132章 おもてなし4
トイレから出てきた女性に対して、お風呂の案内をする。
「ココアさん、入浴の準備を終えたよ」
「アカネさん、ありがとうございます」
ココアは瞳を輝かせている。この姿を見ていると、二児の母親ではなく、19歳の少女のように感じられた。
「家庭用のお風呂は初めてなので、とっても楽しみです」
お風呂に入る喜びを感じていることが、「セカンドライフの街」の貧しさを浮き彫りにしている。どんなに貧しい生活を送っていても、お風呂に入っているのかなと思っていた。
「家庭用のお風呂の良さを、いろいろな人に伝えたいと思います」
ココアの家族だけでなく、他の家庭においてもお風呂がないようだ。「セカンドライフの街」=
「家庭にお風呂がない」が成立しているのかもしれない。
ココアの服に視線を送る。現在はそれなりの衣服であるものの、以前はボロボロだったと思われる。バナナ生活を送っている家庭が、服にお金を回そうとは思わない。服を購入するお金があれば、食事をいいものにする。
お風呂がそろそろかなと思っていると、浴室から機械の声がする。
「お湯の準備が完了しました」
「ココアさん、お風呂をどうぞ」
「ありがとうございます・・・・・・」
ココアは入浴室に向かっていく。あまりに楽しそうだったので、アカネも嬉しさを感じることとなった。