第3章の第100話 どうしようもない問題27 答え売り上げ利益1
☆彡
【ポイント2、売り上げ利益の激減】
――エメラルティさんに代わり、サファイアリーさんが語る。
「――じゃあ、次は、売り上げ利益の激減かしらね?」
「!」
それも、民衆の注目を集める大事な話だった。
「売り上げ利益の激減! これは、さっきのヨーシキワーカさんの話の中にもあったように……。
1つは、トラックが考えられるの!
トラックの台数が半分まで減ってしまっていた事が原因だったせいよ!」
「……」
そう、そこまでは、さっきの話の中でわかっている事だ。
サファイアリーさんは、こう語る。
「では、何でそうなったと思う?」
それに対して、口を挟んできたのは、アヤネさんだったわ。
「それは、ヨーシキワーカさんのせいなんじゃないの?」
「……」
「だって、そうなんでしょ!? その人が、いる間までは、何事もなかったんでしょう?」
「……」
その言葉を受けて、クリスティさんとエメラルティさんは、「ハァ~……」と大きく、落胆したかの如く溜息をつき。
サファイアリーさんは、「フッ」と鼻で笑うと、こう語り出してきたわ。
「そう、そこが、周りから『騙された口』なのよ!」
これには、アヤネさんも、アユミちゃんも、スバル君も。
「周りから騙された口……!?」
「って、いったいどーゆう事なんだろう……!?」
「さあ……?」
そこには、首を傾げる感じのスバル君がいるのだった。
サファイアリーさんは、続けてこうも語るの。
「結論から、先に言わせてもらうわ。それはね、ただの『人手不足』だったせいよ!
後、『非正規雇用の労働時間帯』にも、秘密があったのよ!」
これには、アヤネさんも、ミノルさんも。
「人手不足と……」
「非正規雇用の労働時間帯……」
サファイアリーさんは、続けてこうも語る。
「これが、原因で過程に沿っていったのは、
イリヤマ先生の発言にあった、600万円(45455米ドル)から800万円(60606米ドル)ほどの売り上げ利益の落ち込みようと。
騙し屋のミシマさんが、悪い噂を流した際の、あいつは会社の機械を壊し、俺がそのお金を建て替えた、おおよそ2000万円ね。
ボイラーマンさんの免許が取り上げられて、奥さんとの離婚手続き騒動のでっち上げも、ここに1枚絡んたいた訳よ!
まぁ、大ウソなんだけどね!」
「……」
「試しに、この2000万円を、1年間の12で割ると、良くわかるわ」
「えーと……2000万円だから、割る12で……」
「あっ、答えは200万円だわ!」
「それが、1ヶ月間の売り上げ利益の落ち込みようだった訳よ」
「……」
メチャ簡単……。
毎月200万円。1年間でトータル2000万円なわけだ。
つまり、1年目は2000万円、2年目は4000万円、3年目は6000万円になるわけだ。
つまり、最初から全部、大ウソだったのだ。
「メチャ簡単……。あなた、今、そう思ったでしょう?」
「……ッ」
「でもね、意外とこれって、『当事者本人側に立たされた時』、懊悩とするものなのよ? 精神的にまいっていったのも、これだったわけ。
それだけ、人の噂話って、『風評被害』って、ホントは恐いものよ?
たまらず、自殺者が出ていったのも、案外とこれだったんだからね?
まだ、働き盛りの20代から40代が、これで死んでるんだから、
特殊詐欺って、ホントは恐いものなのよ?」
「……」
――そこへ、クリスティさんが。
「――簡単にバカにしちゃいけないものなのよ?
実際に、その当事者本人側に立たされてみたら、良くわかるわ。
だから、詐欺電話が、掛かってきたと思ったら、その内容を聞かずに、すぐにその電話を切ってね。
声を出すなよ?
向こうには、『音声レコーダー』が周っていて、『変声器』で、その声を奪われるんだからね!?
顔写真や個人情報なんかは、もう盗られた後なんだと、充分思っていいわ」
次いで、エメラルティさんが。
「だから、ヨーシキワーカさんの名を語る、『なりすまし詐欺』からの電話が、掛かっていた訳よ?
まぁ、相手さんもビックリもので、まさか、ご本人様が出てくるとは、その時は思わなかったらしんだけどね。
腕時計型携帯端末(フューチャーウォッチ)を、その日、置き忘れていってね」
「……」
(マジ?)
一同、そう思ったものだった。
次いで、サファイアリーさんが、こう語る。
「ハッキリ言って、一般サラリーマンの支払えるような額じゃないわけよ?
お父さんの年収で、計算してもダメって訳。
お父さんの年収は、家族を養うためのものであって、雇用している会社側としては、必要経費として低く抑えられている訳よ。
余分な感じには、出されていないの……これわかる!?」
「……」
「フゥ……」
と嘆息しちゃうサファイアリーさんが、そこにいたのだった。
「物事の道理から、紐解いていくためには、過去に戻るということよ」
それに対して、呟きを落としたのは、アユミちゃんだったわ。
「過去に戻る……」
その子の声を、スバル君も聞いていて。
「……」
戻る、戻る、戻る……妙なフレーズを覚えたものだった。
★彡
【『月見エビバーガ―オーロラソース社』Tsukimi Shrimp Burger Aorora Sauce Company(ツキミ シュリンプ バーガー オーロラ ソース カンパニー)』】
【金曜日】
【人手が充実している曜日に限って、視察にやってくる、商品課のガタイのいいおじさん】
――その日、ヨーシキワーカ(私)は、1人で箱上げをしていた。
そのまま、その足で、機械まで流し入れるという結構体に負担がかかる技を用いてた。
その技は、基本を修め、応用まで発展を利かせた技だった。
ただし、それは、体を痛める類のもので、制限付きの技術に当たる。
その当時のヨーシキワーカ(俺)は、まだ若く、それを連続して用いていたぐらいだった。
それが、まさか、あんな事になろうとは……。この時は、思いも寄らなかかったものだ……。
そして、一緒になって働いていたのは、もう1人いて、キーシストマ先輩という方だった。
『……』
『……』
それは、俺の動きぶりを見ぃ、観察していたものだった。
彼の仕事ぶりは、もう楽なもので、箱を台車に乗せて、運搬するだけのものだった。
それに引き換え、俺の方が、、労働水準的に辛い、結構これは、腰にくるものだ。
何人もの先達たちが辞めていったのは、実はここにあるのだ。
『……』
そして、この時は、俺も、詳しくは意識していなかった。
まさか、この現場を見ぃ、観察していた人がいたとは……。
『……』
そう、昔、商品課に勤めていた人がいて、その人は、ガタイのいいおじさんだったんだ。
当時の記憶は曖昧なもんで、結構距離が離れていたからか、上手くは聞き取れなかったが、だいたいはこんなものだった。
『あいつ、結構1人で色々とできるもんだなぁ……早やか早やか……もうあそこん所まで進んでっぞ!?
………………。
ハァ~~、よぉ動けて、捌けとんなぁこれは……!?』
この日の時間帯は、午後4時ぐらいで、ほぼすべてのトラックの運送は、既に終了していた。
ただ1台だけ、午後6時台に入ってくるトラックを除いて。
『これならば、もう少し『運搬量』を増やして、あそこにトラックが入ってこれる『時間帯』を、『狭められ』そうなもんだな!?』
この日、この商品課のガタイのいいおじさんは、その様子を見ていただけで、それを勝手に決めたものだった。
☆彡
――過去から現在に返り、サファイアリーさんこう語る。
「――この時、商品課のガタイのいいおじさんは、
『これならば、もう少し『運搬量』を増やして、あそこにトラックが入ってこれる『時間帯』を、『狭められ』そうなもんだな!?』
――と言ったものよ?
