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9話 彼の娘さんって

 家に帰ったら、前に1台の車が停まっていた。
「お父さん、大丈夫だったんだね。あ、これ私の彼なんだけど、一緒に山形に旅行していて助かって、そういえば、昔、お父さんから聞いたセカンドハウスに行こうとなって、なんとかたどり着いたんだ。ガソリンもちょうどなくなったけど、なんとか来れた。」
「なみじゃないか。無事だったんだね。心配していたんだよ。どうぞ、どうぞ、家に入って。たいいたものはものはないが、暮らすには十分だ。部屋はどうしようか。みう、今の部屋は片付けて、僕の部屋に来なさい。なみは彼と一緒の部屋でいいよね。」
「いいけど、こちらは?」
「紹介していなかったけど、一緒の会社で働いていて、今回の事件の後、一緒に暮らしているんだ。」
「女の人と一緒に暮らしていたなんて、びっくり。みうさんって言うの。よろしくお願いします。かなり若そうだけど。私と10も違わないんじゃ。」
「なみさん? こちらこそ、よろしくお願いします。聡さんは、娘さん達のこと心配していたので、まだ1人だけだけど、まずはよかった。年齢のことは後でお話ししますね。聡さん、部屋の件は了解です。」

 なんか難題が一つ増えた。がっかり。せっかく聡さんと一緒になったのに、煩わしいことが増えちゃった。でも、なんとかやっていくしかないね。なみさん、少しキツそうなお嬢さんだけど、しっかり躾けないと。彼は、少しポアンとした感じかな。多分、なみさんの尻に敷かれている感じ。これは扱いやすそう。聡さんと一緒の部屋になったのは一歩前進か。

 その晩は、久しぶりに日本酒と缶詰で再会のお祝いをした。

「みうさん、これから、よろしくお願いします。でも、お父さんが、女性と一緒に暮らしているなんて想像もしていなかった。失礼ですけど、おいくつなんですか?」
「その質問が最初? 年は35歳。こちらこそ、何も言わずにお父様と一緒にいてごめんなさい。今回の災害で一緒に暮らすことになったけど、それまで付き合ってもいなかったの。それから本当にお世話になって、一緒に暮らすことになって、なんとか今日まで生きてこれたという感じ。本当に感謝しているわ。」
「やっぱ、若いんだ。こんなおじいちゃんとやっていけるのか心配だけど。」
「おじいちゃんって、ひどい。でも、それは大丈夫。災害の前からも仕事を一緒にしていて、ずっと尊敬して人柄もよく知った上での共同生活だから、思いの外、うまくやれている。ところで、彼とはどういう関係?」
「大学からの付き合いで、これからもずっと一緒に暮らしていくつもり。結婚という世の中の雰囲気じゃないから、このままでいいのかなーていう感じかな。」
「そうなんだ。なんか明るい未来があるようで、いいな。ねえ、彼氏さん、名前は何ていうの。」
「田村亮介です。よろしくお願いします。」
「じゃ、亮介さんと呼んでもいいですよね、なみさん。」
「どうぞ。」

 なみさん、彼氏と一緒だったのはよかった。お姑のように聡さんに接したら、追い出すしかないけど、そんなことはなさそうだ。できるだけ、彼との関係をヨイショして、二人だけの生活に仕向けていこう。ここは、年上としての立場を明確にして、私たち2人には、なみさんが関与しないよう、しっかりと関係作りをしていくのがいい。なんか弱みを握るのもいいかも。女子トークで何か引き出してみよう。

「ところで、なみ。僕らは今、農家の方と一緒に田んぼや畑仕事をしていて、今後の食材を確保しようとしているんだ。一緒に暮らす以上、そこに参画してもらうしかないので、よろしくお願いする。亮介くんもいいよね。」
「暮らせるだけで十分だよ。よろしくお願いします。」
「やったことないけど、頑張る。みうさんも、よろしくお願いです。」
「もちろん。4人になって力強いな。女性陣もできたのも嬉しい。」

 この日から、河北の娘と彼もこの家にジョインし、一緒に過ごし始め、その夜から、2人は一緒のベットで夜を過ごすようになった。

「聡さん、今日から同じ部屋だけど、よろしくです。」
「僕は、もっと身近に過ごせるようになって嬉しいよ。狭いけど、キングベットだし、それほど窮屈ではないと思う。遠慮は不要だからね。1人で過ごしているのと同じ気分で過ごしてもらいたい。」
「なんか、下着だけで一緒に寝るのは恥ずかしい。」
「今更、何を言っているんだい。それよりも、入っておいで。横になりながら話そう。」

 みうはうぶだな。バツイチとか言っているけど、清楚で素直な女性で、男性との関係も前の旦那ぐらいかもしれない。人を騙すとか考えたことないんじゃないかな。なみとも仲良くやっていけそうだし、年も近いから、友達のように助け合ってもらいたいけど、みうなら大丈夫。でも、今日は抱いても大丈夫だろう。いこう。

「はい。では、お邪魔します。ところで、奥様と別れた後、ずっと1人だったんですか?」
「ずっと1人だったな。女性とはプライベートで話すこともなかった。そんな中で、みうは眩しいよ。」
「そうなんだ。じゃあ、いっぱい楽しい思い出作ろうね。」

 聡さんの顔が目の前にきた。あ、口が塞がれた。胸に手が。さすが、ブラも、パンツも脱がすの自然ね。やっとここまで、嬉しい。ぎゅっと抱いて。

 横の部屋で娘達がいるのに関わらず、みうは声を抑えきれず、2人は抱き合い続けた。

 あぁ、あぁ、こんなのは初めて。やめないで、このまま続けて。同じタイミングで続けてくれる方が気持ちいい。腰を動かすと、触れ合っうところが増えて、もっと気持ちいい。もっと来て。なんなの、体がそりかえっちゃう。あぁ、だめ。

「とっても良かった。いったの、初めて。」
「そうなの。そんなこと言われると嬉しいよ。みうと一緒に過ごすの、毎日楽しいよ。」
「これからも、ずっと一緒ね。」

 好きな人とやるのは気持ちいいと聞いてたけど、本当だった。好きというより、やりたいと思う人ということかもしれない。聡さん、年だけど、まだまだ元気だから、今回は少し遅いので、おそらく子供はできないと思うけど、今度の排卵期にエッチすれば、なんとかなるかも。環境は良くないけど、絶対にゲットする。

 そういえば、清純のふりは成功した様子。さすが私は演技派。男って、やっぱり清純で、初めてという経験が少ない子が好きだもんね。出来るだけ、前の旦那や、関係を持った男の話しはしない。前の旦那が初めてだったということにして、でも旦那は性格が悪く、エッチもほとんどしなかったということで通そう。その方が燃えそう。男って単純ね。

 その後、数ヶ月が過ぎ、東京に戻る人たちはいたが、人手もなくて復興は基幹道路ぐらいで、瓦礫の撤去などは進まず、結局、食料もないので被害がなかった地域に戻るしかなかった。
 そんな中、東京都心で大地震が起こったが、人もほとんどいない状況だったので、ビルの倒壊が進んだ程度で、大きな被害はなかったのは不幸中の幸いかもしれない。

 電気や携帯については、多くの設備が破壊されたものの、電力会社や電話局の職員が、太陽光パネルや古い発電所を再開したり、自動車などに搭載された簡易電波装置を使い、繋がりにくいものの、なんとか使える状況にはなっていった。

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