第八十四話
「はい。主には新事業の展開、事務所設備拡張、人材雇用、部門整理等です。細部を煮詰める必要はありますが」
「よし分かった! お前に任せる! 投資提案書がまとまったら俺に持ってこい」
「承知しました」
扇で舞い踊っている社長は、ぽんぽこたぬきそっくりだ。
俺は分からないように、背中でガッツポーズをした。
あの脳味噌ピーマンな社長でも分かるぐらいの利益を上げるため、今日までメンバーと闘ってきたのだ。
そして今日、遂に俺の提案が受け入れられたんだ!
俺はやったんだ!
社長も興奮冷めやらぬ様子だ。
「これは凄いことだ! 遂に……遂にオーリーズも、上場企業の仲間入りを果たすのかぁ!? ウィルソン、社員全員に伝えておけ!
今日は俺のおごりで打ち上げにいくぞ!」
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——同日19:00。
「よし、みんな揃ったな!」
社長がビールの入ったジョッキを片手に、居酒屋の掘りごたつへ座る社員たちを見回した。
「今期のオーリーズは、利益が過去最高を記録した! なんと1億円だ!」
社員からも自然と拍手が上がる。
「マジかよ!」と叫んだのは広瀬だ。
「そこで、今後のことを考えて事務所を大きくしようと考えている。
まあ詳細はまだ決まってないが……とにかく、会社はこれから更なる躍進を遂げる!
皆にも、心機一転頑張ってもらいたい!」
「社長! 挨拶はいいから早く乾杯しましょうよー!」