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第二話 先生

 転生? 生まれ変わってから五年の歳月が経った。

 今、季父の張済と馬に乗りながら模擬戦をしているのだが、十歳離れた年齢を感じさせずに圧倒している。

 この集落で一番強いはずの張済と……。

 確かに体格では童の俺より上だが、前世の戦いの経験で槍術、刀術、弓術、馬術の技術が圧倒的に優れていた為である。

 無論、配下を指揮する知識も上だ。



 だが、俺の父は危惧していた。

 このままでは童より劣る張済が怨恨を抱き、俺を殺す可能性を……。

 そんな折、集落に水と食料を求めてとある少年が訪れた。

 何でも洛陽(らくよう)の私塾で学んだらしい。

 俺は興味を持ち会う事にした。

 そして、会って驚いた。

 その少年は幼かったが、すぐに俺の軍師、賈詡(かく)と理解した。

 この機会を逃す手は無い!

「俺の名は張繡と申します。賈詡殿……。俺の先生に成って下さい」

「私は無名の学士です張繡殿。あまり役に立たぬやも知れませぬ……」

「先生の私塾や旅で学んだ知識は万金にも値します。どうか伝授して下さい」

 と、地面に頭を付けて懇願した。

 賈詡は恐縮して。

「分かりました張繡殿。非才成れどよろしくお願い致します」




 張繡五歳、張済十五歳、賈詡十二歳の出来事。

 



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