第5話 仲間と同級生
肩まで伸びた栗色の髪を、ピンク色のリボンでツインテールに結い上げた少女は、その大きなブラウンの瞳で、腕の中の子猫を見つめていた。
対するその子猫は、恨みがましい目でこちらを睨み付けている。
しかもグルグルと喉を鳴らし、威嚇までしていた。
「……」
ただし、その子猫が威嚇しているのはツインテールの少女ではない。
その隣を歩く、リプカに対してであった。
「ホンット、かわいくない猫。魔物のいる森に迷い込んで、食われてしまえば良かったのに!」
「そんな事ばっかり言っているから、あんたは動物に好かれないんだよ」
子猫を捕獲する際、引っ掛かれて傷だらけになった腕が痛々しい。
頬もピリピリする事から、おそらくそこにも傷が出来ているのだろう。後で魔法で治しておこうと思う。
「ところでカルディア、これからどうする? 先に依頼主の家に行く? それとも通り道だし、一回ギルドに戻る?」
「じゃあ、あたしが届けてくるから、リプカは先に戻っていてよ。この子もリプカの事嫌いみたいだし」
「はっきり言わないで下さい」
さすがに傷付く、と項垂れるリプカに、カルディアと呼ばれたツインテールの少女は苦笑を浮かべる。
今日のリプカの仕事は、珍しくも受付嬢ではなく、迷子になった子猫をカルディアと一緒に探しに行く、というモノであった。
本音を言えば、杖を振り回して魔物退治の依頼がしたかったのだが、それは叶わず、カルディアが前から受けていた子猫探しを手伝っていたのだ。
しかしそれでも椅子に座ってクズ男どもの接客をするよりはマシかと思ったのだが、その考えは甘かったという事に、リプカはすぐに気付かされる事になる。
理由は知らない。
しかし理由は知らなくとも、リプカは動物に嫌われる体質であったのだ。
そのため、迷子になった子猫を見付けても、威嚇され、飛び付かれ、引っ掛かれて噛み付かれる始末。
それでも、こんな猫に負けて堪るかと繰り広げた死闘の末、ようやく取り押さえる事に成功したリプカは、それをカルディアに預ける事によって、なんとか依頼を完遂する事に成功したのである。
「っていうか、カルディアが捕まえてくれれば良かったのに」
カルディアの腕に抱かれている子猫を恨めしく眺めながら、リプカは唇を尖らせる。
するとカルディアは、ごめんごめんと、大して悪びれてもいないような謝罪を口にした。
「いや、何か猫と本気で格闘しているリプカ見てたら、邪魔したら悪いと思っちゃってさ。それに、見付けてもあたしが近付くとすぐに逃げちゃってたから。リプカが近付いたら逃げずに飛び掛かって来たし。おかげでようやく依頼達成だよ。ありがとねー」
迷子の子猫探し。
それを受けて三日間、カルディアは必死に子猫を捕まえようと試みていたらしい。
しかし見付けても猫なだけに逃げ足は速く、中々捕まえられずに手こずっていたようなのだ。
けれどもリプカに対しては逃げずに飛び掛かって来たがために、すぐに捕獲する事が出来たのだと言う。
おかげでようやく仕事が終わったと礼を言う彼女に、リプカは釈然としない気持ちを抱えながらも「どういたしまして」と答えた。
「もう、そんなに怒んないでよ。その傷の手当が終わったら、お礼にシフォンケーキごちそうするからさ」
「え、本当?」
「うん、近くにね、新しいケーキのお店が出来たの。そこのシフォンケーキが絶品だって噂だよ。あたしも気になってたからさ、ローニャも誘って後で行ってみようよ」
「うん、行く! わあ、楽しみー」
目をキラキラと輝かせ、楽しそうに笑うリプカに、カルディアは現金だなあ、と苦笑を浮かべる。
でも助かったのは本当だ。彼女が手伝ってくれなければ、子猫はまだ捕まえられていなかっただろう。
