vs, フラモン Round.7
グラウンドは、再び異能バトルの戦場と化した。
得意の空中戦能力を
だが、この前とは戦況が違う!
何故なら、今回は〈PHW〉を着ているから!
ボクはヘリウムバーニアの機動性を活かし、四方八方からヒット&アウェイ!
「チィ!
けれども、それはボクの攻撃にしても同じか。
手数を出せども、
「シノブン! どうして、そんなにボクへと
「貴様には分かるまい! 自分が
意味分からん。
何だ? ボクが〝特別〟って?
「ラムスとかいう〈ブロブベガ〉といい〈A3-2006〉といい!」
ああ、やっぱ〝モエル〟とは呼ばないんだ?
「とりわけ腹立たしいのは、貴様だ!
本能的に察知したボクは、緊急離脱で距離を取った!
安全確保も
それは、つまり〝ルー ● ーズ大先生〟の御登場って事!
「ぎゃーーす!」
降臨なされた!
ナイスガイなサムズアップで!
超電磁眼の直視を喰らい、ボクは無様に墜落!
「マドカちゃん!」
安否を案じたモエルが遠巻きに呼び掛ける。
その声を活性力に、ボクはダメージから
「ぐ……う……ッ!」
地表へと降り立ったシノブンに、再び身構える。
かと言って、間合いに飛び込むのは
だって、ピリピリと殺気立ってるんだもん。まるで凄腕の浪人みたいだ。
「警告しておくが、貴様の硬度は解析済みだ」
「ふぇ? 解析?」
「
流す視線でフラモンを
「なるほど……その情報収集も
「分析観は鋭いな、ラムスとやら。その通りだ。戦闘データを即時解析して、刀身素材を同金属へと差し替えた。我が
「そんなの文字通り〝付け焼き刃〟じゃんか!」
ボクは虚勢を
何だかんだ言っても、ボクが無茶をできるのは無敵の硬度を誇る〈エムセル〉有りきだからだ。
それを切断される危険性が確定してしまっては、さすがに
(
叶わぬ反撃に
と、不意に美声が割り込んだ。
「では、
「ラムス? キミはダメだよ!」
「仕方ありませんわよ。見ていられませんもの」
対峙する
「〈ブロブベガ〉の〝ラムス〟……敵に
「別に
ヲイ、この豊乳メイド。
「けれど──」
「……よくも
ま、彼女には分からないだろうな……この〝ひとりぼっちの異邦人〟が
さりげなくボクを背後に
「マドカ様、
「何か策あんの?」
「いいですか? これから何が起ころうとも、決して動揺せずに……」
イヤな予感が過ぎる。
まるで死亡フラグみたいな
「ちょ……ちょっと待ってよ?」
戸惑うボクへ、彼女は淡く
静かに
典型的な
「参る!」
瞬発!
巨大な
「受けて立ちますわ!」
右腕を
「ちょっと待てってば! ラムス!」
斬撃を
──静寂が吹き抜けた。
「ふぅぅ……」
「ぅぁぁあああぁぁぁーーっ!」
「ラ……ラムスゥゥゥーーーーッ!」
悲痛な絶叫を上げ、ボクは駆け出していた!
彼女の意向を実行するためじゃない!
「よくもラムスをーーッ!」
繰り出す拳に怒りを乗せる!
無慈悲なる刺客は、それさえも涼しく達観した。
「逆上任せとは……あの
「
大振りな軌道を
けれど、ボクは
繰り出す!
繰り出すッ!
繰り出すッッッ!
当たる気配がしない。
全て
まるで
それでも、ボクは繰り出す!
「
本能的な直感が視線を落とす──巨大蛾は腰を低く落とし、ボクの
「あぐっ!」
「
氷の
脳味噌が鈍く苦悶した!
それだけで、この威力!
以前、同様の攻撃を受けた事があったけれど、その時は
日本刀のガッチリした造りのせいか、重いダメージが浸透した!
意識が白くなり掛けた
「んにゃろ!」
根性で体勢を押し戻した!
空中ヘディング
「終わりだ」
間髪入れずに
「終わらない!」
「ダメだよ! マドカちゃん!」
モエルの戦慄を受けて、先刻の警告を思い起こす──「我が
(しまった!)
だけど、
鋭利な
(クソッ!
──パキン!
あ、折れた。
ボクの腕、無傷なのに……。
「何? 我が宇宙刀が!」
「もらったぁぁぁああーーっ!」
動揺を突いて拳を振り抜いた!
「グアッ!」
殴り倒されたシノブンは、そのまま地面に沈黙した。
息はある。
意識が果てただけだ。
例え相手が誰だろうと殺すのはイヤだ。
誰かが死ぬなんてイヤだ。
なのに──「何だよ、この勝ち方は……」──
とことん後味が悪かった。
虚脱のままに折れた刃身を
よくよく観察してみれば、腐食に
原因はブロブの
「この
「バカのくせに『バカ』とは失礼ですわね。勝因に
「だって、こんな勝ち方なんて望んで……うん?」
聞き慣れた声に、ハッと顔を上げる。
ラムスがいた。たおやかに
両断されたメロンゼリーが結合して、メイドさんを再生している。
「生きてたんかーーっ!」
「ゲル体質ですもの。斬られたぐらいでは死にませんわ」
完全再生を終え、しゃあしゃあと
「
「人聞きの悪い事を言わないで頂けます? 別に『犠牲になって死ぬ』とは言ってませんけれど?」
しれっと
冗談じゃないぞ!
絶ッッッ対、納得できない!
だから──「生きててくれて、ありがとう」──ボクは小憎らしさを