バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

行動あるのみです

 予定を組んだ次の日から早速行動を開始しました。
 朝7時に起床して着替えて女神像へお祈りをします。
 終わったら、朝食を食べて大聖堂の掃除をして、慈善活動に入ります。
 と、言ってもただ黙って待っていても人が来る事はありません。
 なので、こっちから出向く事にしました。
 看板には『無料懺悔会』と書いて『懺悔、相談、愚直、なんでも聞きます!』とのぼりを立てて町の広場に机と椅子を置きました。
 町の人達は興味津々で私を見ています。
 一人でも来てくれれば良いのだけど、流石にいきなり来る人はいない。
 呼び込みすれば良いのだけど、流石に商売では無いので出来ない。
 待つ事、数分。
「あの・・・・・・、よろしいでしょうか?」
「はい、なんでしょうか。お話したい事があればなんでも聞きますよ。」
 最初のお客様は若い女性の方だ。
「無料で聞いてくださるんですか?」
「えぇ、私リーズハルト修道院の見習いシスターのキャロルと申します。お悩みがあればどうぞこの場で吐き出して下さい。人に聞かれたくない事でしたら修道院に来て頂ければ聞きますよ。」
「実は付き合っている男性がいるんですが結婚しようか迷っているんです・・・・・・。」
 いきなり恋愛相談ですか、婚約破棄された私に。
 ちょっと苦笑いしながらも私は女性の話を聞いた。
「・・・・・・という訳で、私は早く結婚したいんですが彼がプロポーズしてくれなくて・・・・・・、私の事が嫌いになっちゃったのか不安で・・・・・・。」
「なるほど・・・・・・、貴女はご自分の気持ちを相手に伝えた事がありますか?」
「いいえ・・・・・・。」
「まずはご自身の気持ちを伝える事が大事だと思います。思っていても伝えなければ意味はありません。」
「でも、もし彼が拒否してきたら・・・・・・。」
「でも、貴女はハッキリさせたいんでしょう? 貴女自身が後悔したくなかったら行動するべきです。それでもし貴女が思っていない未来が待っていたとしても、それはきっと貴女の人生の糧になります。」
 これは私自身に対しての言葉でもある。
 もっと積極的に王太子様とコミュニケーションをとっていれば、好きな事を態度にとっていれば、私の未来は変わったかもしれない。
 だから、目の前の女性には結果はどうあれ後悔してもらいたくないのだ。
「・・・・・・そうですよね、やっぱり伝えないと駄目ですよね。ありがとうございます。私、ちょっと勇気が出てきました。」
 どうやら私の言葉が刺さってくれたようだ。
 明らかに表情が違っていた。
 何かを決意したような目だ。
「私、彼に気持ちを伝えます。それでもし振られても後悔はしません!」
「えぇ、その覚悟があればどんな結果になっても大丈夫だと思いますよ。」
「シスター様、お話を聞いて頂いてありがとうございます。」
 そう言って女性は去っていった。
 その後も、相談者が来て初日から良い感触を得た。
 

しおり