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次の日、先生だけが帰って来た。
「先生、愛は?」
先生は、消え入りそうな声で答えた。
「愛ちゃんはね、暫く病院でお泊りする事になったの」
「えー
いつ、戻ってくる?」
先生は、首を横に振った。
「近くの病院だから、また今度一緒に遊びに行こうね」
先生は、そう言うと自分の部屋に向かった。
僕たちは、それ以上聞く事が出来なかった。
子どもだった僕の目から見ても、先生が疲れていることがわかったから。
「お泊りって入院したって事かな?」
瞳が、僕に尋ねる。
「たぶん……」
僕はうなずいた。