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6 命懸けの試験開始!

爆発音が何処からか鳴り響く。

「爆破って、もしかしてプライドか? 暴れすぎだろアイツ」

「ねぇ〜ゴールって何処にあるの〜」

風に乗って、ダルそうに移動するノア。

「ゴールがどんな形なのかも分からないしなー」

森の中でゴールを求めさまようアヤトとノア。

「あっ、あれゴールじゃない?」

「え?」

そこには円形の柵で囲われた小さなスペースがある。中心に二つの柱が建っていてGOALと書かれた旗が架けられいてる。

「あからさますぎる......」

「やった〜!ゴールだ〜!」

「でもこれって普通は色んな推理とか探索とかして見つけ出すもんだろ? こんな運だけで見つけちまったら、試験として成り立ってないんじゃ......」

「いいじゃん! 運も実力の内だよ!」

「まぁ俺は楽だから良いんだけど」

この柵の中で、試験終了まで待ってれば良いんだよな?

「危ないっ!」

ノアがアヤトを突き飛ばす。

「いっ、何すんだよ! ってえぇ⁉︎」

地面に炎の槍が突き刺さっていた。

「あっぶねぇ! あと少しで死ぬとこだった」

「敵がいるよ!」

周りを警戒するノア。 それを見てあらかじめ作っておいたボウガンを構えるアヤト。

「クソッ、かわされちまったか」

奥から男が現れた。
そのガタイの良さや迫力に対し恐怖を押し殺しつつアヤトが質問する。

「あんたが攻撃したのか?」

「あぁ」

「人が死んでもおかしくなかったぞ!」

「人を殺してはいけないってルールは無かったはずだ。 昨年の試験は死人が出る様な内容では無かったはずだが、まぁ今年は試験官が悪かったと思って、殺されてくれ」

「そーかよ! じゃあ何で姿を現した! 何かの罠か?」

「お前はどうでも良いが、そこの嬢ちゃんは一度目の奇襲で仕留められなければ、何度やっても意味がないと判断した」

アヤトは馬鹿にされている事に気付いているが一度目の攻撃を避けられなかった時点で言い返す言葉はない。

「それでは改めて行くぞ!」

そう言うと男は炎をアヤトに向かって放つ。

「まずは小僧お前からだっ!」

アヤトはリュックサックに入っていた金属を薄く伸ばしドーム状に壁を作りアヤトとノアを覆う。

「ダメだ! あの男もプライドと同じ火属性の魔術師! 俺はプライドの攻撃を防御しきれなかった!今回も長くはもたない!」

「でも、大丈夫そうだよ?」

「えっ?」

何故か金属はびくともしていない。 

「クソッ何て固い壁だ! 鉄か⁉︎」

くりかいし炎を放ち続ける男。

「アヤト! ノアが攻撃するからこのまま進んで!」

「わっ分かった!」

アヤトはドーム状の金属はそのままで、相手に向かって歩き始めた。ドームの中は徐々に熱を帯び始める。

「あっついな! 大丈夫かあぁぁー⁉︎」

ノアの服が汗によって透けている。
アヤトの視線が胸に吸い込まれる。

「ねぇ......ねぇってば‼︎」

「な、何だ?」

「今ノアの魔術属性は水だから、水で攻撃する!」

敵が炎属性だから、その弱点である水に変わったって事か。

「だったら俺が敵に向けて水の噴射口を作るから、それと同時に放ってくれ!」

「分かった!」


「今だノア!」

「行っけー‼︎」

一瞬にしてアヤトがドーム前方に噴射口を作る。そこから炎が入ってくる間もなくノアが水柱を放つ。

「何っ⁉︎」

男は水圧によって木に叩きつけられる。 

「グハッ!」

隙を与えずアヤトが男に向けてボウガンを向ける。

「負けを認めろ。 くっ殺せ! とか言いそうだから言っとくけど、勝ったのは俺達で負けたあんたに反論の権利は無い」

「......そーかよ、ひとつだけ聞きたいんだが」

「何だ?」

「お前じゃねーよ、そこの嬢ちゃんだ」

「ノア?」

「嬢ちゃんが風邪属性を使って移動してんのを見たんだが、今使ったのは水属性、つまり嬢ちゃんは反属性か?