それが後々のトラックが入ってくる時間帯の前倒しになっていったの――」
★彡
【『月見エビバーガ―オーロラソース社』Tsukimi Shrimp Burger Aorora Sauce Company(ツキミ シュリンプ バーガー オーロラ ソース カンパニー)』】
【金曜日】
【(続)人手が充実している曜日に限って、視察にやってくる、商品課のガタイのいいおじさん】
――それから2週間後の事。
「……あれ!? どーゆう事やあれは!?
何で2人して、あれを上げてっとや!?
先々週(先週)まではあんなに、がんばって1人であれを上げていたってのに、何で、急にあれをやらなくなったとやあいつ……!?」
そこには、2人で、箱を上げる姿があって、目撃されていたものだった。
これを見たおじさんは、こう思ったのだろう。
(しばらくの間は、様子でも見るか……!?)
と、これがいけなかった。
様子を見るだけで、聞くことはなく、できるんかなぁ……と思い、トラックが入ってくる時間帯だけが、今後狭まっていったのだった。
これが、後の引継ぎの人事を受けもいつつ、数年間の長い時間をかけていく中で、3時間の前倒しになっていくのだった。
商品課の比較的若い人が、これを知ったのは、私が辞めていった以降の事である。
☆彡
――過去から現在に返り、サファイアリーさんは、こう語る。
「――この時、商品課のガタイのいいおじさんは、
ヨーシキワーカさんの仕事ぶりを見ていて、あぁ、一人でもできるんだなぁ……と思い込み、それが後々、思わぬ間違いを引き起こしていったのよ。
それはね、年々入ってくる感じの、配送トラックの積み荷卸の、『時間帯を前倒し』にしていったキライがある訳よ」
とここで、アヤネさんが。
「そこが原因ね!」
「ええ、その時は、その人も、ヨーシキワーカさんや箱洗いの誰にも言わずに、『勝手に取り決め』ていたそうよ!
そうした人事を預かっていた人がいて、総務課や製造事務所の人達に、報告を入れてから、
トラックの入ってくる時間帯が、前倒しになっていった!」
「……」
「そして、その『何も言わずに、できる』んだなぁ!? ……が時に思わぬ事態を引き起こしていく事が、稀にあるのよ――」
★彡
【月曜日】
【辻褄合わせ!? 以前まではなかった、途中から入ってきた配送トラック】
――それは、突然の出来事だった。
トラックの荷台の扉が開いた状態で、ピッピッピッとバック音を鳴らしながら、こちら側に近づいてくるものだった。
これには、ヨーシキワーカ(俺)も、初めての事なので、驚きを隠せなかった。
そして、トラックの運転手と思しき人が、ドアを開けてから、降りてきて、
こちら側へ歩み寄ってきたんだ。
『――あ~済まん! これも頼む!』
『えっ……』
これには、俺も呆けた声を零すほどだった。
その運転手さんは、『正規の運転手さんではなく』、ここの会社の人だったんだ。
『……』
『……』
月見エビバーガーオーロラソース社の社員さんと俺は、そのトラックの荷台に積まれた箱を見るのだった。
『ここにあるのは、配送先の所から、少しずつ集めてきた箱が積まれてあるんだ。
普通はこんな事はしないんだがな……!?
普通に、運送業者に仕事の委託を頼んだ場合、後から追加料金を取られてしまうもんだからな……!』
『……』
その言葉に、なんとなく違和感を感じつつも、妙に納得してしまう俺がいたんだ。
ハッキリ言って、この日は、まったくといって良いほど、気づけもしなかったんだ。
『悪いが、一緒にここから卸してくれるのを手伝ってくれないか!?』
『フゥ……わかりました』
そこからは、2人で、そのトラックの荷台の中に入り、そこに詰まれていた箱を、卸す作業に入るのだった。
ドンッ、ドンッ、ドンッと手際よく、トラックの荷台から、箱洗い屋外の鉄板の上に卸していく。
その際、鉄板に叩きつけられた音が鳴るのだった。
そして、その途中の事だった。
『ハァ……あの時の勢いはどこへ行ったんだ!?』
『?』
と言われたのは。
『まぁ、あまり聞かんけど、あまりに無理になって働き過ぎひんようなにな……!?』
『……?』
その時は、何でそんな事を言ったのか、よくわからなかったものだ。
きっと上の方で、何かがあっていたのだろう。
『どうやらここで、今、『1人』になってやっていたみたいやし……』
『うん……。『昼3時』ぐらいからね』
『……そっか』
『……』
そんな短いやり取りだったものだ。
大概は、どこの会社も、そんなものである。
そして、このやり取りの時点で、ヨーシキワーカの働いていた時間帯は、昼3時から1人だったわけだ。
☆彡
――過去から現在に返り、サファイアリーさんは、こう語るのだった。
「――その日は、ヨーシキワーカさんは、昼3時から、1人で働いていたそうよ」
「1人ィ!?」
「ええ、それは、入社当初から、そうだったそうよ。もっとも、1ヶ月目を経過し、2ヶ月目に当たる頃からね」
「……」
当時から優秀だったわけだ。そこが、最大の敗因だった……。
「昔の会社の人は、こうも語っていたわ。
あいつは『無口』で『寡黙な存在』だと……。
でもね、職業訓練校の人達は、こうも言っていたそうよ。
あいつは、ここでは『良くしゃべっていた』方だと……。
実は、これ、まったくの同一人物だった訳よ。
ここでの比較対象があって、
それは、職業訓練生が集まる教室か? それとも誰も近寄らなくて、奥まったところにある箱洗いかの? の違いという事よ」
これには、ミノルさんもアヤネさんも。
「比較対象か……」
「それが、教室か職場かの違いによるものという訳ね……!?」
何ともわかりやすっ。
それに対して、サファイアリーさんは、こう切り返す。
「ええ、そうよ。
教室では、集団が一か所に集まっているから、誰からともなく、話しかけてくる素振りはある……けれど、
職場では、場所が奥まったところにあって、常に動きっぱなしの状態だったからか、
誰も、傍に着て、呼び止めてから、語り掛けてくるような素振りはなかったそうよ。
工場の機械は、常に稼働しっぱなしで、ゆっくりと腰を押し付けて、話し合う機会すらなかったからね。
これが、さっき言っていた。
何も言わずにできるんだなぁ!? ……に繋がっていた訳よ!?」
これには、アユミちゃんも、ミノルさんも。
「あっ、そーゆう事か!」
「なるほどなぁ」
それに対して、サファイアリーさんはこうも語る。
「ヨーシキワーカさんが語るには、その後の辻褄合わせのために、途中から配送トラックを回したと思われるのよ?
それは、2、3ヵ月間に1回のペースで来てたそうよ!
そうした中にも、商品課の目論見が、ひた隠しにされていた……。
会社の売り上げ利益のアップという目論見がね。
会社の業績が上がるから、収益を経て、手柄を上げたのは、あくまでも商品課であって。
箱洗いは、まるでロボットのように働かされていた訳よ」
これには、ミノルさんも、アヤネさんも。
「まるでロボットのようにか……」
「その日から、2、3ヵ月間に1回のペースで、積み荷卸トラックが入ってきて、
上の人達からすれば、そうした評価が上がっていたから……トラックの前倒しに繋がっていったと……!?
あぁ、だからか!?」
真理に到達する思いだったわ。
サファイアリーさんはこうも語る。
「ええ、ポイントになってくるのは、
金曜日に見た、商品課のガタイのいいおじさんの視方と、
月曜日に見た、正社員さんの視方とでは、また違う、という事よ!」
「違う!?」
「ええ、曜日によって、労働時間帯(シフト)が変わってきちゃうからね!
