vs, フラモン Round.8
「
気高さに凄んだ
ロープに変質させたラムスの左腕でグルグル巻きの
うん〝
「
ラムスが
「もう! 二人共、喧嘩腰にならない!」
ボクは
あ、あったあった ♪
購買で買った焼きそばパン ♪
「ねえ? コレ食べる?」
シノブンを
「な……何?」
「お腹に何か入れりゃ、少しは冷静になるって」
「ふ……ふざけるな!」
「はい、あ~んして?」
開封して口元へと差し出した。
「あ……あ~ん ♪ 」
いや、キミじゃないよ? ストーカーベガ?
「て……敵の
頑として抵抗するシノブン。
「いいから、あ~ん ♪ 」
「
「はい、あ~ん ♪ 」
「ぅぅ……あ……あ~ん」
優しい
視線を
「はむ……ムグムグ」
「ふむ? 消費期限を過ぎても、一週間程度ならまだいける……と」
「ぶふぅーーーーッ!」
派手に
あ、これがホントの『
「……何をやってますの」
ラムスのジト目が
「いや、まだ食えるかなぁ~って……モグモグ」
「……臆せず食べますのね」
何だよぅ?
食べ物粗末にしちゃいけないんだぞぉ?
でも、よいこのみんなはマネすんな?
ボクは日頃から鍛えてるから大丈夫。マドナで。
「いいなぁ……マドカちゃんと間接キスいいなぁ……」
モエルは
いまのところ、この作品きっての変態だからな? キミ?
「うう……殺せぇ……いっそ
ぐったりと
「あら? 効果的な拷問だったみたいですわね」と、ラムスが感心。
「失敬だな! 善意だよ!」
その時、唐突に「ピーピー」と微音が聞こえた。
腹を壊したワケじゃない。
安っぽいアラームみたいな電子音。
出所を探って辿り着いたのは──シノブンだった。
「クックックッ……」グロッキー状態から静かに
「ああ、さっきの焼きそばパン?」
「言うかッ!」
何だよぅ?
おいしいって言ったじゃんかよぅ?
噴き出す前まで。
「貴様達と
「ふぇ? もうひとつの目的?」
まだあったのか。
意外と欲張り屋さんだなぁ、シノブン。
「さあ、心してアレを見るがいい!」
「ヤダよ! ド変態!」
「……は?」
「いきなり『
「はしたないのは貴様だッ! どんな飛躍をしているのだッ! 貴様はッッッ!」
真っ赤になって
「……マドカ様、発言には責任を持って下さいませ? レーティングに影響します」
ラムスからも
「私が
キッと顔を上げ、空を見上げる。
ボク達は、その視線を追った。
遥か高空に浮遊する黒い人影──遠目過ぎて明確な視認は難しいけど、おそらく
「ああ、アレってば〈フライング・ヒューマノイド〉か」
「何ですの? それは?」
ラムスが
「珍しいね? ジュンならいざ知らず、キミが〈UMA〉を知らないなんて?」
「別に網羅しているわけではありませんから。
「ああ、なるほどね。要は『
「……
「うん。アレは〈フライング・ヒューマノイド〉って呼ばれるヤツでね、近年になって頻繁に目撃されるようになった〈UMA〉だよ。ま、平たく言えば『空飛ぶ人型物体』だね」
「特徴は?」
「飛ぶだけ」
「……飛ぶだけ?」
「うん、飛ぶだけ」
「それだけですの?」
「うん、それだけ」
「たいした事ありませんわね」
うん、そだね。
此処に集結している〈ベガ〉に比べたら
だって〈アートル〉に〈ブロブ〉に〈モスマン〉──終いには〈フラットウッズ・モンスター〉だもんね。
花形UMA勢揃いだもんね。
「ねえねえ、マドカちゃん? あの人達、何か運んでない?」
モエルが気づいて指摘。
「よく見えるなぁ、此処から」
「えへへ♪ 本体の〈マルチセンサーアイ〉だよ♪ 」
得意気に鋼鉄巨人を指差す。
ああ、ホントだ。
「何運んでるだろ?」
「え……っとね? あ、ジュンちゃんだよ?」
「……ふぇ?」
一瞬、思考が
「だからぁ、ジュンちゃんだってば」
「何ィィィーーーーッ!」
パニくった!
