第5話ー離脱ー
王の前で突然始まった人狼ゲーム。勝者は誰だ!?
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現在、クラスメート達が勇者のあぶり出しを行なっているが……トテモツマラナイ。
仲の良い人たちでグループを作ってそれぞれが凄く言い争っています。
「黒田くんは勇者じゃ無いよ。彼の職業は有名人だ」とか
「有名人が職業って何よ!言い逃れるんじゃ無いわ!」や
「久保は槍兵だ。そう自分で言ってた」とか言い合ってるのだ。
とてもくだらない。俺にはカードは見えているんだよ。
まず、今の時点でGM(ゲームマスター)が居ないのが悪い。
この時点でゲームが成り立っていないだろう。
お、男性学級委員長が何か言いたそうだぞ。
「言い争いを辞めぃ!僕らはもっと知的だったはずだ。そう、話し合いを始めようでは無いか。ちなみに僕には職業欄はあるけど空白だったからね。残念だよ……さぁ、それじゃみんなで職業を言って行こうじゃ無いか。取り敢えず、名前順に行こうか、赤元さん」
「私!?、いつも名前順じゃない……私の職業も空白よ何も書いてないわ」
「じゃあ、次、稲本さん」
「同じく空白」
「宇野」
「精霊剣士よ」
「やっと職業が出てきたね。この事は誰かに話した?」
「いや、話して無い」
「それなら信憑性が高そうだ。他に精霊剣士は?居ない?じゃぁ宇野は精霊剣士 (仮)で」
「何よ、(仮)って」
「良いから良いから、それじゃあ次、江崎!」
「……空白」
「小田」………………。
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全員に聴き終えたが、やはり勇者を名乗る人間はいない様だ。
別にこいつらがどうなっても構わないが、とてもツマラナイ。どうせ、勇者でも勇者じゃなくてもここに閉じ込められるんだろ。俺は参戦しないしーー。街を歩くにも護衛が着くんだろうなー。なぜかって?人質に使われるからさ。それで、御一行の行動を止めようみたいな事になりかねない。
こういうのはテンプレートみたいなもので、敵を倒したら家に帰れると誰かが言ってたな。
自宅に帰りたいので行動を止めて欲しく無いんだよな。
まぁいい。兎に角、この城を抜けないと自由になれないんだ。
今、能力で見ている宰相の走り書きみたいなメモに書いてある。
残念。戦略をこっちに読ませたからには勇者は抜け出させて貰いますよ。
代用品(オルタナティブ)が2人も居るんですからね。
きっと彼らには勇者 (オルタナティブ)の字は見えていないのだろう。
しかし、勇者の力はある程度使えるはずだ。少なくとも初級魔法は。
これは賭けだが。やるしか無いだろう。注目を集めるために役者スイッチをオンにするか。
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「ククククク!ハーハッハッハッハッ!おっと、失礼。余りにも愚かなもので、笑ってしまいました。ああ、なんたる幸運か王よ!この中に勇者が2人おりますよ!」
王に向けて言い放つ。これにて開幕だ。
周囲の視線が一気に集まった。
「私はこの中の誰が勇者だか知っています!時に王よ!私めと取引をいたしませんか?」
「王に対して取引だと!?不敬な!打ち首にしてやるわ!」
うるさい貴族だな。
「良い良い。それで取引の内容は?」
さすがだ。器がでかい。
「私から提示する条件は3つです。1つめは私めが自由に行動する権利を頂きたい」
「待て、世は行動を制限せんぞ?」
「フン、貴方はしないのでしょうけど、貴方の隣におられる宰相さんは24時間。常に監視、城外へ逃亡した際には殺害するようですよ。ね?宰相さん?」
「わっ…私はそのような事をするつもりはないわい!」
慌ててるなーもう一押しか。しかも、場所は特定済みだ。宰相の手帳に記載されていた。
プラス、丁寧に管理されているようだ。書類番号まで書かれている。
「本当ですか?それなら、ちょっとそこの兵士さ〜ん。秘密諜報室って所に行ってハンコが押してある資料が保管されている、R9の棚にある6163625番の紙を取ってきて貰える?」
あれ、動かないぞ。あ、秘密諜報室の場所がわからないのか。
「秘密諜報室の場所は、宰s」「辞めないか!」
宰相さんに止められた。うえぇぇん(´;Д;`)
「王よ。このものの申す言葉に耳を傾けてはなりません。このものは嘘を言っておりますゆえ」
相当きてるなぁ
「あれれれ、宰相さーん。何をそんなにプンスカされてるんですか?やましくないなら声を荒げませんよねぇ?なんで今、お怒りになられたんですかぁ?あぁ、それで、宰相室の入り口から見て、奥の左から2番めの棚のうえから3段目の左から……「辞めろ!」なんです?認められるんですか?」
「王よ、これにはちゃんとした理由があるんです。もs」「もしも、勇者の一団の1人が敵に連れ去られた時、に勇者の判断を鈍らせると考えたからです。だろ。その理由は最もらしいよ。ただ、この国を飛び出して亡命する前に仕留めたかったからもあるんだろ?俺らは通常の人間が持ち得ない力を持った生物兵器だからな!それを他国が持ったらどうなるか?戦争だ!しかも、その噂すら立たせないように裏でここに集まってる貴族連中にもお金を払ってるそうで?いくらでしたっけ?金k「辞めてくれ!」それじゃぁ、辞めますよ。1人金貨500枚なんて言いませんよ。なに、国を守る為の必要経費ですよね。お・う・さ・ま♡」
あれ、王を境に右半分が意気消沈してるぞ。これはどうなんだ?左側は貴族じゃないのか?
