第3章の第134話 どうしようもない問題61 9月(2)フランシスと箱当てゲーム
★彡
【カジノ】
――そこには、豪奢なセンスを、口元に宛がうマダムがいたものだった。
「――……」
彼女は、頻(しき)りに、その場にいる者達の顔色なんかを伺っては――。
「ホ――」
とその口元から、冷笑な笑みと共に、熱のこもった息を吹きかけるものだった。
そして、こう尋ねる。
「……今まで、何の話をしていたので?」
とそこへ、紳士淑女1人、奇麗なドレスに身を包んだ貴婦人がきて、こう返したものであった。
「――あぁ、実は、ここにおられる人達が、ここに尋ねられてきまして、
ヨーシキワーカとあの職業訓練校の中の事を、問いかけていらしてきたので、
ここにおられるアストルさんと、向こうにおられるトヨボシさんとが、カードバトルを通じて、親睦を深めたのです」
「ほっほぅ、それで!?」
【――彼女は、かいつまんで、事の経緯のあらましを、その豪奢なセンスを持ったマダムに話したのだった】
【事情を汲んだ彼女は】
「――なるほど。要はそうした事であったザマスわね!」
これには、トヨボシも、サクヤさんも、アサヒさんも、イチハ様も。
(……違うな)
(この感じ)
(なーんかオイッ! 途中から聴いてたような素振りなんかがあっていたぞ!? バレバレ!?)
(そこの奇麗なドレスに着飾った人も、そんなに長々と上手く説明できてなかったわよ)
そう、考えられる線は、ただ1つ。
((((盗聴器か!?)))))
(魔法かだね)
とトヨボシ側とLちゃん側とで、そう辺りを睨んだのだった。
――豪奢なセンスを持ったマダムが、こう答える。
『――フムゥ……。なるほどぉ~……。それは、ありきたりな所で、私共の所でも同じですよ!?』
『!』
振り返る未来のスバル(トヨボシ)。
コッコッコッ
とその人は歩み寄りながら段々と近づいてくる。その赤い絨毯の上を踏みしめて。
その人を視界の中に納める。
その瞳の中に、豪奢なセンスを持ったマダムが映り込む。
『……』
一同、その人を眼に納め。
その人は、こう謳うものだった。
『新しい設備上の問題があって、
また、モノの購入・搬入・取り付け、取り外し、取り壊し工事などにも使用されていて、
請負の外注工事のタシにも消費されている』
『……』
クルリ
とその場で反転して、背中越しで、チラッ、と見やった感じで、こう謳うものだった。
『まぁ、とやかく言えば、そんなありきたりなところでしょうか!?』
『……』
――そして、トヨボシは。
(――何だこいつ……気配が明らかに違う……!?)
それは、思わぬ遭遇者だった――
豪奢なセンスを持ったマダム。
『……』
カジノの中にいる紳士淑女達。
『……』
アストル、テラコル、他。
『……』
イチハ、アサヒ、サクヤ。
『……』
トヨボシ、Lちゃん。
『……』
――僕達、あたし達、私達は、は、ただ黙って、その人の話を聞き入るのだった。
その説明、口上は至極真っ当であり、どこか言い知れないところで、その陰りが見えた。
その人を怪しんだ俺は、その瞼を一度閉じるのだった――
次いで、別の婦人服の女性の方から、こうした声が上がったんだ。
『私共の企業でも同じです!
ウチでも、そうゆう事があっていて、抱えている社員さんが特に多いから、
月に二度の特別手当(ボーナス)があって、目の色を変えて、喜んでいるんですよ!』
それを聴いた、豪奢なセンスを持ったマダムは、「まぁ!?」と驚き得つつ、
そのセンスの裏から剽軽(ひょうきん)な声を上げ、「フフフ……」と笑うのだった。怪しげな笑みを浮かべて。
これが、この世界の影の実情である。
そして、そうした声は、周りから次々と上がっていくのだった。
『そうだな……』
『確かに……!』
『うちの社員連中は、『知っていても』、『知らない』『存ぜないフリ』をただしているだけ……だからな』
『自分に、そうした火の粉が飛ぶのが、嫌なだけなんだろ!?』
『まぁな! 知ってて、当たり前なんだ! この話はな!』
『知らないフリかぁ……。まぁ、当たり前だな……』
ハァ……
とやれやれ、とばかりに嘆息しがちになる紳士淑女の皆様方。どこかの会社の代表なんだろうか。
何を当たり前の事を言っているのだろうか。この汚い大人連中は。
『まぁ、知っていても、知らないフリをするだけ、賢い生き方だからね……』
『いつも、眼を瞑っているようなもんよ?』
『ねぇ~!?』
『私達がその陰で、『とんでもなく悪い事』に『加担していた』……。『この怪しい社会情勢の構図の事実』を……!!』
オオオオオ……
と不穏な空気が漂う。
【――混沌とす、その現場】
【幾多もの怪しげな笑みを浮かべる黒い影】
【さながら自分達は、その罠にハマってしまった被食者、その人達に取って捕まった弱者にも思える】
「――」「――」「――」
電流が、アサヒ、サクヤ、イチハと走り抜け。
「……」「……」
未来のスバルとLは、もう慣れた感じで、その瞳を一時的に閉じる。
知ってて、当たり前だから。
【そこからは、様々な負の感情の嵐だった】
【不快、嫌らしい、鬱陶しい、不愉快、不承、煩(わずら)わしい、厭(いとわし)わしい、忌まわしい、怨念……】
【そんな様々な負の要素を孕んでいた】
【漆黒の能面のような仮面を、その場にいた皆が、貼り付けていたのだった】
【その中の1人、綺麗なドレス姿で着飾ったレディが、この言の葉を零す――】
『――だから、こうした話が上がっていた事を、あなたは黙っていてね!?』
【――と。漆黒の能面の裏から、おどろおどろしい、雰囲気を漂わせるものだった】
【そんな人達の、重圧(プレッシャー)にも気圧されず、淡々とした様子で】
【未来のスバル(彼)は、その閉じていた瞳を開け、こう呟きを落とす】
【静寂のとばりを打ち払う――】
『――あぁ、ありがとう。私としても、これはとても貴重なご意見であり。表には口外せず、秘して黙っていることを誓おう』
【安堵の思いを覚える紳士淑女の方々】
オオオオオ、オオオ……
【おどろおどろしい漆黒のとばりが、その鳴りを潜めていくのだった】
【彼はこう謳う】
『これが『口外された場合(?)』は、世の中が大変な事になる……! 『混乱の素』だ!』
『……確かに……』
(まぁ、文書にして、後から、御兄さんが公開する分には、それは知ってて、極々当たり前の事になっていくんだけどね)
【そこには、同じく】
(しょうもな……! それは、小学生の誰もが、知ってたレベルなんよ……?)
【まるで気怖じしていないイチハの姿があったのだった】
【狙うべき、敵は、この漆黒の闇の最奥にいる】
【ここで、気怖じしていては、奴の素顔すら拝めないからだ――】
――次いで語るは、ここで小さく頷き得た、イチハさんだった。。
『――金は世界経済の周りものやからなぁ……!
1億や何億円という単位やから、そうした金回りが著しく悪くなるやわぁ……。
それは比してバレれば、
そうした社員さん達を引き留めるための脅しやら責任問題やら、そちらさんの余興やら飲み屋街やらの娯楽やら何やらも減るやろうし……。
必要経費と割り切っている上で、
設備上のメンテナンス問題も、大きく差し障ってきそうやわぁ……!?
