バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

4話 生理

 そんな勝己にも、生理が来た。

 [こんなに痛いって知らなかった。どうすりゃ、いいんだ。なんか眠いし、イライラするし、これは温泉旅行とか無理だな。ナプキンも、パンツにつけてはくと、なんかおむつはいているようで、肌に優しいとは言っているけど、ガサガサして本当に嫌だ。毎月、来る? やめてくれよ。]

 そんな中でも、お風呂には行く。
[これまで観察していたけど、なんとなく生理の人はシャワーだけみたいだね。まず、シャワー浴びようか。なんか、足にぬるっとした赤い液体が流れていって、汚い感じ。本当に嫌だ。これと一生付き合っていくのか?]

[女子大だから、みんな理解はしてくれる。あ〜、あの日なのねって。そういえば、周期がわかる便利なアプリがあるから使ってみればって。そう言うのは勉強になるけど、でも、それだけ。ああ、ゆうつだな。]

 でも、生理も終わると、勝己は気分がいきなり明るくなった。
[こんなものなのかな? なんか気持ちの起伏が男の時よりも大きい気がする。なんかなんでもできるんじゃないという気分。これから外に遊びにいくぞー。あ〜、楽しい。]

「理恵さん、今日、一緒にレストランに行かない? この前、この先のイタリアンが美味しいって聞いたから。」
「行こう、行こう。今日はご機嫌だね。」
「そうそう。じゃあ、予約しておくね。」

 レストランに着くと、二人の会話は弾んだ。
「部屋で話すのと違って、これはこれでいいね。」
「そうね。そういえば、英語Ⅱの先生、なんか明治時代のおばあちゃんっていう感じだよね。」
「それ、面白い。確かにそう。もう少し、今時のニュースとか軽やかにレクチャーする方がいいのにね。」
「だから、あの先生の授業には、生徒が少ないんだろうね。私、参加してみたけど、いつも寝ちゃっていたもん。」
「それわかるー。先生、やめちゃうべきかもね。」
「それは言い過ぎだよ。そう思うけど・・・。あはは。」
 二人の会話は続き、その後も、部屋で大笑いしながら続いた。でも、大学の別の女子生徒が、その姿を見ていた。

しおり