金曜日が、もっとも人手が充実していて、その日は4人揃っていたの! 商品課のおじさんはここを見ていた!
他の曜日は、3人や2人なのにね。
その曜日に、『平均値』を求めてきたわけよ!」
ミノルさんは、こう呟きを落とす。
「平均値……」
そこへ、アヤネさんが。
「まるで、表計算ソフトみたいなものね……まさか!?」
それに対して、サファイアリーさんは、こう切り返してきて。
「ええ、そうよ。商品課の所にも、総務課にも、製造事務所にだって、パソコンがあるんだから、表計算ソフトが入っていって、
毎月の売り上げ利益が出されていた。
ここで、注意したいのは、毎月の合計値だという事。
曜日別の合計値じゃないんだから、これが思わぬトラブルを招いていったのよ」
とこれには、アヤネさんも、ミノルさんも。
「曜日別の合計値の必要性ね……」
「そこんトコロは、学校の勉強じゃ教えてくれないトコロだな……」
「そうね。意外な盲点よね……コレ!?」
盲点だった。
曜日別の合計値を求めるような、シートを新たに設ければ……。
「いや待てよ……。その会計の表計算ソフトに、曜日別の合計値を求めるようなシートを新たに設ければ、
今まで、目に見えてなかったトコロも、案外と出てくるんじゃないのか!?」
「確かに……」
さすがは、元ホテルのオーナーだった人達だ。
目の付きどころが違う。
サファイアリーさんは、こうも語る。
「その『平均値』を求め、全体の地上げを促したいなら、1番高い指標ではなく、『1番低い指標』に合わせて、『全体を地上げ』していけばいいわ。
そうすれば、全体の売り上げ利益が上がるわよ!」
とこれには、御二方も。
「なるほどなぁ」
「一極集中じゃなくて、全体の地上げから図っていく訳ね」
サファイアリーさんは、続けてこうも語る。
「次は、その影響と前倒しもある中で、少なからず、そうした箱上げの手間が減り、負担が減ってきていた側面が会っていたってことよ――」
★彡
【ゲフィラブックさんのありがたい助言。夜上がる時は、箱洗いの中は、いつも満タンの状態にしてから、帰る事】
【そうする事によって、朝、入ってきたペフコビブリオさんが、すぐに仕事に取り掛かる事ができる】
――それは、ゲフィラブックさんの一言始まるものだった。
『あぁ、ヨーシキワーカ……。また、お前、ここにあった箱を、全部洗ってから、昨日、ここを上がっていっただろ!?
朝、ペフコビブリオさんがここに着た時には、ここには1個も箱が置いてなかったから、中々朝っぱたから、やけに苦労していたんだぞ!?
ここからあそこに1人で降りて、1人で箱上げをしてから、あそこに持っていっていたぐらいなんだからな!
お前、ちゃんと人の話聞いているのか!?』
【ゲフィラブック・ボックスウォシィング】
その人の特徴は、上から順に、白い頭巾、白と青を基調とした作業着に、青一色の作業ズボンを履いていた。
その人は、ヨーシキワーカの大先輩に当たる人だった。
箱洗いには、ものの教え方が上手い人と、実力のある人が2人いて、
このゲフィラブックさんは、ものの教え方が上手い人に当たる。
自分は、とにかくこの人から、教わっていたものだ。
『ええ、聞いてますけど……』
『ほんとかなぁ、お前……いつも時々思うんだけど、やけに反応(リアクション)が薄いんだよなぁ……』
『……じゃあ、どうしろと?』
『う~ん……まぁ、なんだ、あれこれ色々と詮索するのはよそうか?』
『……』
(じゃあ言うな!! 失礼だなぁもう!!)
これには、ヨーシキワーカ(俺)も、反感の思いを抱いていたものだった。
ゲフィラブック大先輩は、こう語る。
『まぁ、なんだ、お前は、昨日の夜もう帰っていって、その時の事をよく知らないと思うんだが……。
お前がまだ入ってくる前の昔、こーゆう事が昔会っていたらしくてな……。
何でも、『商品課の所の若い2人』が、『勝手にここを使っていた』事が、会っていたらしいんだ……』
『……』
(昔、会っていた事か……。商品課の所の若い2人ねぇ……)
『何でも、それが原因で、見る間に……。
ここ、月見エビバーガーオーロラソース社の『売り上げ利益』が信じられないほど落ち込んでいった時期があるらしくてな!
『600万』だったか……『800万』だったか……。
それも『3ヶ月間』の間か、10ヵ月間の出来事だったらしくて、
それに気づいた、当時のペフコビブリオさんと別の誰かの2人で、凄い剣幕で怒りだして、
その中にいた2人を、ここからから追い出していった事が、あるらしいんだ当時……』
『……』
(別の誰か……!? 俺が知らない人か……!?)
『で、もう気づいた頃には、1200万円をとうに超えていたらしくて、1800万円ほどに届く勢いだったそうなんだ……!』
『……』
『で、気を悪くしてその別の誰かさんは、ここに責任を持って、辞表を出していって、ここを辞めていったらしいんだ……どうやら……。
だけどな、それを『受理済み』であっても、その人に『その責任を持たせなかった』らしいんだ……。
ここの月見エビバーガーオーロラソース社の上の人達は……。
どうやら、それがわかっていたみたいだからな……。
その時の、『会社の内情』からみても、どうやら『その人じゃなかった』みたいなもんでな……!?
原因を作り、『やっていたのは別の誰』かだったみたいなんだ……!?
……まぁ、お前にこんな話をしても、『一線の徳』にもならないと思うんだがな……!?』
その話を聞いたヨーシキワーカは。
『……』
その心の内では。
(まぁ、なんだ……要はこう言いたいのかな?
夜上がる時、いつも、箱を満杯の状態にしてから帰った方がいいのか!?
その方が回転効率がいいから。
それでならいくらか、朝、働きに出てくるペフコビブリオさんの作業がし易いという事かな……!?)
この時のヨーシキワーカは、論点がズレていたのだった……。
あくまで、仕事優先で考えていた時期だったから。
☆彡
――過去から現在に返り、サファイアリーさんは、こう語る。
「――この時点までは、ヨーシキワーカさんが入社当初のメンバーが揃っていたって事よ!
ペフコビブリオ大先輩、ゲフィラブック大先輩、キーシストマ先輩、そして自分の4人がね!
そして、この日を境にして、ゲフィラブック大先輩は辞めていったらしいわ……」
「……」
ゲフィラブック大先輩、自己都合による退職……。
残るは、ペフコビブリオ大先輩、キーシストマ先輩、そしてヨーシキワーカさんの3人。
「その大先輩が語るには、どうやら当時にも、同じような出来事が会っていたようなのよねぇ!?」
とそこへ、アヤネさんが、こう問いかけてきて。
「……同じような出来事?」
「……ええ、そうしたつぶさな状況を、なんだか感じ取っていたのかもしれないわね……」
あたしは、心配そうな顔をして、その頬に手を触れるのだった。それは、まるで心配する乙女のような仕草だった。
とこれには、一同、何も言えなかっただった。
「………………」
その時、スバル君の心の内は。
(同じような出来事が会っていた……!?)
