322章 ついていけない部下たち
ソラの部下に思われるものに、声をかけてみる。
「アカネさん、こんにちは」
「ソラさんの部下ですか?」
「そうです」
「ソラさんとはうまくいっていますか?」
部下は明確な意思を持って、首を横に振った。
「ソラ様は、気難しいところがあります。私たちにとって、大きな負担です」
ソラは完璧主義なところがある。部下たちにとって、大きな負担になっているようだ。
「一度に与えられる仕事量が多すぎて、ついていけません。一割の部下は、体調不良に陥ってしまいました」
10パーセントの部下を、短期間で体調不良にする。自覚はなかったとしても、パワハラ上司であるといえる。
「仕事を放棄した者もいますけど、ついていけない者も多いです。ソラ様のいうとおりにしてい
たら、心身不調になってしまいます」
「ソラさんはどうして、無理を強いるのでしょうか?」
「自分のできることは、他者もできると思っているからでしょう」
人間社会ではないのに、人間社会と重なっているように感じられた。
「テオス様は能力をうまくいかせていたのですが、他のものにはできません。トップに命令するのは、至難の業ですね」
「私が仲介役をやりましょうか?」
「アカネさんなら、適任だと思います。よろしくお願いします」
テオスの部下は頭を下げる。
「アカネさんは超優秀なのに、尖ったところはないですね」
「元々は凡人で生きていました。そのこともあって、エリート志向はないのだと思います」
「アカネさんのような性格なら、仕事はとってもやりやすそうです」
「それはどうでしょうか?」
「いろいろな人から話を聞きました。とっても親しみやすい、温かい性格をしているといっていました」
「そんなことはないですよ」
「アカネさんに、君主になってほしいです」
「スローライフを楽しみたいので、君主にはなりません」
君主になると、スローライフは楽しめない。アカネにとって、マイナスの部分が非常に大きい。