いつまでもこの依頼だけに時間を割いているわけにはいかないのだ。
やらなければいけない仕事は、他にもまだ沢山あるのだから。
「あれ?」
「どうしたの、リプカ?」
ふと、そこでリプカが足を止める。
そこは丁度、自分達の働くギルド・ブロッサムの店先だ。
その店先で、一体何を見付けたのだろうか。
「あれ、サイドじゃない?」
「え?」
リプカの指差した先を見る。
そこには見覚えのある背格好をした、金の短髪の青年が、見覚えのない茶髪の青年の肩をポンポンと叩いていた。
「本当だ、サイドだ。でももう一人の方は知らない人だねぇ?」
その二人の姿に、カルディアはコテンと首を傾げる。
金髪の方の青年は、リプカ達の所属するギルド・ブロッサムのリーダーであるサイドだ。
黒のアンダーウエアに、緑色のジャケットと、同色のパンツ。
この位置からは見えないが、太い眉毛が印象的な碧い瞳の青年である。
しかしもう一人の方は、カルディアの言う通り、知らない人物であった。
サイドが親しそうに話しているところから、おそらくは彼の友人なのだろう。
何を話しているのかは知らないが、知らない茶髪の青年の肩をポンポンと叩くと、サイドは茶髪の青年を連れて、ギルドの中へと入って行った。
「遂にサイドに恋人が出来たか」
「サイドに? 違くない?」
ビシッと小指を立てながら呟くカルディアにリプカが冷たい目を向ければ、カルディアは冗談だと、笑みを浮かべた。
「でも誰だろうね、あの人。リプカ知ってる?」
「さあ。最近出来た友達じゃないの?」
さして興味もないと言わんばかりにリプカが答えれば、少しは興味を持て、とカルディアに苦笑を向けられる。
とにかく依頼完了報告の書類を作成しなければ、とリプカがギルドへと向かえば、サイドの恋人でも拝んでおこうかな、とまた冗談を口にしながらカルディアもリプカの後に続いた。
「ただいまー」
「あ、リプカ、カルディア。お疲れーッス」
カランと軽い音を立てながら中に入れば、先程入ったばかりのサイドが、笑顔で労いの言葉を掛けてくれる。
そんな彼に「サイドもお疲れ」と軽く返事をすると、リプカは受付台の向こうに腰を下ろしてから書類にペンを走らせた。
「お疲れー、サイド。ところで、その人どちら様?」
茶髪の青年に興味を示さないリプカとは違い、カルディアは興味深々とばかりにサイドに問い掛ける。
するとサイドは、苦笑を浮かべながら、逆にカルディアへと聞き返してきた。
「どちら様って、カルディア、分かんねえ?」
「え?」
まさかの質問返しに、カルディアはどういう事だと首を傾げる。
するとサイドは、今度はリプカへと視線を向けた。
「リプカも。お前も覚えてない?」
「ごめん、覚えてない」
「せめて顔を上げろ」
書類に目を落としながら空返事をするリプカに、サイドから呆れた溜め息が聞こえてくる。
顔ならさっき遠目から見た。そして知らない人物であった。
だったらここで見ても見なくても、何も変わらないのではないだろうか。
そうは思ったが、サイドから冷たい視線が飛んで来るので仕方がない。
もう一度近くから顔を見てやろうと、リプカは渋々顔を上げる。
ショートカットよりも短く、前髪さえも額の真ん中までしかない短い茶色の髪に、根暗な上に冷たい印象を受ける黄色の細い瞳。
白いタンクトップに茶色のコートを羽織った、同年代の男……うん、やっぱり知らない。
「ごめん、やっぱり分からない」
「お前、もう少し考えろよ」
「ローニャ目当てでやって来て、私に暴言吐いて帰った男の顔なんて、いちいち覚えてたらキリがないわよ」
「ちげーよ」
「じゃあ、サイドの友達? 悪いけど、サイドの友達なんて把握してなければ、この先把握する気もないからね」