また、どこかの誰かさんを通じて、責任問題に見立て、新しい部品と古い部品とを取り替えた際、
それに気づかったん事で、その中の人達なんかが、返って逆に責め立てられるやろうし。
影ながら、笑っていたあんさん等のそうした手取りも減る……やろうし……』
『!?』
『……ッ』
『……バレたら最後、どこかの誰かさんが、それとなく公表し、
その陰で金回りが非常に良かった誰かさんが、裏口入金を差し止めされる訳やわぁ……。
ハハッ、国の力が1枚噛めば、そっちの方に天秤が傾く恐れがある……』
『……』
『……その時、うち等がどうするかで、どう対応を心掛けるかで、
そうした事があって、『救われる人々も、またおる』……!
1人を救う事によって、1000人救える未来もある。
また、それを見よった年端いかない子供たちが、孫世代が、どーゆう風に思い入るかか……!?』
『……』
『『最悪の天秤』を、今のうちぃから、よぅ考えへんといけん……!?
先の読めない展開、未知の領域、未知数の世代交代の時が、いつか、きそうやわぁ……!?
それは比して、世界経済全体に波紋が広がり、鯨波(げいは)の嵐となって、轟きやろうなぁ……!?』
『……』
静まりかえる一同。
そして――
『――……ッ』
次に生唾を飲み込み、勇を持って、こう切り出してきたのは、サクヤさんだった。
『――その、戻された人はどうなったんですか……!?』
『!』
それは、水が張った大器の中に、1つの大きな石が投じられた瞬間だった。
大きな石が投げ込まれた事で、その大器の中に張っていた水が、勢いよく外側に溢れ出していく。
それは契機の呼び水に他ならない。
「――戻された人か……」
【――それは、人伝手を経て、ある情報筋から聞いた話だったという】
★彡
【『月見エビバーガ―オーロラソース社』Tsukimi Shrimp Burger Aorora Sauce Company(ツキミ シュリンプ バーガー オーロラ ソース カンパニー)』】
【その品質管理の奥さん達が関与した疑い、話が訳がわからないようにして、、証拠の揉み消し、改ざん】
【その品質管理の奥さんの旦那さんは、総務課の偉い立ち位置の人物で、オオコウチ・トウガミントさん。強力なバックが控えていたとするもの】
『……』
ヨーシキワーカは1人で、いくつも箱を並べた上で、運んでいた。
その行先は、オレンジ色のシャッターの先だった。
その近くに、品質管理の奥さんと女性達がいたんだ。
ここにいるほとんどの人は知っている事だろうが、この人の旦那さんは、総務課の偉い立場の人で、オオコウチさんという人なんだ。
『アハハハハハ!! あいつの顔見た~~ッ!?』
【オオコウチ・メリッサミント】
珍しい緑毛の髪(ミントグリーン)が生えていて、灰色の瞳(ライトグレー)に、白人男性特有の白い肌。
いつも、ツキミエビバーガーオーロラソース社の制服を着こなし、頭巾とマスクをしている為、その素顔を知っている人は、意外と少ない。
この会社の中での美人さんランキングは、5位。
『月見エビバーガ―オーロラソース社』で働く傍ら、品質管理の偉い立ち位置についている。
総務課の旦那さんを持っている人。
モーターの安売り買いを初め、各ラインの色々なものを安く叩き売っている有名人。
『!?』
俺は何だと思った。
目と耳だけを立てて、そのまま運搬作業を続ける。
声の発信者は、品質管理の奥さんのものだった。
その周りにいた取り巻きの女性がこう訪ねる。
『いったい何をやったんですか?』
『フフフ、それはね……! 訳が分からないようにメチャクチャにしてやったのよ! 周りに電話を飛ばしまくってね! もうこっちでも訳がわからないぐらいにね~~!』
『え……?』
『フフフ、何も証拠なんて残ってないわよ?
あっちの職業安定所に、こう『胸が信じられないぐらい大きい子』がいてね!』
『……』
身振り手振りで教えてくれる品質の管理の奥さん。
どうやら、胸が信じられないぐらい大きい娘(こ)がいるらしい。
どれぐらい大きいかは、よくわからないが……。
もしも、いるなら、一度はお目にかかってみたいものだ。
ちなみに奥さんは、それほど大きくはない……。
昔と比べれば、縮んだぐらいだ。
しかも、性格も悪いときていて、周りでもすこぶる評判だ。
ただ、知っている人がいても、何かしら悪さをしていても、上の総務課の旦那さんが権力を持っているからか、全員逆らえないでいて。
奥さんから悪政を敷いているぐらいだ。
それが原因で、作業効率が落ち、悪循環と化している……。
まぁ、そんな人と比べれば、まだ菓子パンラインの彼女の方が、まだ大きく、可愛いぐらいだ。
この昔の会社で、1番可愛く、胸が大きい……うん。自分好みの娘だったものだ。
2番目に可愛いのは、まぁ、スナックサンドラインの娘だろう。最近は少々、性格がキツメになっているが……位が上がり、人を育てる以上は、必要な事なのだろう。
ここではみんな黙っているが、そんな彼女にも想い人がいて、昔食パンラインにいた男性で、昇格して総務課に務めている人だ。
まぁ、性格的に見れば、将来性を考えれば、オオコウチさんの次にやってくるのが、この人だろう。
だが、ここで下手に騒ぎ立ててはいけない。
恋愛事情のもつれに生じ兼ねないからだ。
これは俺が、電気のミシマさんに関わってから、身に染みてわかった事だが……。
できる恋の見届け人とは、ちょっとしたアドバイスや助言をしつつ、遠くから眺めているだけで、下手に周りで騒ぎ立ててはいけないのだ。
自然な感じで両者がくっつくのを待つのが一番。
そして、惜しむらくは、品質管理の奥さんのように、商談の場で奥さんを決して出さず、別の女性が代表して、対応を取るのがベストなんだ。
少なくとも俺が知る限り、商談の場で信頼がおけて、美人で可愛い人は、この時にはいなかった……。
まぁ手前味噌な話だが……。
――だが、今、問題はこの話だ。
『――あたしの知り合いの子が、その子に通じていて、その子伝いに電話を飛ばしまくったのよ!
もう訳がわかんないぐらいに、色々な会社にね!
話に聞いていた通り、すっごい人脈を持ってた娘だわ!
いったいどれぐらい抱えているのかしら!?
さすがのあたしでも、あの娘には逆らえないわね――!?』
『そんな人がいるんですか!?』
『ええ、上には上がいるって事よ!
まぁいいように利用したんだけどね……。バカとハサミは使いよう!
あっちでも知らない事があって、一々こっちに来て、取り調べがないのは安全よね!?』
『そう言えば確かに……。『こっちに降りてきて、顔を見せにきたことは』……』
『うん、『無い』わよね……』
『そもそも見かけてもないし……』
『……』
(つまり、こーゆう事……!?
何かしらの騒ぎがあっても、どこかの誰かさんが、この会社に着て、下に降りてくることはないという事……!?
どーゆう事!?
あくまで、人が着たとしても、部外者であり、中には入れないから……!?
じゃあ、手段は電話やメール!?
あたかも中に入ってきたかのようなそぶりを見せてるという事……!?
向こうはそれを知っているけど……。
あくまで、電話で見聞きした誰かさんは、鵜呑みに騙され、先入観を持った認識上の誤りを犯している!?
ううん……!? なんかおかしいぞ!?
初見ではおかしい!? これって騙しの手口!?)
と心の中で読み解くヨーシキワーカ。
その騙しの奥さんが、こう語る。
『職業安定所でも何かしらの横の繋がりがあるって事なのかしらね!?
……でも、フンッ、あいつもマヌケよね――!?
証拠になるようなもの、1つでも持ってくればいいのにさ――!?
