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――その瞬間、オーランドはピノの肩に手を置くと小刻みに震えながら聞き返した。
「おお、きみにはわかるんだね? 人形の心が……!?」
「うん、わかるよ! だってボク…――」
「ピノ!」
ローゼフは2人の会話に割って入ると、その場で直ぐに黙らせた。
「おやおや、どうしたんだねローゼフ君。そんなに慌てて……?」
「いえ、オーランド公爵。その…――」
「そうだ! きみに特別に私の自慢の人形達を見せてあげよう!」
「ほ、本当に……!?」
「ああ、本当だとも。今から私のコレクションルームに遊びに来ないか?」
「うん、行く!」
ピノは瞳を輝かすと無邪気に明るく返事をした。すると黙っていたローゼフは、いきなりピノを抱き上げた。
「オーランド公爵、素敵なお誘いありがとうございます。ですがもう帰る時間なので、私達はこれで失礼させて頂きます……!」
「え、ボクまだご馳走食べてないよ?」
「ご馳走なら、家に帰れば沢山あるだろ!?」
「え~! つまんないつまんないつまんない~! あそこにあるローストチキン食べたい! それにドブスターも一杯食べたい!」
「ドブスターじゃなく、ロブスターだ! 駄々をこねるんじゃない! いいから今すぐ帰るぞ!?」
彼はそう話すと手荒い感じで、ピノの手を強引に掴んだ。そしてローゼフは帰る際に、オーランドに質問した。
「貴方に一つ質問してもいいですか……?」
「何かね、ローゼフ君?」
「貴方は何故、この子のことを知っているのですか?」
「ああ、それか……。風の噂で聞いたのだ。それに骨董品を集めているのは、何もきみだけじゃないさ」
「オーランド公爵、それはどう言う意味ですか……?」
ローゼフはその言葉にピクリと反応すると、彼の方をじっと見て聞き返した。するとオーランドは何も言わず2人の前で優雅にお辞儀をすると舞踏会の奥へと姿を消した。
「やはり、彼には気をつけなくては…――」
彼は不意にそう呟くと、ピノを抱き抱えたまま彼の屋敷から立ち去ったのだった。