はるの推理
祖父から呪物を手渡された僕は気づいた。
これだ。
これが祖母に取り憑いた悪霊の正体だ。
覚えているだろうか。
僕の頭上を飛び交う祖父と祖母の視線について確かめるために二人の顔を盗み見た時、祖母は勝ち誇ったような表情を浮かべていて、その祖母の顔を祖父が恨めしそうに睨んでいた。
僕は祖母のその表情を悪霊に取り憑かれたことによるものだと断定した。
それは正しかった。
この呪物、もとい異臭お手玉こそが悪霊だったのだ。
なるほど。
解決だ。
僕にはすべて分かってしまった。
僕の推理によると、こうだ。
祖母は悪霊に取り憑かれていた。
それに祖父は気づいていたのだ。
僕は祖父が祖母の顔を恨めしそうに睨んでいたと思っていたが、それは違っていた。
祖父は、祖母に取り憑いた悪霊を睨んでいたのだ。
今回僕に悪霊が宿ったお手玉を渡してきたのは、きっと僕にこれを処分させるためだ。
おそらく祖父はこのお手玉を処分して祖母を悪霊から解き放ってあげようと何度も挑戦していたはずだ。
しかしそれが成功することはなかった。
細かいことは分からないが、お手玉はどんなことをしてもなぜか手元に戻ってきたのではないだろうか。
なんかそういう話聞いたことあるもん。
呪いの人形的な。
多分そんな感じだろう。
そして途方に暮れた祖父は僕に託したのだ。
つまり祖父は、僕がこのお手玉を完全にこの世から跡形もなく抹消することを望んでいる、ということだ。
ならば応えねばなるまい。
いつもお世話になっている祖父からのSOS。
応えねばなるまいよ。
そうして僕は異臭お手玉をこの世から消し去る方法を模索し始めたのだ。