7 遂に決着 試験終了のカウントダウン
「俺が決着をつけたいのはお前だけだ」
「てめぇ、おっさんを追ったはずだろ!」
「あれはただの土人形だ。 錬金術は金属が一定の範囲内に有る、もしくは範囲を出てから数秒間しか金属を操れないからな。お前がドームの中に残っている事は推測できた」
プライドはニヤニヤと笑いながらそう言った。
「クソッ......その様子だとお前も反属性かよ......」
「バカが、反属性ってのはクズ王族のみに与えられる、エコヒイキスキルだ。 俺は、はなから土属性なんだよ」
「土? じゃああの炎は......」
「土から発生される自然ガスに発火してんだよ。土属性ってのは、大地に含まれる全てを操る属性、魔術で最強の属性だ!」
ファンタジー物の土属性といえば、噛ませ犬のイメージだが、言われてみれば、属性の中で土だけアバウトすぎるな。設定ちゃんとしろよ!
「話はこれで終わりだ。 はじめるぞ」
プライドは土を中世の鎧のように体に纏わせ足裏を爆破させてアヤトに向けてとてつも無いスピードで移動しアヤトの顔に手をかざし爆破する。
「うっ!」
アヤトは体を動かすより先にリュックサックに詰められた金属をロープのように地面と繋いで強制的に体を引っ張り反り返るように爆破を避ける。
体を動かすよりもテクニックで鉄を操るほうが、タイムラグが短いのか?
そして後方10メートルの木まで金属を伸ばし巻き付ける。そして一気に伸ばした金属を収縮しプライドと距離を取る。
「錬金術にはそんな使い方もあるんだっなっ‼︎」
すかさずプライドは足裏を爆破しアヤトと距離を詰める。
アヤトは右3メートル程にある木に金属を巻き付けその金属を収縮し右に移動する。
同様の動きを数度繰り返してプライドの周りを円形に回転しつつプライドに見えない様に10個の鉄球を一定の感覚で地面に落とし、その鉄球を操り地面に埋めこむ。
「何をグルグル回ってやがる!」
そして10個の鉄球を同線の様に細長い金属で繋ぐ。
これが今の俺が思い付く最大の攻撃だ。
アヤトは膝をつき、繋いだ金属に触れる。
「ハァッ!」
10個の鉄球を槍の様にプライドに向かって放つ。
プライドは土の鎧を分厚くし四方八方から飛んできた槍を受け止める。
「う、動かない......」
途中まで刺さったもののプライドには届かなかった。
「お前は良くやったよ。 そんな使えないテクニックで...... ハァッ!」
プライド鎧表面をとてつもない威力で爆破させてその威力で刺さった槍とアヤトは吹き飛ばされる。 金属をクッションにしとうとするが、さっきの攻撃で金属を使い果たしていたためノアの近くの木に激突する。
そのとてつもない爆発音で気を失っていたノアが目を覚ます。
「アヤト!」
「ハァハァ」
アヤトは体の痛みのせいで息が荒くなり気が遠くなる。
「大丈夫⁉︎ アヤト!」
気を失いかけた瞬間何かを感じる。
これは地中に散在する金属......砂鉄か?
アイザックも言ってた、テクニックのコツは邪念を取り払い、テクニックにだけ意識を注ぐっ事だって。
つまりこれは気を失いかけ、邪念を取り払った事で地面に散在する砂鉄に気付けたってことか? つまり!
「思い付いたぞ、お前を倒す方法を!」
アヤトは体に鞭を打ち無理やり立ち上がる。
「アヤト?」
心配そうに見上げるノア。
「俺を倒せるって? どうする気だ?」
「パンチする!」
「パンチ? 最後は格闘術に頼るのか?」
馬鹿にする様にプライドはそう言った。
「ノア、風魔法で俺をプライドに向けてぶっ飛ばしてくれ」
「もうアヤトの体は......」
「俺だって今すぐ逃げ出してぇが......やらなきゃ死ぬならやるしかねぇ」
「分かった......行くよ!」
「来い!」
「行けっ!」
ノアがアヤトの背中目掛けて突風を放出する。その勢いに乗りアヤトは腕を振り返りながらはプライドに向かって吹き飛ぶ。
「うぉぉーーーーー‼︎」
余裕の表情で微動だにしないプライド。
アヤトのパンチが土鎧に当たる。
ポン
「何だろれ?」
呆れ顔のプライド
「俺たちの勝ちだっ‼︎」
アヤトはプライドの土鎧に含まれる砂鉄を、プライドの両腕をに集め、腕を逆向きに折り曲げ関節を外す。
「あ゛ぁぁぁっ テメェ!」
アヤトは、反撃の隙を与えず、その砂鉄を拳に集めプライドを殴る。
「終われーー‼︎」
拳が顔に当たると共に拳の砂鉄を破裂させ、プライドは数メートル吹き飛ばされる。
「ハァハァ」
プライドは動かない。
「勝っ」
その直後アヤトは糸が切れた様にその場に倒れ込む。
「アヤト!」
アヤトの元に駆け寄るノア。
「試験終了まで残り30秒」
アナウンスが流れる。
「ダメ、アヤトがゴールに入ってない!」
「25」
「24」
カウントダウンが始まる。
必死にアヤトをゴールまで引きずるノア。
「10」
「9」
「8」
「7」
「6」
「5」
「4」
「3」
「2」
「1」
ラスト一秒で何とかゴール地点に入れたノアとアヤト。
「試験終ー了ー」
アナウンスが鳴り響く。
地面にへたり込むノア。
「終わった......」