「お前な。もう少しちゃんと考えないと、また減給にするからな!」
「はあ、何それ! 職権乱用! 最悪! このハゲ!」
「誰がハゲだ!」
遺伝かストレスか。最近ボリュームが減ってきたと嘆いている金の髪を押さえ、サイドが睨み返す。
すると誰だか知らない茶色の髪が、苦笑を浮かべながらサイドを宥めた。
「まあまあ。サイドだって分からなかったじゃないか」
「うっ、ま、まあ、そうだけど……」
「え?」
その言葉に、カルディアがキョトンと目を丸くする。
だってそうだろう。さっき店の前で、二人は親しげに話をしていたではないか。
それなのに「分からなかった」とは一体どういう事なのか。
これにはさすがのリプカも興味を持ったらしく、彼女は誰だか知らない茶髪の青年を訝しそうに見つめた。
「やっぱりナンパしたんだ……」
「違うわ!」
あらぬ誤解を否定してから。
サイドはゴホンと咳払いを一つ吐く。
そうやって気を取り直してから、サイドは謎の青年を二人に紹介した。
「ランドって覚えてねえ? オレ達と同じ学校に通っていた同級生」
「え?」
「同級生?」
「そう同級生」
驚き聞き返す二人に、サイドはコクリと首を縦に振る。
その紹介から、二人は数年前の過去の記憶を探り出す。
ランド、ランド……。
ああ、確かにその名前には聞き覚えがある。
幼い頃に通っていた、街の小さな学校。
そこにその少年はいた。
特に虐められていたわけではないが、いつも教室の片隅に一人でいた少年だ。
親しい者はいなかったのか、誰か友達と話しているところも見た事がない。
いつも一人でいて、ずっと本を読んでいた少年。
一匹狼と言うよりかは、一人ぼっちと言った方が近いような少年であった。
「あ」
「思い出した」
ようやく合点のいった人物に、二人はポンと手を打つ。
すると、やっと分かったかと言わんばかりに、サイドが笑みを浮かべた。
「オレもさっきそこで声を掛けられたんだけど、パッとは思い付かなくて。悪かったな、ランド。すぐに思い出してやれなくてさ」
「いや、いいよ。昔のオレ、空気みたいな存在だったし。結構みんなそういう反応するんだ。だからサイド達が分かんなくてもしょうがないよ」
気にするなと言わんばかりにサイドに笑みを浮かべると、ランドと判明した茶髪の青年は、次いでリプカとカルディアへと視線を移した。
「二人とも久しぶり。オレは覚えているよ。カルディアとリプカだよね。二人は昔から仲良かったみたいだけど、今でも仲良しなんだね」
「わっ、すごい。あたし達の事覚えてくれているんだ。嬉しいね、リプカ」
「え……、うん」
え、別に、と答えようとしたリプカであったが、サイドの冷たい視線を感じたため、ここは素直に頷く事にした。
上手に生きて行くには、嘘は必須科目である。
「学校を卒業してからって、ランドどこにいたの? 島内にいた?」
「いや、オレは卒業してから島を出て本州に行ったんだ。今も本州に住んでいるんだけど、ちょっと今里帰りしているんだよ」
「え、本州に住んでいるの? いいなあ」
ランドの返事に、カルディアは羨ましそうに目を細める。
彼女らの住むこの『オールランド』は、周りを森と海とで囲まれた小さな島国だ。そしてその島国を海を挟んでグルリと囲むのが、本州と呼ばれる大きな大陸なのである。
その大きな大陸には、この小さな島にはないモノが沢山あると聞く。
文明が進んで栄えている街や、砂漠の街。
学問の街もあれば、カジノで賑わっている所もあるらしい。
この島国も自然豊かで良い場所だとは思うが、それでも大きな大陸への憧れは大きい。
けれどもここは、周りを海で囲まれている国だ。本州へ行くには、その海を渡らなければならない。