「そうだよ〜」

「つまりマグス・ドイツの王女様って事か?」

「違う! 大魔道帝国!」

「それは何年も前の呼び方だろ?」

「ちょっちょっと待った! ノアが王女様⁉︎
聞いてないぞ!」

「言ってないもん」

「王女様が何で、探検家なんかになろうとしてんだよ」

「今の王様が嫌いなの! 今の周りが見えなくなってる帝国も」

「それにしても俺も運が無いな、年に一度の試験で反属性とぶつかるとは......」

そう言って男は頭を抱える。

「じゃあ、おいちゃんも一緒にゴールしたら?」

「えっ?」

「ゴールできるのは三人でしょ?」

「有難い話だが......断る。 こんな事で試験に受かっても、探検家としての人生は長くはないだろう」

たまたまゴールを見つけただけの、俺にとっては耳が痛い。

「アンタは何で俺の金属を溶かさなかったんだ?」

「金属を自然の炎で溶かせる訳がないだろ? 俺は外側から熱して、熱さに耐えられなくなったお前達を、壁の外に引きずり出そうとしたんだが......」

じゃあ手錠を簡単に溶かしたプライドって何者なんだ?

「見ーつーけーたーぞーーー! 死ねぇっ‼︎」

プライドが上空から飛んできて着地と共に足の裏を地面に向け爆破し、落下の勢いを殺す。 それと同時に手の平から炎を噴射しアヤト達に炎が迫る。 

アヤトは再び三人を金属で覆う。 数秒後炎は弱まったが未だプライドの周りを炎が覆っている。

「やっぱり!」

金属の壁が溶けている。アヤトはすかさず壁を補強する。

「さっきと同じ方法で行くぞ、ノア!」

「分かったっ!」

「あれが俺と同じ炎属性か⁉︎」

「アンタも協力しろよ!」

「分かっている」

「アヤト! 出てこい!」

「ノア! 合図したら水を放て!」

ノアは無言でうなずく。

「今だ!」

「えいっ!」

だが、発射したのは水ではなく風だった。 

「風邪属性っ⁉︎ どう言う事だノア!」

「わかんないよっ!」

風の影響で炎の火力が強くなる。

「つまりあの男の魔術属性が、火属性では無いと言う事か?」

「でも火使ってるじゃねーかよ! あれをどう説明するんだよ!」

「俺が出よう」

「おいちゃん......」

「俺では勝てなさそうだが、今回の試験で合格するつもりは無い、だから俺が奴を誘き寄せる。 逃げる術も考えている」

「でもっ」

「来年もう一度試験を受けるつもりだ、ここにいても足を引っ張りそうだしな」

「分かった三秒後、出口開ける! 3.2.1今だ!」

「合格しろよ!」

男は羽織っていたマントで顔を隠しプライドの真逆え走る。 それと同時にアヤトが叫ぶ。

「プライドこっちだ!」

「逃すかよっ!」

それを追うプライド。 足音が聞こえなくなるまでドームの中で息を潜めるアヤトとノア。
二人は顔を見合わせる。

「はぁー」
「はぁー」

二人合わせてため息をつく。

「おいちゃん大丈夫かな〜?」

「考えがあるって言ってたし、大丈夫だろ」

アヤトは金属壁を解除する。

「やっと出てきやがったなっ‼︎」

シャイアスを追ったはずのプライドが地面から飛び出しそれと同時に大地が大きな拳の形に変化しノアを吹き飛ばす。 ノアは大木に激突し気を失う。

「ノアっ!」

火属性のはずのプライドが土属性を使いアヤトの前に現れる、次回 アヤトvsプライド死闘勃発‼︎

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