マツダシバコ

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  • ドーナッツ

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    僕はドーナッツが大好きだ。僕は家族から追いやられ施設に入れられる。でも、家族はつながっている。ドーナッツのように。ドーナッツの上を歩いていれば、いつかは元に戻ることができる。

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  • スケーターズ・ワルツ

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    湖のほとりにはスケーターズ・ワルツが流れていた。この町ではスケートがうまくすべれるかで人生が左右する。ベンは町の名士の娘ジルと結婚した。気づけば年をとっていた。ベンは二人の思い出を取り戻すために湖にでかけた。

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  • うさぎ

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    森の子供たちはまず、うさぎの狩りから教わる。
    うさぎ、キツネ、鹿、イノシシ。そして、最後はクマだ。
    森の子供たちはそうやって大人になっていく。ギーはうさぎの狩りができなかった。うさぎと友だちになりたいのだった。けれど、森の掟はそれを許さなかった。狩りができなくては、森では大人と見なされない。
     

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  • ホルスタイン

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    子供の頃、6本指の男の子がいて、私はその子に憧れていた。何か自分だけの特別なもの。私だけの大切なもの。私はずっとそれが欲しかった。ある日、健康診断で見つかった小さな肝のう胞。それは私を幸せにしてくれた。

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  • きりん

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    きりんは僕の通う店にいた。「首が長いからきりん。そう覚えてね」彼女は言った。彼女の願いは叶えられた。けれど、願いが叶い過ぎた彼女は不安を抱えている。彼女は心配のあまり深刻な不眠症だった。僕は間もなく死を迎えようとしている。築き上げた莫大な財産に意味がなくなるのだ。
    最後に僕らが望んだのは、ささやかなもの。

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  • バーチャルパーク

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    芝生の広場には一定の間隔ごとにカプセルが並んでいた。[39]番。それが彼にあてがわれたカプセルだった。カプセルの中で彼は様々なバーチャル世界を体験する。そしてそこにはいつも彼女の視線があった。突き刺すような恐ろしい視線だ。やがて、彼と彼女との関係性が明らかになっていく。それは、殺す側と殺される側という役割だった。繰り返し、繰り返し、その役回りは襲ってくる。逃げることはできない。

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  • きのこガール

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    きのこガールは戦闘の真っ只中にいた。
    彼女は戦争に欠かせない秘密兵器だ。
    ある日、彼女は敵国の負傷兵にキスをした。一目惚れだ。
    彼女は戦争を愛す。しかし、自分の恋愛を最優先する。
    彼はもう間も無く死のうとしている。
    彼女は彼女なりの決着をつける。

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    現代
  • メガネ

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    いじめられっ子の彼。
    どこに行っても彼は虐げられる。みじめな生活を送っている。
    いつしか自殺は彼のステータスとなっていく。
    リストカットは彼の生きる活力を生み出す行為なのだ。
    ある日、いつもように通りかかった不良グループにいじめられていた彼だったが、死んだのは彼に暴力を振るっていたグループのリーダー格のトモダチの方だった。

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    舞台
    日本
  • 一万袋

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    彼と彼女は退屈なバカンスを過ごしている。
    自分で望んだものの、彼女は刺激のない生活にストレスを感じ出している。
    街に出て刺激的な遊びがしたいと、彼に訴える彼女。まあまあと、なだめる彼。
    退屈しのぎに彼はある壮大な物語を語り始める。

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  • クロノカレー

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    僕はカレー専門店の店長だ。
    僕の作るカレーは暗黒のように真っ黒い。
    僕はそのカレーを17年煮込み続けている。
    その間に僕は恋人を殺し、大学のサークル仲間を殺し、新しい恋人まで殺してしまった。
    黒いカレーにはそんな彼らの亡骸と残された思いが溶け込んでいるのだ。
    そのカレーを求めて、連日、僕の店にはたくさんの客が訪れる。

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