陸続きではないため、気軽に本州へ行く事が出来ず、島では本州へ行った事のない者達の方が多いのが現状だ。
そのため、島の者達の本州への憧れは、尚更強いモノなのである。
もちろん、それはカルディアもリプカもサイドも例外ではなく、三人は本州に住んでいるというランドの話に身を乗り出した。
「ねえ、ランドが住んでいる街はどんな所なの?」
「ここよりも発展している街だよ。キラキラしているモノがいっぱいあるんだ」
「キラキラしているモノ?」
「うん、何て言うか、街自体がオシャレって言うか? とりあえず今流行っているのはパンケーキだよ」
「パンケーキ? 何それ?」
「食べ物?」
「AV女優か!」
「だから禿るんだよ」
「まだ禿てねぇっ!」
この街にはないモノ、パンケーキ。
しかしそれを説明しようと、ランドが口を開いた時だった。
カランと軽い音を立てて、ギルドの扉が開く。
そこから入って来たのは、リプカ達と同じ年くらいの青年。
茶色のコートの下にあるのは、彼の愛用する二丁の拳銃。
肩まで伸びた明るい茶髪を後ろで一つに束ね、その頭には彼のトレードマークである緑色のバンダナが巻かれている。
しかしいつもは凛々しい緑色の瞳は、今日は何だかダルそうに歪んでいた。
「あ、グランじゃん。お帰りー」
「お疲れー、グラン」
「おーう、ただいまー」
労いの言葉を掛けるカルディアとリプカに、グランと呼ばれた青年は、軽く手を上げて答える。
彼もまたこのギルドで共に働く仲間であるが、グランとは愛称であり、彼の本名はグラディウスと言う。
しかし長ったらしい上に呼びにくいため、大抵の者はグランと呼ぶのだが、彼自身、それに関しては特に気にしていないらしい。
とにかくぐったりしているグランことグラディウスに、サイドはどうしたんだと言わんばかりに首を傾げた。
「大分疲れてんなあ、グラン。どうした?」
「作物を荒らしているイグアナ型の魔物がいるっつーから、行って退治してきたんだよ。そしたらそれ、隣の家のヤツのペットでさ。勝手に殺しただとか、殺したのはオレだから、依頼人じゃなくて殺したオレが責任取れだとか、変な近所の争いに巻き込まれた」
「マジか」
「でも、魔物を飼うのって、確か条例違反じゃなかったっけ?」
「ああ、そう。だからオレを訴えるんなら、オレも訴え返すって話で何とか落ち着いた」
「え、それって落ち着いてないんじゃ……」
「大丈夫。オレ、顔広いから弁護士の友達もいる」
「あ、そう……」
サラリと大変な事を言っている気がするのだが、それでもグラディウスが大丈夫だと言うのだから大丈夫なのだろう。
負ける気はしないけど面倒臭いな、とボヤいていた彼であったが、ふとランドを視界に捉えると、彼は驚いたように目を見開いた。
「あれ、ランド? え、ランドじゃないか!」
「え?」
その言葉に、今度はランドが目を見開く番であった。
彼曰く、学校時代の影が薄かったがために、ランドの事を覚えている者はいないらしい。
現にリプカやカルディア、サイドでさえも覚えていなかったし、他の同級生に会ったって、彼らと似たような反応をしたのだ。
それなのに何の自己紹介もなしに、自分を見ただけで同級生のランドだと分かるだなんて。
久しぶりだなあと笑みを浮かべるグラディウスに、ランドは戸惑いの表情を浮かべた。
「え、オレの事分かるの?」
「はあ? そりゃ分かるだろ。そんな大きな学校でもなかったんだから。同級生の顔と名前くらい覚えていて当然だぜ。なあ?」
「……」
同意を求められ、他の三人は勢いよく顔を背ける。
覚えているのが当然だろと断言するグラディウスに、まさか三人そろって分かりませんでしたなんて言えない。
「う、嬉しいよ、グラン。オレの事覚えている人って今までいなかったから。ありがとう」