まぁでも……それも見つけ次第、こっちで叩き潰すんだけどね……クスッ』
『……』
そこには青ざめた取り巻きの彼女達がいた。
そして、当人の女はこう言う。
『あんた達も、あたしに付いていった方が『徳』よぉ!? ここを出て行っても、他にいいとこなんて、他にないってゆーのにねぇ~!?
そんなスゴイ才能を隠していただなんて、それならうちの会社で使えばいーんじゃない~!?
それなら世のため、人のため、引いてはうちの会社のため、
その安い賃金で働いた方が、その人にとって幸せじゃない~!?』
『……ッ』
(いったい誰の事だ!?)
これには俺も怪しく思い、その女をチラッと見た。
話はこう続く。
『フフッ、ここにあたしとあの人の王国を築いてあげるわァ……!!』
『……』
周りの取り巻きの彼女たちは青ざめ、冷や汗を流しながら、生唾を飲み込む。
以前から知っていた、怪しい女だが、こう話を切り出す。
『仰る通りです!』
『フフン!』
『肩でもお揉みしましょうか?』
『あら? 気が利くわね?』
取り巻きの女の1人が、その女の肩を揉む。
ただのご機嫌取りだ。
と別の女性から、こんな声が上がってきた。
『いや~~今回も見事な手際でしたね~!!』
『……えっ!?』
それは知っている女と知らない女がいるという事だ。
つまり、以前にもそうした出来事があったという事だ。
彼女はそれを知っていた。
『フフン! あんた達も付いていくなら、あたしに付いたほうが何かと『徳』よぉ!? 少しは周りと違って、楽させてあげるんだから』
『で……ですよねぇ~!?』
『よ……良かったぁ、あたしもこの会社に入ってて……ねえ?』
『うん……』
『フフ~ン……そうねぇ……それなら次にまた『何か』会った時、あなた達からあたしに『情報』を渡してくれれば、後はこちらでやるわ……!』
『え……?!』
『少しは、あなた達の給料アップも考えてもいいわよォ~!? うちの旦那は知ってるでしょ? あたしから旦那にいいように伝えておくわ……』
『『『……』』』
これには取り巻きの彼女達も言葉を無くす。
その時だった、奥さんが俺に気づいたのは。
『……』
俺は、オレンジ色のシャッターの前にいて、シャッターを開ける機構のボタンを蹴り、オレンジ色のシャッターが音を立てて上昇していく。
後は、いくつも並べた箱を運搬するだけだった。
『……』
そんな奥さんは、俺の後姿を見ていて。
『……あら……!? ……もしかして聞かれてた……!?』
『いえ、それはないと……思いますよ……!?』
『うん、だっていつも通りだったし……』
『ちっともこっちを気にしていませんでしたよ?』
『……ただの思い過ごし……かしら……?』
この時、品質管理の奥さんは、杞憂かと思っていたが……。
逆にしてやられる事になる。
だが、そうなる事を知らない彼女達が。
『一生ついていきます!!』
『……フフッ、いいわね! クスッ』
『次、あたしが肩を揉みましょうか!』
『あっ、ズルいッ!!』
『何言ってんのこーゆうのは早いもの勝ちよ!!』
『あらあらいいわね! ……でも、『順番制』よ!?』
『あっわかった! 次、あたしがオモミします!! だからさっきの話は、いいように、総務課の人達に話を通してくださいね!!』
バタン……
オレンジ色のシャッターが音を立てて閉まり、俺はそのまま運搬するのだった……――
★彡
【カジノ】
――奇麗なドレスに身を着飾った淑女は、こう語るものだった。
「――それが、誰かはわからないけど……。こんな実例は複数回にわたって会っていてね。
その中の成功例が、職業訓練校を出ていて、設備管理科に一度、顔を出していた工務の方だったという話よ」
これには、質問者のサクヤさんも。
「こんな実例が、複数回に渡っていてか……」
「……」
「そこには、ドクターイリヤマや、ドクターライセン達の横やりの介入もあっていた訳よ――」
★彡
【『月見エビバーガ―オーロラソース社』Tsukimi Shrimp Burger Aorora Sauce Company(ツキミ シュリンプ バーガー オーロラ ソース カンパニー)』】
【訳もわからず、安く叩き売られた工務の愚痴】
――その工務の人は、箱洗いにきて、修理を行っていた。
だが、それは口から零れ出た、愚痴っぽかった。
『――クソッ何でこんな事になったんだ……!?』
『?』
俺は何だろう……と思った。
その工務の人は、後ろにいる俺に向かって、こう首を曲げて言ってきたんだ。
『……いや、お前に言ってもしょうがないか……。ハァ……』
首を切り、顔を正面下に向けて。
気分が落ち込み加減の工務の人は、こう愚痴を零す。
『……だが何でこうなったんだ……? 話が訳わからんぞ……!?
何で俺がやっていないところが、俺がやった事のせいになっているんだ……!?
確かに俺がやったところも少なからずあったが……こんなに多く有り得んぞ……!?
何か下手に多過ぎやしないか……!?
あいつ等は、『いったいどーゆう取次ぎ』をしたんだ……!?
……ハァ……恐くて、さすがに言い返せそうにないしな……?
俺も、あの人相手には、頭が上がらないし、一時的に教わった講師(ひと)だしな……』
『……』
(? 一時的に教わった人……? いったいどーゆう取次ぎ……?)
その言葉が、妙に引っかかるんだった。
★彡
【カジノ】
――奇麗なドレスに身を着飾った淑女は、こう語るものだった。
「一時的に教わった講師(ひと)……。ね? ヨーシキワーカさんとどことなく似ていた例でしょ!?」
「確かに……」
とそこへ、タキシードに身を包んだ紳士の方が。
「女性は、特に情報網が広いからな」
「フフッ、それわかって言ってんの!? ……次は、そうではない、人達も中にはいてね……」
それは、他にも、戻された人がいた、という事だった。
★彡
【『月見エビバーガ―オーロラソース社』Tsukimi Shrimp Burger Aorora Sauce Company(ツキミ シュリンプ バーガー オーロラ ソース カンパニー)』】
【菓子パンラインの騙されたパート社員】
『騙したな!?』
『フンッ、まだここに戻ってきただけお前は優秀だ! ここを出て行った他の奴と違ってな!!』
『!?』
『フンッ、知ろうとしない方が、まだ頭がいい……! お前はこのまま、ここで働いた方が、世の為、人の為、引いては会社の為なんだからな!』
『ふざけるなッ!! こんなところ、こっちから出て行ってやる!!』
『……フンッ、出て行くのは構わんが……。後悔する事になるのはお前だからな? よーく覚えておけよ!?』
『……?』
『……』
その時、箱洗い作業員のヨーシキワーカが、洗浄済みの箱を運搬していたのだった。
偶然にも、それを盗み聞きしてしまう。
(そう言えば、キーシストマのやつ『も』言っていったけ?)
★彡
【『月見エビバーガ―オーロラソース社』Tsukimi Shrimp Burger Aorora Sauce Company(ツキミ シュリンプ バーガー オーロラ ソース カンパニー)』】
【辞めていった商品課の人をないがしろにし、馬鹿にし、あまつさえ、就職難に陥らせる悪政の手腕】
――それは、私の先輩に当たるキーシストマさんからの言葉だった。
『あいつバカじゃないのか!?』
『んっ!? ……あいつ……』
『ホラッ、商品課の方にこう腹周りが大きくて、威張りくさっていた奴がいただろ!?』
『ああ、あいつな!』
(ヤベッ、名前出てこねえ……!? まぁ、いいか!)
『そいつさー、ここを辞めてから2か月から1年間の間、就職できずにいるんだぜーっ!? バカじゃねえの!?
まだ俺のようにしている方が賢いもんだぜ!』
(あぁ、賢いよ、お前は……)
フッ
と笑ってしまう。
『まだ、俺みたいにこの会社の方に頼られて、あそこの方で素直に働いているからな!
