133章 おもてなし5
入浴を終えたばかりの女性は、幸せそうな顔をしていた。究極の貧乏生活を送っていると、当たり前のことで、喜びを感じられるようになるのかな。ある意味では幸せなことであり、ある部分では不幸なことといえる。
「お風呂はとってもいいですね」
お風呂に入ることによって、心、身体をリラックスできる。心身をリラックスさせることで、次の日も頑張ろうという気分になれる。
「家庭用だとさらにいいですね」
家庭用のお風呂のメリットとして、一人だけの時間を過ごせる点があげられる。のびのびと入浴することによって、疲労回復、リラックス効果がさらに高まる。
自分の肌に合わせた、温度にできるのも大きなメリット。温泉などでは温度が決められているため、自分の肌に合わせるのは難しくなる。熱い、冷たいと感じるお湯だったときは、我慢をす
ることになりかねない。
第三者に裸を見られないのも、嬉しいポイント。水着などを着用しない限り、第三者に裸を見られることになる。女性同士であっても、第三者に裸を見られるのは、不快に感じるときもある。
「あまりに気持ちがよかったので、1時間以上も入ってしまいました」
時刻を確認すると、2時を回っている。12時45分頃に入浴を開始したので、75分もお湯に浸かっていたことになる。入浴時間としては、かなり長めといえる。
「入浴しすぎたからか、身体がのぼせてしまいました」
ココアの顔は、猿のように赤くなっていた。入浴の時間を長くしたことで、身体が異常を感じたと思われる。
「ココアさん、次回からは短くしようね」
「はい。ほどほどにさせていただきます」
お風呂に入るときは、30分を上限にするように心がけるべし。あまりに長すぎる入浴は、身体を疲れさせることになる。入浴は疲れを癒すためなのに、逆効果になってしまいかねない。
アカネは一度の入浴で、5~6時間くらいになることもある。特殊な身体をしているため、お
風呂に入れば入るほど、リラックス効果を高めることになる。超人ならではの、お風呂の入り方
を楽しんでいる。
窒息死する心配がないため、湯船の中で睡眠をとることもある。おさかな気分を味わえることで、リラックス効果が大きくなる。
「身体の水分が飛んでいるので、水分補給をしよう」
入浴をすることによって、大量の水分が飛ぶことになる。脱水症状にならないために、入浴の前後に水分補給をするようにしたい。水分補給をするときは、冷たい水ではなく、常温に近い方
がよいとされる。
「アカネさん、ありがとうございます」
最高級に水にしようかなと思っていると、ココアから声をかけられた。
「水道水をください」
「わかった」
長時間の入浴で水分が不足したのか、700ミリリットルもの水を飲むこととなった。