321章 優秀過ぎる上司
ソラの部下たちは、治安維持のためのパトロールをしている。彼らが仕事放棄したことで、治安はおおいに悪化することとなった。
「アカネさん、すみませんでした」
「ソラさん、気にする必要はないですよ」
「部下をコントロールできないのは、上司として失格ですね」
「ううん。そんなことないですよ」
「最初はうまくいったのですが、3日目くらいからうまくいかなくなりました。私のいうことは求めすぎ、とてもついていけない、そこまでいうなら自分でやれといわれました」
最初から聞いていなかったのではなく、途中から話を聞かなくなった。ソラ、部下の亀裂は思った以上に深いのかもしれない。
「テオス様は、うまくコミュニケーションをとっていました。私もどうすれば、あのようにできるのでしょうか?」
テオスは思いやり、配慮をしっかりと持ち合わせていた。部下としても、仕事をやりやすい環境であったと思われる。
ソラは優秀な反面、完璧主義者としての一面を持つ。部下にとっては、負担の大きいトップであるといえる。
ソラは大きな欠伸をする。
「一人で背負い込んでしまったために、心身を消耗したみたいです。ゆっくりと休ませていただきます」
「ソラさん、すべてを抱え込まなくてもいいですよ」
ソラは小さく頷いた。
「そうですね。人を頼る、信頼することをおぼえていきたいです」
テオスの話を思い出す。ソラは優秀ゆえに、自分だけで解決しようとする。優秀ではないものには任せておけない、自分だけで解決したほうが手っ取り早いと考えているのかもしれない。
「アカネさん、部下と話をしてください。どうすればいいのかという、参考にしていきたいです」
「わかりました。部下の話を聞いてきます」
「酸素村の魔物退治が早く終わってよかったです。魔物退治が長引いていたら、治安はおおいに乱れていました」
「ソラさん・・・・・・」
ソラは目を閉じる。アカネは瞬間移動の能力を使用して、ソラをベッドの上に送った。