サファイアリーさんは、続けてこう語る。
「そして、1番マズい事に、その後、数年間は、人員が入ってきては、辞めてを繰り返し、
ついに、エリュトロンコリフォグラミーさんっていう人が、箱洗いに入ってきた訳よ――」
★彡
【金曜日】
【正社員から左遷降格処分を受け、準社員まで墜ちてきたエリュトロンコリフォグラミー】
――それは、その日、箱洗いに入ってみたら、エリュトロンコリフォグラミーさんという人がいた姿だった。
『――誰だあいつ……!?』
その人は、下手なもので、手鉤棒を使い、台車の上に箱を乗せようとしても、最初は上手くできなかったものだった。
それは、四苦八苦している様だった。
この後、上手くなっていくが……。それは、当たり前の事で、誰でも最初は、そんなものだった。
その人は、誰かに手伝ってもらって、台車の上に箱が乗った状態のものを、運搬していたものだった。
その時、声が掛かってきて。
『来たか……ヨーシキワーカ』
【長年箱洗いに務めている長:ペフコビブリオ・ボックスウォシィング】
その人の特徴は、上から順に、白い頭巾、白と青を基調とした作業着に、青一色の作業ズボンを履いていた。
その人は、ヨーシキワーカの大先輩に当たる人だった。
箱洗いには、ものの教え方が上手い人と、実力のある人が2人いて、
このペフコビブリオさんは、実力のある人に当たる。
箱洗いは、この人のおかげで、保っていたようなものだ。
実は、箱洗いには、もう1人にいて、この時点では、既に退職していた……。
ものの教え方が上手いのは、既に辞めていったゲフィラブック大先輩であり、
自分は、その人にものを教えてもらっていた。
対して、このペフコビブリオ大先輩は、技能面は際立つが、人にものを教えるのは苦手な性分であり、眼で見て盗めという昔ながらの気質を持った人だった。
だからか、技能面だけでは、最も信頼を置くことができる。
この時点では、ナンバーワンはこの人であり、キーシストマ先輩はナンバーツーに当たり、自分はナンバースリーだった。
ただし、実力だけでは、ペフコビブリオ大先輩には到底勝てないが、自分が2位に入る。
それだけ自分は、当時から、眼を掛けられていたという訳だ。
『……』
『……あいつが気になるのか?』
『うん』
『あいつは、ここ最近入ってきたもので、今日見るのはお前が初めてだったな確か……!
あいつは、エリュトロンコリフォグラミーって名前で、上から、どうやら左遷降格で堕ちてきたみたいな奴なんだ』
『左遷?』
『ああ、何でも昔、色々あっていたみたいで、聞いたところによれば、
ホラッ、長い廊下の部屋があっただろ昔、餅みたいなものを作っていたラインが!?』
『ええ』
『それな、ほとんどが、どいつも周りから言っていた事なんだが……。
どうやら、その中の2人が言うには、『あいつが犯人』と見て間違いなく、『原因』みたいなんだ!』
『え……!?』
『前に機械を2つ3つほど、壊したみたいなんだ……』
『……』
その時、ヨーシキワーカの心の内は。
(マジ……!?)
だったものだ。大真面目な話である。よく問題を起こす、トラブルメーカーが入ってきたものだ。
それに対して、ペフコビブリオ大先輩は、こうも語るのだった。
『なのになぜか!? この会社の取締役の上司たちは、どうやらあいつを匿っているみたいなもんでな。
まぁ、特に何か悪さをしてこない……と思うから、気長に長くやってくれって、上の連中から言われてきたんだ』
『……エリュトロンコリフォグラミーか……』
☆彡
――過去から現在に返り、サファイアリーさんは、こう語るのだった。
「――それが、問題行動の多い奴みたいでね。その日は、何ともなかったんだけど……。
翌日の土曜日、総務課の人達から、ヨーシキワーカさんが、呼び出しを受けたらしいのよ。
目を瞑れ、という名目でね」
★彡
【土曜日】
【(続)正社員から左遷降格処分を受け、準社員まで墜ちてきたエリュトロンコリフォグラミー】
――それは、総務課に訪れた時だった。応対に当たったのは、オオコウチさんだった。
『――来たか、ヨーシキワーカ』
『はい、呼ばれてきたんですけど、いったい何でしょうか!?』
『実はな、ここ最近になって、箱洗いの方に、エリュトロンコリフォグラミーという名前の社員が、入ってなかったか!?』
『ええ、昨日ぐらいから見てましたけど……』
『そうか……やはり、あそこにいたのか!?』
と、また別の女性の方が。
『あぁ、やっぱりあの人、そこにどうやら、行っていた『様子(?)』ね?』
『……』
(様子……?)
その言葉が、妙に引っかかったんだ。
『……』
『……』
オオコウチさんも、別の女性職員さんも、その頭を抱えていて、思い悩んでいる様子だった。
次いで、放った言葉は。
『あぁ、これには、何でもない、深く考えないでくれ!』
『……』
『そーか……あいつがなぁ……。……ッ』
それは、何だか苦虫を嚙み潰したかのような面持ちだったんだ。
心の中でも、割り切れずにいて、どうやら上からの物言いで、渋々、従っている感じだったんだ。
『ヨーシキワーカ、お前は知らないかもしれないが、
あいつはこの会社に雇われてから、始めの時からいて、今までに長い付き合いのある、社員さんだったんだ。
であるからか、ここにいる俺以上に、当時からの一番の古株でな。年俸者なんだ。
だからか、箱洗いの中の方で、大事に扱ってくれないか!?』
『えっ……!?』
『あぁ、大事に扱ってくれってのは、色々と面倒事があり、積み重なっていろいろ問題事があって、大変だろうけど……。
まぁ、いろいろと長い目でみて、そいつの面倒を見てやってくれ! という事だ』
『……』
(……マジっすか……!?)
☆彡
――過去から現在に返り、サファイアリーさんは、こう語るのだった。
「――その日、導火線に火がついた爆弾を、箱洗いが受け持つ事になったそうよ」
「ば、爆弾!?」
「ええ、人によくイタズラしたり、ものを壊したりするような奴よ。
そして、こいつこそが、後々のどうしようもない問題における、『影の仕掛け人』で、他のラインの人達も、何もできずにやられていったわけよ。
会社側は、雇用している正社員を護れば、勝ちだからね。
辞めていった人材は、とやかく言っても無駄で、どんなに正しい事を言っても無駄って訳。
当然無職なんだから、周りの多くの人達から見れば、その人達の言い分は、極々小さなもので、『聞く価値もない』という事よ!
誰でもそうだけど、会社側の意見を立てるのが『筋』ってものだからね。
世の中の摂理であって、当たり前の話よ。
だから、今までに誰1人として、勝った試しがないわけよ!?」
「……」
(じゃあ、どう勝てと……言うんだよ!?)
そんな疑問を、抱かざるを得ない、僕達、あたし達、私達がいたのだった。
★彡
【日曜日】
【(続)正社員から左遷降格処分を受け、準社員まで墜ちてきたエリュトロンコリフォグラミー】
――それは、掃除中の出来事だった。
洗浄機の蓋が空いていて、そこには、キーシストマ先輩とエリュトロンコリフォグラミーの2人がいたんだ。
『オイッよく見てみろよ! ここ等辺』
『……』
エリュトロンコリフォグラミーさんは、その洗浄機の中を指差して、汚れを指摘するのだった。
なるほど、まぁ、確かに汚い……。
黒っぽくて、粘っこいものが所々付着しているぐらいだ。
ステンレス製のこの機械も、その中には、赤錆みたいなものできていたんだ。
でも、それぐらいであれば、まだ許容範囲だったんだ。
『オイッ、それじゃ良く見えないだろ!? もっとこう顔を中に近づけてみてみろよ!?』
『……?』
この後、どうなるのかわからずに、キーシストマ先輩は、その顔を洗浄機の蓋があったところにほぼ入れて、覗いてみていたら。
『おりゃあ!!』
『うわっ!?』
ベチャ……
とキーシストマ先輩の頭巾から顔面にかけて、汚れがついたのだった。
それは、黒塗りのものであった。
これを見て、エリュトロンコリフォグラミーさんは。
『ハッハッハッハッハッ!! そこを良く掃除してなかったからだろうが!!
