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12 影のない少年

「あれが、新しいブリキュアか……
 ブリ男のヤツ、また弱そうなヤツをブリキュアに選びやがって……」

 金色の瞳を持つ少年は、そう言ってため息をつく。

「う、うわぁぁぁぁぁ」

 そして、悲鳴をあげてその場から逃げる弱そうな少年。
 金色の瞳を持つ少年は、ため息をした。

「はぁ。
 やれやれ、あっちで騒がせてこっちが本命とはな……
 シャドーロープ!」

 金色の瞳を持つ少年から放たれた影のようなもので弱そうな少年を追いかける怪人を拘束する。

「なんだ?
 貴様は!」

「なんだお前……
 俺の名前を知らないのか?」

 金色の瞳を持つ男が、ため息混じりにそう言った。

「だから、誰なんだ?」

「お前もまた、名も無き怪人なんだな……」

 金色の瞳を持つ男が、ゆっくりと手に力を入れる。
 すると怪人を縛っている影がさらに締め付ける。

「ぐぎゃぁぁぁ」

 怪人が、悲鳴をあげそのまま絶命した。

「あ……」

 弱そうな少年が、声を漏らす。

「ふぅ、ボク。
 お前も大変だな……」

 金色の瞳を持つ少年が、そう言って弱そうな少年の方を見る。
 この弱そうな少年の名前は、黄昏 ボク。
 ハタハタは、ボクの命を奪おうとしている。
 なぜなら、倒せば数億の経験値が入るメタル族の末裔だからだ。
 人類の命運は、ボクが怪人に殺されるかどうかにかかっている。
 仮にボクを怪人に殺されれば、その怪人は巨大な力を手に入れ世界が崩壊すると言われている。
 そのために、金色の瞳を持つ少年。近藤 |無《なし》は、ボクを護るためにブリ男より力を授けられた。

「無くん……
 いつもごめんね」

 ボクが、小さく謝る。

「気にするな、それが俺の仕事だからな」

 無が、そう言うとボクは再び謝る。

「本当にごめん。
 僕にもっと力があれば……」

「気にするな。
 ブリ男は、もうひとり戦士を追加した。
 新しい戦士は、頼りなさそうだが……
 これで俺も少し楽になるだろう」

「うん」

「お前の仕事は生きること……
 それ以上もそれ以下もない」

「うん」

「さて、旅を続けるぞ」

 無は、そう言って足を進める。
 ボクも、それに続く。
 太陽の光が薄っすらと無たちを包み込む。
 その無の足元に影はなかった。

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