No.28 見に行きたいんですけど、いいすか?
「この魔法を主魔法を持つものは国王、あるいは女王にふさわしい……??」
ヒラリーはその文を口にしたとき、ある人を思い出す。
アメリアのことか??
確か、我が妹アメリアはあの海賊の一件で魔法を使えるようになっていたはず。
その時、初めて使ったのはバリア魔法。
初めて使った魔法は主魔法となり、その者にとって得意とする魔法となる。
まさか……アメリアが……??
ヒラリーはメルンが持ったその本を手に取り、開けていたページにしおりを挟む。
「メルン姉さん、陛下の所へ行きましょう。このことを知っているかどうか」
「……うん、そうね」
ヒラリーとメルンは図書館を出て、王座の間向かった。
★★★★★★★★★★
「そんで、おっさんなんの用??」
「すごい口調だね……演技しなくていいのに」
うちはウィンフィールド国の王座の間に来ていた。
そこにはウィンフィールド国王が玉座に座り待ち構えていた。
「演技??」
何言ってんだ??
おっさん。
「演技なんてしていないけど。てか、誰の演技だよ」
別にいつも通りに話しているんだが。
なぜか、国王はうちの様子が変わっていると思ったのか苦笑いしていた。
「アメリア・ホワードだよ。君がアメリア・C・トッカータということは把握済みだよ」
「はぁっ!?」
一体どこから漏れたんだっ!?
目を見開き、うろたえていると、察したのか国王が説明してくれた。
「君のお父さんから聞いたんだよ」
「はぁっ!? あの
「うん、全部聞いたよ。仮病のことも、ホワード家に行くという理由も。あ、誰にも言わないから安心してね」
「マジか……」
しまった……弱み握られた。
呼び出しってそういうことか。
「そんで、うちの弱みを握ったおっさんはうちに何をしてほしいんだ??」
「お、察しがいいね」
「チッ」
国王の前であろうと構わず舌打ちをする。
イラつくもんはイラつくんだ。
うちの舌打ちに苦笑いする国王はこちらをじっと観察していた。
「それ、演技じゃないの??」
「誰が演技だ。おっさんが知っているアメリア王女の方が演技だわ」
「えー。小悪魔」
「誰が小悪魔だ」
うちはあるものを入れていたポケットを片手でいじる。
それを掴み取り出てきたのは懐中時計。
2つの針は12時半を示していた。
ああ、昼休みがなくなっていく。
んん??
苦笑い国王からそらしていた顔をパッと正面に向ける。
「おっさん、今日は何日?」
「4月の24日だけど……」
「で、今何時??」
「12時36分」
国王はうちの質問に不可解な顔をしつつ答える。
おっさんから今日の日付を耳にした瞬間、うちの脳内はフリーズしていた。
「見たい……」
国王は小さかったうちの声を聞こえなかったのか、顔をしかめる。
「なんてっ??」
うちはなぜか笑みが浮かび上がっていた。
「イベント見に行きたいんですけど、いいすか??」