それはキーシストマ!! お前のせいなんだからな!! 今度からは、よーく注意して洗えよ!!』
『クソ――ッ!!』
ドンッ
と投げやりになったキーシストマ先輩は、エリュトロンコリフォグラミーを押しやり、その場を駆け出していったのだった。
その途中に、ヨーシキワーカが立ち尽くしていて。
『何でお前!! すぐに助けてくれんとやッ!! クソ――ッ!!』
『……』
それだけ、言い残し、キーシストマ先輩は、その場を去っていったのだった。
行先は、顔を洗う事と、総務課への打診である。
そして、そいつは。
『あっはっはっはっはっはっ!! あいつは面白れ――なッ!!』
ゲラゲラ
と不気味な笑い声をあげていたのだった。
それを顧みて、ヨーシキワーカ(俺)は。
『……』
(いや、無理だろ……あーゆう現場になって、気づくのに、1分ぐらいしか要していないんだぞ……!? 気づいた頃には、もうあれだ……!?)
――で、手洗い場では。
『クソックソッ、あの野郎――ッ!!』
キーシストマ先輩は、顔を洗っていた。
その近くには、メガネと頭巾が置いてあったのだった。
☆彡
――過去から現在に返り、サファイアリーさんは、こう語るのだった。
「――仮説では、水曜日か木曜日ぐらいに、エリュトロンコリフォグラミーさんが箱洗いに入ってからは、3、4日ぐらいしか経たないうちに、イタズラを起こしたそうよ」
とこれには、アヤネさんも。
「それは、『トラブルメーカーの原因になる人』を、その中に招き入れてしまっていた……って事よね?」
――とこれには、アンドロメダ王女様も。
「トラブルメーカーか……フムゥ」
「あぁ、これは将来的には、何だか起こり得そうですねぇ~!?」
「じゃよなぁ……」
今から、考えさせられる程じゃったわ。
いや、絶対にこれは、起こるやつだわ。
――それに対して、サファイアリーさんは。
「――ええ、そうよアヤネさん。
良くも悪くも、そのエリュトロンコリフォグラミーさんって言う人を引き金にして、いろいろとトラブルの原因を持ち込んでいったようなものなの」
★彡
【次亜塩素酸ナトリウム、マイルドエース】
――それは、ヨーシキワーカが箱洗いにきた時だった。
その時、ペフコビブリオ先輩から声が掛かってきて。
『――オイッ、ヨーシキワーカ、ちょっとこっちへ来い!』
『……?』
ヨーシキワーカ(俺)は、ペフコビブリオ先輩に連れられて、向かった先には、青いタンクが置かれていたんだ。
その上には、ビーカーが置かれていた。
『今日から、俺達は、これも扱う事になったらしい。
何でも、エリュトロンコリフォグラミー(あいつ)が入ってきてから、その後にでも物言いがあったみたいで、
あそこの上の方の品質管理を通して、これがあそこから入ってきたものらしい』
『……これは……?』
俺の目線の先にあったのは、まだ、鍵付きの檻の用意されていない時期であり、次亜塩素酸ナトリウムが放置されていたんだ。
『ああ、それは『次亜塩素酸ナトリウム』って奴みたいで、
よくわからないが、何だってあいつは、そんなものまで知ってやがったんだ!?
どこかの遠くの方の工場の連中でも、同じようなものを使っていたみたいなんだが……!?』
『……』
とこれには、ヨーシキワーカも、その心の内では。
(まぁ、元正社員さんなんだしな……情報の仕入れルートがあるんだろう)
『まぁ、いい、こいつのやり方は簡単だ。
このビーカーは、500CCまで入れられる、これを3回ほど入れて、その後で、水を満杯近くになるまで、注ぎ入れるんだ。
新しく取り付けられた水道蛇口に繋がったホース(それ)を使ってな!』
『えっ……!?』
(いつの間に……!?)
それがあったんだ。
少なくとも、火曜日までは、それはなかったんだ。
水木と休んで、今日、金曜日になって入ってきたら、もう新しくそれが取り付けられていたんだ。
水道の蛇口に繋がったホースが。
『今日はもう、俺がやった後だから。お前はもう、今日はする必要はないからな!』
『……』
『まぁやるなら、また今度な』
『……』
問題の核心は、ここからだったんだ。
『……なんでも、新しく入ってきた、エリュトロンコリフォグラミー(あいつ)の言い分を聞けば、ここが汚かったらしくてな。
上にものを言って回って。
どーゆう事だかわからないが、上の方も妙なぐらいに納得していった感じみたいで、
特に何の事だかわからずに、いきなりして、これの取り付け工事が始まっていたんだ。
その時、朝きてみたら、いきなり工事中だったもんだから、ビックリしたんだぞこっちは!?』
『フ~ン……』
『まぁ、さすがに、次亜塩素酸ナトリウム(あれ)を、ここに置きっぱなしにするのはどうかという話だから、
近々それを入れる檻と、鍵が入ってくる話だったんぞ!』
『あれ……!? 檻……!?』
ヨーシキワーカが、ペフコビブリオさんが指さす方向を見ると、それが置いてあったんだ。
その商品名は、次亜塩素酸ナトリウムだった。
そのまま、ポーンとそこに置かれてあったんだ。
『……』
――で、箱洗いから廊下に出た所で、そのエリュトロンコリフォグラミーから声を掛けられてきたんだ。
『――どうだ!? ありがたく思えよ!?』
『?』
そのまま、そいつは、俺に声を掛けると……。手ぶらの状態で、仕事に加わる気もなく、箱洗いの中ではなく、箱洗いの外に移動していったのだった。
だが、これには、ペフコビブリオ先輩も、すぐに気が付いて。
『おいっ、エリュトロンコリフォグラミー! お前、また、どこに行ってたとや!? 2時間も!! すぐにこっちに来て働けーっ!!』
『フンッ、なんだお前、まだ、あそこにいて、あれに気づかんとや!?』
『おいっ、待てッ!! お前が抜けたせいで、こっちは仕事がスゴイ立て込んでて、困ってたとやぞ!?
1人であれに台車を乗せていて、その態度は、何だと思ってとや!?』
とこれを見た、ヨーシキワーカは。
『……』
(んっ? ナニコレ……!?)
それが、その日、感じ取った率直な感想だったんだ……。
要領を得ない、説明だったので、俺は、まったくと言っていいほど気づけなかったんだ。
☆彡
――過去から現在に返り、サファイアリーさんは、こう語る。
「――それが、初めて、次亜塩素酸ナトリウムが入った話だったのよ。
奇しくも、エリュトロンコリフォグラミーさんが、キーシストマ先輩に対して、故意的なイタズラをしたが為に、その話が上に通った訳よ。
そして、次にマイルドエースーー」
★彡
【(続)次亜塩素酸ナトリウム、マイルドエース】
――それは、ヨーシキワーカが箱洗いにきた時だった。
その時、エリュトロンコリフォグラミーさんから声が掛かってきて。
『――オイッ、ちょっとヨーシキワーカ、こっちへ来い!』
『……?』
その人に連れられて行った先は、マイルドエースが、既に入っているタンクだった。
『今日から、俺達は……』
その人は、指をさして、あっちに見える次亜塩素酸ナトリウムが入った青いタンクを指差すのだった。
『あそこに見えるだろ? あの青いタンクのやつが!?』
『うん』
『あれと一緒に、これも扱う事になったんだ』
次亜塩素酸ナトリウムとマイルドエースを扱う事になったんだった。
『このストロー状のものが見えるだろ?』
『……』
『このタンクの中に入っているやつを伝って、ここにある小さな機械の中には、小さなモーターが入っていて、
これが動くことで、吸い上げているんだ。
で、このストロー状のものを通して、この機械の中に入っていって、
この機械が動ている時に、同時に洗ってくれているんだ。
だから、視ろよコレ……』
『……』
そう、エリュトロンコリフォグラミーさんが言うと、洗浄機の機械の蓋を外して、中を見せるんだった。
それは、まだ途中だが……。以前と比べれば、なんだか奇麗になりつつあったんだ。
『どうだ? いくらか奇麗になってきているもんだろ?』
『た……確かに……』
『フッ……次にこっちへ来い』
『……』
ヨーシキワーカ(俺)は、エリュトロンコリフォグラミーさんに連れられて、檻の中に入っている次亜塩素酸ナトリウムとマイルドエースを見るのだった。
その次亜塩素酸ナトリウムの上には、すぐに取り出せるように、ビーカーが置かれていたんだ。
しかも、鍵までかけられて、しっかり施錠されていたんだ。
これには、エリュトロンコリフォグラミーさんも自信満々で。
『どうだ!? 俺が入ってから立派になってきたもんだろ!?』
『……』
(自分で言うか……普通……!?)
