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「気になる?」3人で車に向かう途中、早坂さんが言った。
「えっ?いや・・・」意味もなく、何度も振り返っているからだ。「なんかこう、不思議な気分なんですよね・・・」
「フフ、わかるわよ」本当か?と思ったけど、言わない。「あたしも最初会った時、そうだったもの。そうねえ、言葉で表せない、不思議な感覚よね」
早坂さんも、そうだったんだ。「瀬野さんは・・・?そういうの、ありました?」
少し、間が空く。「不思議な感覚か。まあ、わからなくもないな」
それを聞いて、少し安心する。わたしだけじゃなかったんだ。
「ちょっと雪音ちゃん、どこ行くつもり?」
車のドアに向かうわたしに、早坂さんが言った。「え・・・車に乗ろうかと」
「アナタは前でしょう!」
「え、いや、瀬野さん乗ってください。わたし後ろに乗るんで」
「やめてちょうだい!何が悲しくて男を隣に乗せなきゃならないのよ。それもこんな図体デカいの」
「それはお前も同じだがな。中条、前に乗れ。後ろが静かでいい」
「はあ・・・」
車を走らせてすぐ、猛烈な睡魔に襲われた。車内に流れる洋楽のバラードと、時々フワッと香る芳香剤の匂いが、リラックス効果を増大させる。
「雪音ちゃん、寝ていいわよ。今日は疲れたでしょ」
「大丈夫、眠くないです」とは言いつつ、シートにしっかりともたれ掛かる。
「いいから寝なさい。家に着いたら起こしてあげるから」
「・・・早坂さんが言ってた、時間は関係ないって、寝ないからってことだったんですね」
「ああ、財前さん?そうよ」
「生まれてから、ずっと寝てないってことですよね」
「そうね」
「・・・ていうか、財前さんて何歳なんですか?」
「んー、あたしらもそこは詳しく知らないんだけど、100年は生きてるわね」
「ひゃっ!?」思わず身体を起こす。「100年、ですか・・・」
「最初に会った時点で100を超えてたからな。実際はもっと行ってるんじゃないか」と、後ろの瀬野さん。
「若いと思ったら急に年取ってたり、不思議な人だ・・・」
「どうして、聞かなかったの?」
「何をですか?」