この上無いほどパニくった!
「見せろ! ボクにも見せろ!」
「ええ~? 見せろって言われてもぉ~……」
「信じないぞ! この目で見るまでは信じない!」
「パモカの望遠カメラアプリで御覧になれば
「ふぇ? んな機能あるの?」
「ありますわよ? ちょっと
夕焼け空へと
ボリューミーなショートツインテールに、ムチムチ肉感の肢体……うん、間違いない。ジュンだ。
「あぁあぁぁあ! どうしよう!」
頭抱えて大悶絶!
「ジュンだよ!
スカーーンと、鋼質化顔面を何かが直撃!
「ぎゃおす!」
あ、コレってばジュンの
あの高空からツッコミを入れてくるとは……ジュン、おそろしい
「どういうつもりさ! シノブンブンブブブン!」
「増えたぞッ?」
あ、ゴメン。
興奮して間違えちった。
「クックックッ……今回は、最初から両面作戦だったのだ。
「星河様を拉致して、どうするつもりですの?」
「
「
「何だ、
スカーーンと
ってか、聞こえてんの?
あの高空で?
てんやわんやで収拾が着かないまま、どんどんジュンが小さくなる!
「どうしよう! どうすれば! どうするとき! どうするぞなもし!」
「追えば
「そっか! ヘリウムバーニアで……!」
──ぷすすん。
「ガァァァス欠だァァァーーッ?」
おまけに、その後シノブンとの空中戦だったし!
「任せて! マドカちゃん!」
凛としてモエルが名乗り出た!
「モエル? 協力してくれんの?」
「大好きなマドカちゃんのためだもん ♪ 」
ニッコリと優しい笑み。
うう、ありがたい!
この際、
「よし!」
シリアスモードに気持ちを切り替え、モエルは前腕部アームレットへとパモカをセットした。
それを
「動け! ジャイアントわたし!」
……いや〈ジャイアントわたし〉って何なん?
とか思った直後、スフィンクス体勢だった
そして、両腕を大きく右へ振り──続けて、大きく左へ振り──うん、垂直に
慌てて
「どうしたの? マドカちゃん?」
「いろいろと、ややこしい事になるだろ! 『 ● 映』とか『光プ ● 』とか!」
「はぇ?」
無垢に小首コクン。
知らんでやってたんか、この天然ストーカー娘。
恐るべしモエル──
「何かよく分からないけど……とりあえず、やるね ♪ 」
明るくモエルが宣言すると、大きな手がボクを掴み上げ──何する気?
「いっけえーーっ!」
「だぁぁぁいリィィィグボォォォーール?」
ブン投げやがった!
江 ● 卓の豪腕
グングンと高度を追い上げて行く!
風どころか雲まで裂いた!
「うひぃぃぃーーッ!」
寒い! 重い! 痛い!
完全鋼質化じゃなかったら、間違いなく死んでるぞ! コレ!
だけど、その甲斐あって追いついた!
予想外の追撃に動揺する〈フライング・ヒューマノイド〉達!
その間に意識を失ったジュンが吊るされていた!
おそらく抵抗はしたんだろう──〈PHW〉を着込んでいるし。
ただ無力だっただけだ。
けれど、これは不幸中の幸いかもしれない!
クルロリの説明によれば〈PHW〉とは〈パーソナル・ハブビタル・ウェア〉の略──身も
だからこそ、生身にも
「ジューーーーンッッッ!」
絶対に救い出す!
その決意のままに手を差し伸べた!
追い越した!
飛んでいった!
「あ~~~~れ~~~~~~…………」
ジュン救出作戦、失敗。
彼女が何処へ連れ去られたのか──それは判らない。
ついでに、ボクが何処へ投げ飛ばされたのか──それも判らなかった……シクシク。