『後は、これを取り扱う上での注意事項だな』
『……!?』
エリュトロンコリフォグラミーさんが、手に取ったのは、薬品除けのメガネだった。
目の保護具だ。
『この新しく入ってきたマイルドエースを使う時、手に持って、これを抱えてから、注ぎ口に向かって注ぐものだから、
コポッコポッと音を立てて注ぎ入れていくものだろ?』
『うん』
『その時にな! 昔、前に何かがあっていたみたいでよぉ!? その時、眼に向かってこれが跳ね返ってきたらしくて、
そいつの目ん球の中に、そいつが入ってよぉ!
ギャアアアアアって叫びながら、そこのすぐ近くの手洗い場に行って、
大急ぎで目の中を洗ってみたんだけど……溶け出した後だったんだよ……!』
『えっ……!?』
『で、その日、大急ぎで、そいつは病院に行ってきてよ、診察を受けたんだ……そしたらもう、その片目は手遅れだってよ!』
『……』
『で、そうならないために、この安全具をつけて、作業に当たってしろってなった事があったらしいんだ! どうやらな……』
『……』
『俺も結局、その日、ここで何が会っていたのかよくわかってねぇところがあるんだよなコレが!?
だって、その日の俺、ここで働いてなくて、まだ遠くの向こう方にいて、この手を動かして働いていたもんなーそん頃!
だから、ここでいったい何があっていたのか!? よくわかってねぇフシがあるんだ!?』
☆彡
――過去から現在に返り、サファイアリーさんは、こう語る。
「――それが、初めて、次亜塩素酸ナトリウムとマイルドエースが揃った日だったのよ。
でもね、ここで注意したいのが1つあって、
確かに、次亜塩素酸ナトリウムを使う青いタンクは、後から、入ってきたものでもあっても。
そのマイルドエースを扱うタンクは、ヨーシキワーカさんが、『務める以前からあそこに置いてあった』らしいのよ――」
それは、核心に迫る言葉だった。
マイルドエースを扱うタンクは、入社以前から、あそこに置かれてあったのだ。
その後、しばらくの間、使われていなくて、
エリュトロンコリフォグラミーさんが、入ってきてから、使われるようになったのだった。
★彡
【(続)次亜塩素酸ナトリウム、マイルドエース】
――ペフコビブリオ先輩の言葉から始まるものだった。
『――あぁ、そう言えば、知っているかヨーシキワーカ……!?』
『……?』
ヨーシキワーカ(俺)は、その日、何だろう、と思ったんだ。
『前にここで起った奇妙な『片目の光を失った人の事件』を……』
『……?』
それは、エリュトロンコリフォグラミーさんの話に、通ずるものがあったんだ。
だが、その日は、まだ、それに気づけなかったんだ。
『何でもその日は、ここで会っていたものらしくてよぉ、その日は、俺、ここで働いていなかったんだ。
何でも、その話を聞く限りでは、向こうの連中が、その口で言っていた事があるらしいんだが……。
あいつは、そこから『カッパ』を着て、ここから、あそこまで、その箱を持っていって、廊下が何だか水浸しの状態だったらしいんだ。
そこで、『汚い』と思った『連中』がいるらしくてよぉ、そいつに何度も注意してみても、聞かなかったらしいんだ。
そして、その日の晩……。
見えるだろあそこ……』
『……』
ペフコビブリオ先輩が、指差すところにあったもの。
それは、マイルドエースが入っているタンクだったんだ。
『そいつは、いつものように1人で、そこに注ぎ入れていたらしいんだ。
だがな、ここでそいつの言い分と、ここの会社の中の者との言い分が、どうやら食い違っているらしいんだ』
『……?』
(食い違う……!? どーゆう事だ!?)
『何でも、そいつが言う分には……。
あそこの見えるだろ? いつも、あそこからトラックが入ってくるところから、
見ず知らずの顔も見た事がない人が、いきなり、ここまで入ってきては、
その入れている途中ぐらいで、こう、顔を上から押し付けられた事が会っていたらしいんだ。
それが、そいつが言うには、片目を失った原因らしくてな……。
何でも、そいつが言う分には、『顔は何だか知らなく』ても、ここの作業員と『同じ制服を着こんでいた』らしいんだ。
で、ここの中の連中の言い分では……。
あそこから、『カッパ』が入ってきて、そいつは頭の上にお皿が乗っていたらしいんだ。
で、そいつが、その人にイタズラをしてから、あそこから逃げていったって、言っていたらしいんだ』
『……?』
(頭の上にお皿の乗ったカッパが、入ってきた……!?
あれ? それって、あの遠い島国に伝わる、未確認生物(UMA)だよな……!?
それって、ウソの取り次ぎ回しじゃないのか……!?)
『どーゆう事なんだろうな……コレ!? 今でもよくわかってないところがあるらしいんだこれには……!?』
『……』
(言い分が、妙な具合に食い違っているな……。
少なくとも、2つに見受けられるが……。
この人に伝わった頃には、ワザと食い違うようにしているんじゃないのか……?
つまり、理想の虚実に基ずく隠蔽工作……。
被害者(やられた人)の意見が、ここまで、伝わってきていないんだ……!?
やったのは、上の連中か? 指示を受けた実行犯か……? 人を欺き惑わすための間違った噂の取り次ぎ回しの人がいるのか……? わからない……)
☆彡
――過去から現在に返り、アヤネさんが、ミノルさんが、言葉を放つ。
「――それってまさか!? 上の人達の仕業なんじゃないの!?」
「可能性が高いな……」
そこへ、クリスティさんが。
「あたしも、その話を読んだ分でわかってきた事があるんだけど……」
「……」
「どうやら、やったのは、その箱洗いの人間ではなく、他所のラインの人による仕業らしいのよ。実行犯はその人って事!」
「……!」
「でも、月見エビバーガーオーロラソース社が、前にそんな事をやっていただなんて、周りにバレたら、『汚名』ものでしょ!?
