4話 お誘い
「今日のプレゼン、お疲れさま。さすが今井さんだね。」
そうそう、このために頑張ってきたんだから。今日は、もう一踏ん張り、背伸びして誘ってみよう。絶対、うまく行くはず。
「ありがとございます。じゃあ、一つお願いしてもいいですか。」
「なに?」
「今夜、おごってもらえますか?」
「そうだな、たまには、みんなと一緒に飲むのもいいかもね。」
「そうじゃなくて、今回は2人で。いろいろと相談もしたいし。」
「2人だけというのはまずいだろう。相談なら会社で聞くよ。」
そうだ、気をつけないと。今井さんは魅力的だし、自分に好意を抱いているのは間違いない。しかし、こういうことで脱落していった人をたくさん見てきた。最初は両思いで付き合っていても、そのうち関係が悪くなって、女性から、自分は最初から嫌で、上司だから断れなかったなんていうやつもいる。とんでもないやつだ。でも、だいたい、女性の方が正しいという結論になりがちだから、怖い世の中だと言える。
そうは言っても、このルックス、スタイル、好みなんだよな。真顔だと冷たく見えるのに、笑うと顔いっぱいに笑顔になって、本当に楽しそう。そして華奢な体だけど、胸の谷間に目が吸い込まれてしまうといったスタイル。見てると、抱きしめて、キスをして、自分のものにしたいという気分になる。さらに、今井さんから誘ってくる。さあ、どうしよう。
「軽くなら問題ないですよ。ビアバーとかで軽く。お酒を入れると話しやすいし。」
今井さんも、社会人だし、そんなひどいことはできないタイプだと思うし、一線を超えなければ大丈夫だろう。確かに、2人だけで飲んでいたということだけでレッドカードだろうが、これまで見てきた今井さんは、そんなことは問題にしないはず。まあ、大丈夫かな。
「まあ、そこまでいうなら。あとでセクハラとかで訴えないでね。」
「大丈夫ですよー。それなら、お店が決まったら連絡するので、会社のメールじゃまずいし、LINEの連絡先教えてください。」
「LINEか。どうすればいいのかな。」
「ここを押して、そう、バーコードを私に見せてください。私で友達登録して、これで友達登録できました。また、連絡しますね。」
「よろしく。」
どこのお店にいこうか。職場の近くだと知り合いに見つかるかもしれないし、前から行ってみたかった恵比寿のイタリアンにしよう。このお店だと、少し暗めで雰囲気もいいし、酔えば、タクシーで家まで連れていってもらえるかも。そうだ、部屋もキレイにしておこう。