やっとの思い
ヨシキはカオルが泣き止むまで、しばらく黙って見守ることにした。
そして数分たつとカオルは泣き止み、笑顔を見せながら言う。
(おそい、おそいよ、ヨシキ、
やっと、やっと会えたね。
私の名前はカオル、サカキバラカオルだよ、もう私のことを忘れちゃった、私はずっと待ってたんだよ、ヨシキのことを······)
その言葉を聞いたヨシキは動揺しながら驚いた。
思わず、飲んでいるコーヒーのカップを飲む手を止める。
ヨシキは言う。
(おまえ······だったのか······カオル、すまないな、ずっと待たせて)
こうしてカオルとヨシキは再会した。
それからカオルとヨシキはいろいろなことを話した。
そろそろ話にも飽きると、ヨシキは言う。
(早いな、時間がたつのも、もうそろそろ昼の時間か、カオル、俺さ、腹へった、なにか食べに行かないか、お前さ、今日は時間あるか······)
と言う。
カオルは心が満たされる感じをしながら言う。
(うん、今日一日、空いてるよ
なんかだべにいこ、ヨシキのいきたいところならどこにでもいくよ、あたし·····)
と言って顔を赤らめた。
2人はどこにいこうかと話し合っていると、カオルは言う。
(そうだ、ヨシキ、どうせいくなら私さ、海が見たいよ、今から江ノ島いかない
そこで海を見ながら海鮮丼食べたい······)
と言って、ヨシキに甘えた。
ヨシキは少し考えてから答えた。
(わかったよ、カオル、今から江ノ島に行こうか、そこで海を見ながら海鮮丼食うか······)
と笑顔で優しく言った。
カオルは笑いながら答えた。
(わかった、じゃあ、行こうか)
カオル幸せでいっぱいだった。
ヨシキは言う。
(カオル、バイクでいくぞ、予備のヘルメットは持ってるからさ······)
と言った。
2人は喫茶店を出ると、カオルがヨシキの手をつかんだ。
ヨシキは笑いながらバイクの止めてある駐車場に行く。
駐車場につくと、例の緑色をしたバイクが置いてあった。
ヨシキはポケットからキーを取り出すと、バイクに差し込んで、エンジンをかけた。
シートボックスから予備の黒いヘルメットを取り出してカオルに渡す。
ヨシキはバイクの手にぶらさがっていた緑色のヘルメットをとり、被った。
カオルもヘルメットを被った。
ヨシキがバイクに乗ると言う。
(カオル、乗りな······)
カオルは乗るとヨシキのお腹に両腕を回してしっかり握る。
ヨシキはゆっくりと走り出すと、駐車券のお金をはらって走り出した。
江ノ島の場所は、ケータイで知られながら行く。
バイクは安全運転をしながら走った。
カオルは景色を見ながらしがみついていた。
そしてやっとのことで江ノ島に着いた。
江ノ島の駅の近くにある駐車場にバイクを奥と、2人は再び手をつないで駅に向かった。
駅の近くにある店で、写るんですよ、という写真機を買う。
もちろん代金はヨシキがはらった。
カオルはまんべんの笑顔ではしゃぎながら江ノ島の駅で、通行人に頼んで、2人でうっっている写真を撮った。
カオルとヨシキにとって最も大切な一枚の写真になった。
その幸せそうな2人を少し離れた場所から見ていた者がいた。
その者は外国人の美しい女性だった。
この人物こそ、呪われた人形のイエズラが人間の姿に変えたものであった。
イエズラは、人間であったときの本名をネルモアと言う。
彼女は笑みを浮かべながらカオルたちに近寄った。