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水谷さんと瞳が玄関を出て姿が見えなくなる。
僕は、どうしようかな。
とりあえず、歯を磨くか……
僕は、歯を磨きゆっくりと玄関を出た。
鍵を閉め、いつも水谷さんと別れる十字路。
そこで、水谷さんが待っていてくれていた。
「先に行ったんじゃなかったんだ?」
「待ってました」
「どうして?」
「なんとなくです」
「そっか……」
「ありがとうございます」
「え?」
「味噌汁、美味しいって言ってくれて」
「いや、普通に美味しかったよ?」
「『美味しい』って言ってくれたのは、結城君が初めてです」