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「それ以降は、見てないんだな」

「・・・見てないというか、見ないようにしてました。その公園には近づかないようにしてたので」

「そうか。まあ、子供の化け猫で助かったな」

「え、大人もいるんですか?」

瀬野さんが頷く。「子供はそこまで攻撃的ではないが、大人の化け猫は凶暴だ。ターゲットを定めて、攻撃してくる」

確かに、あの子もわたしが腕を掴まなければ、そのまま逃げていたはずだ。

「あの、聞いてもいいですか」2人がわたしを見る。「わたしが今まで見てきたモノは・・・何なんでしょう」

またまた、2人が顔を合わせる。瀬野さんはコーヒーを口に運び、オネエに任せたようだ。

「妖怪?」オネエがサラッと言う。なぜに疑問系。「って言うと、ちょっとふざけた感じになっちゃうけど、妖怪は妖怪ね」

「妖・・・怪・・・」

「何だと思ってたの?」

「それがわからず、早(はや)24年・・・」

オネエはテーブルに肘を付き、手に顎を乗せた。「まあ、あたしも全部受け売りなんだけどねえ。何かって言われたら妖怪よね」

「はあ・・・」妖怪と聞いて頭に浮かぶのは──「座敷童子」

「ああ、あたしの家に居るわよ。今度見に来る?」

あんぐりとしているのが自分でわかる。そんな、今度飲みに行く?みたいなノリで言うか。

「居るんですか?家に、座敷童子が・・・」

「ええ、悪さはしないから大丈夫よ」そんな笑顔で言われても。

「妖怪の中にも、人間を襲わない奴もいるからな。見極めは難しいが。俺たちが始末するのは、人間に害を与える奴だけだ」

「この前のようにね」

その始末する所を実際には見ていないが、気づいたら跡形もなく消えていた。オネエが言ったのは、「ナイフで突き刺す・・・」

「そうよ。ここじゃ出せないけど、今も持ってるわ。瀬野もね」

「ナイフで刺すとどうなるんですか?」

「消滅するわ。姿は残らないの」──納得。

「刺すと言っても、何処でもいいわけじゃない。確実に急所を突かなければならないんだ。大体は心臓にあるんだが、この前の一つ目は」

「目・・・」わたしが言い、瀬野さんが頷く。

「そうだ。妖怪によって、急所が異なる」

「なるほど・・・」


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