渾身の力で一本釣り!
本体を引き寄せる!
「きゃあ?」
可憐な華奢さが示す通り、パワーバトルに
そこを
命中予定の腹部がグニャリと
どてっ
「先程のような不意打ちならともかく、攻撃が予見できていれば造作もないですわ」
「この〝ミス・ブラックホール〟め!」
ありとあらゆる連撃がエクササイズでしかない。
「はい、ワンツー♪ ワンツー♪ ラララライ♪ 」
「って、何だーーッ! この『ビ ● ーズ・ブート・キャンプ』はーーッ!」
もはや化石のソロダンス……もとい攻防の
長い
「危なッ!」
鎌首
そのままバック転に距離を取ると、硬度
スカートに仕込まれたヘリウムバーニア機能だ。
これらのテクノロジーは、有無を言わさず〈PHW〉が〝超科学の結晶〟たる証明だった。
ちなみにスカートは形状記憶繊維製らしく、バーニア噴出時には
そうでもなければ、ボクだって使わないよ。単なる露出狂だもの。
「飛行能力を御持ちでしたか……少々面倒ですわね」
滞空するボクを仰ぎ、ラムスは
夜空から彼女を
あまりの精巧さに
「うわっと!」
これも
「
すぐ耳元で聞こえたからだ!
いましがた
いや、触手と本体の位置関係が入れ替わった……と言うべきか。
彼女の上半身がボクの
ヌッとボクの顔を覗き込んだ愛らしい美少女が、小悪魔的に
「
「……え? 無いの?」
「ええ、基本的に
思考停止に
「うひぃいい~~ッ!」
屋根を突き抜け!
二階部屋を貫通して!
一階キッチンの床にクレーターを刻んだ!
「グ……ウゥ!」
体内から軋む痛み!
あまりの衝撃に意識が
虚脱の視界に入るのは天井の破壊穴と、そこから覗ける夜空の瞬き。
「しっかりして!」
姿無き声援が聞こえた。
ポッカリと開いた天井の大穴からだ。
(ああ、ヒメカの眼前をブチ抜いたのか……)
(あの子、無事だよね?
この状況でも、こんな事を考えてしまう……自分が笑える。
やっぱり、ボクは〝お姉ちゃん〟なんだな。
普段は