第十七話
9月17日(土)10:30。
予定より30分も早めについた俺は、駅前にあるカフェで彼女が来るのを待っていた。
一人用席からだと噴水広場の方がよく見えるため、敢えて
今日はお詫びという形で約束を取り付けたが、そんなものはただの名目だ。
いつでも取材できるよう、ポケットにはボイスレコーダーを準備している。
あまりこちらが意気込んで引かれるのも嫌なので、普段スーツを着るところを敢えて私服にした。
服装は白いV字カットのシャツに、軽くジャケットを羽織っている。
俺は向かいのガラスにうっすらと映った己の姿を眺めた。
……問題ない。完璧なコーディネートだ。
最初に紹介した通り、いくら日本語を巧みに操れるとはいえ、俺の血筋は生粋のカナダ人だ。
先祖代々伝わってきた異国のDNAは、しっかりと俺の骨格を形作っている。
大人っぽく着こなした外国人の俺に、周囲の女性客が熱い視線を注いでいるのを首筋の方で感じとった。
こういう類の注目を浴びるのは昔から慣れていたし、悪い気はしない。