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いつもの十字路。
言いにくそうに、水谷さんが言った。
「私は、ここで……」
「うん、お弁当ありがとうね」
「いえいえ」
「すごく美味しかったよ」
「ありがとうございます」
「また、作ってね」
「それは、瞳さんに怒られます」
「怒りはしないと思うけど?」
水谷さんは、ニコリと笑うと手を振った。
僕も手を振り、水谷さんを見送った。
はぁ……
なんか、愚痴ったみたいで嫌だなー
僕は、自宅に向かった。
今日は、瞳が先に帰ってきているみたいだ。