アルーラ、到着する
実家から半日かけて目的地に到着した。
「何事も無く着いて良かったわ、しかし……予想はしていたけどやっぱり汚れているわね」
久しぶりにやってきたログハウスは蜘蛛の巣が張られ窓ガラスはヒビが入り廃墟同然だった、長年使われていなかったから当たり前だけど。
私に色々教えてくれた管理人のおじさんは既に亡くなっており実際管理する人はいない。
「お嬢様、本当にこのような所にお住みになるんですか?」
ここまで送ってくれた馬車の運転手が心配そうにしてくれている。
「えぇ、そうよ。あの家にいるよりはマシよ」
「旦那様方ももう少しお嬢様に向き合ってくれていたら……」
「ありがとうね、その言葉だけで私は満足だわ」
そう言って私はニッコリ笑った。
運転手は涙を流し私との別れを惜しみながら帰っていった。
「さぁ、まずは現状確認をしないといけないわね」
私は扉に鍵をさした。
ガチャリと音がして扉を開けるとギギギと言う音がした。
「明かりをつけないといけないわね」
私は天井に吊られているランプに火を灯した。
「やっぱり埃っぽいわね、まずは換気をしないと」
窓を開けて新鮮な空気を入れた。
「うん、少しはマシになったわね」
と言ってもまだ住める状態ではない。
「よし、掃除しますか」
荷物の中からバケツと雑巾を取り出した。
「水は井戸から持ってくればいいわね」
私の記憶だと裏に井戸があったはずだ。
一旦家を出て裏側に行くと記憶通りに井戸があった。
井戸の中を覗くと水があった。
早速水を汲みあげると透き通っている。
「うん、美味しい!」
飲んでみると冷たく美味しかった。
バケツに水を入れて家に戻り床やら壁やらを拭き上げた。
時間を忘れて作業していたらいつの間にか日は暮れていた。