そいつもさあ、わざわざ職安に行って、別の会社を探さずとも、
まだ俺だったら、会社からの人事異動に従って、まだ、あっちの地方の会社に行ったほうがマシだと思うなァ!
そっちの方が、幾らかいい値段で雇ってもらえるんだろ!?
バカだなぁそいつも!? この先2年以上は少なくとも、ここで働かないなら、就職できないようにされてるってゆーのにさぁ!!
まだここにいて、働いている俺の方が、頭(ここ)が賢いってものだぜッ!?』
(なるほどな……。上からの情報か? 横からの情報か?)
それは、ここを辞めて出て行った人達がいて、就職できずにいて、バカ扱いされているという不当な理由だったんだ。
要は、そーゆう事である。
これを、非公式の存在、法務部と説き、各方面に、電話などで取り次いでまわるなどして、その人物を、数年間就職できないようにしているのだ。
卑怯も卑怯だ。わかっていて従うはずがない。
できたとしても、せいぜいパートやアルバイト止まり……。
そして、そこで一度騒ぎを起こせば、また、どうしようもない問題へと通じる円環(ループ)繋がりの1つだったりするんだ。
だから、絶対に勝てないのだ。誰1人として、今まで勝った試しの人はいない……。
つまり、勝つのでもなく、負けるのでもなく、引き分けに持ち込むしか手がないのだ。自分の無実を、勝ち取って晴らすしか……。
その現状を伝えるのが、抑止力となり、これが未来を担う子供たちへの社会科勉強であり、社会的制裁措置の全容なんだ。
★彡
【カジノ】
――奇麗なドレスに身を着飾った淑女が、こう語る。
「――そして、不運にも出来事が重なって、それが、ヨーシキワーカさんの耳にも入って、その人物と街中で、出会ってしまった。
何でも、金属加工科、テクニカルメタルワーク科、溶接板金加工科、それ関係の道に進んでいった人が、いたらしいわ」
★彡
【『月見エビバーガ―オーロラソース社』Tsukimi Shrimp Burger Aorora Sauce Company(ツキミ シュリンプ バーガー オーロラ ソース カンパニー)』】
【(続)辞めていった商品課の人をないがしろにし、馬鹿にし、あまつさえ、就職難に陥らせる悪政の手腕】
――それは、月見エビバーガーオーロラソース社に行く前の街通りだった。
その人は、キーシストマ先輩が言っていた商品課の方にこう腹周りが大きくて、威張りくさっていた奴だった。
ヤベッ、やっぱり、名前が出てこない。
『あれ? お前、確か箱洗いの所の?』
『よ……よぉ』
(俺、こいつ苦手なんだよな……いけ好かないから……)
そいつは、ヨーシキワーカ(俺)に、こう話しかけてきたんだ。
『こんな所で何やってんだ!?』
『何って、それは、今から会社に行くところだよ』
『あぁ、なるほど……それでかぁ、だから、毎回遅い時間になって……。お前、昼から出てきてたのか……って俺も、何かを言えた義理じゃないか?』
『……?』
『もう『あの会社を辞めてから』、少なくとも『2年』は経つからなぁ……未だに雇ってくれる所もないから、探してるんだ』
『……?』
(2年……)
おかしい、いくら何でも長過ぎるぞそれ。
これだけ、体格のいいやつ逃がすか。
『今も、あの家にいて、あーーっここから随分と家まで遠いんだが……。
家の親から、しばらくの間だけ、家に帰ってこないでいいと言われててな。
妙に知り合いの『誰かの声に似た人』からの電話が、家の方に掛かってきていてな。
その騒ぎの電話が面倒で、俺なんかを、それに関わらせようにしてくれてるんだ。
でもなぁ、ここ最近になって、また、『家の中』に『盗み』が入ってな。
じゃあ、どうしろって話になって、今の事態になっているんだ。
どうやら、家の『鍵』が、『どこかの誰か』に見つかったらしくて、誰もいない時を見計らって、『押し入られた線』があるらしいんだ……。
で、気晴らしと気分転換のために、ここまで出てきてたんだ』
『フ~ン……気分転換にねぇ、まぁ、今日は晴れていて、いい天気だからな』
『あっ、てめぇ、こっちの気も知らないで……ってわかるわけもないか……。こっちの身なんて……』
『?』
それは、ガッカリの落ち込みようだった……。
元商品課のこう腹周りが大きくて、威張りくさっていた奴は、こうも話しかけてきたんだ。
『そうだなぁ。『あの学校』の方に行ってから、『奇妙な電話』が鳴りっぱなしになって、『問題』がどうとか周りの方で言って回ってたんだ。
最近になって、おかしな事態が続いて、俺なんて知らないところに、出かけた先でも、何でだか突然になって、そこにいた人達が騒ぎ出したんだ。
あれって、いったい何なんだろうな!?』
『フ~ン……そぅ』
『……』
『……お前、リアクション低いなぁ……。まぁ、お前の顔を見て、何だかホッと安心したよ』
『……へ?』
『まぁ、あん時は、何となく悪かったな……。
じゃあ、もう会う事もないと思うけど、先に行くぜ。
家の親から、買い物を買ってくるように頼まれているんだ。
お前も会社に行くのなら、せいぜい今からでも気を付けていくんだぜ、遅刻しないようにな!』
『……あぁ、気をつけてな』
そのまま、俺達2人は別れたんだ。
横断歩道を渡るヨーシキワーカ、その心の内は。
(フ~ン……就職難で2年間ね……。んっ!? 『誰かの声に似た人』からの電話……。もしかして……――)
――振り返るは、当時の出来事だった。
それは、入ってきては、辞めてを繰り返していた従業員さん達の中にもいたんだ。
『――あぁ、ヨーシキワーカさん、ちょっと今、よろしいですか?』
『んっ? 何?』
『少し相談に乗ってもらいたい事があってですね? 何でも、昔、ここの会社の中にいた人がいるらしくて、
その人が辞めた日辺りぐらいから、問題がどうとかで、妙な電話がひっきりなしに掛かってきていた事があったらしいんですよ。
その時、知り合いの誰かの声が、その電話先から聴こえてきたらしいんです』
『はぁ……?』
『で、その思い当たる人に尋ねてみたら……。
その人は知らないって、その人は何もしていないって、その人に、そもそも電話を掛けた事すらしていないって、言ってらしいんです。
で、もしかしたらと思って、気になっている事が会って、
そいつ等は、もしかしたら、『その人』や『そのご家族』の方の『声』を取っていて、『変声器』を使っているのかもしれません』
『……変声器……!?』
――回想修了。
ヨーシキワーカは、横断歩道を渡っていた。
(……もしかして、知り合いの誰かの声って、その『変声器』によるものか?
だとしたら、『偽詐欺電話』が掛かってきて、その電話先から『知り合いの誰かの声』が聴こえてきていて、
怪しく思ったら、すぐにその電話を切れって、
その声を『収集』されていた……!?
次の『特殊集団詐欺事件』に、『関わらせる為に』……!?)
