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第4話ー魔力ー

おっさんに連れられて来たのは地下深くだ。
なぜわかるかって?僕らはエレベーターに乗って下降している最中だかだ。
なぜエレベーターがあるかは分から無いらしい。かなり古くから置いてあった様だ。

えー、なになに。記録によると、1世代前の勇者御一行が作ったらしい。
その時に『魔物』を退治してくれなかったの?ねぇ。

さて、到着した様だ。
「さぁ、着きました。6階、クリスタルの間です」
そこには大きな青く、ガラスの様な透明度の宝石が置いてあった。
「これが太古の昔より女神ハネオラによって我らに与えられた青のクリスタルです。これの青が我らアガリの国旗に使われていて……」

語り出したのでカットで。それと、記録によるとこのクリスタルは2代目の勇者が青龍を倒して取ったものだそうですよ。
蔵書されてるのは.……ハネオラ教立図書館、秘書室のB3の棚らしい。この能力、書籍検索に便利だな。
しかし、こういう記録は宗教によって封印されているのか。これは酷いな。

宗教は関わりたく無いんだけどなぁ……真実を隠すのはどうかと思うよ。
この本が事実かどうかは分からないけどさ。

さて、話を戻そう。
おっさんによると、職業とステータスを確認する為には魔力が必要だそうだ。
魔力とはよくわかっていないが、空気中に窒素の様に浮遊しているエネルギーの様なものだと。
ステータス画面にある魔力は?あ、魔力保有量なのね。魔力を体内にいかに保てるかだって。
どうやって保存しているかはわからないらしい。

ここの学者はポンコツだな。
過去の論文にどうやって保存されてるか書かれているよ。
僕には理解できないけどね!
アブストラクトを読むに、内臓から魔力は吸収され、血管とは異なる管で運搬され、臍から3寸下にある丹田に蓄積されるらしい。
また、丹田に力を入れることにより、魔力が生産されると。ほぅ。今度やってみよう。

閑話休題。
クリスタルから水が染み出すからそれを飲めば、魔力を得られるらしい。
これが魔力ポーション(魔法を使うと体内の魔力が消費されるので回復させる薬)らしい。
大々的に言ってるけど、ビンに液体を詰めて売ってるんでしょ。なら上で良かったよね?

女子共がうっとりしてるよ。何考えてるんだか。

出席番号順に湧き出る水を飲む事になったみたいだ。
水を飲んで『ステータス』と唱えると見れるらしい。
説明では他人のは見れない様だ。

水を飲む順番は、僕はヤ行だから最期の方だ。
暇だな。あ、さっき論文に書いてあったものをやろう。
臍から3寸しただろ。3寸は何センチよ?9.09センチね。てか、なんでこっちの基準が使えるのかが不思議でならないし、言葉がなぜ通じるのかも意味がわからない。
まぁ、9センチだ。膀胱のあたりか?

あれ、これ難しいぞ。どうやっても腹筋に力が入ってしまう。やはり練習しないと難しいのか。
これから、寝る前にやってみよー。

順番がやって来た様だ。
クリスタルから出た水を飲む。ほんのり甘くて舌触りの良い水だ。
喉をスルリと通り抜ける。これは上手いな。いくらでもいけそうだ。

これでステータス欄に【体力】と【魔力】が追加されるはず。



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名前:八代(やしろ)樹(いつき)
性別:不明
職業:閲覧者・勇者
体力:2718
魔力:6510
技能:エンターテイナー2、演者3、精神3、
能力:閲覧
称号:異世界の人間、魔力オバケ
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うは。体力と魔力がつりあって無い。もうこれ酷いよね。
【称号】に魔力オバケって追加されてますけど!これは酷いよね!怒っていいよね。

人間の平均値が【体力】、【魔力】、共に1000らしい。
2.7倍と6.5倍あるんですけど。

ヤバい。周りの人のステータスを覗いてみる。

うん。クロナンタラは僕より【体力】が多いね。彼は常人の3.9倍ある。頭おかしいのかな。
この中で1番低くても、【体力】は2500台だ。【魔力】は200台のクロナンタラが居るが……


「皆さん。ステータスを確認されましたね。それではこちらに…」
また、おっさんに連れて行かれる。またエレベーターですか。

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エレベーターで降りるときに乗った所に戻ってきた。
本当に行く意味あった?これ?

今度、着いたのは大きなホールだ。
ホールの観客席にはマントを羽織ったいかにも偉そうな態度を取って居る人間が多数いた。
入り口の反対側。つまり、センターには王冠を被り赤いマントを羽織って居る王の様な人が声を発した。
「この度、勇者が召喚された。これでこの国が、この世界が救われる」
周りの偉そうな態度を取っていた人々が騒つく。この人々は貴族なのか?暫定的に貴族という事にしよう。
その中の1人が王に問うた。
「王様。この中のどなたが勇者様なのでしょうか?」

その一言で場が凍りついた。
この『ステータス画面』は他人には見えない。そう、僕らは説明された。
しかも、おっさんは確認していない。よって誰も自分以外の職業を知らないのだ。
いや、仲のいい友人には話しているか。
これは、腹の探り合いが始まるぞ。
相手の役職は何か。それを探し出し、生贄として捧げるゲーム。
僕はこのゲームの名前を知っている。

そう。


——人狼ゲームだ。

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