「……え?」
「……」
しかしランドにあっけなく真実をバラされ、三人は明後日の方向へと視線を逸らした。
人として有り得ないだろ、と言わんばかりのグラディウスの視線が、かなり痛い。
「ところで、このギルドは四人で運営しているの?」
「いや、六人だよ」
「六人? あとは誰がいるんだい?」
「カルトとローニャちゃんだよ。覚えている?」
「カルトとローニャ? ああ、もちろんだよ」
「だよね。普通は覚えているよね」
「……」
悪かった。
覚えていなくて非常に申し訳なかった。
謝る。謝るからもう許してくれ。
咎めるような視線を送るグラディウスに、他の三人は心の中で土下座した。
「二人は今どこに?」
「ローニャちゃんは今日休みだよ。おかげでオレのやる気はいつもの半分なんだけど。カルトは何らかの依頼に行っているハズだけど。何だっけ?」
「え? ああ、ちょっと待って。予定表にみんなの今日の予定が書いてあるから」
久しぶりに冷ややかではない視線を向けられて、リプカは『今日の予定』と書かれたノートを捲る。
するとカルトの欄に、とある予定が書かれていた。
「えーと、南区A地点の討伐……あれ?」
出て来た予定に、リプカは訝しげに眉を顰める。
南区A地点の討伐というのは、街の南側にある森の魔物の討伐だ。
討伐とは言っても、特に大したものではない。
A地点というのは、街の近辺の事で、殆ど魔物のいない地点を指す。
つまり南区A地点の討伐とは、街の南側で危険な魔物がいないか見回り、いたら駆除、いなければそのまま帰還という簡単な仕事の事なのだ。
森の奥であればそれなりに強い魔物がいるのだが、街の近くにそこまで強い魔物など出た事がない。
それなのにカルトがまだ帰って来ないとは、彼にしてはちょっと時間が掛かり過ぎなのではないだろうか。
「南区A地点の討伐って、割と簡単なヤツでしょ? それなのにあたし達より帰りが遅いっておかしくない?」
「確かに、カルトがこんなに時間掛かるっておかしいよなあ」
他の者が行ったって、時間の掛からない仕事。
それなのにギルド内で最も強いカルトが、この時間になっても帰って来ないだなんて何かおかしい。
その疑問を感じたのはリプカだけではなかったようで。
カルディアやサイドも口々に疑問の声を上げた。
「何かあったのかもしれないね。私、ちょっと様子を見て来るよ」
「いや、ちょっと待て」
何だか嫌な予感がする。
そう思ったリプカが飛び出そうとしたのだが、それをサイドが呼び止めた。
一体何だと思い足を止めれば、サイドは呆れたように目を細めた。
「オレ達の中で一番鈍臭いお前が行ったところで意味ないだろう」
「んなっ!」
その一言にリプカは言葉を失う。
するとそれを聞いていたランドが、そう言えばと口を開いた。
「そう言えばリプカって、何をやっても駄目だったよね。足も遅ければ勉強も出来なかったし、音痴過ぎて涙出て来た事もあったし……。何でギルドなんて、体力のいる仕事しているの?」
「あたしが誘ったんだよ。仲良しだから」
サイドやランドのストレートな意見に言葉を失っているリプカに代わって、カルディアが笑顔でその理由を口にする。
すると話を聞いていたグラディウスが、うんうんと頷きながら口を開いた。
「サイドの言う事は最もだよな。ここはオレとサイドで見に行ってくるよ」
じゃあ早速と言わんばかりにサイドとグラディウスが出て行けば、ランドもまた他の同級生に会って来ると言ってギルドを後にする。
じゃああたしも依頼完了の報告をしてくるよと、捕まえた子猫を連れてカルディアも出て行けば、そこには言葉を失ったままのリプカだけが、ポツンと取り残されたのであった。