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「トーストを焼いただけでしょ?」
「ちがうもん」
「もしかして、生地から作ってくれたの?」
「そうだよ、美味しく食べてもらおうと朝早起きして一生懸命作ったんだよー」
「そうなんだ。ごめん。ありがとう。
美味しかったよ」
「うん。
真白が美味しかったって言ってたってパン屋さんに伝えとくね」
瞳は、くすりと笑った。
「って、もしかして瞳がやったのは、パンを焼いただけ?」
「あははは!」
「誤魔化さないでよ」
「ほら、早く食べないと遅刻するよ」
僕は、トーストをかじりながら一気に味噌汁を飲み干した。
「水谷さん、ごちそうさま。
美味しかったよ」
「……はい」
「ちょっと私には?」
「…もう少しがんばろう」
瞳は僕の頭に、チョップした。
「もう、知らない。
奈々ちゃん、早く学校に行こう」
「はい」