ザッ
とヨーシキワーカは、横断歩道を渡り終えたのだった――
★彡
【カジノ】
――これには、アサヒさん、サクヤさんが、一驚の思いで。
「その人が辞めた日辺りぐらいから、問題がどうとかで、妙な電話がひっきりなしに掛かってきていて!?」
「その時、知り合いの誰かの声が、その電話先から聴こえてきた!? どーゆう事!?」
これには、奇麗なドレスに身を着飾った淑女の方も。
「何でも、その思い当たる人に尋ねてみたら……。
その人は知らないって、その人は何もしていないって、
その人に、そもそも電話を掛けた事すらしていないって、言ってらしいんです。
で、もしかしたらと思って、気になっている事が会って、
そいつ等は、もしかしたら、『その人』や『そのご家族』の方の『声』を取っていて、『変声器』を使っているのかもしれません。
――って、言ってたらしいんですよ」
これには、イチハさんを推しても。
「待てよ、どこかで、そーゆう機械があったな。推理少年のアニメ番組にあった!?」
これには、3人とも。
「「「あああああ!!! 変声器だッ!?」
早々と、その解に至るのだった。
これには、イチハさんも。
「なるほどなぁ……。だから電話を介し回っていて……」
サクヤさんも、アサヒさんも。
「その誰からのものなのか、その『真偽』が、『訳がわかんなくさせていく為にも』……!?」
「そうした『証拠の品なんかが残らないようにする為』には、『変声器』が打ってつけだった訳か……」
とここで、奇麗なドレスに身を着飾った淑女の方が。
『まぁ、昔からやってた手ですからね……。
その推理少年漫画の『発行年なんかを割り出していけば』、2194年1月5日発売ぐらいなんですよ。
その頃には、『変声器』も、世の中に流通していて、それが、人の目に付いていってしまい、悪用されてしまった線なんでしょうね」
あぁ……
と嘆いてしまう。これには、アサヒさんも、サクヤさんも、イチハ様も。
「そちらの某作家さんが、この事を知れば、いくらか、ショックを禁じ得ないだろうなぁ……」
「まさか、自分の手掛けた作品が、他所の方で、その遠い街中の方で、犯罪に利用されてしまっていただなんてね……」
「世の中、あるある事情で、どうやら、汲み取っていかんばなぁ……!?」
ハァ……
と重い溜息を零すばかりだった。
――奇麗なドレスに身を着飾った淑女が、こう語る。
【――他にも、聞いて周れば、それは商品科の女の人達や、総務課の人達だけじゃなくて、
菓子パンや他のラインの方々や、製造事務所の人達だって、その身内関係で、グルだった訳よ。
当然、付いてくる、後から参入してくる娘なんかも、やたら多くてね。
スナックサンドラインの娘も、その1人だった訳よ」
★彡
【スナックサンドの美人さん】
【それは、食パンラインから総務課に上がっていった人を想っての、陰ながらの心掛けだった】
――それは、食パンライン兼スナックサンドライン前の、オレンジ色のシートシャッターの前だった。そこには、2人いた。
1人は、スナックサンドラインの美人さんだった。
そして、もう1人は、結構距離が離れていた為と、小声だったので、聞き取り辛かった……。
『――あぁ、やっぱりね』
『~~! ~~!』
『そうした聞き込み調査を続けていけば、どこもそうだったって、言ってたもんね……うん』
『~~! ~~!』
『あぁ、やっぱか……』
『……』
『あたしもやっぱり、あのできる女の人を見習っていかなきゃね……。これからは……。
いつまでもこんな所にいる訳にもいかないし。
今は、こっちの方にいないけど……向こうのあの食堂の方にて、何も知らずにいるあの人の事だからね。
……あたしが、後押ししていかなきゃ……! あの人が上に登りつめていかないものね……』
『……』
それは、辛くも苦渋の決断だった。
想い人を活かすために、誰かを身をもって、キツイ言葉を持って、落とし腐っていくという。
★彡
【カジノ】
――奇麗なドレスに身を着飾った淑女は、こう語る。
「――同じような出来事は、スナックサンドラインの娘だけじゃなく、他の所や、どこかの会社さんも、
まぁ、似たようなものだった訳よ」
「……」
「でも、当然、身内関係の女連中伝いだから、どこかのおばちゃんの耳にも、込み入った話で、聞いてしまっていた訳よ。
……まぁ、時期こそ、ズレているけど……。だいたいが、こんな事が会っていたそうよ」
★彡
【少し前に、ここに戻された人がいるでしょ!?】
【騒ぎの原因が持ち込まれたものであっても……。情報統制、情報規制、情報工作が敷かれ、下の者達はそれを知らず、平然といつも通りに作業をしていた】
――それは、どこかのラインのおばちゃんの言葉から始まるものだった。
前もって、先に語っておくが、それは実際に起こった体験談を元にしていて、
そのおばさんが付属するラインやその名前は、伏せさせて頂きたい。
彼女に危害の目が行ってしまい兼ねないからだ。
この話は、あくまで、仮想現実(フィクション)である。
『――あっ! ヨーシキワーカ君! ここ最近、そこ等辺で、何か騒ぎが起きていなかった!?』
『……!?』
(騒ぎ……?)
ヨーシキワーカ、俺は何の事だろうと思ったものだ。
どこかのラインのおばちゃんは、こう語るのだった。
『少し前に、ここに『呼び戻された人』がいるでしょ!?』
『……!?』
誰の事だ? あの工務か? それともどこかのラインの呼び戻された人材か?
どこかのラインのおばちゃんは、続けてこう語るのだった。
『何でもね、あたしがここにいて、その話を聴く限りでは、向こうのラインの方で、どうやらその騒ぎが起こっていたそうなのよね……!?
……でもね、あたしは、その日、ここにずーっといて、ここでその手作業に当たっていたのよ!?
そんな事が起こっていただなんて、こっちは何も知らなかったわ。
ちっともこっちの方には、その報せなんて届いてないんだし……。
それは、向こうのライン人も、同じことを言ってたらしいわ』
『……』
そのどこかのラインのおばあちゃんは、包装紙に包まれたパンを手に取るのだった。
彼女が、その日、会っていた真実を物語っているようだった。
つまり、何やら騒ぎが起こっていたらしいが……。
実際は、その下の現場では、何にも起こっていないんだ。
(いったい、どーゆう事なんだ……!?)
ヨーシキワーカ(俺)は、不自然極まる案件に思えてきてならなかった……。
そのどこかのラインのおばちゃんは、こうも物語るものだった。
『そんな事があっていた事事態、ちっともこっちに方には、なーんも伝わってこなかったしね……。
そこで『騒ぎの原因が持ち込まれていた』そうなのよ!?
でもね、どう考えてみたってそれはおかしいのよ!?
その日は、何ともなかったんだから……』
(何ともなかった……!? どーゆう事だ!?)
ヨーシキワーカ、俺は、思考を加速させる。
どこかのラインのおばちゃんは、こうも物語るものだった。
『だからね、その話が気になってどうにも……!?
あそこの道行く人たちに、その人達から聴いたり尋ねられたりしても、逆に向こうから聞かれてきても、『何にもなかった……』って言ってたのよ……。
でも、おかしいなぁって思ってておばちゃんも!?』
あっ、聞いたのは2、3人ぐらいだったかな!?』
と、どこかのラインのおばちゃんは、後でそう付け加えるのだった。
『……』
(どうやら、聞いたのは、2、3人ぐらいいて、どうやらその日に聞いた人数なのだろう。
つまり、その翌日には、聞いた人数には含まれていないと思って、良さそうだな)
ヨーシキワーカ(俺)は、そう思い。
どこかのラインのおばちゃんは、こうも物語るのだった。
『あの上の更衣室の方でね。
誰に聞いても、まったく同じ意見で、口を揃えてこう言ってたものよ。
『その日は、何とも起きてなかったって』、『あそこのあのラインで、ちっともそんな素振りは起きてなかった』って、
みんな、『その口を揃えて言ってた』ようなものなのよ!?
ちっとも、こっちの方には、その騒ぎの原因みたいなものが、何も伝わってこなくて……ねぇ!?』
『……』
(どーゆう事だ!? その日は、何も起きていなかったのに、騒ぎだけが伝染病みたいに飛び回っていた……!?
いったい誰が、何のためにそんな事を……!?)
