83.覚えていないのですが…どこまでの関係でしょう?
「わ……私も……あと、尊敬しています。それと……いつも指導してもらって……」
なまめかしいキスのときに言う言葉じゃないのかもしれない。
しかし彼への思いが多すぎて、つい多くの言葉で愛を語ってしまう。
「私、その……昔から小さくて、背が伸びなくて、子どもっぽいって思われてて」
「誰が君を子どもっぽいなんて言うんだ?」
優しい声で問われ、つい言わなくていいことを口にしてしまう。
「ええと……昔好きだった先輩が、小さくてガキっぽい子は、好みじゃないって……それ以降恋をするのも怖くて……」
「照れ隠しじゃないか? 若い頃はそんなふうに気持ちとは真逆のことを言ってしまうものだ。ちひろは小柄だがガキっぽいわけじゃない」
どうして逢坂は、こんなにもちひろの欲しかった言葉を述べてくれるのだろう。
そういえば、ホテルのバーでもそうだった。
褒めてくれるだけでなく、落ち込んでいた気持ちも浮上させてくれる魔法の言葉を持っている。
「嬉しい……泣いちゃいそう……」
そんなちひろを、彼は愛おしいとばかり、再び何度もキスを繰り返した。
そのうち彼の手が背中に伸び、ワンピースのファスナーを下ろす。
ジリジリという音が響き、ちひろは恥ずかしくてしかたがない。
足下にワンピースがファサ……と衣擦れの音を立てて落ち、ちひろはあられもない下着姿になってしまう。
恥ずかしくて身を隠そうとするが、彼がそれをさせてくれなかった。
しっかりと抱きしめたまま、口づけをしてくる。
「ふぁ……ぁ……ん……」
逢坂の手がちひろの肩や背中をさすってくる。
それがとても気持ちよく、そして彼のキスが上手すぎて、意識が溶けてしまいそう。
やっと唇が離れた頃、逢坂がちひろをまじまじと見て嬉しそうな声を出した。
「似合っているな」
ちひろが身につけているのは、レースのシームレスショーツとお揃いレースのブラジャー。
ヒップは半分以上見えているし、ブラジャーも総レースだから先端の尖りも浮き出ていた。
「社員割引で買いました。今日は……その、プレゼンテーションパーティだから気合いいれようと思って」
見られてもいい勝負下着でよかった。本当に大きなパンツじゃなくて良かった。
「凛太郎おじさまに喜んでもらいたくて……」
彼の手がブラジャーのホックにかかる。
手際よく外されると、今度はシームレスショーツにかかった。
恥ずかしくて身を捩るが、彼が腕の中から逃がしてくれない。
ちひろは顔を真っ赤にさせ、恥ずかしさのあまり余計なことをしゃべってしまう。
「わ、私、その……この間のこと、全然覚えてなくて……その……」