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誰かが僕の体を揺する。
「ちょっと起きなさい」
目を開ければ瞳が心配そうに僕の顔を見ている。
「瞳、どうしたの?」
「今日は、奈々ちゃんとデートなんでしょ?」
「あ……」
そうだった。
水谷さんと約束していたんだった。
「今、何時……?」
「もう9時半だよ?」
「やば……」
「待ち合わせ何時だったの?」
「10時……」
「うわ、ちょっとヤバいね」
瞳が不安そうに呟いた。