どこかのラインのおばちゃんは、続けてこうも語るのだった。
『その日、ここにいたあたし等もね。
そんな事事態あってた事なんて、なーんにも知らなくてね。
普段通りに、誰もがここにいて、『いつも通りに平然とここで作業をしていた』ようなものなのよあたし等は……!!
……それに、ちょっと、その話が気になっててね……』
どこかのラインのおばちゃんは、まるで乙女のような仕草を取り、その頬に手を当てて、『フゥ……』とまるで、困ったみたいにするのだった。
彼女は、こう続ける。
『どうにもその話が気になっていた人達がいて、その話を聴きに、上に行った人達に、それを聴き出しに行った娘たちがいるぐらいなのよ!?
でもね、『要点が中々得られない』もので……。『そうした制限が後になって掛かっていた』らしくてね……。
どうにも、その娘達伝いの話を聴いていっちゃうと……なんともねぇ……!?』
『……』
(制限……!? そうやって、情報撹乱を限定されているのか!? いったい何でそんな事を!?)
どこかのラインのおばちゃんは、続けてこうも語るのだった。
『で、帰ってきたその娘達伝いにそれを尋ねてみても、何がなんだかわからないぐらいにその首を振っていたらしいのよ。
で、何でもその話を聴く限りでは、どうにも不自然なぐらいなやり取りに思えてきちゃって、
あの向こうの方の会社が何だとか、『あの学校』の方を出てからは、『問題』がどうのこうのとか、
この会社が何だとか、前にもその話を聴いていた限りでは、怪しくも思えてきちゃってね……この会社が昔から……!?』
『……』
(昔から……!? どーゆう事なんだ!?』
『……何でも、その娘達伝いの話を聴く限りでは、
上の総務課(人達)の間で、何だかやけに忙しいぐらいで、電話が飛び回っててて掛け周っていたらしくて、
何でも、その子の話を持ち出してみては、『そこでやけに騒ぎ(の原因)が大きかった』らしいのよ!
でもね、その子がそもそもそんな事をするはずもないし……、
それは、その子の事を知っているあたし等から見ても、何かどうにも不自然に思えてきちゃってね……。
で、ちょっとその話が気になって、その子伝いに、話を聞いて回っていけば……。
問題がどうとか何とか、変な事を言ってきたかと思えば、
あの学校を出てからは、こーゆう事が何だか変に続いていたらしくて!?
『あの学校の先生』から出された『問題』がどうなんだとか……!?
――で、『あの向こうの方の職安の人』なんだけども、『こう胸の大きい女の人』が、『電話口で騒ぎまくっていた』らしくてね。
上からの圧力だとか、何でも行政の力が働いていたらしくて、その横の方でも取り次ぎ回しの騒ぎの電話が、引っ切り無しに掛かってきていたそうなのよ。
で、その電話を受け取った親御さんなんかも、日に日に、その子を見詰める眼が、何だか怪しく思えてきちゃったらしくてね……。
で、ついに、その子も、ここに呼び戻されたらしいわよ!?』
(職安の胸の大きい女の人……? 誰だ? ヨシュディアエかな? それとも、別の胸の大きい人?)
――その反応を見て、ここのおばちゃんは。
『――あっ……やっぱり、その反応……!?』
『………………』
その真相に行き着くのだった。
自分で話しかけて、何も知らないヨーシキワーカ(俺)の顔を見て、そう直感してしまった……。
(やっぱり、あれは、ウソだったのね……デマ情報が周りにもう拡散されてる……!!)
『……』
そのどこかのラインのおばちゃんは、コクッ……と小さく頷き得るのだった。
まるで、人知れず、確証を得たかの如く。
『あたしがここにいて、ここの下の方にまで、何もその騒ぎの原因が、そもそも持ち込まれていなかったのね……。
道理であんな事が会ってからは、日に日におかしくなっていったわけよ!? その子の周りで!?』
そのどこかのラインのおばちゃんは、フゥ……と溜息を零すものだった。
続けて、こうも語る。
『この会社は、あたしがここで長年勤めている限り、どう考えてみてもおかしいのよね……!? 『問題』がどうとかって周りで騒いていたようだけど、
ちっとも、ここの方には何も伝わってきていないし……。
そもそも……この会社が、ここの土地に建てられた『30年以上も前』の当初から、こんな事が長く続いていたぐらいなのよ!?
まぁ、あなたに、こんな話をしてみてもしょうがないんだけどね……。……ごめんなさいね』
『……』
で、話は、ここで終わるのだった。
後述するが、その人は、どこかのラインのおばちゃんであり、いったいどこのラインの人なのかは訳あって話せない、その名前も。
それは、実際に起こった出来事であり、実地体験談を元にしているからだ。
その為、その人物に危害の目が行ってしまうキライがある為、命の危険が付き纏う。
その為、ライン名も名前も明かせないわけだ。
彼女は、その後、長年その務めていたパン会社を辞めていったのだった――
★彡
【カジノ】
――これには、アサヒさんを推しても。
『重なる感じだな……』
と続けて、サクヤさん、イチハ様と続き。
『ええ……』
『この会社が、この土地に建てられた『30年以上も前』の当初からか……』
フムゥ……
と考えてみるイチハ様の姿があったわ。
そこへ、サクヤさんが、アサヒさんが。
『確かに、会社と学校と、その竣工時の年代なんかを照らし合わせていくと……、妙に重なるわね……』
『まぁ、詳しく調べていけば、前後間は微妙に違うだろうが……、だいたいは合っているだろう!?』
と、その真相に段々と着実に行き着くのだった。
とここで、紳士の方が。
『……だが、当然、30年以上も続けば、その子だけじゃなく、その子の親や親族関係も、その動向を怪しみ。
意を切った感じで、乗り込んでいくような勇ましい輩もいるもんだ……!』
『……』
『男らしいと言えば、男らしいが……。
だが、だいたいは、いつも、結局はやられていて、落ちぶれていく流れだな……』
そこへ、アサヒさんが。
『あぁ、さっきの証拠の品が1つでもあればか……!?』
とこれには、紳士の方も。
『そうだ。来るまでは、その誰でもできていたんだ……!
だが、その時、会っていた内情を、詳しく言えないし……。
親にも、家族にも、親戚にも、職安の中の人にだって、その決して上手くは言えないんだ……。
だが、それなのに対して、あちらさんは、人の数もやたらと多いものだから、それが多数決の意に勝った話になり、揉み消されていくんだ。
真実の白を、理想の黒で、塗りつぶしていく感じで、責任話と借用書のサインを押したという、ウソの流れになっていくんだ。
いわゆる、『闇名簿への捺印の判押し』だ』
『闇名簿への……』
『捺印の判押し……』
『『口からデマカセを言って回り』、『その後』ぐらいで、
サインペンは、会社のものでも良く。
認印は、100均一のハンコでもいい。
何なら、住居不法侵入していって、そこから、親の認印を、使い回せばいい。
行政上の書類なんかは、その後ぐらいから、どうにでもなる!!』
これには、アサヒさんも、サクヤさんも。
『なっ……!?』
『ウソ―ッ!?』
そこへ、奇麗なドレスに身を着飾った淑女の方も加わり。
『ホントよ』
ショックを禁じ得ないものやったわ。
『『『……ッ』』』
紳士の方は、こう語る。
『こんな事、昔からやっていた事なんだぞ!?
どこかの悪ガキ連中が集まって、そこから考えだしていった問題騒ぎなんだ!!』
そこへ、イチハ様が。
『ちょっとまって、どこかの悪ガキ連中が集まって、そこから考えだしていった問題騒ぎ……!?』
『そうだ! 元々は、日本発祥で、1995年よりも、もっと前ぐらいだな!?』
『日本発祥で、1995年よりも、もっと前!?』
それが、真相に辿り着く感じだった。
紳士の方は、こう語る。
『そうだ!
