第三話 追放
賈詡の弟子に成ってから更に五年の歳月が経った。
この頃に成ると張済は次期集落の長の地位を張繡に奪われる可能性があると見なして矢で放ったり、毒殺を狙う様に成っていたが、尽く賈詡の知略で防がれていた。
俺は命を狙われるのに辟易して父に話すと。
「張繡。お前には済まぬが追放とする。だが、安心しろ十年程経ったら張済も落ち着くだろう。その頃には帰って来るのだぞ」
こうして逃げる様に賈詡と共に東の方角に旅に出た。
そして砂漠や草原を越えて十数日後、涼州から
長安は大都市で民の賑わいが集落とは比べ物には成らぬが、俺は懐かしく思いながら宿を探していると、一流人の乞食の童が賈詡に体当たりして財布を奪って逃走した。
だが、張繡はすぐさま童に刀を突き付け。
「童よ。中々良い動きだ。名を聞こう」
「おいらの名は
甘寧だと! あの
「面白い。甘寧。俺の弟子に成らないか? 弟子に成るなら飯の心配はしなくて済むぞ」
「何が飯の心配をするなだ! お前こそ名乗りやがれ!」
「俺の名は張繡。夢は国を持つ事だ」
「わっはっは。国持ちだと。頭いかれてるだろ。良いよ。張繡あんちゃんの弟子に成ってやるよ」
こうして、張繡は未来の孫家の武神、甘寧を弟子兼武将候補に出来たのであった。
張繡十歳、賈詡十七歳、甘寧五歳。