第8話:修羅場
「雄太、もういいアル。私も雄太が好きアル」
なんだかんだ言って三人に連れられて屋上に来ている。
リンは僕から視線を外しながらそう言う。
「いや、その、リンやフラン、シアが僕の事を男性として好きって本当なの?」
三人を前にして僕は改めて確認をする。
すると三人は恥ずかしそうにしながらも真っ直ぐに僕を見て言う。
「好きアル」
「好きだよ~」
「す、好きに決まってるわよ///////」
三人は三人ともそう言ってじっと黙ってしまった。
正直どうしたらいいのかわからない。
さっきまで三人は幼馴染で姉弟のように接してきた。
一緒にいること自体が当たり前すぎて、その関係は心地よかった。
いつもの三人といつもの生活、いつもの学校へ来ていつものウザいほどの僕への干渉。
でもそれが当たり前すぎて今まで彼女たちの気持ちなんて考えたこともなかった。
「ぼ、僕は…… みんなの事が勿論好きだけど、それは幼馴染でいつも一緒にいて…… 姉弟みたいに思っていた……」
僕のその言葉をみんなはかみしめるように聞いている。
「だから、その、みんなの気持ちを受け取るとか、誰かを選ぶとかは……」
僕がそう言って三人から視線を外すと、リンが大きなため息を吐く。
「はぁ~、わかってはいたアルよ。雄太がこうなるのはアルね」
「だよねぇ~。だから雄太君なんだけどね~」
「ちょ、ちょっとここまで言わせておいてこれなの雄太!」
僕の言葉に三人は一斉にそう言い始めるけど、僕だってどう言ったら良いかわからない。
でも一つだけわかったことがある。
それは三人とも本気だってことだ。
「まぁいいアルね。雄太、来月の文化祭の最終日のフォークダンスに誘って欲しいアルね」
「そうだねぇ~、やっぱり答えは欲しいもんね~」
「ゆ、雄太、私を誘いなさいよね!」
リンはため息をつきながらそう言い始めると、フランソワーズもエンデルシアもうなづきながらそう言う。
つまり、その間に僕に答えを出せという事なのだろう。
「え、でも、それは……」
「もし雄太が私を選ばなくても雄太を恨まないアルね」
「だよね~。リンちゃんやシアちゃんとはちゃんと公平にして選んでもらいたいもんね」
「そうね……恨みっこなしよ。だから雄太、ちゃんと選んでね」
僕はこの選択に答えを出さなきゃならなくなったのだった。