第十八話
日の丸テレビにいた頃、度々女からアプローチを受けていた。
何度も言うが、女に言い寄られて悪い気はしないし、男は皆そうだと思っている。
しかし、「好きです。付き合ってください」と告白されるのであれば話は別だ。
俺はいつも思う。
何故女は交際したがるのかと。
俺と連絡先を交換した女は皆、返事が来ると舞い上がり、遊びに誘われると己に気があると勘違いする。
人混みを行くとき、はぐれないように手を握る行為は、単なる俺の気遣いだ。
それぐらい、小さな子供にもするだろう。
俺には人間として何か決定的に欠けているものがあると、新人時代の元上司から言われたことがある。
だがそれは、大学を首席で卒業した俺でも流石に理解できないものだった。
四六時中一人の人間のことを考えるのが、そんなに素晴らしいか?
俺は、そう思う人間は、不幸だと思う。
囚人と同じ。
人生の無駄遣いだ。
とはいえ俺だって男だ。
女性経験ぐらいはある。
俺がそう言ったら、元上司は妻子がいるせいか、恋愛について坊主のお経のごとく、とうとうと有難迷惑な説教を垂れていた。
酒の席であったから俺も我慢したが。
その翌日に妻の不倫が発覚したときは、思わず笑ってしまったものだ。