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3話 夜中のメール

「今井さん、これで今週末の中間報告、行けますね。河北さんにメールを送っておきます。」
「お疲れさまー。もう11時過ぎたし、もう帰ろう。内容も十分詰めたし、本当に助かった。」
 日頃はリモート勤務が普通だが、今日は、週末のお客様への報告に向けて、メンバ5人がオフィスに集まっていて、もう終電の時間となっていた。
「河北さんにメール送ったし、帰りの準備をしまーす。」
「みんなで、一杯、飲んでいく?」
「もうこんな時間だし、終電で帰りたいから、今回は遠慮します。すみません。」
 そう、そう、今時の子たちは飲みに誘っても来ないよなーと思いながら、家に帰ってから飲むビールをみうは思い浮かべていた。
「あれ、河北さんから返事が来た。何点か直せって言っていますよ。これから、まだ仕事しろっていうことですかね。ひどい、帰れない。」
「私がやっておくから、みんな帰っていいよ。」
「今井さん、そんなに働いていたら、自分の時間、なくなっちゃいますよ。」
「いいから、いいから。」
「では、すみません。よろしくお願いします。」
 メンバーは、部屋から出ていった。おそらく、35歳で一人暮らしの女性、仕事しか関心がない寂しい女なんだろうと悪口を言っているに違いない。でも違うんだよな。河北さんって、私が狙っている人。あの人の指摘はいつも的確だし、その趣旨を正確に理解し、早々に返事できる頼りになる部下と思われたいんだから。そして、私からメールを出して、私の名前を見る機会を少しでも多くし、そのうち、LINEでも・・・なんて、うふふ。
「さあ、もう一踏ん張り。」

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