第八十三話
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株式会社オーリーズは小さな会社だったが、彼らの尽力もあって動画の売上げは順調に伸びていった。
彼ら3人の演技は格段に向上し、新人2人へ自主的に演技指導を始めたときは、俺もつい笑顔になってしまった。
勿論、俺のアドバイスも多少は影響あったと思うが。
そして翌年の3月、俺は出来上がった決算報告書を社長へ提出した。
「社長、今期の決算を確認頂きたいのですが」
「ああ、そうだな。どれどれ……」
さて。ここからだ。
「……売上高ですが、昨年の約200%超えでした」
報告書を確認していた社長は突然デカい声を上げた。
「何ぃ! 本当か!?」
「はい。久保田に何回も計算させましたし、私も確認しましたから間違いありません。こちらが前期の決算報告書です」
社長はひったくるようにして損益計算書のページを開く。
「ちなみに前期の純利益はそちらに記載がある通り、5,000万円でした。今期は1億円、売上高の約60%ですから、そろそろ投資を検討してもいい時期だと考えますが……」
業界によるが、普通利益率は売上高の20~30%が理想とされている。
それを60%なんていう無茶苦茶な数字を叩き出したのは、俺の企画力と彼らの努力あってこそだ。
社長は目をひん剥いて叫んだ。
「そりゃあお前、やるに決まってるだろう! 純利益1億円だぞ!? こんな小さな会社がそんな巨額の金を手に入れることなんて滅多にない! ウィルソン、お前何か案はあるのか?」