「そっ…そうだな」
うわぁ、完全に引いてるし。
「話が回り道し過ぎましたね。では、私に自由を」
「わかった。そなた、名は?」
「ヤシロ・イツキにございまする」
「ヤシロ・イツキの自由をここに証明する!これでどうだ?」
あ?口頭だけ?
「すみません。この世界での全国共通の仕様にしてお渡しいただけませんか?しかも、あと2つ残っています!早く!」
急いで召使いの1人が出て行った。
「2つ目は、金です。私めの生活が安定するまでの資金を頂きたく」
下手に出よう。さっきは調子に乗り過ぎた。
「金なら持っていけ」
「ありがたきお言葉。それは現金にして頂きたい。あぁ、持ち運ぶカバンも下さい。」
あっさりだなぁ。この王。金には無頓着なのか。
「カバンは3つ目では無いのか?」
「サービスして下さいよ。こちらもとっておきのサービスをしますから」
あああ、3つ目どうしよう………全然考えていなかった。
家でいいか。
「そして、3つ目は私めに家をいただきたい」
「家?だと?てっきり王位かと思ったぞ」
ふざけるな。僕はそんな位は要らない。
「職業が大変そうなのでそれに関しては辞退いたします」
がっかりそうにしている。うん。大変そうだもんね。
「そうか。それで、勇者は2人いると言ったな。誰だ?」
「書類が届き次第、お話させていただこうと思いますゆえ、しばしお待ちを」
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書類が届いた。
「勇者がだれかを言う前に、皆さんは勇者の使う魔法をご存知で?」
「雷だろう。そんなこと赤子でも知っておるわ」
王が答える。
「では、その初級魔法の詠唱は?」
周りの人々はごにょごにょしている。さては、知らないな。
「その初級魔法は『サンダー』と言うだけなのです。これは、初代勇者ケン・ジャイロ・パオジェが生み出したものです。コレを唱えても勇者以外はなにも起こりません。しかし、勇者が唱えるとあら不思議!雷が指から流れるでしょー!」
おいおい、生徒サイドなんで白けちゃうかな。
「それでは、結果発表と行きましょうか!この中で勇者なのは『清水 陸』と『本田 未来』だ!」
おぉ、このガヤガヤだよ。勇者サイドからは!「嘘つくんじゃねぇ!」や「未来は魔術師よ!」と叫ぶ声がする。仕方ないなぁ。
「先程言いましたよね?勇者は『サンダー』が使えると。私に向けて指を刺し、『サンダー』と唱えれば良いだけですよ?それによって使えなかったら私が嘘を言った事になる。なら、打ち首でも結構です。ええ、甘んじて受け入れましょう。どうぞ、私に向けてうt」「サンダー!」
ちょっと待てよ!なんでいきなり撃つかなぁ!本田未来!
結構これ痛いぜ!どのくらいかと言うと鉄棒の逆上がりに失敗して、頭を打ち付けるくらい痛い!
「皆さん!ご覧になられましたか!?これが勇者の放つ魔法『サンダー』です。彼女は勇者なのです!さて、本田 未来はやりましたよ?清水 陸はやらないのですか?やらなくても、いや、やるからこそ!貴方は勇者だと分かってしまう!なぜなら、そう!自分が勇者だと自覚していて、バレるのが怖いから。違いますか?こうなったら一かバチか賭けて身の潔白を証明するべきではありませんか?あれ?大丈夫ですか?泣きそうな顔していますよ?無理して撃たなくても良いんですよ?貴方が勇者だと言う事に暫定的になりますけどね!さて、どうします?ほう。やる気ですね!指が震えていますよ。これなら誤って、貴族様方に当たってしまわれるじゃ無いですか。どうぞ私を狙ってくださいよ。給料分の働きはしなくては成らないんでねぇ。大丈夫です。私は死にませんよ。ま、いま貴方の手が震えてる原因は貴方自身の心配なんですけどね!早く撃ってくださいよー。時間の無駄じゃ無いですかー」『サンダー!』
自転車にぶつかる位に痛い。静電気がこんなに痛くなるの!?
まぁ、いい。これで実証できた。これでおさらばだ。私の身はバラすかなー。どうしようか。
バラしたほうが後々楽しそうだしバラそう。
「これで、実証されました!清水 陸も勇者であると言うことを。王よ!どうです?契約は違えませんでしたよ?さて、サービスです。1つ教えてあげましょう。そこの女子達に宥められている女子の称号は【女神の庇護対象】ですから、気をつけて。では!これにてさよならー!サンダー!」
そう言うと俺は天井にぶら下がっていたシャンデリアに雷を放ち、明かりを消した。
そして、城内が混乱しているうちに城下町へ逃げれた。