だから、その中にいた、ペフコビブリオ先輩には、ウソの取り次ぎ回しをして、情報工作を企てた。
実在しない、日本特有の未確認生物……UMA(ユーマ)の仕業にしてね。
周りには、そうやって、ウソの取り次ぎ回しをして、隠蔽工作をでっち上げて、企てていった訳よ!」
「……」
一同、これには、口を噤む思いだった。
(なんて、ヒドイ……)
話しだと思ったんだ。
クリスティさんは、こう続ける。
「ヨーシキワーカさんも、内心、薄々それはわかっていて、この事件には、触れない、事にしたらしいのよ」
そこへ、アユミちゃんからのこうした意見が飛んできて。
「同一犯の犯行じゃないの!?」
「……」
それに対して、サファイアリーさんは、その首を振って否定したわ。
「それは、『絶対にない』わ!」
「どうして言い切れるの!?」
「それは、既に10年間近くもの期間が、空いているからよ!」
「……えっ……!?」
「『手口』も違う……! 言ったでしょ!? その人は上から押し込められたって!?
ヨーシキワーカさんの事件は、袖口よ!
雨の日、何も知らずに、その人は誤って、雨で濡れた顔を拭う時、痛みを感じたそうよ。
それで、危険を感じ、片目の失明には、ならずに済んで良かった……」
「……」
「どちらも、雨合羽(レインコート)が関係していて、
狙われていたのは、ヨーシキワーカさんと、キーシストマ先輩の2人だったわけよ。
そして、もう2人いて……、それは同時期働いていた、イプシロスイティヤさんとヴィウノビブリオさんも、その標的だったのかも知れないわ」
「ちょっと待って……!? それってまさか……!?」
「「「「「無差別犯行だった!?」」」」」
これには、みんなが驚愕したものだった。
「1つの可能性の線よ。『確証はない』わ……」
「……」
「その時、ヨーシキワーカさんの雨合羽(レインコート)は、オレンジ色だったわ。
狙われたのは、箱洗いの中に長期間の間放置されていた雨合羽(レインコート)だったわけよ」
「つまり、犯人は、それを知っていて……それを犯した線って事!?」
「……」
「1番考えられるのは、『濡れ衣』でしょうね。
そうやって、辞めていけば、犯人探しゲームが始まり、ヨーシキワーカさんの名が、自然と上がっていくからね」
「……」
★
【暗き夜の雨の日】
――何も知らずに、いつものように、箱洗いの人は、雨合羽(レインコート)を着て、仕事に従事していた。
降りしきる雨粒は、雨合羽(レインコート)に当たり、沁み込んでいくのだった……。撥水性能はない――
☆彡
――過去から現在に返り、沈黙の間が流れていた。
「………………」
その沈黙を破ったのは、サファイアリーさんだった。
「――続けるわ。売り上げ利益の激減にまつわる話を……!」
「……」
「ここで、大事になってくるのは、エリュトロンコリフォグラミーさんの心情に則った事よ。
次亜塩素酸、マイルドエース、鍵付きの檻に用意するよう、取り次いで周ったのは、彼だという事!」
「……」
「当然、エリュトロンコリフォグラミーさん当人としては、
ここまで色々とやったのは、自分なんだから、周りから感謝されるのかなぁ……って淡い期待を抱いでいても、仕方がなかった訳よ。
でもね、全然周りからは、そんな素振りは、微塵もなかったらしいわ……」
「……」
「微塵も……ない!?」
「ええ、当然の話だけど、エリュトロンコリフォグラミーさんは、取り次いだ『だけ』であり、
お金を支払って、そこに用意させたのは、あくまでも、月見エビバーガーオーロラソース社だからね。
口で言って、利かせて周っていたって事よ」
「……」
――とそこへ、クリスティさんが。
「ここんところは、あのミシマさんとまったく同じね」
そこへ、相槌の声を失ったのは、エメラルティさん。
「そうね」
――次いで、サファイアリーさんは、こうも語るのだった。
「これは、ヨーシキワーカさんにしても同じで、冷却機能を持たせたものを、用意させるように取り次いでいった先は、品質管理の女性方であり、
お金を支払って、そこに用意させたのは、あくまでも、月見エビバーガーオーロラソース社だという事よ!
ここだけは、履き違えてはいけないわ!」
「……」
「わかるでしょ? お金を支払った人が、『強い』のよ! あくまでも、中にいる人間は、部品みたいなものよ!?」
「……」
毒舌口調のサファイアリーさんは、世の中の摂理を、そう説いてきたんだ。
「でも、これだけやってみても、我慢ならない人がいた……」
「それが、エリュトロンコリフォグラミーさんなんだね?」
「ええ、そうよ。彼は2時間も、どこかにほっつき歩いていた人であり、
そうした見解の元、衝突の原因になっていく先が――ペフコビブリオ先輩だったわけよ――」
★彡
【エリュトロンコリフォグラミーさんが、ペフコビブリオ大先輩を誑かし、その怒りを触発させて、傷害事件を引き起こしたもの】
【それは、ハメられたように、半ば強制的に辞めさせられていって、今も就職難の状況にある】
――それは、最後のペフコビブリオ大先輩からの苦情だった。
『あいつはちっとも働かず、あっちへブラブラ、こっちへブラブラしているばかりで、ちっとも働きはしない!
いつも、廊下の方で、俺が台車の上に箱を乗せたものを、廊下の方に並べていたから、
その15分ぐらいか20分ぐらいしてから、ようやく、持っていくようなクソみたいな奴だ!
ちっともこっちの方にいない!
いったいどこで油を売っていて、どこの誰と何の話しているのか、ちっともわからんような奴だ!
そればかりか、せっかく俺の方から、あの下の方に置かれてある箱を、一緒になって上げている時に、
ほとんど決まっていつも、抜け出しているぐらいだ! 箱上げがキツイから!
『自分は『元正社員』上がりで、何でこんな事せんばいけんとや!?』
――って、いつも愚痴っていたような奴だ!!
しかも、俺が朝1人、掃除中の時に対して、横から停めてあった機械を動かす等して、
こう手を巻き込まれそうになったことも、あるんだぞ!?
こう顔に、その時の水が噴き出してきてな! 顔中濡れたもんだ!!
だから、近くに置いてあった手鉤を取って、懲らしめた訳だ!
その時のあいつは――』
――振り返るは、当時の記憶だった。
『――おっ!? どうだそれで殴り掛かってこれるのか!? どうだそれでやってみろよ!?
それでお前が、どうなっても俺は知らないからな!?』
『……ッ』
怒りを覚えるペフコビブリオ大先輩。
その手に持った手鉤棒を振り上げる。
『後で俺の方から、こうした事があったと、上の奴等にチクっといてやるからよ!?』
そして、それが勢いよく振り下ろされるのだった――
――回想修了。
ペフコビブリオ大先輩はこう語る。
『――ってな! まぁ、軽く殴りかかった程度だから、そこまで、骨が折れるほどの怪我はしていないと思うがな……。
せいぜい、その箇所が赤く腫れあがっている程度だ!』
とこれには、当時の私を推しても。
『フ~ン……』
とその程度の認識だったものだ。
――その数時間後の話。
それは、上の総務課申し出だった。
『オイッ、お前まだ、あのエリュトロンコリフォグラミーの奴が大怪我の骨折をして、病院に行ったところに行っとらんとや!?』
これには、ペフコビブリオ大先輩を推しても。
『ハァ!? 何言ってるんどすか!? そこまで強く、力を込めて叩いとらんのですが……!?』
『何言ってやお前!! あの後、あいつはその病院で、痛い痛いと泣きわめいておったぐらいとぞ!!
その病院の先生も、その腕の骨が折れとるらしくて、全治一ヵ月間ばかりの入院費と通院費が必要だと!!
お前、責任を持ってそのお金を、全額建て替えとけよ!!
もう明日から、ここには来なくてもいいからな!!
もうどこへとも流れて、その小さな町工場の中でも働きに行って、そこの会社で懸命になって働いてから、キチンとその額を稼いで周っとけよ!!』
『ハッ……それって、ここをクビって事ですか……!? ……なっ何で、どげんしてそんなヒドイことになっとるんどすか!?』
『そんな事はァこっちが知った事か!! まったくこんな騒ぎの原因を、ここに持ち込みやがって。
もう周り中にも、その騒ぎの原因が触れ回っているとぞ!?
