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「おにぎり貰ってもいい?」
「え?」
僕の言葉に愛は驚いている。
「折角お弁当作ってくれたんだし……
お腹が空いたから、何か食べたい」
「うん!
あのね、卵焼きも美味しいよ!
お兄ちゃんのために、いっぱい練習したんだよ!
あとね、きんぴらごぼうも美味しいんだよ!
それでね、からあげも…」
愛と一緒に、お弁当を食べた。
楽しかった。
このしあわせが、永遠に続けばいいのに……
本気で思った。
だけど。
世の中には永遠なんてものは存在しない。
終りがあるから、しあわせを感じることが出来る。
しあわせがずっと続けばそれはしあわせじゃなくなる。
「お兄ちゃん……」
「うん?」
「大好きだよ……」
愛が、そう言って僕の唇にキスをした。
その瞬間、世界が広がった……
今までの、愛との思い出が走馬灯のように蘇った。
まぶしい光に包まれ、僕は瞳を閉じた。