だから、揉み消していくのが、一番大事で、何も証拠なんかが残らないようにするためには、いったいどうしたらいいのかを、考え出していくもんだ!!
関わってしまった全員が、その共犯者の詐欺幇助の犯罪者予備軍になっちまうからな!!』
『……ッッ!?』
『だから、その前ぐらいに!
会社から職安に一報を送り、いったいどっちが、上なのか、下のなのか、立場を思い知らされて、わからせるものなんだ。
まぁ、2年は最低でも、覚悟すべきで。
それが嫌なら、職安を通さず、どこかのパートやアルバイトなどの募集求人を受ける事になるが……。
どうも返って、つくづく、電話伝いの取り次いで周っていく流れで、返ってやられて行ってるんだよなぁ……。
どこも込み入った話を聞いて周れば、オイオイ!? となぁ……』
とこれには、サクヤさんも、イチハさんも、アサヒさんも。
『あぁ、安全性を保障できず……』
『やられていった訳ね……』
『どこもそうした、『しきたり』みたいなもんだ!? ……んんっ!?』
――で、ここで、奇麗なドレスに身を着飾った淑女が、こう語るものだった。
『――……その取り次いで周る身内連中の中に、『必ず』といって良いほど、『犯罪者』が与しているのよ! 『前科一般』ものがね』
『へ……!?』
それは、警察沙汰騒ぎだった。
『まぁ、包み隠しているんだけど……。いい金周りの身内仲間連中だから……頭がいいから。
まぁ、弱い者虐めみたいなものね。こんなの社会人の常識よ?
だから、途中から、おかしな事態の展望になっていくわけ……』
『……』
『年単位だからね、1人につき……。
それが30余年以上も続いていれば、当然そんな事が、度重なって続けば、どうなる!?』
『……』
『そう、いつかは、必ず、バレてくるものよ!?
月見エビバーガーオーロラソース社は、2200年、竣工されていて、おおよそ30年以上前から。
職業訓練校は途中からドーンと大きくなって建て替えられていて、2213年には、竣工済みで、訓練生募集を掛けていたから、10年以上も前からかな?
その前は、まだ小さくてね……。大学でもないのに、あの小高い山の上の方で、カレッジだとかの名称だったそうよ?
いつ頃から、あったかまでは……う~ん……忘れたかな!?』
そこへ、紳士の方が。
『まぁ、私の記憶が正しければ、2200年には、既にあそこにあっていたぞ!?』
『その頃ぐらいって?』
『私が、高校生ぐらいの時だ! スクールバスの行きと帰りの道でな!』
と、その腕を組んだ紳士の方も言うものだった。
――そこへ、奇麗なドレスに身を着飾った淑女は、こう語るものだった。
『――だからか……。あの会社の中では、もう既にグチャグチャの状態でね。
もうどうしていいのかわからず、犯罪者予備軍に、片足を突っ込んでいて、
今さら、審議をいくらか問えないものだった訳よ!?』
『……』
そこへ、紳士の方が。
『その会社だけじゃなく、周りの会社間、その取り次いで周っていた、ほぼすべてが会社が、まぁ同罪みたいなもんだ。
だから、『特殊集団詐欺事件』と、裏のどこかで囁かられていたんだ』
これには、サクヤさんも、アサヒさんも。
『特殊集団……』
『詐欺事件か……』
さらに、ここで、こう付け足した感じで。
『『犯人探しゲーム=どうしようもない問題=とんでもない問題=特殊集団詐欺事件と覚えてくれ!』
『……』
それは、後に、クレメンティーナ、サファイアリー、エメラルティを通じて、
スバル達に教えを説くようになっていく。
――とここで、イチハ様が。
『――あんなぁ、その事は、警察(ポリス)は知っておるんか!?』
『まぁな! 知ってて当然だ!
知っていて、黙認していて、黙っているんだ。自分達に火の粉が及ばないようにしてな!』
『……』
『どこの警察署さんもそうなんだが……。
ほとんど、どれもの会社さんの意向を汲み、『特殊詐欺』という扱いで、その案件を済ませている。
始末書ものの、『持ち出し厳禁』という名目でな!
TVメディアを通して、報道を利かせているのは、そーゆう裏伝手もあっていたって事だ!』
これには、トヨボシを推しても。
『やっぱな……』
それは、知ってたからだった。
だいたいが、そんなところである。
とここで、奇麗なドレスに身を着飾った淑女の方が、こう語る。
『それを知っていて、包み隠すためには、如何にしたらいいと思う?』
これには、サクヤさんも。
『そうねぇ……。
あたしが、その会社の株主の人だとして、その妻の令嬢という立場ならば……うん。
やっぱり、会社なんだから、年毎の賃上げの憂いもあって、
そうした諸事情なんかを汲み取っていけば、例年度よりも、生産売り上げ量増々な状態で、
加速化していくんじゃないかと……思うわ!?
そうしないと、全従業員さんに対して、お給料を払えないものね……まさか!?』
それが、現在のヨーシキワーカの素性である。
ハァ……。
と溜息を零し。
『憂鬱(ゆううつ)……なんて、不憫(ふびん)……』
同情を、哀れむばかりだった。
そこへ、さらに、アサヒさんも、加わり。
『人間、体を動かしていれば、そこを考えるような暇なんかもなくて……。
仕事に集中して、汗水たらすものだからな。
あぁ、なるほどなぁ……。
中の人間は、そうやってできていってたのか……!?』
この時点で、情報を持ってきたのかが、いったい、誰なのか、察しがつくものだった。
もちろん、サクヤさん、イチハさん、女性陣も。
チラリ
とあの人の所を見て。
『……』『……』
★彡
【箱当てゲーム】
【コイン1枚を、ABCの箱の内どれかに隠し、それを言い当てると言うものだが……】
【ここで、変則的ルールが加えられていて、彼女達の意を介さず、ヨーシキワーカ自身の判断で、箱を開示するものだった】
先行は、バニーガールの彼女、後攻はクレメンティーナだった。
『では、Aの箱を』
『じゃあ、私は、その真ん中のBね!』
『では、私は、Aの箱を、オープンします』
ドゥルルルルル
『はい!』
Aの箱を開けると……そこには何もなかった……。
これには、バニーガール姿の彼女も。
『そんな……!?』
『フフン! じゃあ、あたしが当たりかなぁ?』
『さあ、それはどうでしょう!? ……ではルール通り、このAの箱は、外れたままにしておきます』
Aの箱は、そのステージ外に、置かれたのだった。
それは、ズル禁止の目的の使用であり、ルール上使ってはいけないからだ。
残りは、Bの箱とCの箱となった。
『では、ここで、そのまま、クレメンティーナさんは、Bのままにするか? それともCに切り替えるかの、『意思表示』があります
これは、先手でも、後攻でも、同じ『意思表示』の表れとして、取り扱います』
これには、クレメンティーナさんを推しても。
『う~ん……』
『どうしますか?』
『う~ん……う~ん……』
とここで、バニーガールの彼女が、トラピストさんに話しかけてきて。
『トラピストさん!』
『はい、何でしょうか?』
『仮に、あたしが、Bの箱を選んだとします。
その場合、クレメンティーナ(この人)は、Cの箱を選ばざるを得ないのでしょうか!?』
それに対して、トラピストさんの返答は。
『その場合、先行有利・後攻不利の条件下が、より親密になって、視覚化し、わかりやすいかと思いますが!?』
『……なるほど』
『……そーゆう事!』
そう、このゲームは、如何にして、その確率論の話を、視覚的に訴えて、わかりやすさを告げているものだった。
トラピストさんは、こう告げる。
『なお、現在のルール上、バニーガール姿のあなたが、先行を取っています。後攻はクレメンティーナさんという扱いです』
これには、バニーガールの彼女も。
「『フランシス』」
【フランシス】
その女性の特徴は、金髪ヘアの長めのロングヘアに、赤い瞳(レッドアイズ)、白人女性特有の白い肌。
カジノの中でも、歳が若く、整った顔立ち。
カジノから支給された、バニーガール姿に身を包んでいる。
それぞれ、カラーバリエーションは、白、黒、赤、ピンクなど、お好みに合わせて選べる仕様である。
他にも色合いがあり、オレンジ、黄色、黄緑、緑、水色、青色、紫色、紺色、灰色とある。
だが、ここで、年若い乙女と、熟女間の年齢層の口出し無用の暗黙の了解、というものがあり。
経験を積んだ熟女間は、黒、紺色、灰、紫、青。
経験の浅い年若い乙女間は、白、赤、ピンクとなっている。
なお、オレンジ、黄色、黄緑、水色などは、例外規定として、どの年代層でも、着用を認可されている。
この内、彼女は、年若い乙女層に入るので、ピンクのバニーガール姿に身を包んでいる、というものだった。
それは、ピンク色のバニーガール姿の彼女の名前だった。
『え……』
『フランシス ……それが、あたしの名前よ!』
『フランシス、さんですか……。わかりました』
ムフッ
とあたしは、この際、名前を覚えてもらおうとしたものだったわ。
そこには、了承の意を返すトラピストさんがいて、フランシスさんは、Cの箱を選ぶものだった。
『……Cを』
これには、クレメンティーナも。
『じゃあ、あたしは、Bね』
『では、オープンします』
そのCの箱を開けると、コインが入っていました。
これには、フランシス、クレメンティーナ、トラピストさんと順々に、その声を上げていき。
『よしっ!』
『あぁ……外れた……』
『フフッ……どんまい』
3人で仲良く、箱当てゲームをしていました。
箱当てゲーム、1回戦目、勝者はフランシスさんが、飾ったのだった。
それは、トラピストさんの宣言通りだった。
『……では、ここで、確率論の話をしましょうか?」
『!?』
『いいですか?