いったい誰がこんな事をして、周りにこんな騒ぎを流していったんだかな!!』
『ハッ!? 何ですかいったいそれ!?』
それが、総務課の人と別大先輩の方との会話だった。
俺は、その時こう思ったんだ。
(『密告流出(リーク)』……)
と。
そして、その人は、こう嘆き加減に呟きを落とす。
『俺、明日からどうすればいいんだ……!? どうやってここから食いつないで生きていけば…………いいんだこれ……!?
こんな歳にもなって、雇ってくれるところなんて、どこかにあるのか……!?』
『……』
(この人は、ハメられたんだ……。会社という大きな組織にィ……ッッ。
もう人の噂が、周りに飛び交っている頃だろう!?
身も蓋もない、噂には尾ひれはひれがついていって……、気づいた頃には、大火事になっているんだ……ッ)
『……』
(そこには、明日の希望が見出せない、大先輩の姿があったんだ……)
☆彡
――過去から現在に返り、サファイアリーさんは、こう語る。
「――ペフコビブリオ大先輩が、そのエリュトロンコリフォグラミーさんという人に傷害事件を犯した事があるらしくて、
それは、誘発させられたものの、類いだったらしいわ……!」
「傷害事件!?」
「誘発!?」
「ええ、そうよ! 唆したらしいわ! それで殴り掛かってくるのかって!? 『その声に乗ってしまった』……!」
そのサファイアリーさんの説明に、スバル君が、アンドロメダ王女様が、シャルロットさんが聴く。
「……」
「……」
「……」
サファイアリーさんは、こう語る。
「……その声に、乗るか? 乗らないか? それが『運命の分かれ道』だったそうよ。
彼は、その声に乗ってしまった……ッッ。
声だけなら、まだ、避けられるのよ!?
でもね……いつだって、『行動を犯した方が負け』……って事……」
そのサファイアリーさんの説明に、スバル君が、アンドロメダ王女様が、シャルロットさんが聴き入る。
「……」
「……」
「……」
その時、アンドロメダ王女様が。
「もしや……!?」
それは、1つの可能性じゃったわ。
「……」「……」「……」
女様の声に、スバル君が、シャルロットさんが、そしてLが、勘づき合う。
サファイアリーさんは、こう語る。
「その事件当日は、水曜日か木曜日のどちらかで、ヨーシキワーカさんがお休みだった日だったそうよ!」
「……」
「つまり、その現場は直接は見ていない……。その人が本人が、執筆している以上、それは誰かから聞いた程度の情報だったのよ!?」
そのサファイアリーさんの説明に、アンドロメダ王女様が、スバル君が、シャルロットさんが、Lが聴き入る。
「……」「……」「……」「……」
サファイアリーさんは、こう語る。
「そのヨーシキワーカさんが、出社された金曜日、まだその日までは、ペフコビブリオ大先輩の姿があった。その人からの事の次第を聴けば――」
★彡
【(続)エリュトロンコリフォグラミーさんが、ペフコビブリオ大先輩を誑かし、その怒りを触発させて、傷害事件を引き起こしたもの】
【それは、ハメられたように、半ば強制的に辞めさせられていって、今も就職難の状況にある】
――その翌日の土曜日。
『……』
そこには、もうペフコビブリオ大先輩さんの姿は、もうなかった。
そこへ、声を掛けてきたのは、エリュトロンコリフォグラミーという左遷降格処分を受けた準パート作業員だった。
元正社員の人の力だった。
『あースッキリしたぁ……』
『……』
『清々したわぁ……あの野郎口やかましかったんだよなぁ……!? あんなもんお前1人でやれって言うの!』
『……』
怒りを覚える。
俺は握り拳を作ったものだ。
『でも、何だって言うんだろうな~ァ!?
下や周りの奴等は、あいつが何かをやらかしたせいで、そいつが病院のどこかに行ってたらしいが……!?
俺は、ちっともそこには行ってなかったとぞ!?
ただ、ここでジーッと黙っとっただけで、安静にしてただけとぞ!?
上のあの方で横なって、安静にしてとっただけで、この腕の方に、凍り枕のようなものを当てて、冷やし取っただけとぞ!?
上の方からも、ここからは一切出ないで、その顔を誰にも見せないでください、と言われとっただけとにな!?
あれの目論見が、どーいった事なのかは、こっちはちっともわからん……がな!?』
ニヤリ
と悪い笑みを浮かべるエリュトロンコリフォグラミーの姿があったんだ。
これには、ヨーシキワーカ(俺)を推しても。
(そうか! 周りからハメられたのか!?
上はそうなる事を予め知っていた上で、こいつを匿い、その人物が要らなくなったから、切り捨てたんだな……!?
ふざけやがって……ッッ!!)
この日、ヨーシキワーカ(俺)は、怒りを禁じ得なかったッッ。
☆彡
――過去から現在に返り、サファイアリーさんは、こう告げる。
「――ヨーシキワーカさんが語るには、
そのエリュトロンコリフォグラミーさんという人は、ペフコビブリオさんの攻撃を受けて、全治1ヶ月間の腕の骨を折る、大怪我をしていたらしいけど……。
実際には、そんな事にはなってなくて、
翌日になってきてみたら、『ピンピンしていた』そうよ!
何事もなく、あっち行き、こっち行きの、ブラブラ活動をしていたらしいわ。
元が正社員さんだったからね……。会社側は、その人を護った訳!」
「……」
「で、逆に、月見エビバーガーオーロラソース社は、良く人事を尽くしてくれたその人に対し、非情にもそこから追い出していった……!
ただの契約社員の非正規雇用のパートだからね……。いつでも契約を打ち切る事ができたって訳よ。
会社側は、その元の正社員さんの意見を取ったのよ!
わかる!? これが非正規雇用と正社員との厳然たる差別化よ!」
「「「「「なんじゃあそりゃあ!!!?」」」」」
これには、みんなも驚きしかない。
これには、Lちゃんを推しても。
「それは、いくらなんでも酷過ぎるよ……うん……」
とその追い出された人が、可哀想に思えてくる。
「あの会社は、そーゆうところなのよ!」
「……」
「ブラックだ……」
それは、誰かの呟きだった。
サファイアリーさんは、こう語る。
「で、この日を境にして、まだ学習中だったキーシストマ先輩とヨーシキワーカの2人だけとなってしまう。
以前からの古株は、この2人だけとなってしまったのよ!」
「……」
以前からの古株は、ペフコビブリオ大先輩とゲフィラブック大先輩と、キーシストマ先輩とヨーシキワーカの4人だけだった。
あくまで、着眼点は、そのヨーシキワーカ氏によるもの。
でも、その途中から、キーシストマ先輩とヨーシキワーカの2人だけとなってしまうのだった……。
危うし、箱洗い。
サファイアリーさんは、続けてこう語る。
「掃除の仕方等も、ここで、絶たれたわけよ! 技能面の仕方もね!
昔ながらの人らしくて、人がものを教えるのではなく、人のやっている姿を見てから、盗み見て、覚えろ、という基本方針だったものよ!」
「へぇ~」
頑固一徹親父だった者だ。
その代わり、技術面は、高く評価でき、技術だけなら信頼ができる。
サファイアリーさんは、続けてこう語る。
「その人の抜け穴は、ヨーシキワーカさんが、知り得る限り、『最大級』でね……。
仕事の効率ばかりか、掃除まで、影響を及ぼしていったそうよ――」
TO BE CONTIUD……。