まず、クレメンティーナさん、あなたがさっき言ったように、この3つの箱は、33.3%の状態で、スタートしていました』
『フムフム』
『問題は、先行有利、後攻不利という条件下の扱いです。
この場合、先にそれを取るのですから、
当りの場合は、33.3%の状態から、それを取り上げているので、100%の状態になります。
残り、2つの箱は、0%まで落ち込んでいます。
ゲームにもなりませんよね?』
これには、クレメンティーナさんも、フランシスさんも。
『まぁね!』
『じゃあ、この変則的ルールは?』
それに対して、トラピストさんは、こう答えてきて。
『はい。実は……。私だけが、当たりの箱を知っているのですから、ワザとハズレの箱を、お二人に見せる事ができます』
これには、クレメンティーナさんも、フランシスさんも。
『フムフム』
『あれね?』
『うん』
『2人は、そこからさらに、当たりかハズレの箱を選ぶことができるのですから、
確率的に言って、33.3%の3つの箱の状態から、1つ取り除いて、50%と50%の状態になりますが……!?』
『……?』
『……?』
『実は、60%と40%ぐらいの確率論まで、なっているんです』
これには、クレメンティーナさんも、フランシスさんも。
『ハァアアアアア!? それおかしいんじゃないーっ!?』
『待って!』
『!?』
『そこに、先行有利と後攻不利と、もう1つ……』
『……』
『……』
『それが、精神論……なんでしょ? トラピストさん?』
『はい、当たりです! フランシスお嬢さん』
『やっぱり……』
『えっ……どーゆう事!?』
これには、フランシスさんも、クレメンティーナさんにわかりやすく、お伝えするために。
『例えばですねぇ……。クレメンティーナさん、仮に、バニーガール姿のあなたがいたとして……』
『……』
(逆なんじゃ……)
『……』
(この場合は、ところ変わって、クレメンティーナさん(あたし)の立場だった場合か……。
まぁ、男の私よりも、同じ女性同士の方が、いくらか物分かり良く、伝わりやすいものか……)
フッ……
とこれには、トラピストさんも、自嘲の笑みを零したものだったわ。
フランシスさんは、女性という立場を活かして、こうわかりやすく道理の説明を説くものだったわ。
『あなたは、後攻の時、Bを選んでいましたよね?』
『まぁね!』
『この時、ハズレはわかっていて、残りのAかCのどちらかなんじゃないかと、勘ぐってしまうんです。
この場合は、もしかしたら、そう、彼女が選んだものが……当たっているんじゃないかと……ね?』
『……』
『あたしも、その同じような、心象でしたので、よくわかるんですよねコレ……』
『あぁ……そーゆう事ね!』
そこには、いくらか、物分かりのいい麗しき女性達がいたものだったわ。
『……』
『……』
とここで、トラピストさんが。
『ちょっといいですか? お嬢さん方』
『……』
『……』
『ここで、変則的ルールが加わって、ワンモアチャンスとして、コインの入っていそうな箱を変える、という意志表示があるんです。
ですが、先手有利、後手不利には違いがなくて、
だいたいが、60%有利、40%不利まで、落ちていくんです』
これには、身を乗り出し加減だったクレメンティーナさんも。
『なるほどね……へぇ~……。変則的ルールで、後手不利40%もかぁ……』
『フフフ、わかりやすい例えでしょう?』
フゥ……
と長嘆の行きを吐いて。
『まぁ、納得ね』
『ねぇ?』
『まぁ、これを100回ほどやれば!?』
今度は、クレメンティーナさんから、トラピストさんに、質問を投げかけるものだったわ。
『だいたい試せばわかりますが……。60対40にはならなくとも、57対43ぐらいの確率論までは、いきますね!』
『そこに、さっきあなたが言っていた、精神論なんかが、多分に絡んできちゃう訳ね?』
これには、フランシスさんも。
『はい、当たりです!』
『フ~ン……良くわかってきたわ』
チラッ
とトラピストさんを見て。
『……あなたのガラスみたいな手の内がね?』
ドキッ
とバレてしまう。
『丁寧過ぎるのよ? あなた……。バカ正直じゃないの?』
『ハハハッ、良く言われます』
『フゥ~……いいわ。付き合ってあげる』
『……どうも』
『あぁ、それと……』
『?』
『あたしの付き合っている彼も、親しくなっていくためには、そのゲームの知識なんかも拠り所だから』
チラリ
と乙女的な仕草を取りつつ、
そのテーブルの上に乗っていた、そのとんでもなく大きな胸と腕を突き出す感じで、手前に持っていて、アピール。
当然、ムチムチとした乳房の上部が、盛り上がっていて、照り返していた。
その少ない布地の面積だからできる、乙女的な仕草だからできる、攻撃方法である。
『……そのあたり、教えてくれる?』
『うっ……』
(デカァ……いったい、何カップあるのこん人!?)
『……』
『……ッ。ええ、もちろんいいですよ!?』
これには、クレメンティーナさんも、その心の内では。
(フフフッ、やったわ。ちょろいわね!)
それは、クレメンティーナさんを通しての、巧みな女からの誘いだったわ。
『では、後で、電話番号を交換しましょうか?』
『フフッ、もっもちろん、いいですよ』
その声は、上ずっていたという。トラピストさん、ピンチ。
【――その様子を、バニーガール姿の彼女フランシスさんが、目撃していたのだった】
【それは、一種の波乱の幕開けだったという】
『……』
【――こうして、トラピストは、クレメンティーナさんの懐に潜り込む感じで、彼女の携帯電話番号をゲットしたのだった】
【トラピスト、任務コンプリート!?】
、
TO BE CONTINUD……